トップQs
タイムライン
チャット
視点

フィギュアスケートの採点法

ウィキペディアから

Remove ads

フィギュアスケートの採点法(フィギュアスケートのさいてんほう)では、フィギュアスケート競技における採点法について説明する。採点法は大きくは、2003年シーズンから用いられているISUジャッジングシステムと2002年シーズンまで用いられていた6.0システムに分けられる。

ISUジャッジングシステム

要約
視点

ISUジャッジングシステム=コード・オブ・ポイント (CoP;Code of Points) は、国際スケート連盟 (ISU) が規定しているフィギュアスケート競技の採点法。

6.0システムに対する呼称として、「new judging system(新採点システム)」と記載されることもあったが、2007年以降にISUが公開した文書にこの呼称は使われていない。近年では「International Judging System」とも呼称されている。

策定経緯

ISUジャッジングシステム策定以前、毎年行われるISU総会において6.0システムに替わる採点法の素案やアイデアが提案されることは珍しくなく、1994年よりISU会長に就任しているオッタビオ・チンクアンタも採点法としての規定性が大きく欠ける6.0システムによる競技運営が限界に近づいていることを懸念していたが[1]、採点法の大幅変更は基本的に足踏みを続けていた。

そのような状況においてソルトレークシティオリンピックのフィギュアスケート・スキャンダルが発生、競技から主観性を極力排除することを目的に、現在の採点法であるISUジャッジングシステムへと繋がる採点法改革の流れは一気に加速した[2]。ISUが新たな採点法の最初の素案を開示したのは、問題となったペア競技が行われたわずか一週間後というスピード開示であった[3]。ISUジャッジングシステムの原型となったルールは2003-2004シーズンのISUグランプリシリーズにて試験導入され、その後の2004年6月の総会で賛成多数で可決[4][5]、2004-2005シーズンより正式に導入された。

概要

ISUジャッジングシステムでは各種目毎に技術点構成点ディダクション(減点)を算出し、それらを合計した総合得点によって勝敗が決する。なお総合得点が同点だった場合は、フリースケーティングまたはフリーダンスの得点が高い選手が上位に、それぞれの種目においては同点だった場合は構成点の高いほうが上位となり、構成点も同点の場合には同一順位とされる。

技術点

技術点は選手が実行した各規定要素に対して与えられる得点の合計点である。

各要素の得点は基礎点GOE(Grade Of Execution)によって以下の手順で算出される。

  1. 技術審判が選手の実行した要素の種類、回転数、レベルを判定する(必要に応じて演技後にスロー再生で確認する)。ここで、その要素に対応した基礎点が決まる。
  2. 演技審判が技のできばえを、-5から+5の11段階のGOEで評価する。
  3. 各要素毎に、最高評価及び最低評価を与えた演技審判の評価が除外される。
  4. 残された審判が与えた評価を、ISU規則322号の表に基づいて点数に変換する(技術の得点を参照)。
  5. 変換された数値の平均値を算出する。
  6. 基礎点に、GOEから算出された数値を足し合わせ、最終的な要素の得点とする。

なお規定要素は各種目毎のページ(シングルスケーティングペアスケーティングアイスダンスシンクロナイズドスケーティング)を参照のこと。

基礎点

基礎点は実行した技の評価の基礎となる得点である。各要素の基礎点は「要素の入り方」、「回転数」、「レベル」によって算出される。

要素の入り方

その名の通り、各要素を開始時の動作。ジャンプ要素やリフト要素では踏み切り、スピン要素ではフライングであるか否かに該当する。

回転数

ジャンプ要素、スロージャンプ要素及びツイストリフトで選手が実行した回転の数。

ジャンプ要素とスロージャンプ要素の回転数は、ジャンプの空中での軌道を基準とし、踏み切り動作から離氷後に再びスケート靴のブレードが氷に触れるまでの間に何回転したかによって決まる。

ペア競技のツイストリフトの回転数は、女性の踏み切り動作から女性の体が男性に支えられるまでに何回転したかによって決まる。ツイストリフトに関しては回転の不足分が1/2回転以上のダウングレードのみが適用されうる。

回転が不足していると判断された場合およびエッジエラーと判断された場合、その程度によって基礎点が下がったり、GOEでマイナス評価とされる。

回転不足(クオーター)
1/4の回転不足と判断された場合、基礎点は変わらないが、演技審判がGOEで減点する。2020/2021シーズンより導入された[6]
回転不足(アンダーローテーション)
回転が軽度に不十分である(回転の不足分が1/4回転超1/2回転未満)と判断された場合、選手が挑戦した回転数のジャンプの本来の基礎点の80%(小数第3位を四捨五入)がジャンプの基礎点として与えられる。なおメディアなどではこの80%の基礎点を中間点と表現することが散見されるが[要出典]、ISUジャッジングシステムの正式名称ではない。
回転不足(ダウングレード)
回転が重度に不十分である(回転の不足分が1/2回転以上)と判断された場合、選手が挑戦した回転数のジャンプより回転数が1回転少ない同じ種類のジャンプの基礎点が与えられる。
例えば4回転トウループに挑戦した場合、回転が十分(回転の不足が無い、または回転の不足分が1/4回転未満)であると判断された場合は4回転トウループの基礎点9.5が与えられる。しかし回転が1/4回転以上1/2回転未満不足していると判定された場合は、4回転トウループの基礎点の80%にあたる7.6が、回転が1/2回転以上不足していると判定された場合は3回転トウループの基礎点4.2がそれぞれ与えられる。
エッジエラー
フリップジャンプやルッツジャンプで正しく踏み切れていない場合に適用される。重度のエッジエラー(記号e)と軽度のエッジエラー(記号!)に分かれる。重度のエッジエラーの場合は基礎点の80%が、さらにアンダーローテーションを含む場合は基礎点の60%が適用される。いずれのエッジエラーでも演技審判がGOEで減点する。
レベル

ジャンプ要素以外の全ての要素ではレベルによる判定が行われる。各要素のレベルは、要素の実行に際して、ISUが規定する工夫がいくつ含まれているかによって決まる。行われた工夫が基準を満たしているかどうかを技術審判が判定し、認められた場合のみレベル獲得要件として数えられる。

4つ以上の工夫が認められればレベル4、3つの工夫が認められればレベル3、2つの工夫が認められればレベル2、1つの工夫が認められればレベル1、工夫が認められなかった場合はレベルBの点数が与えられる。

GOE

GOE(Grade of Execution)は、演技審判によって0をベースとし-5から+5の11段階で評価された各要素のできばえである。

要素毎にそれぞれ評価の観点(着眼点)が設定されている。プラス評価の対象についてはやや抽象的な表現がされているが、マイナス評価の対象についてはガイドラインによって具体的に定められている。演技審判は以下の手順でGOEを決める。

  1. 要素の中でプラスに評価するべき点を探し、0 - +5の評価を与える。
  2. 要素の中でマイナスに評価するべき点を探し、あれば1で出した数値から減じ、-5 - +5の数値を得る。

上記の手順から分かるように、要素の中にマイナス評価の対象となるものが見られても、同時にプラス評価の対象となるものがあれば、結果的にプラス評価となることがある。

GOEから技術点への変換は、上記の手順で得られた最終的なGOEに対応する点数表を参照して行われる。詳細は#要素の得点を参照。 多くの要素については、最終的なGOEに対して一定の係数を掛けることで対応する点数を計算することができ、例えば2017/18シーズンのジャンプ要素において3回転トウループの係数は「0.7」、3回転アクセルはの係数は「1.0」などとみなせるが、4回転トウループ以上のジャンプ要素やステップシーケンス等、その限りでない要素もある[7]。2018/2019シーズンにGOEが7段階から11段階に変更された際に、シングル競技とペア競技においてはGOEの1段階に対して基礎点の10%が対応することとなった(ただしコレオグラフィック・シークエンスを除く)[6]

構成点

構成点は演技審判が以下の項目をそれぞれ10点満点、0.25点刻みで評価し、その評価数値に項目ごとの係数を掛けて算出された得点の合計点である。

シングルスケーティング、ペアスケーティング、アイスダンス
  • スケート技術(Skating Skills, 略記号:SS)
  • 要素のつなぎ(Transitions, 略記号:TR)
  • パフォーマンス(Performance, 略記号: PE)
  • 構成(Composition, 略記号: CO)
  • 音楽の解釈 / タイミング(Interpretation / Timing, 略記号: IN)
アイスダンス(パターンダンス)
  • スケート技術(Skating Skills, 略記号:SS)
  • 動作(Performance, 略記号:PE)
  • 音楽の解釈(Interpretation, 略記号:IN)
  • タイミング(Timing, 略記号:TI)

各項目毎の係数は、総合得点を算出するときおよそ技術点と構成点が同じぐらいになるように設定している(一般的に、女子シングルやペアの技術点は3回転アクセルや4回転ジャンプを取り入れる選手が多い男子シングルより低くなるよう設定している)。

各種目における構成点の係数
さらに見る 種目, SS ...

しばしば芸術点と呼称されることもあるが、旧採点(厳密には1995年以前の採点法)で取り入れられていた芸術点(artistic impression)とは異なり、芸術性の評価を行うものではない。

ディダクション

フィギュアスケート競技では実施が禁止されている違反行為が存在する。違反行為の有無はそれぞれレフェリー、演技審判または技術審判によって判断され、規定による減点ディダクションが適用される。

以下では大会等でしばしば見られる違反行為の例とそれによって発生するディダクションを挙げる。

  • 転倒: 1回につき -1.0点(シニアのシングル競技では1度から2度目では1回につき -1.0点、3度から4度目では1回につき -2.0点、5度目以降では1回につき -3.0点)
  • 時間超過または不足: 5秒につき -1.0点
  • バックフリップなどの禁止されている要素: 1つにつき -2.0点
  • 小道具使用などの衣装の違反: -1.0点
  • ペア要素での落下: 1回につき -1.0点
  • 10秒を超える中断: 10秒につき -0.5点(やむをえない場合は除く。中断が40秒を超えた場合は棄権扱いとなる。)
  • 3分間までの中断:-5.0点(レフェリーの許可を得て3分間までの中断をとることができる)
転倒

いわゆる転倒も厳密には要素の失敗やミスではなく「(スケーターがスケートのコントロールを失い)エッジ以外の部分で体重の大部分を支える」という違反行為に該当する。

無効要素

フィギュアスケート競技では実施が有効とされない無効要素が存在する。無効要素には無条件で無効と判定されるものの他に、回数制限などにより無効と判定されるものも存在する。

以下では大会等でしばしば見られる無効要素の例を挙げる。

  • シングルのフリースケーティングにおいて、二回転の同じ踏切同じ回転数のジャンプは二度までしか挑戦できない。三度目以降の挑戦は無効要素として0点となる。
  • シングルのフリースケーティングにおいて、三回転以上の同じ踏切同じ回転数のジャンプは二種類を二度ずつまでしか挑戦できない。
例えば「三回転トウループに三度挑戦」した場合、三度目の三回転トウループは無効要素として得点は0点となり、「三回転ループ、三回転サルコウ、三回転トウループにそれぞれ二度ずつ挑戦」した場合も、六本のうち最後に跳んだジャンプは無効要素として得点は0点となる[注 1]。なお、ジャンプのカウントはあくまでも「挑戦したジャンプ」であるため、ダウングレードされたジャンプについては、される前の回転数が適用される。
  • シングルのフリースケーティングにおいて、コンビネーションジャンプとシークエンスジャンプはあわせて三度までしか挑戦できない。四度目以降の挑戦は無効要素として0点となる。
  • シングルのフリースケーティングにおいて、採点表で同じ略記で書かれるスピンは一度しか行えない。二度目以降のものは無効要素として0点となる。
  • シングル、ペアにおいて、一つのスピンの中で同じ難しいポジションを両足で行った場合、片方はレベル獲得要件として認められない。
  • ペアにおいて、リフトで男性は三回転半以上回転できない。三回転半以上回転したものは無効要素として0点となり、さらにディダクションで2点減点される。
  • ペアのフリースケーティングにおいて、同じ踏切のグループ5のリフトは一度しか行えない。二度目以降のものは無効要素として0点となる。

審判

フィギュアスケート競技会における審判には、以下の人員がいる。

イベントレフェリー

1名。

  • 競技会の進行と審判団の監督を行う。単にレフェリーとも言う。

国際スケート連盟主催の全ての競技会のイベントレフェリーは国際スケート連盟会長が任命する。

技術審判

テクニカルコントローラー

1名。

  • テクニカルスペシャリストの宣言を監督し、承認もしくは確認し、必要があれば訂正する(ただし、テクニカルスペシャリストがその訂正に同意しない場合は、テクニカルコントローラー、テクニカルスペシャリスト、アシスタントテクニカルスペシャリストの三名による多数決で決定する)。
  • システムコンピューターに入力された要素の名前とレベルを確認する。
テクニカルスペシャリスト(及びアシスタントテクニカルスペシャリスト)

1 - 2名。

  • 実行された要素の種類を判定し、宣言する 。
  • 実行された要素のレベルを判定し、宣言する。
  • 転倒などのディダクションとなる行為を判定する。
  • 無効になる要素を判定・削除する。

国際スケート連盟主催の全ての競技会の技術審判は国際スケート連盟会長が任命する。

イベントレフェリー及び技術審判は異なる加盟国から選ばれる。

演技審判

最大9名[注 2]

  • 実行された要素の質を-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5の11段階で評価する(GOE)。
  • 構成点をつける。

国際スケート連盟主催の競技会であっても演技審判の任命者は競技会毎に異なる。 以下の競技会の演技審判は国際スケート連盟会長が任命する。

以下の競技会の演技審判は開催国のスケート連盟が任命する。

要素の得点

シングル ペア

2019年5月改定の採点基準(国際スケート連盟コミュニケーション第2253号)による[8]。 GOE1あたり基礎点の10%(コレオグラフィックシークエンスはGOE1あたり0.5点)

ジャンプ(シングル、ペア共通)
  • ジャンプでアンダーローテーションもしくはルッツジャンプやフリップジャンプで踏み切り違反の場合は基礎点< or e(基礎点の80%)、ルッツジャンプやフリップジャンプでアンダーローテーションと踏み切り違反両方の場合は基礎点< and e(基礎点の60%)が適用され、GOEによる加減点もGOE1あたり基礎点の80%もしくは60%のさらに10%となり、小数第3位を四捨五入する。
  • ジャンプコンビネーションは行ったジャンプの基礎点が単純に合計され、GOEによる加減点は最も難しい(最も基礎点の高い)ジャンプ要素のものが適用されるが、アンダーローテーションや踏み切り違反を考慮する。
さらに見る 種類, 基礎点 ...
スピン(シングル)
  • スピンが明確でない場合は基礎点V(基礎点の75%)が適用され、GOEによる加減点もGOE1あたり基礎点の75%のさらに10%となり、小数第3位を四捨五入する。
さらに見る 種類, レベル ...
ステップシークエンス(シングル、ペア共通)
さらに見る 種類, レベル ...
リフト(ペアのみ)
さらに見る 種類, レベル ...
ツイストリフト(ペアのみ)
さらに見る 種類, レベル ...
スロージャンプ(ペアのみ)
  • アンダーローテーションの場合は基礎点<(基礎点の75%)が適用され、GOEによる加減点もGOE1あたり基礎点の75%のさらに10%となり、小数第3位を四捨五入する。
さらに見る 種類, 基礎点 ...
デススパイラル(ペアのみ)
さらに見る 種類, レベル ...
スピン(ペア)
  • ソロスピンはシングルの得点と同じ。スピンが明確でない場合は基礎点V(基礎点の75%)が適用され、GOEによる加減点もGOE1あたり基礎点の75%のさらに10%となり、小数第3位を四捨五入する。
さらに見る 種類, レベル ...

アイスダンス

2016年6月改定の採点基準(国際スケート連盟コミュニケーション第2015号)による。[9]

パターンダンス要素
さらに見る 種類, レベル ...
スピン
さらに見る 種類, レベル ...
リフト
さらに見る 種類, レベル ...
  • コンビネーションリフトはそれぞれのリフトの要素点を合計する。
ツイズル
さらに見る 種類, レベル ...
ステップシークエンス
さらに見る 種類, レベル ...
コレオグラフィックエレメンツ
さらに見る 種類, レベル ...
Remove ads

成績記録

要約
視点

ISUパーソナルベスト

このISUジャッジングシステムの元では、各選手の最高成績はパーソナルベストとして記録される。ただし、ISU主催の特定の国際大会でのみ認定され、国内チャンピオンを決める全国選手権レベルではISUに公式認定されない。

シーズンベスト

シーズンごとの各選手の最高成績をいう。グランプリシリーズに欠員が出た際に、派遣選手決定に影響を与える。

最高得点

以下は、ISUジャッジングシステムが作られて以来記録された最高成績である。シーズンごとに行われる、ルール改定では区別されずに認定される[10]。ISUはISU主催の国際大会でのみ世界記録を認定し、国内選手権では認定しない。

しかし、ISUジャッジングシステムはシーズンごとに細かな改訂がされており同一条件のものとして比較できるものではない。国際スケート連盟では、採点システムでの集計記録として残しているものであって、「世界記録」としては認めていないとしている[11]

さらに見る 種目, 選手 ...
さらに見る 種目, 選手 ...
さらに見る 種目, 選手 ...
さらに見る 種目, 選手 ...
さらに見る 種目, 選手 ...
Remove ads

過去に用いられていた採点法

要約
視点

6.0システム

単に「6.0システム」といった場合は、6点満点で採点する何種類かの採点方法の総称となる。初期のものは1901年から採用された[12]。それ以前は1点刻みの5点満点で採点されていた[13]。2004年6月9日国際スケート連盟(ISU)総会で6.0システム廃止が決議され、来季からと、2006年トリノ五輪は新採点方式となった。2002年ソルトレーク五輪での不正採点問題を契機に採点方式の変更がなされた[14]

6.0システムのことを100年続いた採点法と表現する者もいるが、これは「6点満点で採点する」という観点だけに立った場合のことである。6点満点で採点するという観点以外では、時代や地域毎に様々な採点思想による採点がなされてきた。例えば、後述する「ショートプログラムの技術点の減点規定」や「フリースケーティングの評価の観点」の他、ルール違反に対する減点といった基本的な規定が明確化されたのさえ1998年以降のOne By One方式になってからである。

競技者の順位は、単純な総得点を比較するのではなく、席次(各審判員の採点から算出された各競技者の順位)を比較して決定していた[15]。1998年以前は席次数方式が、それ以降はワン・バイ・ワン(ObO;One by One)が、広く用いられていた。

得点

技術点(ショートプログラムではrequired elements、フリースケーティングではtechnical merit)とプレゼンテーションという2つの点数があり、それぞれ6.0点満点で採点する。採点の基準は、日本スケート連盟フィギュア競技規則によると以下のようになっており、小数点第1位までで得点をつけた[16]

0点 = 滑走しないもの
1点 = 非常に劣るもの
2点 = 劣るもの
3点 = 中程度のもの
4点 = 良いもの
5点 = 非常に良いもの
6点 = 傑出したもの
ショートプログラムの技術点の減点規定

行う要素の数と種類が定められているショートプログラムの技術点で、ミスの程度に応じた減点規定が定められた。そして定められた要素を、ミスなく高いレベルで実行できたものを6.0満点として、減点方式で採点するようになった。

男女シングルのショートプログラムの技術点の具体的な減点規定は、以下の通りである[17]

さらに見る 減点, 事由 ...
さらに見る 減点, 事由 ...
さらに見る 減点, 事由 ...
さらに見る 減点, 事由 ...
さらに見る 減点, 事由 ...
さらに見る 減点, 事由 ...
さらに見る 減点, 事由 ...
ジャンプ
通常の減点は0.1-0.4、要素が省略された場合の減点は0.5
コンビネーションジャンプ
通常の減点は0.1-0.4、要素が省略された場合の減点は0.5
フライングスピン
通常の減点は0.1-0.4、要素が省略された場合の減点は0.5
スピン
通常の減点は0.1-0.4、要素が省略された場合の減点は0.5
コンビネーションスピン
通常の減点は0.1-0.4、要素が省略された場合の減点は0.5
ステップ/スパイラル
通常の減点は0.1-0.3、要素が省略された場合の減点は0.4
その他のディダクション
定められた要素の代わりに規定にない要素を行うことは、余分な要素をやったときの減点のうえにさらに0.1-0.2のディダクションが追加される。
フリースケーティングの評価の観点

フリースケーティングは行う要素の数と種類に自由度が高い。そのため、ショートプログラムのような減点方式で採られず、他の選手よりも難しい技を成功させること、よい演技をすることが求められ、以下のような観点から評価がなされた[16]

技術点の評価の観点
a) 演技のむずかしさ(失敗した部分は、加点の対象とはならない)
b) 変化に富んでいること。
c) 明確さと確実性
d) スピード
プレゼンテーションの評価の観点
a) プログラム全体の調和ある構成及び選んだ音楽との適合
b) スピードの変化
c) 氷面の利用
d) 音楽にあった楽な動作と確実性
e) 身のこなし
f) 独創性
g) 音楽の曲想の表現

順位決定法

席次数方式

席次数(プレースナンバー)方式は、1998年まで用いられた順位決定法で、絶対多数(過半数以上)の審判員が他の競技者より良いと採点した競技者が上位となるようにした方式である。 各競技者の順位は、絶対多数の審判員から得た順位(席次)が小さい競技者を上位とし、 同順位の競技者が複数いる場合は次の優先順で決定する。

  1. 支持された審判員の人数が大きい競技者が上位
  2. 支持された審判員の席次の合計が小さい競技者が上位
  3. 審判員全員の席次の合計が小さい競技者が上位

この方式は、ある審判員が極端な採点をしても、その採点が順位に及ぼす影響を少なくしている。

例えば、競技者が9名の審判員から1位を2名、2位を4名、3位を3名から得たとき、 支持された審判員の人数、絶対多数の審判員から支持された席次、支持された審判員の席次の合計、審判員全員の席次の合計は、 それぞれ2、6(=2 + 4)、10(=1×2 + 2×4)、19(=1×2 + 2×4 + 3×3)となる。下記の順位表では選手A行の右側の欄に「6/2, 10, 19」と記載している。

 フリースケーティングの順位表(6名の競技者A-F、9名の審判員J1-J9)
   J1  J2  J3  J4  J5  J6  J7  J8  J9               順位 順位点
 A  1   1   2   2   2   2   3   3   3   6/2, 10, 19   2     2.0
 B  2   2   1   1   1   1   1   1   1   7/1,  7, 11   1     1.0
 C  3   3   3   4   4   4   2   2   2   6/3, 15, 27   3     3.0
 D  4   4   4   3   3   3   5   5   6   6/4, 21, 37   4     4.0
 E  5   5   6   6   6   6   4   4   4   5/4, 22, 46  5     5.0
 F  6   6   5   5   5   5   6   6   5   5/5, 25, 49   6     6.0

最終的な順位は、1980年までは各種目の総得点に対する席次から順位を決定していた。 1980年からは順位点が導入され、各種目の順位に応じて順位点を与え、各種目の順位点の合計が少ない競技者が上位とすることによって最終的な順位を決定していた。

ワン・バイ・ワン方式

ワン・バイ・ワン方式では順位を得点の合計を単純に比較するのではなく、それぞれのジャッジがつけた点数をマトリクス化して(相対評価)決定する。具体的には次のような手順である[18]

  1. ジャッジはそれぞれ、自分がつけた「技術点とプレゼンテーションの合計点」によって選手同士を1対1で比較し、
  2. 高い合計点をつけたほうの選手の「支持するジャッジ=JIF(Judge in Favor)」となり、その選手に「PIF(Point in Favor) 2ポイント」を与える。
  3. さらに、「PIFのポイント合計」によって選手同士は1対1で比較され、高いほうの選手に「CP (Comparative Point) 2ポイント」が与える。もしPIFの合計が同じであれば、両者に1ポイントを与える。
  4. CPの合計の高いものから上位の順位となる。

そして、順位に応じて順位点(factored placement scores)を与え、各種目の順位点の合計によって最終的な順位を決定する。 6.0システムは、滑走順の早い選手に高い得点を与えてしまうと、後の滑走者がさらに良い演技をした場合に得点が飽和してしまうため、滑走順が遅い選手ほど高得点が出やすく、滑走順の早い選手には得点を抑えてつける傾向がある。しかし、得点の合計がそのまま順位に連動するものではないので、滑走順による得点の差が試合結果(最終的な順位)に直接影響するわけではない。

Remove ads

脚注

Loading content...

関連項目

Loading content...

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads