トップQs
タイムライン
チャット
視点

本番行為

ウィキメディアの一覧記事 ウィキペディアから

Remove ads

本番行為(ほんばんこうい)または非擬似セックス(ひぎじせっくす)は性行為挿入を意味する性風俗用語。俗に「本番」と呼ばれる。通常は性交のみを指す。本番行為を含む映画は、英語圏では Unsimulated sex film (movie) と呼ばれる。

風俗店

日本には売春防止法が存在するため、箱ヘルデリヘルホテヘルイメクラ、また性感エステなどでの本番行為は厳禁となる。そのため、女性従業員と男性客が秘密裏に金銭の授受を行い、本番をした場合は売春防止法違反となり、店舗は営業停止を余儀なくされる。

ソープランドにおける本番行為は黙認されているが、特殊浴場に通う男性と女性従業員が、両者の同意(個人の自由意思)による「営業外行為」での自由恋愛という体裁を取っている。

本番強要

本番行為を禁止している風俗店で、客が風俗嬢へ本番行為を要求すること。俗に「本強」(ほんきょう)とも言う。仮に行なった場合は通常であれば、強姦の容疑者として警察に引き渡すが、店が被害者である女性の身を案じて、また容疑者が仕事上の立場や家庭環境など今後の人生を憂慮し、高額の慰謝料を支払うことで示談にする場合もある。その後は出禁とされるのが通例である。

映像作品

要約
視点

映画

映画業界における本番行為とは、俳優が性行為の模倣や振りをするのではなく、実際に性行為に従事すること(非擬似セックスシーン)をいう。洋画・邦画を問わず、映画では性を描写するシーンでも、実際の性交を行わず演技により表現するのが通常である(擬似セックス)。しかし、演出ほか何らかの目的がある場合などは、ごくまれにこの原則から外れた作品が制作される。

男優、女優が、相手の性器を唇で直接愛撫するフェラチオクンニリングスといったオーラルセックスに始まり、女性器内に勃起状態の陰茎を挿入する性交まで、本番の定義は多様である。女優側の性的な補助動作を受けたり、膣内で抽挿を行なうなど、陰茎あるいは亀頭への刺激を受け続けた男優が、カメラの前で実際に精液を放出している映画作品もある。

かつては、そのようなシーンは法律や映画制作コードなどの自主的な業界標準によって制限されていた[1]。そのため、露骨な性的表現を示す映画は戦前の「男性向け映画」や60年代の「ポルノループ」などの私的に流通していた地下ポルノ映画に限定されていた。1969年には世界で初めてデンマークでセックスをあからさまに見せるポルノ映画が合法化され、70年代から他の国でも規制緩和が広がった。1960年代後半、特にアンディ・ウォーホルによる『Blue Movie』の公開あたりから、映画における性描写の境界が押し広げられ始めた[2]。一般映画に描写されている性行為の大部分は擬似本番である(初期のポルノでも、カメラのアングルを変えて、性器の挿入を行なわない擬似セックスに切り替えていたこともある)[3]。これらのセックスシーンを含む映画とポルノ映画の違いは、そのようなシーンがエロティックと見なされるかもしれないが、映画制作側の意図はポルノ表現(要は性的興奮のための表現)だけではないということある[4]

1970年頃まで非合法だったため地下で流通していたポルノ映画以外で、実際に性交を行った本番映画作品は、1966年のデンマーク映画『Gift』を初め、マイケル・ウィンターボトムの『9 Songs ナイン・ソングス』など[5]、現在に至るまでには多数ある。一覧は「#一般映画における一覧」を参照のこと。

日本で実際に性交を行った映画として初めて話題になったのが、1976年の大島渚監督作品『愛のコリーダ』である[5]。劇中で松田英子藤竜也と性交を行っており、当時大きく取り上げられた。松田英子はこの映画がデビュー作で、女優として一躍有名となる。その後、若松孝二作品『聖母観音大菩薩』(1977)などにも出演した。なお、中島葵も藤との性交シーンを演じたが、当時の彼女は既に日活ロマンポルノ成人映画への出演歴があった。

また、1981年には武智鉄二作品『白日夢』で愛染恭子[6]佐藤慶が、寺山修司作品『上海異人娼館 チャイナ・ドール[7]大野美雪クラウス・キンスキーが、1983年には『華魁』で親王塚貴子らがそれぞれ本番を行うなど、この時期には芸術作品を指向した一般映画が制作された。なお、『愛のコリーダ』はフランス資本の映画であり、純然たる日本映画としては『白日夢』が初となる。

本番行為で注目すべき例としては、1970年代のベッドサイド映画 8作とゾディアック映画 6作のうち2作が挙げられる。これらはすべてデンマークで制作され、多くのポルノセックスシーンがあったが、それでも一般映画と見なされ、すべて一般映画でのキャストやクルーで、一般の映画館で上映された [8]。これらの映画で最後にあたる「Agent 69 Jensen i Skyttens tegn」は1978年に制作された。1970年代の終わりから1990年代後半まで、メインストリーム映画でハードコアシーンを見ることはまれであったが、ラース・フォン・トリアーの出現とその成功によって変化し、その後 『イディオット』(1998年)『ロマンスX』(1999年)『 ベイズモイ』(2000年)『インティマシー/親密』(2001年)といった露骨な内容のアートハウス映画の波を告げていき[9][10]、以降もヴィンセント・ギャロの『ブラウンバニー』 (2003)、『9 Songs ナイン・ソングス』 (2004)、『オール・アバウト・アンナ』(2005)が続いた。このため2006年の映画『Red Road』のクンニリングスシーンのように、一部のシミュレートされたセックスシーンも、批評家が本物の行為であると誤って信じるほど十分に現実的な行為にみえていった [11]

ギャスパー・ノエは映画「ラブ」(2015)リリース後のインタビューで、観客がセックスのリアルな描写を見たい理由を尋ねられたとき、性的行動を制御したり、正確なコンテキストで整理したりするセックスは本当は危険地帯のようなもので時には階級の壁が崩れ、多くの人々が恐怖するという権力構造からであることを示唆した[12]

ジェームズ・フランコは、 Interior. Leather Bar. (2013)に取り組んだ理由について、「美学と個人的な理由」を引用している: 「私はプロの一般映画に17年間携わっており、それに加えて、私は米国市民であり、ご存知のように クィア理論クィア映画といった文化に携わっています。ですから、私の立場は、私の立場が許すことの1つ、これら2つの世界を結びつけ、主流の映画や主流文化のルールに疑問を投げかけ、物事がなぜそうなるのか、なぜ一部の主題は別の方法ではなく1つの方法で提示され、それらが人間として私たちを形作る方法、それが私たちの信念を形作る方法、それが私たちの生き方を形づける方法、それらに疑問を投げかけたり、ライフスタイルを見る別の方法を紹介したり、主流の映画館やインディーズ映画館アート・フィルム映画館で見られるようなものを紹介したりできるのなら、それは良いことだと思います。別の視点から他の声や他の種類の議論やストーリー、物語が導入された場合、それは私たちを人々としてより豊かにするだけであるからです [13]。」

数人の監督が、実際の性的行為の撮影に固有の技術的問題、特に映画でそのような行為を一度も行ったことがない俳優や女優についても公然と議論したり執筆もしている。BlackBookとのインタビューで、 ギャスパー・ノエは 、それはいくつかの理由から困難であることを認めており、俳優が小さくてもクルーの下で、またはカメラに向かって勃起を獲得または維持することができない場合もあるし、どちらの参加者にも現在のパートナーがいる場合があるという。「だから、本物のセックスを見せるための最良の方法は、カップルであった2人の独身者をキャストすることだと決めました」 [14]

ホームビデオが登場する前、多くのハードコアポルノ映画が一般の映画館で上映されたがほとんどの場合、挿入のシーンは切り取られるか、代替ショットに置き換えられていた。例外の例は『ディープ・スロート』 で、無修正で上映された。

このタイプのハイブリッド上映の例には、X指定として撮影されたAlice in Wonderland(日本のビデオリリース時の邦題は『エッチの国のアリス』) (1976)の例があるが、最初にR指定バージョンとして上映され、その後ノーカットバージョンがリリースされている [15]CaféFlesh (1982)というSF映画のR指定版は、一般の映画館で上映された [16]Stocks and Blondes (1984、元々はWanda Whips Wall Streetとして) [17]およびDroid (1988)も当初は1987年にCabaret Sinとして上映された。

非ポルノ映画における性表現の描写は長い間禁止されてきた(特にアメリカ合衆国では連邦法により)。古い社会規範に対抗するカウンターカルチャームーブメントが世界的に広がった1960年代半ばに、映画はスクリーン上に表示できるものの境界を押し広げ始めたが、その際の性的シーンの大半は非ポルノ映画においては擬似行為がなされていただけで、映画製作者が明示的な方法で性的行為を上演した場合はまれな例であった。これらの映画とポルノ映画の違い、こうした映画のほとんどはポルノではないということについて、一般的に映画の目的はそれ自体の性行為ではなく、セックスの役割を果たしている様は物語を伝えるのに良いからそういったシーンが導入されていると解釈される。にも関わらず、そのような映画の上映には論争が伴うことがある。一部は検閲版クラシックルームのサーキットで放送され、後にVHSまたはDVDでリリースされている間に無検閲版で提示がなされる。

ポルノ映画

日本では成人映画であっても基本的には行為のシーンは擬似であるが、その他の国ではポルノ映画は基本的にハードコアと呼ばれるスタイルであり、本番行為を認識できるよう画面提供する映像制作手法をとっている。

2010年、 x-intime.comのインタビューで、フランスのポルノ映画監督であるジョン・B・ルートは、以下のように ハメ撮りについて語っている :

しかし、物語と興味本位で扱われたセクシュアリティの問題は映画によって回復されうるでしょう。実際の睾丸がみえた映画も見られるようになりました。発展は遅くても流れは止まらないでしょう。ポルノにはある種手法がないので、映画の性的な問題は徐々に避けられるでしょう。[...]性的タブーのない社会では、[...]セックスについて語るのは映画によってです。ポルノが存在する場合、セクシュアリティについて話すことはつまりくさびがあるということなので、共有するにはそういったジャンルも必要です。西洋社会ではセクシュアリティに対する抵抗が少なくなってきており、そうした映画の一般映画化を徐々に受け入れていくと思います。[18].

ただし、このタイプの映画は比較的まれであるとされ、配給も制限されている—その映像の性質から。

少なくともそのことを示す場合の映像は、一般に、陰茎の勃起がみうけられることでポルノとして分類することができる。ただし、性的行為を伴わない単純な勃起を示す映画も世にあることはある。フランスでは、1974年の検閲の廃止( ヴァレリーギスカルデスタンの選挙後)と1976年 1月のX指定発効の間に期間が開いたが問題なく世に出て行くことになる[19]

一般映画における一覧

次の一般映画には、実際の性的活動が確認されたシーンがある。つまり、俳優や女優は、実際の性交に従事したり、 フェラチオクンニリングスなどの関連する性的行為・オーラルセックスを実際に行っている。このリストには、ポルノ映画に関するドキュメンタリー映画、たとえば インサイド・ディープ・スロート (Inside Deep Throat) には約20秒間のシミュレートでないフェラチオシーンが含まれている[20]が、こうしたドキュメンタリー映画までは下記のリストに含まれていない。

非ポルノに分類される以下の映画で性行為を示すシーケンスが含まれていても映画はシミュレーションの芸術であるため、こうした考慮事項の真実性に関して多くの論争がある。ポルノ映画のように挿入行為を画面に大きくはっきり映されないかぎり、実際にセットで発生したものとの間には大きな違いがあるため「シミュレートされていない性的行為」かどうかは、こうした慣行を現実と断言した人々に与えられる自信の程度によるし、チームのメンバー(監督、俳優など)が撮影中に非シミュレーションの性的行為の存在を証明した映画、または参考文献[21]でことを肯定した場合、後での他ソースによって言及された場合による。以下のリストは、そう考えられる情報源にも、関係する映画の実現に十分近い人物の主張にも基づいていない多くの噂のいずれにも対処していないといえる。

さらに見る タイトル, 公開年 ...

アダルトビデオ

日本において1981年に登場したアダルトビデオでは最初期から本番行為を含む作品も存在するが、演技であったものも少なくない。特に「ランク」の高い女優にとってはそれが当たり前であったという[362]。日本のアダルトビデオでは最終的に必ずモザイク処理が行われるため、撮り方次第でいかにも実際に本番行為を行っているかのように見せることができるためである。また人気AV女優が男性誌のインタビューで堂々と「フェラチオでしゃぶっているものはガムテープで作ったオブジェクト」「撮影現場では前張りを付けている」「本番はやりません」などと述べた例などもあった[363]

しかしその後著名なAV監督である村西とおるの作品が人気となり、アダルトビデオ業界で本番行為が市民権を得る[364]。そしてビデ倫の衰退と、モザイク処理の強度が弱まった1993年以降のインディーズビデオ/セルビデオの隆盛、いわゆる「シースルービデオ」「薄消しビデオ」の登場により[365]、疑似本番行為で誤魔化すことが非常に行い難くなった[366]。こういった経緯によりアダルトビデオでは、ドキュメンタリー思考もあり、生撮りなどの手法により、ありのままを撮影編集した作品が制作販売される流れになっていった。

Remove ads

出典/脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads