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真田信尹
戦国時代から江戸時代前期の武将。真田幸綱の四男。分家旗本真田家の祖。子に真田信勝（内蔵助）。 ウィキペディアから
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真田 信尹（さなだ のぶただ）は、戦国時代から江戸時代前期にかけての武将。真田幸綱（幸隆）の四男。後に松代藩となる大名・真田家とは別に分家である旗本真田家を興した。真田昌幸の実弟である。
生涯
要約
視点
武田家家臣・真田幸綱（幸隆）の四男として誕生[注釈 1]。幼名は源次郎。同母兄に信綱、昌輝、昌幸がいる。
昌幸と同じく幼年期から人質として甲府に出仕した[2]。主君の武田信玄の命により甲斐の旧族である加津野昌世の養子となり、名門・加津野氏（和野、鹿角）の名跡を継ぐ。隠岐守の官途を自称し、武田勝頼に近侍して槍奉行を務め、加津野市右衛門尉信昌と称した[2]。武田家では騎馬15、足軽10を率いる槍奉行としての地位にあったと『甲陽軍鑑』の「信玄代惣人数書上」にはある[2]。
元亀2年（1571年）1月、武田信玄が北条綱成の守る駿河深沢城を陥落させているが、これは信昌（信尹）の武功によるところが大きかったと伝えられ、この際に綱成の「黄八幡」の旗指物を奪い取ったという[1]。天正5年（1577年）加津野氏の名跡を継ぎ、牛奥郷(現・甲州市塩山)138貫800文を継承した[3]。これにより、武田親類衆となった。同年加津野次郎右衛門尉の老母と娘の扱いについて武田勝頼から指示を受け、老母の隠居分として10貫文分与するよう命じられた[4]。このころ、駿河富士大宮に神馬一匹を奉納している[5]。昌幸と同じように武田家の竜朱印状の奉者を勤め、天正7年（1579年）6月25日付で二宮神主宛の居屋敷諸役免許状を出しており、武田家の家臣団の一翼を構成していた[1]。天正8年（1580年）10月、獅子朱印状の奏者として妻籠目（現・木曽町）在番衆に対し、国一大夫の一行13人の通行を許可する伝馬手形を奉じた[6]。天正7（1579年）~天正8年（1580年）ごろ、隠岐守を受領名として与えられる[7]。天正9年（1581年）11月21日、昌幸が海野幸光・海野輝幸兄弟を粛清した際、信尹は軍を率いて沼田城に赴き、幸光を自害に追い込み、沼田城から逃亡した輝幸・幸貞父子を追いかけ、岡谷の鎌倉坂で合戦に至り、輝幸父子は自害した[8]。
天正10年（1582年）3月の織田信長による武田征伐での武田家滅亡後に真田姓に復姓し、諱を「信尹」と改名する[1]。
当初は上杉氏に属し牧之島城に配属されていたが、同年7月に北条氏直が信濃川中島に進軍してくると北条方に鞍替えした兄・昌幸と通じて牧之島城に北条軍を手引きするよう画策したが、調略を拒否した山田右近尉により追放された。その後同年9月、昌幸が北条家から徳川家に乗り換える際には間を取り持ち、そのまま徳川家康に仕えた。天正11年（1583年）1月24日、真田昌幸の所領の小県郡の武石・丸子・和田・大門・内村・長窪での反乱を家康に報じた[9]。また、昌幸の老母を人質として差し出すところ、病気のために遅れていたが、病気が治癒したため出発できる旨を伝えた[10]。同年1月24日、大久保忠隣は信尹に書状を送り、反乱者に備えるとともに、昌幸が老母を人質として送ったことを褒めた[8]。また、信尹は真田昌幸の反乱鎮圧に参加したようである[8]。しかし、昌幸が差し出そうとした人質は木曾義昌によって一時取りやめになったようで、同年2月9日、忠隣は信尹宛に書状を送り、家康の出陣の意志を伝え、昌幸からの証人について、木曽義昌に断ったということだがもっともであると述べた[11]。さらに同年3月15日、信濃の国人・島津忠直に対し、家康の出馬は間違えないと伝えるとともに、上杉氏と対立する意思がないことも伝え、島津忠直を徳川方に臣従させようとした[12]。徳川家では5000石を与えられ[1]、後に1万石に加増されるが「それだけの働きをしていない」として浪人する。一説に小田原征伐で武蔵江戸城の無血開城で功績を立てたにもかかわらず、家康からの恩賞に不満を覚えて家康の下を離れたとされている[1]。
その後、池田輝政を介して会津の蒲生氏郷に5000石で仕える。蒲生氏には同じ武田遺臣の曽根昌世も仕官し、信尹は曽根とともに天正19年（1591年）の九戸政実の乱平定戦にも参加している。文禄年間の5月6日、信尹は名護屋城で豊臣秀吉の勘気を被り、金津に流された津川義近から根津長左衛門に宛てた書状を託されている[7]。文禄4年（1595年）に氏郷が死去して蒲生騒動が起こったため、慶長3年（1598年）に再び徳川家康に甲斐逸見筋4000石を与えられて帰参した[1][7]。慶長17年（1612年）閏10月、真田信之に書状を出し、唐木田勘兵衛と百姓の出入りについて寛恕を求めている[7]。某年11月28日、信之に書状を出し、無音を許すとともに、頼まれていた懐紙を送った[7]。
慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い、慶長19年（1614年）、大坂冬の陣では御使番・軍使として従軍し、11月3日、陣中目付七人に任じられた[7]。同月11日、目付七人の連署で軍中における苅田狼藉の禁止を山内忠義や太田美濃守に通達している[7]。同日、忠義に天王寺に陣取るよう連名で通達した[7]。これらの功績で1200石を加増されて5200石になる[1]。
その後は幕臣として徳川家に仕え、寛永9年（1632年）5月4日に病死[1]。享年86。墓所は山梨県北杜市長坂町長坂上条の龍岸寺。
子の真田幸政以降、子孫は代々旗本として幕府に仕えた[1]。子孫は4つの系統に分かれ、その内の2家が明治維新まで存続した[1]。
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人物
武田滅亡後は真田本家とは別行動を取っていたが、上記の徳川・真田の橋渡し役以外でも絶えず昌幸の下に情報を送り続けたとされ、真田本家が生き残るための助力を分家として惜しまなかったと伝えられる[要出典]。
大坂の陣では、家康が信尹に命じて「信濃国10万石を知行する」と言って豊臣側についた真田信繁を誘ったが一蹴された、という逸話がある（信尹ではなく真田信之という説や、石高も信濃40万石という説もある）。また、信繁の首の確認を行ったのは信尹であるとする話が伝わる（『秦政録』）が、信繁であるかどうかよく分からないと言い張ったとする文献（『武徳編年集成』『幸村君伝記』）もある[13]。
また、大坂の陣の際には、老眼であったとする話が残っている（『難波戦記』）。
登場する作品
脚注
参考文献
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