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狼少年ケン

1963年から1965年にNETテレビで放送された日本のテレビアニメ ウィキペディアから

狼少年ケン
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狼少年ケン』(おおかみしょうねんケン)は、日本教育テレビ(NETテレビ)ほかで放送されていた東映動画制作のテレビアニメである。モノクロ作品。全86話。NETテレビでは1963年11月25日から1965年8月16日まで、毎週月曜 18:15 - 18:45 (日本標準時)に放送。

概要 狼少年ケン, アニメ ...

NETテレビ初の国産アニメ放映作であり、また東映動画が初制作したテレビアニメでもある。

山本圭子のデビュー作でもある[1]

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ストーリー

ヒマラヤ山脈を望むドカール地方のジャングル[注 1]の中でに育てられた少年・ケンが、双子の子供狼・チッチとポッポや仲間たちとともにジャングルの平和を守る。主な脇役は、老齢で頑固だが仲間を大切にするボス狼、二枚目役の片目のジャック、ユーモラスで少しずる賢いところもあるブラック(以上狼たち)、ケンに襲いかかっては返り討ちに遭って崖から落ちたり木に衝突したりするドジな熊、仲間の虎(以上悪役)などである。

しかしケンがなぜ狼に育てられ、どのように成長してきたのかは物語中では明らかにされず、第1回でボス狼がケンを仲間たちに紹介するところから始まっている[注 2]

その後、ケンはチッチやポッポ、あるいは他の狼たちとともに、猿の軍団やジャングルの動物たちを奴隷にしようとする凶悪な原住民と戦ったり、狼の仲間なのに「牙」が無いと言われて海の彼方に住む白銀のライオンから牙代わりの短剣を貰ったり、墜落した飛行機から生き残った姫を救出したり、動物たちに恐れられる「悪魔の森」を探検したり、自分とそっくりな某国の王子と出会って一騒動を起こしたり、父親のために湖の底に眠るウラニウムを持ち帰ろうとして恐竜に襲われた少年を助けたりと大活躍する。

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制作の経緯

1963年元日に放送開始した虫プロダクションの『鉄腕アトム』により、日本に本格的なテレビアニメの時代が到来した。3コマ撮りや止め絵・バンクシステムの多用などでテレビ向けの省力化を徹底していた『アトム』に対する東映動画関係者の評価は当初は低いものであったが[2]、同作品が高い視聴率を獲得するとその存在を無視できなくなった[3]。東映動画内部でテレビアニメの検討が開始されると、元手塚治虫のアシスタントで若手の俊英アニメーターでもあった月岡貞夫は自らテレビアニメの企画を提出した[4]

月岡は自ら演出や原画を引き受けたが、毎週1本のペースで放送されるテレビアニメは、「天才」の異名を取った月岡といえどその全話を担当することは不可能であり、1話ごとに担当チームが組まれて制作に当たった[5]。しかし、当時は作品全体を統括する作画監督が置かれなかったこともあり、月岡はスタッフによる作品の不統一に耐えきれなかった[5]。結局月岡は放映中の1964年2月初めに東映動画を退社した[5]

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登場人物

ケン
- 西本雄司、青木勇嗣(東映児童劇団
ポッポ
声 - 水垣洋子
チッチ
声 - 田上和枝
ボス
声 - 八奈見乗児
ジャック
声 - 内海賢二
キラー
声 - 内海賢二
ブラック/山猫
声 - 大竹宏
ゴリラ
声 - 神山卓三
大熊
声 - 増岡弘
ドロシー
声 - 桂玲子
ウォーリー
声 - ?→山本圭子

このほか、江美京子、石井祥子、野沢雅子はせさんじ野沢那智永井一郎松尾佳子近石真介島田彰今西正男小林修小林清志村瀬正彦南谷智晴麻生みつ子柴田秀勝坂井寿美江飯塚昭三、三田村智野、奥原晃、俳協の関係者などが登場人物たちの声を当てている。

スタッフ

主題歌

日本ビクター(現・JVCケンウッド)の音楽レコード事業部のビクターレコード(現・ビクターエンタテインメント〈二代目〉)から発売された。

「狼少年ケン」オープニングテーマ
  • 作詞 - 大野寛夫 / 作曲 - 小林亜星 / 伴奏 - アンサンブル・ビボ / 歌 - ビクター少年合唱団[注 3]
ソノシート版では西六郷少年少女合唱団[注 4]の記載がある。
テーマ曲自体にはタイトルがないため、後にテーマ集などで取り上げられる際に「狼少年ケンのテーマ」、「狼少年ケンの歌」などと表記には揺れがある。
この歌はタイトルや歌手を変えて数社から発売されており、それぞれに表記上の違いがある。また、テレビサイズでお馴染みの「ワーオ、ワーオ、ワオー、ボバンババンボン…」というイントロも、レコード会社によって入っていたりいなかったりする。
朝日ソノラマ主題歌コレクション1』のライナーノーツによると、どの社の音源が正規版なのか長い間議論されてきたが、同盤収録のモノラル版ワーオ入りヴァージョンが正規版だとほぼ断言している。『小林亜星 アニメ・トラック・アンソロジー』にはステレオ版ワーオ入りヴァージョンが収録されているが、朝日ソノラマ版とは前奏や歌い方が微妙に異なる。
「狼少年ケン」エンディングテーマ
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各話リスト

要約
視点
さらに見る 話, サブタイトル ...

参考:松野本和弘『ワールドムック795 東映動画アーカイブス にっぽんアニメの原点』ワールドフォトプレス、2010年。

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放送局


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キャラクター商品

本作放送当時、スポンサーの森永製菓による関連商品が発売されていた。

  • まず「まんがココア」が発売された。これにはオマケとしてキャラクターシールが封入されていた。
  • 後に夏向けの商品として、「まんがジュース」という名の粉末ジュースが発売された。こちらにもキャラクターシールが封入されていたが、絵柄は圧倒的に狼一族のものが多く、人間キャラクターのシールは主人公のケンを除くと少ない。
  • さらにその後、「ケンキャラメル」という名のキャラメルが発売された(味はバナナ味)。オマケとしてキャラクターの起き上がり小法師が付いていた。

関連商品は好調な販売を記録し、東映アニメーションは社史において「当社の版権許諾業務における最初期の成果となった」と記している[13]

劇場版

  • 1963年12月21日、東京地区のみで第2話「白銀のライオン」と第3話「魔法使いタマタン」をブローアップ再編集したものを上映。併映作は『わんわん忠臣蔵』と『柳生武芸帳 片目の忍者』。初のテレビアニメブローアップ上映作でテストケースとなった作品。これが好評となり、以後テレビアニメやテレビ特撮が劇場で公開されるようになる。
  • 1964年3月22日、第8話「魔の岩の決闘」と第5話「アラビアの怪人」を再編集したものを上映。初の全国上映作である。併映作は『西遊記』(リバイバル)[14]。『週刊読売』1964年4月5日号に「『狼少年ケン』『西遊記』ともテレビから逆に映画に流れた珍しいケース」と書かれていることから、今日ではごく普通のテレビ→映画が、当時は珍しかったことが窺える[14]
  • 1964年3月28日、第9話「トーテムポールの魔人」と第13話「ピストル騒動」が再編集したものを上映。併映作は『隠密剣士』(劇場版)。
  • 1964年5月3日、第12話「おばけ嫌い」と第14話「ジャングル最大の作戦」を再編集したものを上映。併映作は『少年猿飛佐助』(リバイバル)。
  • 1964年6月14日、「月夜の出来事」を上映。併映作は『路傍の石』と『おふくろ』。一般映画との併映が行われた珍しいケースの作品である。
  • 1964年7月21日、『まんが大行進』の1本として第23話「サーカスから来た仲間」を上映。併映作は『少年忍者風のフジ丸』(1週間で『忍者部隊月光』と交代)、『エイトマン』、『鉄人28号』(第1作)。
  • 1965年3月20日、第56話「おく病なライオン」を上映。併映作は『ガリバーの宇宙旅行』と『少年忍者風のフジ丸』。
  • 1965年7月24日、「まんが大行進」の1本として第72話「誇り高きゴリラ」を上映。併映作は『少年忍者 風のフジ丸』、『宇宙パトロールホッパ』、『スーパージェッター』、『宇宙少年ソラン』、『噫(ああ)!吉展ちゃん』(ドキュメンタリー)。
  • 1965年12月25日、「まんが大行進」の1本として第83話「地底の女王」と第86話(最終回)「わんぱく作戦」を再編集したものを上映。併映作は『わんわん忠臣蔵』(リバイバル)と『オバケのQ太郎』。劇場上映最後の作品。これにより、本作は限定上映も含めて延べ9回上映されたことになる。これはブローアップ上映作品の中では最多記録である。

メインテーマ曲の主な扱い

  • エンディングのアニメーションは2種類あり、第14話までは止め絵で、第15話以降ではケンや狼一族が走り回る動画だった。また主題歌も、止め絵バージョンの方がテンポが早かった。ファミリー劇場での再放送では第1話から動画バージョンが使われていたが、1997年頃に東映ビデオからリリースされたレーザーディスク「東映TVアニメ主題歌大全集」(その後、VHS版やDVD版もリリースされている)に収録されたのを機にDVD-BOXや東映チャンネルでの再放送では止め絵のエンディングが使われるようになった。
  • 1986年、TBSのテレビドラマ『お坊っチャマにはわかるまい!』において、「狼少年ケンのテーマ」が第11話の挿入歌に使われた。
  • 2004年、毎日放送のクイズ番組『クイズ!家族でGO!!』で、「狼少年ケンのテーマ」のイントロとコーダが「パパキャッチャー」の開始音楽に使われた。
  • 2004年から流れたサントリーフーズBOSSレインボーマウンテンブレンド」のCMに、「狼少年ケンのテーマ」が使われていた。このCMはSMAP草彅剛中居正広が出演していた2種類のバージョンがある[15]
  • 2009年から流されているロッテのガム「Fit's」のCMでは、以下の「狼少年ケンのテーマ」の替え歌が使われている。
    • たむらぱんによる「狼少年ケンのテーマ」の替え歌「噛むとフニャン」[16]。「オオカミ少年ケンのテーマ(ロッテ「Fit's」CMソング)」の表記で着うた配信された[17]。なお、「Fit'sダンスコンテスト」の応募用サンプルにおける歌声は、たむらぱんとは違う声のようである[独自研究?]
    • 佐々木希Astroによる「噛むとフニャン feat.Astro」(ソニー・ミュージックディストリビューション、2010年7月21日発売)。
  • ひらけ!ポンキッキ』などの子供番組でも、「狼少年ケンのテーマ」がBGMに使われることがあった。
  • 元プロ野球選手・平野謙中日ドラゴンズ在籍当時の応援歌は、平野の名前にちなんで「狼少年ケンのテーマ」を元にした曲調になっていた。
  • 2012年公開の三池崇史監督の映画『愛と誠』挿入歌として座王権太役の伊原剛志が歌ったものが座王の登場シーンで使われた。2012年6月6日にフォーライフミュージックエンタテイメントから発売された『映画 愛と誠 オリジナル・サウンドトラック』に「オオカミ少年ケンのテーマ」の曲名で収録されている。
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ネット配信

  • 2016年12月29日から、東映アニメーションがYouTubeに設立した「東映アニメーションミュージアム公式YouTubeチャンネル」より第1話が常時無料配信されている。
  • その後2021年6月21日から同年6月30日まで同チャンネルで、(第1話を除く)全話の次回予告から20話分を選んで、10日連続で2話ずつ期間限定で無料配信される「『狼少年ケン』予告編セレクション」が行われた。
さらに見る 配信開始日, 配信された次回予告 ...
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映像ソフト

  • 時期不明だが、東映ビデオからビデオソフトVHS)が発売&レンタル、「1」と巻数が記載されているものの最初で最後のビデオだった。第1・2・3・8話が収録。
  • 1993年には同じく東映ビデオからレーザーディスク「狼少年ケン スペシャルセレクション」全3巻が発売。各ディスクとも2枚構成で、それぞれ全話から選ばれた4話(2話+2話)が収録されている。ボーナストラックとして、各ディスクには収録されなかった話の次回予告を収録、またVol.3の第2ディスクには、当時の東映系劇場でムービースポットとして公開された、本作の新番組予告編と「森永まんがココア」のCMが収録、いずれもカラーで製作されており、カラー版『ケン』が見られるのはこれだけである。
    • なおビデオソフトとレーザーディスクはいずれも廃盤。
  • 放送開始から半世紀たった2013年には、ベストフィールド社からDVD-BOX全3巻が発売。第1巻は2月27日、第2巻は3月29日、第3巻は4月26日にそれぞれ発売された。初の全話映像ソフト化で、第1・2巻は29話、第3巻は28話収録されている。映像はデジタルリマスター化された。

脚注

参考文献

外部リンク

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