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鉄の骨
池井戸潤の小説作品 ウィキペディアから
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『鉄の骨』(てつのほね)は、池井戸潤の小説。月刊文芸PR誌『IN★POCKET』(講談社)にて2007年5月号から2009年4月号まで連載され、2009年10月7日に同社から単行本が刊行された[1]。2011年11月15日には講談社文庫版が刊行された[2]。第142回直木賞候補作、第31回吉川英治文学新人賞受賞作[3]。
2010年7月3日から7月31日まで、NHK総合『土曜ドラマ』枠でテレビドラマ化され、2015年には韓国でリメイクされた。2020年4月18日から5月16日までWOWOW『土曜ドラマW』枠において国内では2度目となるテレビドラマが放送された[4]。
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あらすじ
![]() | この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。 |
中堅ゼネコン・一松組に入社して4年目の富島平太はある日突然、業務課への異動を命じられる。大学の建築学科を卒業し、入社以来現場を担当してきた平太にとって、営業を担当する業務課は正に畑違いの部署だった。
着任早々、区役所への挨拶を命じられた平太は、公共工事の最低入札価格や指名入札業者の数に探りを入れる上司と役人とのやり取りにはらはらする。その日の夜の飲み会で平太は、業務課が通称「談合課」と呼ばれる部署であること、談合がなければ建設業界は立ち行かないため談合は「必要悪」であることを聞かされる。
談合は本当に悪なのか、平太の苦悩の日々が始まる。時を同じくして、2000億円規模の地下鉄敷設という大型公共事業の情報が入る。地下鉄工事に関して豊富な知識やノウハウを誇る一松組は独自技術によりコスト的優位に立つが、社内外のしがらみから、一松組そして平太も談合に関わらざるを得なくなる。東京地検特捜部が水面下で捜査を進める中、この大型公共事業の入札が始まる。入札の結果は、そして一松組と平太の運命は。
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登場人物
要約
視点
以下、原作に準拠。
一松組
建設部門と土木部門がある中堅ゼネコン。バブル崩壊の激動期を乗り切ったが、不況の波を脱しきれず、業績不振が続いている。「地下鉄の一松」の異名を取るほど実績があり、地下鉄に関する技術やノウハウは世界一である。
- 富島 平太(とみしま へいた)
- 大学(建築学科)卒業後、一松組へ入社。現在4年目の若手。信州上田市出身。大手ゼネコンを何社か受けたが、全て不採用だった。突然、専門外の部署である業務課に異動を命じられる。
- 西田 吾郎(にしだ ごろう)
- 業務課。一見お調子者だが、仕事のできる男。業務課の実務を支えている。平太の良き先輩。
- 尾形 総司(おがた そうじ)
- 常務。将来の社長候補と言われる。平太の業務課への異動を推した。元は、大手ゼネコン・清水組の役員で、一松組の二代目社長を支えるために、初代会長に三顧の礼を以て迎えられた。
- 松田 篤(まつだ あつし)
- 社長。創業家出身のボンクラ。
- 永山 徹夫(ながやま てつお)
- 54歳。バツイチ。平太の建設現場時代の上司。ずんぐりむっくりした体型。社内では「マンションの永山」と異名を取る。
- 柴田 理彩(しばた りさ)
- 業務課の紅一点。勝ち気な性格。
- 兼松 巌夫(かねまつ いわお)
- 業務課課長。一見頼りないタイプ。
- 金本 政志(かねもと まさし)
- 営業部長。営業畑一筋。ストライプ・スーツにサングラスがトレードマーク。
- 仁王 龍彦(におう たつひこ)
- 生産本部土木技術部特殊工法グループ係長。トンネル工事のスペシャリスト。名前の通り、金剛力士を思わせる大男。
白水銀行
一松組のメインバンク。
- 野村 萌(のむら もえ)
- 平太の彼女。大学のテニスサークルで一緒だったが、付き合うようになったのは互いに社会人になってから。新宿支店の為替係。建設業界の常識に染まっていく平太と心が離れ、同時に銀行的な視点と平太にない大人の魅力を持つ園田に惹かれてゆく。
- 園田 俊一(そのだ しゅんいち)
- 新宿支店融資課。萌より4歳年上。マクロ的発想を持っており、萌の知的好奇心を満たす。萌に彼氏がいることを知りながらも好意を持ち、強くアプローチして行く。
- 育ちの良いエリート銀行マン。一松組とそこに勤める平太を見下している。
- 高橋 瑠衣(たかはし るい)
- 萌の同期。園田のことが好き。
- 江坂 禎治郎(えさか ていじろう)
- 新宿支店長。一松組への融資を渋る。
建設業界
- 山本(やまもと)
- トキワ土建社長。43歳。5年前に大手ゼネコン真野建設を中途退職し、トキワ土建を興した。
- 和泉 勇人(いずみ はやと)
- 中堅ゼネコン上位のタキザワ建設専務。関東の道路工事を仕切る、談合の「ドン」のような存在。
- 三橋 萬造(みつはし まんぞう)
- 山崎組の顧問。巨大な公共工事を取り仕切り、「天皇」と呼ばれる業界の大物フィクサー。佐久穂町生まれで、平太の母の実家のことも知っている。妻・美津子は城山の妹。古い業界体質を嫌っており、公共工事は公正な競争で決めるべきだと考えており、城山と度々衝突する。
- 長岡 昇(ながおか のぼる)
- 大手ゼネコン真野建設の営業部長。JVで地下鉄工事の落札の調整を三橋に頼む。
その他
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書籍情報
- 単行本:講談社、2009年10月8日[1]、ISBN 978-4-06-215832-9
- 文庫本:講談社文庫、2011年11月15日[2]、ISBN 978-4-06-277097-2
テレビドラマ
要約
視点
NHK版
NHK名古屋放送局制作でテレビドラマ化され、NHK総合「土曜ドラマ」枠で2010年7月3日から7月31日まで放送された。全5回。主演は本作がNHKドラマ初出演・初主演となる小池徹平[5]。2010年7月度ギャラクシー賞月間賞受賞作[6]。
2007年に間組が自首し大林組の元幹部や清水建設、鹿島建設などゼネコン5社の営業担当者が逮捕された、名古屋市発注の地下鉄延伸工事をめぐる談合事件がモデルになっている。
キャスト(NHK版)
- 一谷組
- 白水銀行
- 山関組
- 真屋建設
- トキワ土建
- 一谷・真屋・山関と共に談合をするグループ
- その他の人々
- 細井 - ヨシダ朝:国土建設省・東部地方開発局の担当官。(第1-2回)
- 三橋満子 - 高林由紀子:三橋萬造の妻。(第1・3-5回)
- 城山和彦 - 北村総一朗:衆議院議員。建設族の大物議員。(第2回より)
- 坂元敦志 - 寺島進:一谷組の下請け会社、坂元舗装の社長。(第2回)
- 富島八重子 - 松田美由紀:平太の母親。岐阜県郡上八幡で美容室を経営。(第2-3・5回)
- 北原慎二 - 小市慢太郎:東京地検特捜部検事。ゼネコン汚職の主任検事。(第3回より)
- 長岡妙子 - 烏丸せつこ:長岡昇の妻。(第4回)
- 内藤肇 - 多田木亮佑:(第4回)
- メーカーの社員 - 近江谷太朗:一谷組の取引メーカーの社員。(第4回)
スタッフ(NHK版)
放送日程(NHK版)
WOWOW版
WOWOW「連続ドラマW」で2020年4月18日から5月16日まで放送された[7]。主演は神木隆之介[7]。全5話。
キャスト(WOWOW版)
池松組
- 富島平太〈26〉
- 演 - 神木隆之介
- 主人公。現場主任→業務部。長野県上田市出身。
- 尾形の指名で業務部へ異動となり、社内外のしがらみや談合に関わらざるを得なくなる。
- 西田吾郎
- 演 - 中村獅童[8]
- 業務部次長。長年同部署に在籍し経験豊富。平太の教育係的存在で頼れる先輩。
- 柴田理彩
- 演 - 小雪[8]
- 業務部。同部署の紅一点。西田の同期。
- 兼松巌夫
- 演 - 宮川一朗太[9]
- 業務部長。
- 永山徹夫
- 演 - 皆川猿時[9]
- 現場所長。実直な平太に「清濁併せ吞む」ことが建設業界で生き残るコツと諭す。
- 尾形とは彼が大手ゼネコン在籍時にジョイントベンチャーを組んで仕事をしたときからの友人。
- 松田篤
- 演 - 木下ほうか[9]
- 六代目社長。創業家の御曹司で社長を継承した。
- 尾形総司〈53〉
- 演 - 内野聖陽[8]
- 常務。元大手ゼネコンの役員で先代社長に乞われ傾きかけていた池松組を立て直した切れ者。
- 新卒採用の最終面接で平太を期待以上の仕事ができる若者と見込み、談合課と呼ばれる業務部へ呼び寄せる。
白水銀行
談合の関係者
- 三橋萬造
- 演 - 柴田恭兵[8](青年期:辻岡甚佐[10])
- 山舘組顧問。「建設業界の天皇」の異名を持つ建設業界のフィクサー。城山の義弟。平太の母・八重子とは同郷の知人。
- 尾形の紹介で知り合った平太と同郷の縁で関係を深める。
- 長岡昇〈57〉
- 演 - 六角精児[9]
- 大手ゼネコン「真延建設」営業部長。地下鉄工事を談合で落札すべく、調整を三橋に願い出る。
- 岸原貴之〈56〉
- 演 - 利重剛[9]
- 大手ゼネコン「猪田組」常務。
- 木村亮一〈55〉
- 演 - 長谷川公彦
- 大手ゼネコン「青川建設」専務。
- 山本誠司〈43〉
- 演 - 小手伸也[9]
- トキタ土建社長。真延建設出身。脱談合を標榜するが、公共事業に新規参入し実績を作るべく城山へ袖の下を渡す。
- 茂原通彦
- 演 - 東根作寿英
- 総一コンサルタント社長。建設業界からもたらされる城山への裏金のマネーロンダリングを担う。
- 城山和彦〈65〉
- 演 - 西岡德馬[9]
- 民政党の衆議院議員。道路族の重鎮。三橋の義兄(三橋の妻の兄)で、彼に談合の調整役を務めさせる。
東京地検特捜部
その他
ゲスト
第1話
- 田巻芳治
- 演 - 小河原義経[12]
- 津ノ共建設の従業員。禁煙のビル工事現場で喫煙し平太から注意されると吸殻をコンクリート打設中の基礎に捨てたため、平太を激高させる。
- 増川幸二
- 演 - 阪田マサノブ
- 津ノ共建設の従業員。田巻を注意した平太に平謝りするが、永山から出入禁止にすると警告されると平身低頭で謝罪し、田巻に頭を下げさせ吸殻を回収させる。
- 花井虎之助
- 演 - 吉岡睦雄
- 渋谷区の道路課長。西田から神宮前地下道路工事での入札情報の探りを入れられる。
- 道路課職員
- 演 - 飯田祐真
- 花井に面会するため区役所を訪れた西田と平太に、業者への取次ぎは出来ないと断りをいれる。
- 和泉優人
- 演 - 信太昌之
- コレザワ建設専務。関東の道路工事で落札企業の割り振りを調整する仕切り屋。西田から神宮前地下道路工事での談合を持ち掛けられる。
- トキタ土建の従業員
- 演 - 森岡豊[13]
- 神宮前地下道路工事の入札で西田から調整(談合)を持ち掛けられる。
- 建材業者
- 演 - 原田志(第3話)
- マキシム建材の従業員。神宮前地下道路工事へ納入する資材を西田に買い叩かれる。
- 地下鉄工事ではコストダウンの要求に音を上げ降りてしまう。
- 建材業者
- 演 - 大西武志(第4話)
- 京浜建材の部長。他の工事で還元すると神宮前地下道路工事へ納入する資材の値下げを西田から交渉され拒むが、尾形からの交渉に折れ値下げする。
- 高橋瑠衣
- 演 - 藤本泉(最終話)
- 新宿支店為替係。萌の同僚。
- 区職員
- 演 - 芹澤名人
- 神宮前地下道路工事の入札を取り仕切る。
第2話
- 競馬実況のアナウンサー
- 声 - 大川充夫
- 尾形が平太を競馬に誘った際の競馬場の実況アナウンサー。
- 池松組の社員
- 演 - 加藤衛[14](第3話)、安藤広郎(役名:別府良平、第3話・最終話)[15]
- 地下鉄工事を受注すべくコストダウンを呼びかける業務部が招集した会議に出席し、掘削の工法変更に難色を示す。
- 加藤英次
- 演 - 平野貴大[16](最終話)
- 白水銀行新宿支店の行員。東京地検特捜部が取引内容の調査に現れたと萌たちに伝える。
- 臼谷徹郎
- 演 - 中澤隆範[17]
- 衆議院議員。後援会の集会で城山から応援コメントをもらう。
- 樋口洋平
- 演 - 坂本直季[18]
- 臼谷徹郎の集会の司会者。
- 仁王龍彦
- 演 - 浜田学
- 池松組土木技術部次長。平太から抜本的に工事の工法を変えられないかと相談を受け、工期を短縮し総額で従来比20パーセントのコストダウンが見込める特許申請中の自由断面シールド工法を提案する。
- 山本郁子、牟田浩二[19](役名:松山忠吉、第3話)
第3話
最終話
- 検事正
- 演 - 小須田康人[20]
- 東京地検・検事正。地下鉄工事で三橋を介し城山が仕組んだ官製談合が行われると内藤から説明を受け、摘発するよう命令する。
- 検事
- 演 - 藤井宏之、関本巧文[21]
- 東京地検特捜部の検事。地下鉄工事の談合入札を摘発する準備を進める。
- 武藤
- 演 - えんじ則之[22]
- 公正取引員会の審査官。東京地検特捜部と合同で談合入札の摘発を進める。
- 都庁職員
- 演 - 廻飛呂男[23]
- 地下鉄工事の入札を取り仕切る。
- 検事
- 演 - 松山傑(役名:松山、第2話)、伊藤浩志(第2話)、古谷朋弘(第2話)
- 東京地検特捜部の検事。総一コンサルタントを家宅捜索する。
- 秘書
- 演 - 蔵本康文[24]
- 城山の秘書。
- アナウンサー
- 声 - 渋佐和佳奈(第2話)
- 地下鉄工事の談合入札が摘発され、関連するゼネコンで東京地検特捜部による家宅捜索が行われたニュースを伝える。
- 役人
- 演 - 田中美央
- 池松組が参加する入札を取り仕切る。
スタッフ(WOWOW版)
放送日程(WOWOW版)
韓国版
『태양의 도시』(意訳:太陽の都市)のタイトルで2015年1月30日から4月7日まで韓国のMBCドラマネットにてリメイク版が放送された。主演はキム・ジュン。全16話。池井戸潤原作の作品で、初の海外での映像化である。
建設業界の不正で父を自殺に追い込まれた主人公の大手ゼネコンへの復讐劇、その過程で出会う3人の女性とのラブロマンスの要素が盛り込まれる[26]。
キャスト(韓国版)
- 主要人物
- カン・テヤン - キム・ジュン:チョンドン建設現場主任→マルグン建設社長。
- ハン・ジス - ソン・ミンジョン:建築士、テヤンの恋人。
- ソ・ヘジン - チョン・ジュヨン:ソ会長の末娘。
- ユン・ソンヒ - キム・ソンギョン:リース会社・消費者金融の女社長。
- ソ・ウジン - チョン・ミン:韓国建設常務、ソ会長の息子。
- 周辺人物
- ソ・ドンジュン - ユン・スンウォン:韓国建設会長、テヤンの真の仇敵。
- パク・ユンシク - イム・デホ:チョンドン建設現場所長。
- カンダグ・パク - ソン・ミンソク:撤去屋社長、テヤンの仇敵。
- ベ・ミョンジェ - チョン・ハニョン:議員。
- ソ・ウンジン - ソ・ジヨン:ソ会長の娘、ヘジンの姉。
- チェ・デウン - イ・ヒソク:テヤンの友人、大学の同期。
- チェ・ユニ / チェ・ギジャ - ハ・ユニ:記者。
- ジョ・ミンジュ - ダビ
- その他
- アン・サンデ、キム・ドクヒョン、ユ・ピルラン、ソ・ジンウォン、ジョ・ソンムク
スタッフ(韓国版)
- 脚本 - ジョン・ジェホン、イム・リラ、パク・ギヒョン
- 演出 - パク・ギヒョン、チョン・フンスン
- 製作 - イロクリエーション
サブタイトル
日本では現時点で未放映のため、参考までに韓国放映時のサブタイトルを記述する。
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脚注
外部リンク
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