トップQs
タイムライン
チャット
視点

通用拼音

ウィキペディアから

Remove ads

通用拼音(つうようピンイン、Tōngyòng Pīnyīn)は、中華民国台湾)における中国語などの言語のローマ字表記法のひとつである。

概要 通用拼音, 各種表記 ...
Remove ads

概要

通用拼音は、1998年、中央研究院民族学研究所副研究員・余伯泉によって発表された。

1984年教育部によって公布された注音符号第二式とは異なり、標準中国語国語のほか、台湾語客家語少数民族言語にも一応対応している。ただしその表記方法は改変が繰り返され安定していない。

また、通用拼音はあくまでも道路案内等、非漢字圏の外国人のために漢字表記と併用して限定的に用いられる表記方法であり、注音符号を置き換えるものではない。

歴史

Thumb
金門島の案内標識(2012年)に見える通用拼音方式の綴り(Jhai/Jhu)。後ろの「Xihai(西海)」は漢語拼音。

1998年に、陳水扁が市長を務めていた台北市の道路標識の英文表記に通用拼音が採用された。陳水扁が総統になった後の2002年には、注音符号第二式にかわって通用拼音が中華民国(台湾)の公式ローマ字表記法とされた。しかしその後馬英九が総統になると、行政院は2008年9月16日に通用拼音にかわって漢語拼音を用いることに決定し、2009年1月1日以降施行された。このため通用拼音はもはや公式には用いられていない。また、台湾語の発音表記についても通用拼音は普及せず、2006年10月14日に旧来の白話字を基にした台湾語ラテン文字表記法が採用されている。例外的に、台湾客家語の現行発音表記である客家語拼音方案中国語版については声調記号や一部子音字が漢語拼音と共通のものに変更されるなど相違点もあるものの、大部分は通用拼音の方式が踏襲されている。

高雄市では、捷運(地下鉄およびライトレール)の駅名や道路標識に通用拼音が使用されている。例えば橘線の始点の西子灣駅は漢語拼音なら「Xiziwan」になるが、「Sizihwan」と表記している。ただし「高雄」という地名は一般的に、漢語拼音の「Gaoxiong」でも通用拼音の「Gaosyong」でもなく国際的に定着しているウェード式に基づくKaohsiungの表記が使用される。

しかしこのことは、複数の方式がもともと乱立していた台湾におけるローマ字表記にさらなる混乱をもたらす結果になっている。

Remove ads

表記

要約
視点

通用拼音は数回にわたって改訂されているが、ここでは2003年以降のつづり方について記す。また、厳密には「華語通用拼音(国語)」「台語通用拼音(台湾語)」「客語通用拼音(客家語)」の3種類の方式があるが、以下はそれらを包括的に記述する事とする。各方式で綴字が異なる場合は、それぞれ「」「」「」のように添え字で示すこととする。 また、参考として通用拼音の下に注音符号方音符号系統中国語版)および現行ローマ字発音表記である漢語拼音台湾語ラテン文字表記法客家語拼音方案中国語版での表記を併記する。

子音

頭子音

  • 「ji ci si」の直後にyで始まる母音「yue yuan yun yong」のいずれかが続く場合、iを省略して「jy- cy- sy-」のように表記する。

末子音

さらに見る 唇音, 歯茎音 ...

母音

さらに見る 前舌母音, 中舌母音 ...
成節子音
m [m̩]
ㆬ -/m/m
n [n̩]
ㄋ -/-/n
ng [ŋ̍]
ㆭ -/ng/ng
さらに見る 通用拼音, IPA ...
  • yあるいはwから始まる綴りは国語において頭子音がない音節にのみ用いられる。
  • 台湾語に現れる鼻母音は「-n」のように、音節の最後に上付きのnをつけて表記する。ただし、頭子音がmとnの場合はつけない。例:(夜)、(年)

声調

さらに見る 調名, 声調記号 ...

漢語拼音との相違点

通用拼音は漢語拼音と非常によく似ているが、漢語拼音のうち「j q x」は「j c s」と書く。また「zh」は「jh」と書く。 漢語拼音の「q・c」および「x・s」がそれぞれ同じ文字で表記されることになるが、両者は後続する母音によって区別する。 漢語拼音の「zhi chi shi ri zi ci si」は、それぞれ「jhih chih shih rih zih cih sih」のように、後ろに h をつける。

母音では、漢語拼音の「ü」を、先行する子音にかかわらず「yu」と書く。このため通用拼音はウムラウト記号なしで書ける。 また、漢語拼音の「iu・ui・iong」はそれぞれ「iou・uei・yong」と書く。

このほか、漢語拼音の「feng weng wen」を「fong wong wun」と書くといった細かい差異がある。

客家語拼音との相違点

上述の通り、客家語拼音は通用拼音をもとにした表記法であるが、声調記号以外にも以下のような相違点がある。

  • 通用拼音で「p t k」と書かれた末子音を客家語拼音では「b d g」と書く。
  • 通用拼音では四県腔の/t͡ɕi//tɕ͡ʰi//ɕi/および海陸腔の/t͡si//t͡sʰi//si/をともに「zi ci si」と表記したが、客家語拼音では前者を「ji qi xi」と表記して区別する。
  • 上記に加え、四県腔や海陸腔で用いない子音を表す文字が客家語拼音には追加されている。
Remove ads

ギャラリー

関連項目

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads