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自強号
台鉄が運転する旅客列車 ウィキペディアから
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自強号(じきょうごう)は、中華民国(台湾)の台湾鉄路管理局(現在の台湾鉄路公司)が運行する列車種別の一つ。日本の鉄道では特急に相当する、台鉄で最も種別等級が高い列車である[1]。


「自強」は、1971年に中華民国政府が国際連合を離脱した際のスローガンである「莊敬自強 處變不驚」(恭しく自らを強め、状況の変化に驚くことなかれ)に由来する(後段の#命名も参照)。なお、英文表記は台鉄の公式サイトでは「Tze-Chiang」の表記が採用されている[2]。
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沿革
命名
運行前年の1977年に利用客への聞き取り調査が行われ、得票は中華7、中正14、光復2、國光7、中山4、勝利3、美齢1、光明1、反攻3、中原1、反共1、自由2、大同2、寶島2、神龍1、金台湾1、銀台湾1、自強1などだった。このうち中華、勝利、自強の3つの最終候補による決選投票でも各々が約3分の1ずつの得票で拮抗していた。最終的に台湾省政府主席謝東閔により自強が選定された[3]。
運行開始
1978年4月25日、台湾鉄路管理局は縦貫線(西部幹線:基隆~台北~高雄)の高級列車「観光号」の運行を、車輌の老朽化を原因として中止した。代わりに、イギリス製のEMU100型電車を投入、暫定的に「莒光号」として運行した。 1978年8月15日から、これを「自強号」として運行するようになった。当時の料金は税込みで1kmあたり1.32台湾ドルであった。
その後、1980~1990年代に、東部幹線など非電化区間用にディーゼル動車のDR2800型、DR2900型、また電化区間の輸送力増強用にEMU200型(現在のEMU1200型)、EMU300型、E1000型PPといった車両を次々に投入し、運行区間の拡大と、列車本数の拡充を行った。従って、自強号は現在も多種多様な形式で運行されている。
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列車の運行、営業内容
支線である内湾線・集集線・平渓線以外の全旅客営業路線で運行されている。 最も主要な運行区間は台湾の主要都市が並ぶ西部幹線であるが、台湾高速鉄道開通後は東部幹線にも注力している。
2017年現在、台北から高雄までは、最速の列車では3時間33分であるが、停車駅の違いから5時間8分かかる列車もある。
車種は多様であるがわずかな例外を除いて基本的には同一料金である。これは莒光号の商務車(特別席、日本のJRでグリーン車に相当)と同様である。2019年1月現在での自強号の運賃は1kmあたり2.27台湾ドル[4]で、台北から高雄までは843台湾ドル[4]。自強号は基本的に長距離列車であるが、過去には松山~板橋間が全車種同一運賃であったことや、前述の運賃処置が廃止になったあとも定期券や悠遊カード、一卡通、icashで区間車・復興号の運賃での利用が無座であるものの可能であるため、都市圏での通勤利用者の足となることも多い。
2004年における年間延べ乗客数は33,540,878人である(台鉄全体では168,473,029人)。
なお、TEMU1000型「太魯閣号」、TEMU2000型「普悠瑪号」は、列車種別はいずれも「新自強号」となっている[5]。また、列車愛称のないEMU3000型電車も含めて「新自強号」とされ、これら各列車の料金は自強号の料金が適用される[5]が、当日売りの無座票(立席券)を除いて立席利用はできない[5]。
また、常態的に混雑が続いている東部幹線の自強号においては花蓮県、台東県に戸籍のある住民に向けた優先予約枠(花東常態実名制)がある(中華民国国民身分証の統一編号の頭文字がU、またはVの住民が対象。予約・乗車の際に国民身分証が必須)。
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利用状況
要約
視点
統計には観光列車、太魯閣号、普悠瑪号が含まれている。2006年以降は蔣渭水高速公路や台湾高速鉄道開通の影響を受けている[6]。表内の太字はピーク値を表す。
車両
要約
視点



現在の車両
2023年時点では、次の車両が運用されている。
- EMU3000型電車:(日本・日立製作所製)2021年12月29日運用開始。老朽車輛の置き換えを目的に、2021年から2024年にかけて導入された。E1000型電車以来となる非車体傾斜式電車で、台鉄初となる12両固定編成で、台鉄最大数となる50組600両を導入する。
- E500型(日本・東芝インフラシステムズ製):2024年9月運用開始。
- E1000型:1996年8月運用開始。現在の自強号の主力車両で、編成の両端に電気機関車、中間に客車を連結する、プッシュプル方式を採用している。主に西部幹線で使用されている。台湾の鉄道ファンには「豬車」と呼ばれている。
- 機関車:南アフリカ共和国ユニオン・キャリッジ・アンド・ワゴン製、電装系はフランスのアルストムおよびイギリスゼネラル・エレクトリック・カンパニー製、客車:現代ロテム製、増備客車(普通車・食堂車合造車):台湾車輌製。速達車合造車は、食堂車合造車の転用で台湾台鉄台北機廠で改造された。
- なお、経年による故障率の増加にもかかわらず、現代ロテム社とUCW社がメンテナンスへの協力を拒否したため、台湾鉄路管理局は両社を入札禁止とした。
過去の車両

- EMU100型(イギリスGEC製):西部幹線の電化開業と同時の1978年6月1日運用開始された。初期の自強号を支えた車両で、地元の鉄道ファンには「英国の貴婦人、英国の女の子、英国婆(イギリスレディ)」と呼ばれて親しまれていた。電動車1両、付随車・制御車4両の5両固定編成で吊り掛け駆動方式を採用しており、2本を連結した10両編成で使われることが多かった。車内は静粛性に優れていた。一時的に商務車(日本のグリーン車にあたる)を連結していた事もある。登場後30年を経過して老朽化が目立ってきた為、2009年6月16日のダイヤ改正をもって定期運用から離脱したが、一部の車両は動態保存が検討されている。
- EMU300型(イタリア・ソシミ社製):1989年運用開始。西部幹線で使用されている。駆動方式は吊り掛け式。メーカーの倒産により部品の確保を含め修理が難しくなっており、徐々に運用が減らされている。2021年4月21日より故障多発により全編成が運用を離脱し、定期運行を退いた。
- EMU1200型:1986年に登場したEMU200型電車(南アフリカUCW製)を2003年1~7月に更新改造したもので、EMU200型当時の電動車1両、付随車・制御車2両の3両固定編成から、編成中央寄りの運転台を撤去の上9両編成に組成変更、前面の非貫通化、客用扉の自動化などの改造を行い、現在の形式に改められた。改造所は台湾車輌(中国鋼鉄工業・唐栄鉄工廠(以上台湾)、日本車輌・住友商事(以上日本)による合弁企業)である。塗装も、白地に赤とオレンジ色の縞模様と従来のものから大きく変更された。この塗装にちなみ、台湾の鉄道ファンには「紅斑馬(赤いシマウマ)」と呼ばれている。
駆動方式は吊り掛け式。2022年3月29日のダイヤ改正により定期列車から引退した。
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脚注
関連項目
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