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第40回世界遺産委員会
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第40回世界遺産委員会(だい40かいせかいいさんいいんかい)は、2016年7月と10月にトルコのイスタンブールとフランスのパリで開催された世界遺産委員会である。当初は7月10日から7月20日にイスタンブールのイスタンブール・コングレス・センターでのみ開催される予定だったが、会期中に勃発したクーデター未遂事件が原因で7月16日の会議は中止され[1]、翌17日の会議でイスタンブールでの会議は終了となった[2][3]。残る議事は同年10月24日から26日にパリのユネスコ本部で開催された会議で取り扱われた[3]。
この世界遺産委員会の会場は文化遺産12件、自然遺産6件、複合遺産3件の計21件が登録された結果、世界遺産リスト登録物件の総数は1,052件となった。従来世界遺産を保有していなかった国の中では、ミクロネシア連邦とアンティグア・バーブーダが保有国の仲間入りをした。
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委員国
委員国は以下の通りである[4]。地域区分はUNESCOに従っている。
議長国 | ![]() |
議長ラーレ・ウルカー(Lale Ülker) |
アジア・太平洋 | ![]() |
副議長国 |
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報告担当国。担当者はEugene Jo(조유진) | |
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アラブ諸国 | ![]() |
副議長国 |
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アフリカ | ![]() |
副議長国 |
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ヨーロッパ・北アメリカ | ![]() |
副議長国 |
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カリブ・ラテンアメリカ | ![]() |
副議長国 |
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審議対象の推薦物件一覧
要約
視点
物件名に *印が付いているものは既に登録されている物件の拡大登録などを示す。太字は正式登録(既存物件の拡大などについては申請用件が承認)された物件。英語名とフランス語名は諮問機関の勧告文書に基づいており[5]、登録時に名称が変更された場合にはその名称を説明文中で太字で示してある。第40回世界遺産委員会の審議で新規に世界遺産保有国となったのは、アンティグア・バーブーダ、ミクロネシア連邦の2か国である。この結果、世界遺産条約を締約している192か国のうち、世界遺産を保有していない国は27か国となった。
なお、審議期間中、イスタンブールなどにおいてトルコ軍の一部によるクーデター未遂事件が発生したことをうけ、一部物件の審議が順延される事態となった[6]。登録された資産に対する委員国のコメントも、例年の慣行に比べると短縮された[3]。
自然遺産
複合遺産
文化遺産
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危機遺産
危機にさらされている世界遺産(危機遺産)の変更状況は以下の通り。リビアの世界遺産は5件全てが危機遺産リストに加えられた。
リストからの除去
リストへの追加
名称変更
以下の通り、名称が変更された。なお、英語名ないし仏語名の片方のみが変更された場合もあり、以下の表では変更の無い部分については省略している。また、日本語名では区別しづらい変更もある。
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その他の議題
- 保全状況(SOC)審議において、提出期限を迎えた富士山-信仰の対象と芸術の源泉の登山者数抑制案や噴火時の危機管理対策、開設された山梨県立富士山世界遺産センターの展示内容などに関する報告書が審議され概ね了承されたが[69]、三保松原や構成資産外の巡礼路の特定を求めるなど追加要請が出された[70]。
- 第39回世界遺産委員会の決議で求められた明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業における旧集成館付近の道路拡幅や三重津海軍所跡の橋梁建設に伴う景観問題、韮山反射炉の来訪者施設(ガイダンス施設)に関する中間報告が行われる予定で[71]、これに付随して韓国が求め日本が設置を認めた八幡製鉄所や三池港などの稼働遺産における朝鮮人強制連行の史実明示についての履行状況確認を韓国が動議発動し[72]、中国も旧三菱鉱業による中国人強制連行が和解したことをうけて軍艦島に記念碑を建立する合意事項を日本から報告するよう求める見込みであったが[73]、クーデター未遂事件により中断。
本審議は2018年の第42回世界遺産委員会で行われる[74]。また韓国は日本が強制徴用について実態調査に着手したことをうけ、世界遺産委員会での訴追はせず、外交と民間交流の中で解決の糸口を探る姿勢に転じた[75]。 - 紀伊山地の霊場と参詣道における熊野古道の範囲を追加する軽微な変更が申請されており、承認される見込みだったが[76]、クーデター未遂事件の余波を受け、10月の臨時委員会に持ち越しとなった[77]。
- 文化遺産の諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)による推薦物件の事前調査後に開かれる内部会議が閉鎖的であるとの批難をうけ制度改革が進められ[78]、推薦国が出席し意見交換ができるようになり、勧告前に中間報告が出されるようになった[79]。また、自発的に推薦を取り下げた場合と登録延期・情報照会勧告の場合に限り、ICOMOSとのアドバイザー契約を結び助言をうけられるようになった[80]。
長崎の教会群とキリスト教関連の視察調査後に開催されたICOMOSの報告会に文化庁職員が列席し、「教会建築は潜伏信仰の証明に貢献していない」との指摘を確認(後の中間報告で「禁教期に重点すべき」との文言となった)。推薦取り下げ後に長崎県はICOMOSとアドバイザー契約を結び、ミッションスペシャリストの視察を経て[81]、「集落景観にすべき」と示唆され、名称も「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に変更[80]。 - アジア地域における茶の生産景観(文化的景観)の世界遺産への可能性に関する研究が決まった[79]。
- クーデター未遂事件により中断した審議を10月24~26日にパリのユネスコ本部で開催するとともに、2017年の第41回世界遺産委員会をポーランドのクラクフで7月10~17日に開催することを決定[82][83]。
- ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-の構成資産となった日本の国立西洋美術館に対し、登録審査時に前庭の植木が建物外観を阻害しうることを指摘され、前庭の利用方法(例えば企画展の看板設置や記念イベントの開催、上野公園におけるイルミネーションへの協賛 などユニークベニュー)の検討も要請[84]。
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パリでの継続会議
イスタンブールでのクーデター未遂事件により中断した世界遺産委員会が10月24 - 26日にパリのユネスコ本部で開催。日本では臨時委員会と報じられたが、ユネスコでは「continue」と称していることから、あくまでも第40回世界遺産委員会の再開・継続である位置付け。
- 登録審査が延期された熊野古道の拡張登録が認められた[85]。
→詳細は「紀伊山地の霊場と参詣道 § 軽微な変更」を参照
- 2020年より一回あたりの登録の上限を現在の45件から35件に削減することを決定[86]。
- 2016年4月4~15日に開催された第199回ユネスコ執行委員会と10月13~18日の分科会において、事実上どこの国にも属さない世界遺産エルサレムの旧市街とその城壁群の構成資産である神殿の丘がイスラム教に帰属しているとするアラブ諸国の主張により、ユネスコにおいてはアラビア語の「ハラム・アッシャリフ(Haram al-Scharif)」という呼称のみを使用する決議案(40COM 7A.13)が採択。世界遺産委員会においても確認審議が行われ、21の委員国内4ヶ国が棄権し10ヶ国が賛成したことで過半数を占め採択された。
これに対しイスラエルが不快感を示し決議の撤回を要求、ユネスコとの協力関係を一時停止することを表明。イリナ・ボコヴァユネスコ事務局長は「エルサレムの遺産は分割できない。ユダヤ民族、キリスト教徒、そしてイスラム教徒は等しく権利を有している。」と決議案を批判する意見を述べている[87]。 - 国連の持続可能な開発のための2030アジェンダによる持続可能な開発目標に基づき世界遺産における森林の保全と管理など森林計画の採用[88]、国連人間居住計画(国連ハビタット)による第3回国連人間居住会議で採択されたニューアーバンアジェンダをうけての世界遺産都市における持続可能な都市の実現や現代都市を含む都市遺産の制度化を目指すことを確認[89]。
- 2018年の第42回世界遺産委員会での登録審査対象の確認を行い、日本の奄美・琉球も取り上げられた。この際、中国が尖閣諸島の領土・領海問題(釣魚臺列嶼主權問題)があるとして反対を主張。日本は環境省が「奄美・琉球と尖閣諸島は成り立ちが全く異なり、同じ価値で登録することは考えにくい」としており、佐藤地ユネスコ代表部大使は「バッファーゾーン(緩衝地帯)も含め、範囲を外に拡張することはない」と反論[90]。
- 2016年のユネスコ総会で採択された「ミュージアムとコレクションの保存活用、その多様性と社会における役割に関する勧告」[91] をうけ、「世界遺産と博物館プログラム」の推進を決定[84]。
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脚注
参考文献
外部リンク
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