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Ъ

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Ъ, ъ は、キリル文字のひとつ。

呼称

音価

本来は母音字であり、o または u の非常に弱く短い音を表したと考えられている。この母音字の前の子音は必ず硬子音となった。ロシア語などでは、後の音韻変化で語の中の位置によってより完全な母音(о など)に変わるか、または母音が脱落した結果、独立した音を失った(сънъсон :眠り)。後述のようにロシア語の旧正書法で硬子音で終わる単語の語末に ъ がついていたのは、古スラヴ語の単語が必ず母音で終わり(開音節)、本来この位置に母音としての ъ があったことの名残である。一方、ブルガリア語では位置によって曖昧母音に変化し、母音としての ъ が残された。

  • 現在のロシア語では、独立した音は持たず、硬音符と呼ばれ、直前の子音と直後の母音を分けて発音させる(日本のローマ字アポストロフィー (  ) と同じ)。直後に軟母音字が来るときに、前の子音字が硬子音(非口蓋化子音)であることを示す。
    • (例) объект /objekt/
cf. *обект /obʲekt/
  • ブルガリア語では、曖昧母音 /ə/ を表す(/ɤ//ɐ/と書かれることもある)。

スラヴ語以外での音素

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アルファベット上の位置

ロシア語の第28字母、ブルガリア語の第27字母、アディゲ語の第59字母、アバザ語の第68字母である。

Ъ に関わる諸事項

  • ロシア語では語頭に立たないため、元来大文字はない。
  • ロシア語旧正書法(1918年まで)では、硬子音で終わる単語の語末につけていたが、硬子音は音声的に無標であるため語末の Ъ は廃止される。
  • ブルガリア語旧正書法(1945年まで)では、子音で終わる男性名詞の語尾に付けられ、名詞の性を区別できた(女性名詞はЬ。ただし、ともに発音されず、Ьも軟子音化しなかった)。
  • ブルガリア語・ロシア語・ルシン語以外の現代のスラヴ語では用いられない。なお、ウクライナ語ベラルーシ語では、ロシア語のЪに相当する直前の子音と直後の母音を分ける記号としてアポストロフィー (  ) が用いられる。

符号位置

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