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映像の世紀
日本、アメリカのテレビドキュメンタリー番組 ウィキペディアから
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『映像の世紀』(えいぞうのせいき)は、NHKが制作・放送したドキュメンタリー番組である。1995年3月から1996年2月にかけて、毎月第3土曜日(第1集を除く)にNHK総合テレビの「NHKスペシャル」にて放映された。全11集。初回放送から30年以上経っても「NHKスペシャル」の中で人気のある作品の一つである。
2025年7月 - 8月に、放送された「映像の世紀 高精細スペシャル」についても記述する。
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概要
要約
視点
世界30か国以上のアーカイブから、収集した貴重な映像と回想録や証言等で20世紀を描いた番組である。山根基世のナレーションによる無駄のない淡々とした進行、メインテーマ「パリは燃えているか」を始めとする加古隆の手がけた音楽も、大きな反響を得た。当事者本人のインタビューや再現映像は使用せず[1]、回想録や証言を朗読する声の出演は青二プロダクションが担当している。
第1集は、19世紀終盤(1895年)に世界で初めて上映された実写映画『工場の出口』の映像から始まるが、オープニングでは題名と伴に、英語で"The 20th Century"(20世紀)と表示され、番組の主題は20世紀に置かれている。NHKオンラインの英語版では、番組名がThe 20th Century on Filmと表記されており[2]、それとは表記が異なるがサウンドトラックにも同義の英題(後述)が添えられている。
このドキュメンタリーを制作するにあたっては、この1995年がNHK放送70周年・第二次世界大戦後50周年であるのに加え、フランスのリュミエール兄弟らが現在の映写技術を確立した1895年から数えて100周年になることから、それに間に合わせることを目指して5年前から準備と収集が行われた。NHKの番組スタッフとアメリカABCの共同取材によって世界各地から歴史的映像が集められ、NHKは「映像がどのように20世紀を記録してきたか」というコンセプトに絞って番組を制作した[1]。現代(1995年)の視点から20世紀の記録を克明に映し出した本作には多くの反響が寄せられ、日本国内の戦後史を取り上げた『戦後50年・その時日本は』と並ぶ、戦後50周年・放送70周年の記念アーカイブ番組として親しまれた。1995年当時の歴史的知見に基づいて制作されているため、例えば第3集では、白人暴徒によって300人の黒人が殺害された1921年のタルサ人種虐殺が、権利意識を持った「大規模な黒人による暴動」と語られている。
1996年には日本IBMから放送を再構成したCD-ROM3作品(「新世紀の夜明け」「皇帝の終焉」「ヒトラーの野望」)が発売された(絶版)。映像のほか、写真・図版が収録された。同年にはNHKソフトウェアからVHSソフト22巻が発売されたが、これは1話における内容自体が多いことを考慮し、本編部分を分割した上で前後編に再編集したためである。BOXには解説書が封入。
DVD-Videoは2000年にNHKソフトウェアからDVD-BOX全11集が、2005年にはNHKエンタープライズからシリーズ全11集に別巻ディスク(サブタイトル:歴史の舞台を巡る)を追加した合計12ディスクの「SPECIAL BOX」として改めて発売され、DVD単巻も発売された(収録映像は、放送とは一部異なる)。2016年には後述のデジタルリマスター版がDVDとBlu-ray(いずれもBOX)で発売された。インターネットのNHKオンデマンドの「特選ライブラリー」で有料配信されていたが、2015年8月末をもって配信終了となり、以降はデジタルリマスター版が「特選ライブラリー」で順次有料配信されている。
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全シリーズ
- 第4集、第6集、第9集、第10集のタイトルは、第1集放送時には仮題「国家の狂気」「革命いまだならず」「超大国が揺らぎ始めた」「さまよえる民」として予告された。
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特別編 高精細スペシャル
終戦80年&NHK放送100年を記念して映像の世紀高精細スペシャル「ヨーロッパ 2077日間の地獄」が2025年7月21日 - 8月4日まで放送された[44]。放送枠は「映像の世紀 バタフライエフェクト」と同じ月曜日22:00 - 22:45。
第二次世界大戦のオリジナル35mmフィルム(約50時間分)を、終戦80年に世界初の8K超高精細化に挑戦。劣化コピーでは見えなかった真実が浮上、ヒトラーの凱旋を愛人が密かに撮影した映像、ゲットー内のユダヤ人児童のたくましさ、ノルマンディー上陸作戦の無名兵士の物語など。モノクロをカラー化し、人類最大の悲劇を追体験する。
デジタルリマスター版
2015年10月、戦後70周年とNHK放送開始90周年を記念し、続編となる『新・映像の世紀』をNHKスペシャルの枠で放送することになり、そのプレ企画としてNHK BS1で『デジタルリマスター版映像の世紀』として、同年9月中の毎週土・日曜(9月13日、9月19日を除く)と、9月23日(秋分の日の水曜日)、2016年1月1日 - 1月2日に再放送された[48]。
2021年8月3日から12日の未明には、総合テレビの再放送ゾーン「深夜のいっき見!まつり」の一環で、デジタルリマスター版11集が放送された。
映像素材を再収集・構成し、画質および音質の向上だけでなく、一部シーン・ナレーションの見直しや使用BGMの差し替え等が行われている。映像自体は4:3ピラーボックス(映像によりわずかに拡大することがある)だが、字幕テロップは16:9用に新しく入れ直され、フォントや表示位置、内容の一部が変更されている。テーマ音楽「パリは燃えているか」についても、一部を除いて『新・映像の世紀』と共通の新バージョン(演奏:NHK交響楽団、指揮:下野竜也)に変更されている。その一方、初回放送当時のNHKスペシャルのジングル映像はそのままの形で放送された。
遺体の映像が多く登場する番組ではあるが、番組内で「遺体の映像が流れる」などのテロップ表示はなく無修正のまま放送される。
2021年3月には、デジタルリマスター版からさらに画素変換を行った4Kリストア版がNHK BS4Kにて、その1年後の2022年3月には4Kリストア版をもとにAIによりカラーライズ化を果たした『カラーでよみがえる映像の世紀』として第3集の総天然色版が総合テレビにて初放送され、2025年2月 - 3月には放送100年を記念の一環して総合テレビにて新たにカラーライズ化を果たした第1集 - 第5集の総天然色版を放送した[注釈 8][49]。なお、番組の始まりに「この番組は1995年に放送した「映像の世紀」をAIと研究者による映像考証でカラー化しました また一部残酷な映像などをカットあるいはモノクロのままにしています 初回放送時から歴史研究が進み一部ナレーションを入れ替えた箇所があります」と説明を映し出している。いずれも放送後には「NHKプラス」で見逃し配信も行われた。
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再放送
再放送が1999年、2000年、2003年12月に行われたほか、歴史ドキュメンタリー専門チャンネルのヒストリーチャンネルにおいて2006年1月より毎月末に1シリーズずつ、2010年11月より、チャンネル銀河において毎週放送された。
デジタルリマスター版が、2021年8月3日から(8月6日 - 9日を除く)8月12日[50]及び2023年1月28日から(1月30日を除く)2月4日までNHK総合、深夜に再放送された[51]。
「カラーでよみがえる映像の世紀」が2025年7月19日深夜(20日)から再放送される。
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英語版
2016年から、NHKワールドTV内で『映像の世紀』と『新・映像の世紀』を再構成したものを、30分枠で英語で放送している。
アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所など、ショッキングな映像も放映されるため、番組が始まる前に「18+」[注釈 9]というテロップが流れる。
サウンドトラック
サウンドトラックは1995年10月21日にEpic/Sony(現:Sony Music Labels)から発売された。タイトルは『NHKスペシャル「映像の世紀」』。なお都合上、収録しきれなかった曲は2000年10月12日に発売された『「パリは燃えているか」[注釈 10] NHKスペシャル「映像の世紀」オリジナル・サウンドトラック完全版』に収録されている。以下が収録作品。
- NHKスペシャル「映像の世紀」
- (英題:NHK Special The 20th Century in Moving Images Original Soundtrack)
- パリは燃えているか -メインテーマ-
- ザ・サードワールド
- 睡蓮のアトリエ
- シネマトグラフ I
- 大いなるもの、東方より
- 機械工場
- トルストイの手紙
- 新大陸に誘われて
- パリは燃えているか -宇宙篇-
- 時の刻印
- シネマトグラフ II
- はるかなる王宮
- パリは燃えているか -追憶篇-
- 「パリは燃えているか」 NHKスペシャル「映像の世紀」オリジナル・サウンドトラック完全版
- (英題:"Is Paris Burning" NHK special The 20th Century in Moving Images Original Soundtrack Complete)
- パリは燃えているか オープニング・テーマ
- 時の刻印 II
- 大いなるもの東方より II
- パリは燃えているか ピアノ・トリオ・ヴァージョン
- 最後の海戦
- 森は失われた
- パリは燃えているか オルガン・ヴァージョン
- ワン・ワールド
- 狂気の影
- パリは燃えているか オーケストラ・ショート・ヴァージョン
- シネマトグラフ III
- 最後の海戦II
- パリは燃えているか ブラス・ヴァージョン
- 未来世紀
- ザ・サード・ワールド II
- パリは燃えているか ジャズ・ヴァージョン
- 時の刻印 III
- 睡蓮のアトリエ II
- パリは燃えているか ピアノ・ソロ・ヴァージョン
このうちメインテーマ「パリは燃えているか」は高い評価を得て、『image』など他のCDにも収められている。また、ブエナビスタから発売されているドキュメンタリー『もののけ姫はこうして生まれた。』のBGMにも、この番組の音楽が多用されている(『もののけ姫』製作序盤、宮崎駿は番組プロデューサーの河本哲也を招き、スタッフと共に『映像の世紀』を視聴した)。また、一部の音楽は『新・映像の世紀』においても引き続き使用されている。
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スタッフ
構成
- 遠所尚志
- 内山達
- 辻泰明
- 大和啓介
- 田沼美香
- 堤啓介
音楽
語り
- 山根基世 - NHKアナウンサー(当時)
声の出演(青二プロダクション)
制作統括
- 河本哲也
- 柴田伸明
- 小笠原昌夫
国際共同取材
- ABC(アメリカ)
共同制作
制作・著作
脚注
関連項目
外部リンク
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