大島 弓子(おおしま ゆみこ、1947年〈昭和22年〉8月31日 - )は、日本の漫画家。女性。栃木県出身。萩尾望都・山岸凉子・竹宮惠子と並び、少女漫画界において「24年組」と呼ばれる一人である。
1947年(昭和22年)8月31日 、栃木県大田原市にて生まれる。栃木県立大田原女子高等学校卒業。 1968年、短期大学在学中に初めて持ち込みをした作品『ポーラの涙』が『週刊マーガレット』春休み増刊に掲載され、デビューを果たす[1]。以降、『週刊マーガレット』や『週刊少女コミック』『別冊少女コミック』、『週刊セブンティーン』、『LaLa』『ASUKA』などで活動する。
漫画家になろうと思ったことは一度もなく、好きで描いているうちに独立した生活がそれで可能になっただけであるとのこと。学生時代は就職のことも考えており、教育実習にも行っている。実習生としては高校の男子生徒に英語を教えており、年齡の近い男子を相手にするのに苦労したという。たとえば、生徒たちは授業中は真面目であったが、帰りの電車で「先生」を連呼し、恥ずかしい思いをしている。2週間足らずの実習で英語教師の職業の妙味を会得するのは不可能で、知識としての日本語吹き替えのようなことをしたに留まり、自己嫌悪に陥り、観衆を熱狂させないエンターテイナーになりそうだったと当時のことを回想している[2]。
猫好きでも知られる。1982年より一緒に暮らした愛猫サバが1995年10月6日に死去。その後、同じ年の冬に新たに迎えたアメリカンショートヘアにグーグーと名付け、日常を描いたエッセイ漫画『グーグーだって猫である』を発表。1997年7月にはもう1匹が仲間入りし[3]、その後も増え続け、2007年5月時点で猫9匹、犬1匹という生活になり[4]、1年後の2008年5月には更に増え、猫が13匹という多頭飼育となったことが同作品中で公表された[5]。
1997年に癌を患い、同年12月に入院し手術・化学療法を受け、翌1998年7月に退院した[6]。
2001年、24年間暮らした「吉祥寺駅徒歩5分、2DK、築33年(2001年当時)」のマンション[7]から、「一坪ほどのささやかな庭がついた小さな一軒家」[8]へ転居した。
2008年には漫画家デビュー40周年を迎えた。
デビュー以降は主に『週刊マーガレット』で執筆し、1972年より『少女コミック』に活動拠点を移した。1976年当時、その理由について「『少女コミック』はジャンルの規制をせず、自由な編集方針であったこと。また「用いてはならないことば」がなかったことを挙げ、その環境が今までとは異なるテーマと形式で描くことに自らを誘発した」と語った。また、『風車』『ジョカへ…』『雨の音がきこえる』『罪と罰』の執筆には自問自答を重ね、『つぐみの森』は道徳への自戒の念に幾分かられながらの執筆となったことを明かし、結果的には自身の視野の変革がもたらされたと説明した[9]。
1999年当時、タイトルの付け方について、予告カットとタイトルの〆切の時点では作品の内容が出来上がっていないことが多いため、どのような展開になっても対応できるものを考えて提出すると語っている[10]。
ストーリー漫画とエッセイ漫画の両方を執筆する。1974年から1980年頃までのエッセイ漫画では、『ユーミン』[11]『ユーミンの不可思議な世界』[12]『ユーミンおもちゃ箱』[13]など当時の愛称「ユーミン」を表題に用いていた。
本人が主人公として登場する作品には、長く暮らした吉祥寺から近い井の頭自然文化園が頻繁に登場する。セーラー服におさげ姿で描かれる象のはな子[14]はここで飼育されていた。
作品
コミックエッセイ
- ユーミンおもちゃ箱(『プチコミック』1979年5月号より11回連載)
- エッセイ(『デュオ』1981年9月号 - 12月号)
- わたしの〆切あとさきLIFE(1983年『デュオ別冊大島弓子の世界』)
- サバシリーズ
- サヴァビアン(1985年『別冊LaLa』3月号)
- 月の大通り(1988年『ASUKA』10月号)
- アンブラッセ(1989年『ASUKA』4月号)
- サバの秋の夜長(1989年『ASUKA』11月号)
- わたしの屋根に雪つもりつ(1990年『ASUKA』2月号)
- サバタイム(『ヤングロゼ』1990年2月号 - 1991年1月号)
- サバの夏が来た(1990年『ASUKA』8月号)
- すばらしき昼食(1991年『ASUKA』6月号)
- 大きな耳と長いしっぽ(1992年『ASUKA』5月号)
- サバの天国と地獄(1992年『ASUKA』8月号)
- 春ですこと(1988年『LaLa特別編集 Short Stories '88 SPRING』)
- ダージリング(『ヤングロゼ』1996年6月号 - 10月号)
- グーグーだって猫である(『ヤングロゼ』1996年11月号 - 1997年8月号、『本の旅人』1997年10月号 - 2011年6月号)
- 人生の大晦日(1999年『文藝春秋』10月号)
- オオシマさんちのもうひとつの猫日記(2000年『コミッカーズ』)
- ねこギンザ(2002年『BE・LOVE』No.6)
- わたしのグータラ日記(『SPUR』2011年6月号 - )
- キャットニップ(『きらら』2012年1月号 - )
イラストストーリー
- ディーゼルカー(1978年『リリカ』24号)
- ページワン(『週刊少女コミック増刊 フラワーデラックス』1978年1月5日号)『大島弓子選集』第7巻に収録
- 綿の国星 番外編 ミルク・ラプソディ(1979年?)白泉社『綿の国星』上製本、朝日ソノラマ『デュオ別冊 大島弓子の世界』に収録
- 綿の国星 番外編 ミルク・ラプソディII(1981年『LaLa』7月号) 朝日ソノラマ『デュオ別冊 大島弓子の世界』に収録
- ちびねこ(1994年『おひさま』4月号、1995年4 - 8月号、1996年8月号 - )大島弓子 白泉社文庫セレクションで文庫化
- 森のなかの1羽と3匹(1994年『MOE』10月号、1995年10月号、1996年7・10月号)
- コウモリ(1998年『MOE』1月号)
書籍
コミックス・単行本
- 『ジョカへ……』小学館・フラワーコミックス 1975年
- 『誕生!』朝日ソノラマ・サンコミックス 1975年
- 『野イバラ荘園』朝日ソノラマ・サンコミックス 1975年
- 『ポーラの涙ペールの涙』朝日ソノラマ・サンコミックス 1975年
- 『ミモザ館でつかまえて』朝日ソノラマ・サンコミックス 1975年
- 『雨の音がきこえる』小学館文庫、1976年
- 『鳥のように』小学館文庫、1976年
- 『F式蘭丸』朝日ソノラマ・サンコミックス、1976年
- 『ロジオン ロマーヌィチ ラスコーリニコフ』(「罪と罰」改題)朝日ソノラマ・サンコミックス、1976年
- 『いちご物語』朝日ソノラマ・サンコミックス、1977年
- 『銀の実をたべた?』小学館文庫、1977年
- 『さようなら女達』小学館・フラワーコミックス、1977年
- 『星にいく汽車』集英社漫画文庫、1977年
- 『綿の国星』全7巻 白泉社、1978年 - 1986年
- 『海にいるのは…』小学館文庫、1978年
- 『バナナブレッドのプディング』集英社、1979年(のち小学館文庫)
- 『キララ星人応答せよ』1979 小学館文庫
- 『四月怪談』主婦の友社・GLコミックス、1981年(のち朝日ソノラマ・サンコミックス・ストロベリーシリーズ)
- 『シンジラレネーション』朝日ソノラマ・サンコミックス、1982年
- 『リベルテ144時間』朝日ソノラマ・サンコミックス・ストロベリーシリーズ、1982年
- 『草冠の姫』朝日ソノラマ・サンコミックス・ストロベリーシリーズ、1982年
- 『水枕羽枕』朝日ソノラマ・サンコミックス・ストロベリーシリーズ、1984年
- 『秋日子かく語りき』角川書店・あすかコミックス、1988年
- 『つるばらつるばら』角川書店・あすかコミックス、1988年
- 『ダイエット』角川書店・あすかコミックス、1989年
- 『毎日が夏休み』角川書店・あすかコミックス、1990年
- 『サバタイム』角川書店、1991年
- 『すばらしき昼食』角川書店・あすかコミックス、1991年
- 『大きな耳と長いしっぽ』角川書店・あすかコミックス、1993々
- 『ちびねこ』小学館、1995年
- 『ロストハウス』角川書店、1995年
- 『雑草物語』角川書店、1999年
- 『金髪の草原』朝日ソノラマ、2000年(映画化にあたり単行本化)
- 『グーグーだって猫である』全6巻、角川書店、2000年 - 2011年(のち角川文庫)
- 『秋日子かく語りき』角川書店 2003 - 『月刊カドカワ』掲載のインタビューなどを収録。
絵本・画集
- 『小幻想』白泉社・チェリッシュブック、1977年
- 『9月の情景』小学館・メルヘンリーフ、1977年
- 『大島弓子 ロマンと叙情イラスト傑作集』小学館、1978年
- 『万葉のうた』小学館、1978年
- 『ディーゼルカー』白泉社、1979年
- 『ディーゼルカー』飛鳥新社、2012年(江藤千恵子監修)
- 『大島弓子の世界』徳間書店『テレビランド』増刊、1978年
- 『大島弓子 自選複製原画集 「綿の国星」を中心にして』白泉社・チェリッシュギャラリー、1979年
- 『すいーん星旅行記 Green Trip in Summer』徳間書店、1980年(描き下ろし絵本)
- 『大島弓子』朝日ソノラマ・トップレディカラーシリーズ、1980年
- 『綿の国星 昼の夢 夜の夢』白泉社、1980年(綿の国星の絵本)
- 『綿の国星ケーキの本』白泉社・ヒロインブック、1981年(共著:今田美奈子)
- 『綿の国星ケーキの本 チビ猫のお菓子ランド』復刊ドットコム、2014年(共著:今田美奈子)
- 『night green 大島弓子詩画集』角川書店・角川ルビー文庫、1994年
- 『ちびねこ』小学館・おひさまのほん(絵本)1995年
- 『森のなかの1羽と3匹』白泉社、1996年
- 大島弓子『雨の音がきこえるー珠玉短編集ー』小学館文庫、1976年。
- 大島弓子『さようなら女達』小学館フラワーコミックス、1977年。
- 大島弓子『バナナブレッドのプティング』集英社セブンティーンコミックス、1978年。
- テレビランド増刊イラストアルバム7『大島弓子の世界』徳間書店、1978年。
- 大島弓子『毎日が夏休み』角川書店アスカコミックス、1990年。『サバの秋の夜長』収録。
- 大島弓子『四月怪談』白泉社文庫、1999年。
- 大島弓子『グーグーだって猫である』1巻、角川書店、2000年。
- 大島弓子『ほうせんか・ぱん』白泉社文庫、2001年。
- 大島弓子『ロスト ハウス』白泉社文庫、2001年。
- 大島弓子『オオシマさんちのもうひとつの猫日記』飛鳥新社、2007年。
- 別冊デュオ『大島弓子の世界』朝日ソノラマ、1983年。
- 岡崎京子『私は貴兄のオモチャなの』祥伝社、1995年。
- 福田里香・藤本由香里・やまだないと『大島弓子にあこがれて -お茶をのんで、散歩をして、修羅場をこえて、猫とくらす』ブックマン社、2014年
『雨の音がきこえる―珠玉短編集―』奥付プロフィール。
『プチコミック』1977年初夏の号「直撃50問・大島弓子のすべて」より
『グーグーだって猫である』1巻 13頁、70頁、102頁。
『グーグーだって猫である』第4巻 126頁、あとがきマンガ。
『グーグーだって猫である』1巻、114頁、127頁。
1974年と1976年著。1974年著は後に『地球征服』と改題。
小学館フラワーコミックス『さようなら女達』に収録、書き下ろし、1977年。
テレビランド増刊イラストアルバム7『大島弓子の世界』74頁。
別冊デュオ『大島弓子の世界』収録「ユーミンおもちゃ箱7」。
テレビランド増刊イラストアルバム7『大島弓子の世界』79頁。
『ぱふ』1979年6月号「ひめじおん の ある すぺーす」。
テレビランド増刊イラストアルバム7『大島弓子の世界』47頁。
『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』後編(河出書房)194~341頁
穂村弘『短歌という爆弾―今すぐ歌人になりたいあなたのために』81頁。
『バナナブレッドのプティング』100頁3コマ目・岡崎京子『私は貴兄のオモチャなの』142頁。