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刑事のまなざし

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刑事のまなざし』(けいじのまなざし)は、薬丸岳による日本の連作短編集。『小説現代』(講談社)にて2006年から2009年に不定期に掲載され、2011年に書き下ろしで1話加筆され、刊行された。翌2012年には異例の早さで文庫化された。2013年に椎名桔平主演でテレビドラマ化。テレビドラマ化に際し、ドラマ版第4話の原作「無縁」が電子書籍で期間限定で配信された[1]ほか、『IN★POCKET』2013年10月号で「少年のまなざし」が書き下ろされた。

概要 刑事のまなざし, 著者 ...
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初出

  • オムライス(『小説現代』2006年12月号)
  • 黒い履歴(『小説現代』2007年12月号)
  • ハートレス(『小説現代』2008年12月号)
  • 傷痕(『小説現代』2009年4月号)
  • プライド(『小説現代』2009年7月号)
  • 休日(『小説現代』2009年11月号)
  • 刑事のまなざし(書き下ろし)

あらすじ

罪を犯した少年たちの心に寄り添い、その更生の手助けになる仕事がしたいと法務技官になった夏目信人は、一人娘が通り魔事件の被害に遭い、植物状態になったことをきっかけに警察官に転職した。6年後、刑事課に配属され新人刑事となった夏目の刑事としてのまなざしは被害者の痛みを知る優しさと罪を憎む厳しさを湛えていた。

登場人物

夏目 信人(なつめ のぶひと)
東池袋署刑事。刑事にありがちな、人を威圧するような雰囲気はなく、理知的で人を包み込むような優しい眼差しは刑事というよりも医師を思わせる。
教師を目指していたが、大学院の実習で訪れた児童養護施設で親しくなった少年が、施設を出て半年後に職場の上司のいじめに耐えかねて起こした傷害致死事件で逮捕された件をきっかけに、少年たちの心と向き合い、更生の手助けをする法務技官を志すようになった。
10年前に娘・絵美が連続通り魔事件の被害に遭い、植物状態になったことをきっかけに、加害者の心に寄り添い救いたいという気持ちよりも、犯罪者を憎む気持ちが大きくなり、30歳の時に警察官に転職した。警察学校卒業後、約6年交番勤務をした後、刑事課に配属された。妻・美奈代と2人暮らし。
オムライス
前田 恵子(まえだ けいこ)
総合病院の看護師。高校生の息子・裕馬と内縁の夫・英明との3人暮らし。英明との再婚に反対していた裕馬もその内納得してくれるだろうと、希望的観測で英明と同居を開始したものの、英明は仕事を辞め、恵子の給料や恵子の夫が残した保険金にまで勝手に手をつけ、やがて恵子と裕馬に手を上げるようになるが、それでもなお愛情を持っている。
近所で連続放火事件が発生していた時、恵子のアパートもその被害に遭い、室内で寝ていた英明が死亡した。
黒い履歴
小出 伸一(こいで しんいち)
3歳年上の姉・奈緒子とその娘で小学4年生の春奈と暮らしている。両親は5歳の時に交通事故で亡くなっており、姉と共に叔父の木村裕也に引き取られた。
15歳の時に、長年の叔父からの虐待に耐えかね、叔父を殺害した容疑で逮捕された。その後に入れられた少年鑑別所で、当時法務技官だった夏目から家庭環境や心理などを調べられた。透の殺人事件の捜査で夏目と再会する。
横瀬 舞(よこせ まい)
春奈の同級生。伸一らが暮らすアパートの大家である父・透と2人暮らし。学校から帰宅後、父の遺体を発見する。
ハートレス
松下 雅之(まつした まさゆき) / マサ
公園で暮らすホームレス。小学校に入ったばかりの息子・友樹がひき逃げ事故で死亡し、犯人が捕まらない苛立ちを妻・冴子にぶつけ、夫婦仲が悪くなり離婚し、仕事も辞め、ホームレスになった。
ショウ
ホームレスのボス的存在の粗暴な男。元暴走族のヘッド。小屋の中で頭を叩き割られ死亡する。傷害致死の前科がある。
コンさん
ホームレス。いつも紺色の一張羅を着ているため、この名で呼ばれる。
ナカさん
ホームレス。青森で会社員をしていたが、リストラされホームレスに。体をこわしており、食い扶持を稼ぐのもままならず、雅之が放っておけず面倒を見ている。
傷痕
田辺 久美子(たなべ くみこ)
池袋東高校スクールカウンセラー。夏目とは大学院時代の同級生。カウンセリングをし、回復しつつあった有香の状態が再び悪化していることに心を痛め、悩んでいる。
仲村 有香(なかむら ゆか)
池袋東高校2年生。1年ほど前に、建設会社に勤めていた父が贈賄容疑で逮捕され、両親が離婚した。それから間もなく、不登校を繰り返すようになり、久美子のカウンセリングを受けていた。回復しつつあったが、再び不登校になり、自傷癖もあるため、久美子が最も気にかけている。
沢村 浩司(さわむら こうじ)
南池袋のマンションの一室で変死体で発見された男性。
プライド
長峰 亘(ながみね わたる)
警視庁捜査一課刑事。捜査一課に配属されて初めての大きな事件が、絵美が被害者となった連続通り魔事件だった。「刑事のまなざし」にも登場。
藪沢(やぶさわ)
捜査一課係長。「刑事のまなざし」にも登場。
桜井 綾乃(さくらい あやの)
池袋の旅行会社に勤めている。自宅マンションで扼殺体で発見される。「カイくん」という恋人がいた。
相川 美羽(あいかわ みう)
綾乃の友人。運送会社のドライバー。同僚の甲斐谷正一を交えて綾乃と飲んだことがある。
休日
吉沢 篤郎(よしざわ あつろう)
7年前に妻・亜希子を乳癌で亡くし、中学2年生の息子・隆太と2人暮らし。隆太が幼なじみの樋口純平と金属ケーブルの連続窃盗事件に関与している疑いが浮上し、どう対処すべきか悩み、高校時代からの親友の夏目に相談する。
刑事のまなざし
塚本 聖治(つかもと せいじ)
家庭環境に恵まれず、小学生の時から万引きや恐喝で児童相談所に連れて行かれ、中学の卒業式の目前に起こした傷害事件で少年鑑別所に入れられた。当時の面接の担当官が夏目で、きれいごとを押し付けてくる夏目に苛立ち、夏目の娘である絵美をハンマーで殴った。その後、罪悪感に苛まされ、街から逃げるように出て行った。
当時学級委員長だった恭子と結婚し、希という娘にも恵まれた。20歳の頃からバーテンダーをやっており、昨年バー『HOPE』を開店した。11年ぶりに同窓会に出席した後日、絵美の事件を目撃していた太田に脅迫される。
塚本 恭子(つかもと きょうこ)
聖治の妻。聖治とは小学校から同じ学校に通い、家庭にも恵まれ、優等生だった。聖治が問題を起こしてもいつも気にかけていた。20歳の時に友人と訪れたバーで、16歳の時に街を出て行った聖治と再会し、交際を経て、両親の猛反対を押し切り結婚した。妹・安子を10年前の連続通り魔事件で亡くしている。
関口 知美(せきぐち ともみ)
中学の同級生。恭子とは今でも仲が良い。
錦戸(にしきど)
中学の同級生。聖治と一番仲が良かった。
太田 徹(おおた とおる)
中学の同級生。10年ほど前から引きこもっており、言動や目つきがおかしいため、皆から敬遠され、同窓会にも呼ばれなくなった。同窓会の数日後、自室で死亡しているところを家族に発見される。
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テレビドラマ

要約
視点
概要 刑事のまなざし, ジャンル ...

2013年10月7日より、TBS系列の「月曜ミステリーシアター」枠にて連続テレビドラマ化され、1話完結型のヒューマンミステリーとして放送されている[2]。使用された原作には、同タイトルの上記短編集に入っていない物もある(「無縁」は電子書籍のみで発売され、「少年のまなざし」は後に書き下ろされた)。

主演は椎名桔平。連続テレビドラマ主演は1999年テレビ朝日系『恋愛詐欺師』以来約14年ぶり[3]、TBSの連続ドラマは初主演となる[4]。10年前に幼い娘がある事件の被害者となったことをきっかけに少年鑑別所の法務技官から警察官に転身し、43歳で”新人刑事”となった主人公・夏目信人役で新境地に挑んでいる[2][5]。プロデューサーの佐野亜裕美は椎名の起用理由を「そこはかとない危うさと繊細さが漂い、凛とした力強いまなざしが夏目のまなざしに重なったから」であると述べている[3]

第1話ではTBSに限り、直前の19:55 - 20:00[注釈 1]に予告番組『もうすぐ刑事のまなざし』が放送された。

また、本作から松下グループ → パナソニックグループの一社提供から複数社提供となる。

キャスト

詳細な人物説明は原作部分を参照

ゲスト

複数話・単話登場の場合は演者名の横の括弧()内に表記

第1話「オムライス」
第2話「ハートレス」
第3話「父のまなざし」
第4話「無縁」
第5話「黒い履歴」
第6話「無関心」
第7話「母の鎖」
第8話「傷痕」
第9話「愁恋」
第10話「心 前編」
  • 山之内 信吾〈24〉(傷害致死事件遺族) - 窪田正孝[40](最終話)
  • 尾崎 秋彦〈28〉(ビストロ喜楽亭 従業員・17歳の時に傷害致死罪で少年院に入っている) - 柏原収史[40](最終話)
  • 尾崎 悦子(秋彦の妻・妊娠している) - 須藤理彩[40](最終話)
  • 藪沢(警視庁捜査一課管理官) - 升毅[40](最終話)
  • 羽沢製作所従業員[要出典](信吾が働いていた工場の従業員・履歴書を持ってくる) - 遠山俊也[8](最終話)
  • 横山 ちはる(シングルマザー・無差別殺人事件3人目の被害者・悦子の親友) - 松田沙紀[40](最終話)
  • 居酒屋店主[要出典](山之内信介の知人・信介の死後 信吾を雇う) - 渡辺憲吉[8]
  • 山之内 信介〈享年49〉(ラーメン店店主・雇っていた秋彦に殺害された被害者) - 古川真司[40]
  • 山之内 智世(信介の妻・信吾の母親・夫の死後 心労で自殺) - 高井純子[40]
  • タクシー運転手[要出典](大学まで信吾を乗せた運転手) - 市原清彦[41]
  • ビストロ喜楽亭 店主[要出典] - 仗桐安
  • 書店店員[要出典] - 山元隆弘
  • タクシー運転手[要出典](目白まで信吾を乗せた運転手) - 嶋本勝博
  • 羽沢製作所従業員[要出典](信吾の元同僚) - 若山慎[42]
  • リポーター[要出典] - 松井茜[43]
  • 今村 裕也〈21〉(大学生・無差別殺人事件1人目の被害者) - 浅田駿[40](最終話)
  • 水野 知佳〈38〉(主婦・無差別殺人事件2人目の被害者) - 林亜紀子[40](最終話)
  • 今村裕也の友人 - 植木哲[44]
  • 宗方 善〈70〉(無差別殺人犯・無期懲役囚) - 平幹二朗[40](青年期:松澤傑[8])(最終話)
最終話「心 後編」

スタッフ

  • 原作 - 薬丸岳 『刑事のまなざし』(講談社文庫刊)
  • 脚本 - 岩下悠子大石哲也、谷口純一郎
  • 音楽 - 羽岡佳
  • 演出 - 鈴木浩介、竹村謙太郎、吉田健、川嶋龍太郎
  • 主題歌 - シクラメン「マナザシ」(トイズファクトリー[46]
  • 演出補 - 古林淳太郎、佐々木資門、佐々木桃子、高市輝久
  • 音楽コーディネーター - 溝口大悟、池田修平
  • 選曲 - 石井和之、近藤隆史
  • 撮影 - 関毅、草間巧、大内創、清水優次
  • CG - 田中浩征、大竹麻莉子、稲尾諭
  • タイトル - 井田久美子
  • 協力 - 創心万華鏡
  • 警察監修 - 古谷謙一
  • 医療監修 - 佐々木理恵
  • 編成 - 瀬戸口克陽、永山由紀子
  • 制作 - 那須田淳
  • チーフプロデューサー - 橋本孝ドリマックス
  • プロデューサー - 佐野亜裕美佐藤敦司(ドリマックス)
  • プロデューサー補 - 阿南昭宏、笠原伊代
  • 制作協力 - ドリマックス
  • 製作著作 - TBS

放送日程

さらに見る 各話, 放送日 ...
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オーディオブック

文庫版が2025年2月28日よりAudibleで配信された[50]。ナレーターは盆子原康[50]

脚注

外部リンク

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