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砂漠の塩

松本清張の小説 ウィキペディアから

砂漠の塩
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砂漠の塩』(さばくのしお)は、松本清張の長編小説。『婦人公論』に連載され(1965年9月号 - 1966年11月号、連載時の挿絵は堀文子)、1967年3月に中央公論社から単行本が刊行された。中東を舞台に、死を決意した男女と妻の跡を追う夫の、愛の行方を描く長編ロマン。本作で第5回婦人公論読者賞を受賞した。

概要 砂漠の塩, 作者 ...

愛と死の砂漠』のタイトルで1971年にテレビドラマ化されている。

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あらすじ

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砂漠の中のワジ(写真はヨルダン)

ヨーロッパ・中東への旅行団に参加した野木泰子は、パリオルリー空港で一団と別れ、エジプトカイロにて谷口真吉と落ち合う。再会を果たしたものの、泰子は未だ真吉に身体を許す気になれなかった。夫・保雄は善良で何の落ち度もないことが、泰子の心に罪の意識を落としていた。しかし、中東各地を経てバグダードへ向かう中で、泰子の心に少しずつ変化が生じていく。

真吉の妻・妙子は、夫が香港から会社に辞表を提出したことを知る。真吉はヨーロッパ・中東各国のほとんどのビザを取得していた。他方、保雄は泰子がヨーロッパで「蒸発」したことを知った。不安に落ちた保雄は、妻の行方を追うため、カイロへと飛ぶ。

主な登場人物

  • 原作における設定を記述。
野木泰子
保雄と結婚したものの、真吉のことが度々胸をかすめ、諦めと後悔の間を揺れている。大学時代は美学を専攻していた。
谷口真吉
泰子の幼なじみだが、あまりに近すぎた仲のため、青春期にはかえって互いに冷淡になっていた。
野木保雄
泰子の夫。珍しいほど純粋で、泰子を強く愛している。
谷口妙子
真吉の妻。
川本英子
カイロ在住の留学生。
奥野
保雄の大学の同期生。
田丸
シリアの日本大使館員。
ヘンダーソン
バグダードの医師。

エピソード

  • 婦人公論読者賞の受賞を受けて著者は「『砂漠の塩』が読者賞になったのはなによりもありがたい。ことに読者の手によって選ばれたかと思うと、職業批評家の中間の媒体がないだけに、読者の直接感にふれてうれしい。中近東の初旅は短い日程であったが、実地を踏んだということは強かった。苦労した小説だったが、この実感に支えられて書いた。私にとっても、外国を舞台にした最初の小説である。その小説が読者の圧倒的な支持を得たと聞いて感激している。これからも、創作上の冒険をしたいという意欲に駆られる。この意欲もまた読者が私にくださったものだ」と感想を述べたと、本作の速記を務めた福岡隆は伝えている[1]
  • 本作連載に先立ち、エジプト、レバノン、シリアを含む中近東へ1965年4月15日から5月5日まで取材旅行が行われた。この時著者は、映画祭に出席する新珠三千代と同じ飛行機に乗り合わせた。福岡隆は「この小説を速記しながら、ヒロイン野木泰子を新珠三千代さんにおきかえたものであったが、おそらく松本さんも新珠さんのイメージを頭に浮かべながら口述したのではあるまいか」と推測している[1]
  • のちに著者は、フランス映画『眼には眼を』のラストシーンを賞賛する文脈で「拙作『砂漠の塩』では、映画とは場面が違うが、これ(同作のラストシーン)に似た情景を挿入している」と記している[2]
  • 文芸評論家の郷原宏は、本作が「日本ではおそらく初めて中近東を舞台にした恋愛小説」と述べている[3]

作品の舞台

テレビドラマ

概要 愛と死の砂漠, ジャンル ...

ドラマタイトル「愛と死の砂漠」。1971年4月6日から9月28日まで、関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)(22:00-22:56)にて、全26回の連続ドラマとして放映。第12回日本放送作家協会賞演技者賞(小川真由美)受賞作品。

この枠では初の1時間ドラマ。また前作「スッポン」までは「あなたの劇場」という枠名が付いていたが、本作より枠名を廃止した。

キャスト
スタッフ
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脚注

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