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警察歌

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警察歌(けいさつか)は、警察において組織の象徴として演奏される歌曲の総称である。

概要

日本の警察が制定する警察歌における特徴について、警察大学校の渡辺忠威は「実力の行使について、その理想や目的で自らを照らし、浄化し、常に正しく、明るくかつ強い自己自身を保持しようと努力する生きた社会」の実現に向けた警察官の志向を「抽象的ではあるが、最もよく表されている一つが警察歌ではあるまいか」としている[1]実力組織の団体歌として軍歌(並びに自衛隊隊歌)と比較されることが多いものの、戦前警保局時代の楽曲が一掃されたこともあり、現行の警察歌は「戦後の民主主義的思潮と権力思想との望ましい調和を意図する民主主義国家建設の意欲を示そうとする」ものが主流とされている[2]

狭義には警察庁の前身組織である国家地方警察の時代に定められた「新しき日のわれら」、並びに都道府県警察および皇宮警察本部を含めた全48本部の制定歌を指すが、広義には管区警察局の制定歌や個々の警察署が作成した署歌、交通機動隊などの組織単位で作られる隊歌、警察学校校歌交通安全特殊詐欺防止の啓発を目的としたPRソングなど警察組織が作成に関与した各種の楽曲についても「警察歌」に含める場合がある。

表題は「〜警察歌」とするものが皇宮警察本部を含めて7割以上を占め、次いで「〜警察の歌」とするものが多いが、少数派では和歌山県警察の「警察官の歌」および高知県警察の「警察隊歌」がある[3]

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沿革

要約
視点

内務省警保局時代

1920年大正9年)、警察講習所は「警察官の士気を鼓舞し、その使命に徹する」ことを企図して警察歌の歌詞を懸賞募集した。約400篇の応募作から満洲の営口警務署に勤務する山川吉雄の応募作が入選し[4]岡野貞一の作曲によって5月1日付で制定された「我帽章の朝日影」が日本における警察歌の嚆矢として認められる[注 1]

「我帽章の朝日影」制定の15年後、1935年(昭和10年)になり内務省北原白秋に作詞、山田耕筰に作曲を依頼した大日本警察の歌および「警察行進曲」を制定し[5]日本コロムビアレコード(A-236)を作成した。この時期より府県警察部領事館警察(「外務省警察」とも)、外地の警察においても警察歌が作られるようになり、台湾では「台湾警察歌」、満洲では「満洲国警察歌」が作成されている。

自治体警察・国家地方警察時代

終戦後の1948年(昭和23年)、GHQの占領下で従来の警察組織は自治体警察へ改編された。「大日本警察の歌」はもとより府県警察部の時代に制定された警察歌も大半が皇国史観に基づいた歌詞を理由に演奏を禁じられたため、国家地方警察では新警察歌「新しき日のわれら」および「春はほのぼの」を1949年(昭和24年)3月に制定し[6]、この2曲は後身の警察庁にも受け継がれている。

また、全国で発足した市警察では大阪市警視庁をはじめ名古屋市警察神戸市警察など独自の市警察歌を作成した事例が見られる。その多くは日本国憲法の遵守と民主主義社会の実現に向けた決意を強調する歌詞が主流であったが、大半はサンフランシスコ講和条約発効による独立回復後の1954年(昭和29年)、現行警察法施行に伴う都道府県警察への改組を受けて短期間で廃止された。

現警察法下

都道府県警察本部が発足した1954年(昭和29年)の時点で警察歌を制定していたのは半数弱の20本部で、その大半は旧警察法時代に制定されたものを継続使用している[7]。その後、1950年代後半から1960年代にかけて皇宮警察本部を含む12本部が警察歌を制定し、1980年(昭和55年)までに48本部全てで警察歌が制定された[7][注 2]秋田県警察千葉県警察など戦後復興期に警察歌を制定し、高度成長期に入った1970年代から1980年代にかけて現警察法の制定から20〜25周年の節目や時代の変化に合わせる等の理由で新しい歌へ「代替わり」をさせた事例も確認される。最新のものは2014年平成26年)に制定された愛媛県警察の3代目警察歌「明るい明日」である。

作詞は一般公募や部内での募集が中心だが、明本京静福島県警察徳島県警察で作詞と作曲の両方を行っており、この2曲が複数の県で同一人物が作詞を手掛けた唯一の事例とされる[8]。明本はこの2本部を含めて10以上の本部制定歌で作曲を行っており、他に警察大学校を始め各地の警察学校で校歌や寮歌機動隊の隊歌など生涯に数多くの警察関連楽曲を手掛けた。その他、橋幸夫1971年(昭和46年)にリリースした「この世を花にするために」およびB面曲この道」は警察官の間で永く歌い継がれており[9]、警察大学校のサイトでも校歌と併せて紹介されている[10]

警察本部制定歌の演奏・歌唱の機会は年頭視閲式等が中心で、一般に聴く機会は多くないが本部によっては公式サイトやYouTubeチャンネルで楽曲を紹介している場合もある。

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一覧

要約
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2023年令和5年)3月時点。公式サイトやYouTubeチャンネルで紹介がある場合はリンクを設定。出典は備考欄に示す。

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廃止楽曲

以下に挙げるうち国警県本部制定の警察歌は、各県の警察本部において現行の楽曲に代替わりするまで引き続き演奏されていた。

さらに見る 組織, 表題 ...
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日本以外の警察歌

韓国警察では1972年に「국립 경찰가」(国立警察歌)が制定されており[68]、各道の地方警察庁でも警察歌を制定している場合がある。

中華人民共和国人民警察では2017年に警察歌「人民公安向前进」(人民公安は前進する)を制定した[69]

参考文献

  • 渡辺忠威「警察歌についての一考察」(警察大学校 編/立花書房『警察学論集』1980年9月号), pp92-107

脚注

関連項目

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