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解任決議

役職を解任させるための決議 ウィキペディアから

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解任決議(かいにんけつぎ)とは、役職を解任させるための決議。

日本の国会

要約
視点

概説

議会が自ら選任した役員を解任するには国会法など議会法上に特に定めがある場合を除いて許されない[1]。日本の国会においては、現在、各議院の役員のうち常任委員長に対するもののみが定められている(国会法第30条の2)[2]

常任委員長解任規定は1947年に制定された当初の国会法では制定されていなかった。しかし、同年に三党連立政権下において臨時石炭鉱業管理法案採決において与党の一つである民主党が分裂し、当時図書館運営委員長の中村嘉寿が反対票を投じて民主党から離脱した際に、与党側から「もはや与党ではない」として委員長を辞任するよう働きかけたが、中村は応じなかった。そのことから、第2回国会での国会法が改正されて、常任委員長解任規定が規定された。

常任委員長の解任決議

常任委員長については、国会法第30条の2に解任規定があり本会議で解任決議案が可決されれば直ちに解任される。

解任決議は野党議員が与党委員長による強行採決などの議事運営に反発する意味で提出されることが殆どである。議事妨害牛歩戦術牛タン戦術)の口実に提出されることもある。

常任委員長のポストは与野党の議席に応じて与野党の話し合いで分けられているが、一般には野党が与党委員長を解任しようとしても過半数の賛成が得られず可決できない。しかし、いわゆるねじれ国会において参議院で多数を占める野党側から与党委員長の解任決議が提出され可決された例はあり、これが史上初の可決例となった。一方、ねじれ国会において参議院では少数派となっている与党側から野党委員長の解任決議を提出した例もあるが、過半数の賛成を得られず否決されている。衆議院でも、少数与党の状況で野党が提出した解任決議案が可決した事例があり、これが2025年現在唯一の事例となっている[3][4]

過去において野党議員が委員長となっている委員会(逆転委員会)で野党委員長の議事を与党が否定する際には、議長権限で本会議で中間報告をさせた後で委員会審査省略の手続きを取り、本会議に審議を移して採決に持ち込む手法[5]、また委員会で法的拘束力が無い委員長不信任決議を可決した上で与党理事が委員長の職務を代行する手法を用いていた。しかし、衆参ともに安定多数を回復した第2次安倍内閣において、初めて本会議で与党による野党委員長の解任が可決された。会期末まで2日に迫った段階で、法案成立を確実な物にするため、成立に必要な委員会を与党で占めるために解任決議を可決させたものである[6]。また、解任によって委員長の党派が変わったのはこの時が史上初である。

政局で議院多数派委員長が議院多数派執行部と対立した場合があっても、党内融和のため委員長が自発的に辞任したり、議院多数派執行部が党議拘束をしてまで解任決議を行うことがないため、議院多数派執行部によって解任決議が提出されて採決されたことはない。同様に、野党が強硬に反対する議案の審議を進める際、野党の面子を立てるために、当該議案の強行採決や単独審議を行った与党委員長を交代させる場合でも、解任決議を経ずに委員長が自主的に辞任する形となっている。

なお、この解任決議は本会議において「その院の決議をもって」行われることとされており(国会法第30条の2)、その者が委員長を務めている当該委員会の不信任決議においてこの規定を援用して解任することはできない[7](委員会では法的拘束力のない不信任決議をなしうるにとどまる)。

さらに見る 本会議採決日, 議院 ...
※太字は解任決議可決例
  • 常任委員長の解任決議案は(1)議院に提出された後、(2)本会議に上程(日程に追加)され、(3)趣旨説明・討論を経て、(4)採決される。解任決議案はいわゆる議会の交渉戦術の一手段としても用いられ、(2)に至る前に撤回となる例が多数あるため、上表ではそれらは省略し(2)以降の手順に至ったもののみ掲載した。
  • 1975年7月4日(第75回国会最終日)の参議院大蔵委員長桧垣徳太郎解任決議案は、(3)の討論中に本会議が休憩となりそのまま会期終了で審議未了・廃案となった。
  • 2007年3月3日(第166回国会)の衆議院財務金融委員長伊藤達也解任決議案は、(3)の直前に提出者議員全員により議案撤回された。
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脚注

関連項目

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