コンピュータエンターテインメントレーティング機構
日本の特定非営利活動法人 ウィキペディアから
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特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(コンピュータエンターテインメントレーティングきこう、英: Computer Entertainment Rating Organization)は、家庭用ゲームソフトおよび一部のパソコンゲームを対象とする表現の倫理規定の策定及び審査を行う、2002年6月に設立された日本の特定非営利活動法人。略称はCERO(セロ)。2003年12月には東京都より特定非営利活動法人として認証された[1]。
団体種類 | 特定非営利活動法人 |
---|---|
設立 | 2002年7月 |
所在地 |
東京都千代田区鍛冶町二丁目3番1号 神田高野ビル4階 北緯35度41分27.99秒 東経139度46分19.84秒 |
法人番号 | 4010005007093 |
起源 | コンピュータエンターテインメント協会 |
主要人物 | 理事長 島田仁郎 |
活動地域 | 日本 |
主眼 | ゲームソフトの年齢別レーティングを実施することにより、一般市民やユーザーに対しゲームソフトの選択に必要な情報を提供し、青少年の健全な育成を計り且つ社会の倫理水準を適正に維持すること |
活動内容 |
ゲームソフトの審査事業及び審査員募集・研修・育成事業 ゲームソフト環境の調査・研究及び審査システム改善・拡充事業 ゲームソフトの年齢別レーティング制度普及啓発事業 社会の倫理水準を適正に維持することを目的とする国内・国外の団体との交流協力事業 |
ウェブサイト |
www |
暴力的、性的、反社会的な表現や、言語及び思想に関して独自の倫理規定を策定し、それに基づいて審査されるゲームソフトの対象年齢を決定するのを主な業務としている。
国際的評価機関であるIARC(国際年齢評価連合)には加盟しておらず、IARCとは異なり審査も有料で日本国内でのみである[2]。また、日本国内の場合、IARCでレーティングが一定以上の場合、対応ハードメーカーに応じたCERO取得が必要となるため販売不可となる場合がある。
CEROの設立以前は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(PlayStation・PlayStation 2)、セガ(ドリームキャスト)、マイクロソフト(Xbox)、任天堂(ニンテンドーゲームキューブ・ゲームボーイアドバンス)を主とした、各ゲーム機のメーカー(ライセンサー)による独自の基準を元に審査を行っていたが、同内容のゲームでも各ライセンサー間で審査の基準に食い違いが生じ、場合によっては内容の修正を余儀なくされることもあった。
こうしたライセンサー別の基準を統一し、業界団体レベルで執っていくことでゲームソフトに対する批判に応える目的の他、他国より遅れていたレイティングを補完する目的のために[3]2002年6月、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の関連団体として設立され[4]、同年10月から審査が開始された[3]。
2002年当時はゲームへの風当たりがまだ強く、良くないモノとされていた日本社会の風潮があった。そのため、ゲーム業界自身がレーティング制度を必要としていた訳では無く、世間一般への姿勢を明確にするために産まれた[5]。
CEROは会員制度をとっており、CEROの目的に賛同して入会した個人および団体を正会員、目的に賛同し賛助するために入会した個人および団体を賛助会員と定義している。事実上国内市場で販売する際にはCEROの審査が強制化しており、当初審査体制に疑問を持つ会社もいたが、ほとんどのメーカーが審査を受けるために会員になっている[6]。
レイティングの策定にあたってはアメリカ・カナダの審査団体エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会(Entertainment Software Rating Board、略称:ESRB)を参考に決定された[3]。
審査対象となる表現は、出血といった暴力表現や水着などの性的表現、さらには麻薬やギャンブルといった反社会的な要素など多岐にわたる[7]。2004年の改正では、コンテンツアイコンとしてパッケージに表示されるようになった[8]。
メーカー | プラットフォーム |
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セガ | ドリームキャスト メガドライブ ミニ・ゲームギアミクロ・アストロシティミニ・アストロシティミニ V・メガドライブ ミニ2 |
ソニー・インタラクティブエンタテインメント | PlayStation・PlayStation 2・PlayStation 3・PlayStation 4・PlayStation 5 PlayStation Portable(goを含む)・PlayStation Vita[注 1] PlayStation Classic |
任天堂 | ニンテンドーゲームキューブ・Wii・Wii U・Nintendo Switch[注 2][注 3] ゲームボーイ・ゲームボーイアドバンス・ニンテンドーDS・ニンテンドー3DS・Newニンテンドー3DS ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ・ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン |
バンダイナムコエンターテインメント | ワンダースワン |
日本マイクロソフト | Xbox・Xbox 360[注 4]・Xbox One・Xbox Series X/S[注 5] |
SNK | ネオジオ ミニ |
コナミデジタルエンタテインメント | PCエンジン mini |
タイトー | イーグレットツー ミニ |
その他のメーカー | パソコンゲーム[注 6][注 7] |
携帯電話ゲーム・スマートフォンのアプリ[注 8] | |
クラウドゲーム・サービス |
ただし、パーソナルコンピュータのうち恋愛ゲーム、特にアダルトゲームに分類されるものについては、CEROの設立以前から存在するコンピュータソフトウェア倫理機構または日本コンテンツ審査センターによって審査されている。
CEROのレイティングには、設立当初からのものと2006年に改正されたものの2種類が存在する。
レイティング区分 | 備考 | |
---|---|---|
全年齢対象 | 設立当初より設定されていたレイティング区分。 | |
12才以上対象 | ||
15才以上対象 | ||
18才以上対象 | ||
教育・データベース | 後から追加されたレイティング区分だが設立当初から設定が予定されていた。 対象年齢を定めず、教育またはデータベース系に該当し、ゲーム性を持たないソフトウェアが区分される。 | |
審査予定 | 2003年に追加されたレイティング区分で、販促物などに表示される「審査予定」は販促物などに、 「CERO規定適合」は体験版に表示される。これらについては後にCEROの審査を受ける予定または進行中という意味がある[10]。 フィルタリング機能があるゲーム機やブラウザによっては、18才以上対象ソフト扱いとなる場合もある[11]。 | |
CERO規定適合 | ||
2006年2月17日、社団法人コンピュータエンターテインメント協会が、同年3月以降の審査分からこれまでのレイティング区分を変更することを発表した[12]。
これまでの区分では対象年齢以上推奨にとどまり、販売および頒布に対しては明確な制約は加えられていなかったが、神奈川県知事松沢成文(当時)らが『グランド・セフト・オートIII』を有害図書に指定し、さらに神奈川県や東京都をはじめとする地方自治体の要請から、レイティング区分を見直し、これまでの「18才以上対象」を分割し、「Z(18才以上のみ対象)」と「D(17才以上対象)」の2区分を新たに設けた。
「Z(18才以上のみ対象)」に区分されたゲームソフトは流通業界・販売店による自主規制により、その年齢に満たない者への販売及び頒布を禁ずると共に年齢の確認を要することとし、青少年保護育成条例においても有害図書扱いとされるようになった[13]ことに加え、CESAが行った「CERO年齢別レーティング制度の第4回実態調査結果」(2010年3月)により、保護者(第三者)が「Z」区分のソフトを代理で購入するようになったと指摘されたため、「保護者がプレイするために購入するのか」を確認するなどの対応もとられるようになっている[14]。
改訂にともない、改訂以前に発売された「18才以上対象」に区分された一部のゲームソフトは、暴力や犯罪などの表現とその度合いにより「18才以上のみ対象」あるいは「17才以上対象」のいずれかに分けられた。また、区分を分かりやすくするため、対象年齢の数字からA・B・C・DおよびZの英文字を大きく出す形に変更され、さらにパッケージの背表紙部分には区分ごとに異なる色も設けられた(以下の表の通り)。
また、「教育・データベース」および「審査予定」のものに対しては、以前のレイティング制度から変更はされていない。また、背表紙の区分部分の背景色も用意されていない。
CEROの倫理規定(第7条および別表3)には(直接・間接的な)性行為・性器の描写や、過度に暴力的、反社会的な言語、思想、差別表現に対しては「禁止表現」と定め、それに該当する表現が含まれる場合はレイティングを与えられない[15]。審査を受けていないゲームを販売店が取り扱うことはほとんどないため、CEROからレイティングを受けられないゲームはほぼ販売不可能になる。
日本国外で開発されたゲームソフトをローカライズする際、ある程度表現を修正してからCEROの区分を受けて発売されることがある。事例としてはRockstar Gamesが発売し、日本ではカプコンによって発売されたグランド・セフト・オートシリーズ(『III』から『バイスシティ・ストーリーズ』まで)は、CEROの倫理規定に基づきいくつかの機能の削除や仕様変更を行ってからローカライズされたが、それでもなお「18才以上のみ対象」に区分されている[16]。
また、ベセスダ・ソフトワークス/ゼニマックス・アジアによってローカライズされた『Fallout 3』にも同様の規制がなされており、この中で特に核についての表現に問題があることが新たに明らかになった[17]。
核兵器や放射線(放射能)の描写に関しては、全てがCEROの禁止表現になっているわけではなく、事例として『エースコンバット5』については、核弾頭の起爆場面が描写されているシーンが、さらに『ZERO』においては、実際のゲームプレー中にあらかじめ敵軍が仕掛けた核弾頭が起爆するイベントがあり、シーンカットにおいても前作と比べてより詳細な描写がなされている。しかし両タイトルともCEROのレーティングでは「A」に区分されているため、戦争や兵器に対しては(日本国外と比して)比較的寛容になっている(ESRBでは核兵器に関する表現はチェック対象であるため「T(13歳以上対象)」に区分されている)。
外国製のタイトルの中には一部の店舗では取り扱わない方針であることから販売面で不利になるため「Z」区分を回避するよう過激な表現を削り、「D」区分に引き下げてでも販売の裾野を広げる例もあり、エレクトロニック・アーツから発売された『JUST CAUSE ビバ・レボリューション』(「Z」区分)の続編で、スクウェア・エニックスによりローカライズ・発売された『JUST CAUSE 2』は、一部の表現を変更して「D」区分で発売しているが、その続編のJUST CAUSE 3では海外版と同様の表現を行い[18]「Z」区分となっている。
それ以外にも(国産・海外産を問わず)「過度な残酷表現」が多く含まれ、「18才以上のみ対象」の範囲でも修正が困難なため、国内での販売が不可能なゲームを多く出したこと[19]で、結果的に日本市場では発売されないソフトもある。「(CEROの規制が厳しい)日本市場だけに合わせて手直しするよりは、むしろ最初から投入しない」という方針をとる外国メーカーもある。国内メーカーでも、最初から外国市場を前提にし、国内市場投入をほぼ考えていないゲームを製作するメーカーも存在する[20][注 9]。
上記とは別に、ゲームに含まれているいくつかの表現をアイコンにして明示させるのがコンテンツディスクリプターアイコン(単にコンテンツアイコンとも)であり、パッケージの裏面に記載されている。ニンテンドーeショップ、PlayStation Store、Xbox Games ストアでも同様に対象年齢と併記されている。
ゲームソフトの公式サイトでは、対象年齢のみ記載しておりコンテンツアイコンの併記をしていないものが殆どだが、一部のゲームソフトの公式サイトではコンテンツアイコンの併記をしているものもある。また、ゲームハードメーカーによるサードパーティーソフトを含めた一部のゲームソフトの商品情報ページ[注 10]や、一部ゲームメーカーのショッピングサイト[注 11]でもコンテンツアイコンの併記をしているケースもある。
2004年4月から設けられ[21]、CERO:A(全年齢対象)およびCERO:教育・データベースを除いた区分には必ず明示される[22]。
コンテンツアイコンには以下の9種類がある。
コンテンツアイコン | 内容 | 備考 |
---|---|---|
恋愛 | 異性愛・同性愛などに対して設定される。 | |
セクシャル | 半裸・下着・水着など肌の露出が多い衣装や、 セクハラに相当する言動(身体を触るなど)に設定される。 | 『桃太郎電鉄シリーズ』では女湯のシーンが削除されていないにもかかわらず CEROが把握していない理由でCERO:A(全年齢対象)となっている。 |
暴力 | 喧嘩、拷問、武器類の使用による戦闘、 対戦格闘、戦争、兵器などに対して設定される。 | ボクシング・プロレス・総合格闘技などの格闘技を題材としたスポーツゲームにも設定される。 『モンハン日記 ぽかぽかアイルー村』のみモンスターハンターシリーズでは 暴力的なシーンが少ないとの理由でCERO:A(全年齢対象)となっている。 |
恐怖 | 出血や死体の描写など、 過度に恐怖感を煽る表現に対して設定される。 | 『ペーパーマリオ オリガミキング』はPEGIではゲームのシーンに恐怖が該当するため「PEGI:12」に区分されている。 |
飲酒・喫煙 | 未成年者の飲酒・喫煙行為 及びそれらを肯定・奨励する表現に対して設定される。 | 成人のみでの飲酒・喫煙を含む場合は設定していないが、 日本国外(ESRBなど)では「(成人の)飲酒・喫煙が含まれる」旨の注意を促すこともある。 |
ギャンブル | 金品を賭ける違法なギャンブル(賭博罪に相当)に対してのみ設定されている。 日本国外では合法的なギャンブルそのものに対してアイコンが付けられることがある。 | 『Wi-Fi対応 世界のだれでもアソビ大全』の場合、PEGIではポーカーや ブラックジャックがギャンブルにあたるカジノの遊戯物としての扱いで「PEGI:12」に区分されている。 『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』までの本編作品では ゲームコーナーの要素がギャンブルにあたるとして「PEGI:12」に区分されたため、 以降の作品からゲームコーナー自体が廃止された。 |
犯罪 | 殺人、強盗などの法令に反する行為や犯罪(者)を肯定する表現に対して設定される。 | |
麻薬等薬物 | 麻薬・覚醒剤・大麻・シンナーなどの違法な薬物(ドラッグ)を使用するか、 善悪関係なくそれらを肯定したり取引するなどの表現に対して設定される。 | 合法とされる医療目的で使用する場合 (『研修医 天堂独太』など)、 も含めた全ての違法薬物が登場する作品が該当。 |
言葉・その他 | 差別用語・放送禁止用語などの不快な言葉の使用や、 第三者(特に実在の国・人種・宗教・障害者など)に対する差別的な表現、 その他反社会的な行為や思想に対して設定される。 |
これらに抵触すると認められた表現があれば、該当するアイコンが与えられるが、ソフトによっては以下の例のようにコンテンツアイコンの表記順が上記の通りでない場合もあり、表記の順番と根拠や意味については公表されていない。
また、発売時期やレーティングの違いにより、同一タイトルであってもハードごとでコンテンツアイコンが異なるケースもある(『水の旋律』、『11eyes CrossOver』など)。
上述した一部ゲームソフトの公式サイトでのコンテンツアイコンの併記において誤った情報が掲載されることがある。
また、パッケージにおいて誤ったコンテンツアイコンが表記されることがあり、『スクールガールゾンビハンター』では、実際のコンテンツアイコンが「セクシャル、暴力」のところ、パッケージでは誤って「セクシャル、犯罪」と表記されている[26]。
なお、過度な悪印象を与える暴力、犯罪などの表現を含むソフトが指定の対象となる「Z」区分ソフトに対しては「暴力、犯罪」またはいずれか一方のみしか与えられていない。「18才以上対象」から「Z」区分に変更されたソフトは、全て新基準への移行の際にコンテンツアイコンが「なし」に変更されている[注 13]。
審査員には公平かつ偏向を防ぐことから、20歳以上で、かつゲーム関連企業に携わらない者であれば応募できるようになっている[27]。
審査の手順は
のようになっており[3][1][27][30]、早ければ発売予定日の2〜3ヶ月前に審査を終了、遅くても1ヶ月程前までに審査を終了し、対象年齢が発表される。
ゲームソフトの審査を依頼する側は審査料金を支払う必要がある[1]。非会員の場合でも審査は可能であるが、会員の3倍となる[31]。
国際的評価機関であるIARCの審査料金は無料であり、メーカー側目線だと1度無料審査を受けると、日本を除いた全加盟各国・地域でゲームを販売できる。しかし、CEROはIARCに加盟していないため、日本で発売するには別途CEROによる審査が必要となる。CEROは日本で販売する作品のみのレーティング機関であるため、審査手続きは主に国内でする必要があるほか、一定の審査料が必要となっている。これは海外メーカーにとっては負担になっている[2]。
「Z」区分を除いて購入に対する制限が設けられていないため、「D」以下に区分されるゲームソフトはその年齢を満たしてなくても購入できる(販売店によっては『「D区分」までならどなたでも購入可能』とその旨を告知していることもあるほか、コンビニや一部の量販店では「Z」区分を取り扱わないところもある)。
家庭用ゲームハード向けのソフトについて、CEROのレーティングを受けていないソフトの発売を認めていない[40][注 15]。ただし、ニンテンドーDS用ソフト『DSで読むシリーズ手塚治虫 火の鳥』や、ニンテンドー3DSのeショップで配信されている一部のソフト(内容的にゲームといえないもの)にはCEROのマークが表記されていない。全社ともにダウンロード専売作は国際年齢評価連合(IARC)を採用しているが、SIEはIARC18+のゲームに関してはCEROを取得するよう求めている[41]。
PC用ゲームソフトの場合、一般向けのソフトであってもCEROの審査を受けずに発売に至るソフトも存在する。SteamやMicrosoft Storeで配信されているPCゲームにおいても、一部のソフトにCEROのレーティングが記載されているが、一部審査の信憑性に疑問があるもの[注 16]も存在する。
一部のゲームソフトの公式サイトにおいてCEROのレーティングが記載されていないもの[注 17]もあり、この場合オンライン上では、CEROが公式サイトに設置しているタイトル検索[42]か、ゲームハードメーカーによる商品情報ページ[注 18]からCEROのレーティングの情報を得る必要がある。
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