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列車特定区間(れっしゃとくていくかん)は、JR線の運賃・料金計算制度の特例とされるものの一つ。
JR各社の「旅客営業規則」[注 1]は、列車特定区間について次のように規定している[注 2][2][3][4][5][6][7]。
上記の「各号」にあたるものを、以下に表形式で記す。
号 | ケース | 実経路区間[注 3] | 運賃・料金計算経路[注 4] |
---|---|---|---|
1 | 赤羽以遠(川口方面)の各駅と池袋以遠(目白方面)の各駅との相互間を、 東北本線及び山手線経由で直通運転する列車[注 5]に乗車するとき | 東北本線(京浜東北線)及び山手線 | 赤羽線(埼京線) |
2 | 代々木以遠(新宿方面)の各駅と錦糸町以遠(亀戸方面)の各駅との相互間を、 山手線、東海道本線及び総武本線経由で直通運転する急行列車に乗車するとき | 山手線、東海道本線中品川・東京間及び 総武本線(総武快速線)東京・錦糸町間 | 中央本線及び総武本線(中央・総武緩行線)御茶ノ水・錦糸町間 |
3 | 岡谷以遠(下諏訪方面)の各駅と塩尻以遠(洗馬又は広丘方面)の各駅との相互間を、 中央本線(辰野経由)で直通運転する急行列車に乗車するとき | 中央本線(辰野経由) | 中央本線(みどり湖経由) |
4 | 尼崎以遠(塚本方面)の各駅と和田山以遠(養父方面)の各駅との相互間を、 山陽本線、播但線及び山陰本線経由で直通運転する急行列車に乗車するとき | 山陽本線、播但線及び山陰本線 | 東海道本線、福知山線及び山陰本線 |
5 | 赤羽以遠(川口又は北赤羽方面)の各駅と品川駅との相互間及び、 品川以遠(大井町又は西大井方面)の各駅と赤羽駅との相互間を、 東北本線及び山手線経由で直通運転する列車[注 5]に乗車するとき | 東北本線及び山手線 | 東北本線及び東海道本線 |
また、「旅客営業取扱基準規程」には、上記の規定によって発売された乗車券を使用するにあたって、その趣旨の通り使用できる規定がなされているとされる。
経路特定区間に類似した制度であるが、経路特定区間は利用する列車や途中下車に関して制約が科されない性質の規定であるのに対し、列車特定区間の規定は利用する列車を特定し、途中下車しない条件で、短い距離の経路で運賃と料金を計算する制度である。
かつては市販の時刻表では、本文中で適用される個別の列車の箇所にこの制度についての注記が記載されていたが、数が減ったこともあり現在は営業制度のページ(いわゆる「ピンクページ」)にまとめて記載されている。
1947年(昭和22年)に上野駅 - 金沢駅間に上越線経由の列車が設定された際に、当時の信越本線(高崎駅 - 長野駅 - 直江津駅間)経由の運賃の適用を認めたことが、最初の制定とされる。輸送力が不足していた時代(戦後復興期)に、最短ルート以外の列車に旅客を誘導する(最短ルートの列車を利用できない旅客を救済する)ことを主な目的としていた。代表的なものとしては、福島駅 - 青森駅間(奥羽本線経由でも東北本線経由で計算)、大宮駅 - 秋田駅間(上越線・羽越本線経由でも奥羽本線経由で計算[注 6])などがあり、小倉駅 - 西鹿児島駅(現・鹿児島中央)のように料金のみ列車特定適用の区間もあった。
しかし、ミニ新幹線を含む新幹線の開業などにより、該当していた在来線長距離列車の運転区間が大幅に削減され、その結果、制度の対象は大きく減少した。
中には天北線と宗谷本線や、大宮 - 青森間のように、片方のルートの全部ないし一部が廃止(第三セクター鉄道への転換でJR路線でなくなった場合も含む)で消滅したケースもある。
2024年現在、存在する定期列車により当規定が適用される場合は以下の通り。
この4例の中でかつての「輸送力救済形」の姿を残すのは、4の「尼崎駅 - 和田山駅」間のみである。しかし、列車の運行目的自体が登場当時と変わったこともあり、「輸送力救済」としての意義はほぼ失われ、JR側の都合で複数の経路で列車を運行するにあたって旅客の便宜を図るものへと性格を変えている。残る3例は「電車大環状線」区間(旅規第70条の太字区間)で迂回する列車について、「電車大環状線」の規定(旅規第70条・同159条・同160条)が適用されない場合を補完[注 14]する目的で制定されたものである。
前述の現行の例のうち、1から3までは適用区間が「電車大環状線」(旅規第70条・第159条・第160条)と重複しているといえる。「電車大環状線」による規定は「列車特定区間」と違って利用できる列車に制約がないため、「電車大環状線」による規定が適用できるのであればその方が旅客にとって有利となる。以下に、前述の例の場合にどのような解釈がなされ、また特に「列車特定区間」の規定が運用される場合を記す。
上記の通り、1から3の事例では定期乗車券もしくは団体乗車券[注 17]を使用した場合の運賃部分および料金券の料金計算部分において「列車特定区間」の意義があり、普通乗車券及び回数乗車券を使用する場合はあらゆるケースが事実上「電車大環状線」で規定できるため、列車の制約がある「列車特定区間」は持ち込まない。
複数の経路を通る特急列車があっても、距離の長い方が所要時間が短く救済列車とみなされない場合には設定されない。「サンライズ出雲」と「出雲」(2006年廃止)のケースがその典型である。
また、日暮里 - 岩沼間で2001年に経路特定区間が廃止された際、廃止代償といえる[独自研究?]「スーパーひたち」での上野 - 岩沼以北間の通し乗車時の列車特定区間が設定されなかった事例もある。
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