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IPhone
Appleが設計・販売するスマートフォンシリーズ ウィキペディアから
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iPhone(アイフォーン[注 1][注 2])は、Appleが開発・販売しているスマートフォン[注 3]の製品群であり、同社独自のモバイルオペレーティングシステムであるiOSを搭載している。
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概要
初代iPhoneは当時のAppleのCEOで共同創業者のスティーブ・ジョブズによって2007年1月9日にMacworld 2007で発表され、その年の6月29日に発売された。それ以降、Appleは毎年新しいiPhoneモデルとiOSバージョンを発表しており、最新のモデルはiPhone 17、さらに上位機種であるiPhone 17 Proおよび17 Pro Max、新たに登場したiPhone Air(iPhone 16 Plusの後継)である。2025年7月の時点で30億台以上のiPhoneが販売されており、Appleは2023年以来携帯電話最大の販売業者である。世界の中でも日本では比較的シェアが高い。
初代iPhoneはマルチタッチ技術を初めて採用した携帯電話であった。その歴史の中で、iPhoneはより大きく高解像度のディスプレイ、動画撮影機能、防水機能、多くのアクセシビリティ機能を獲得してきた。iPhone 8および8 Plusまで、iPhoneは前面パネルに1つのボタンを備えており、iPhone 5s以降はTouch ID指紋認証センサーを搭載した。iPhone X以降[注 4]のモデルは、前面のベゼルをほとんど取り除いたデザインに移行し、認証にはTouch IDの代わりにFace ID顔認証を採用し、ナビゲーションにはホームボタンの代わりにジェスチャーを増やした。
iPhoneはAppleの独自のiOSソフトウェアを使用して動作し、Androidと並ぶ世界の2大スマートフォンのプラットフォームの1つである。初代iPhoneはスティーブ・ジョブズによって携帯電話業界にとって「革命」であると評された。iPhoneはスレート型スマートフォンの形態を普及させたとされ、スマートフォンアプリ、すなわちアプリ経済の巨大市場を生み出し、モバイル機器市場の隆盛の基盤を築いたとされている。iOSにプリインストールされるアプリに加え、2024年現在[update]の時点でAppleのモバイル配信市場であるApp Storeからダウンロード可能なアプリは約200万本に上る。
スティーブ・ジョブズは、iPhoneを「タッチ操作によるワイドスクリーンのiPod」「革新的な携帯電話」「画期的なインターネット・コミュニケーションデバイス」の3つの製品を一体化した端末であると述べ[17]、iPhoneによって「電話を再発明する」と発表した[18]。
iPhoneはその後現在に至るまで一貫して発売され続けており、全世界の携帯電話をフィーチャーフォンからスマートフォンへとパラダイムシフトさせる契機にもなった[19]。
カメラのシャッター音を消音できないのは日本と韓国で発売されているiPhoneだけである。
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歴史
要約
視点
→詳細は「iPhoneの歴史」を参照
2000年代
Appleのスマートフォン開発は2004年に始まった。その際にハードウェアエンジニアのトニー・ファデル、ソフトウェアエンジニアのスコット・フォーストール、デザイン責任者のジョナサン・アイブが率いる1000名のチームが結成され、「Project Purple」という極秘プロジェクトとして進められた[20][21][22]。
AppleのCEOであるスティーブ・ジョブズは、当初の焦点をタブレット(後にiPadとして復活)から電話に方向転換した[23]。AppleはCingular Wireless(後のAT&Tモビリティ)と極秘に共同開発し、推定1億5000万ドルの費用と約30ヶ月をかけてデバイスを開発した。ジョブズによれば、1998年から「iMac」、「iPod」、「iPhone」、「iPad」の「i」はインターネット(internet)、個人(individual)、指示(instruct)、情報(inform)、インスパイア(inspire)を意味している[24][25]。
Appleはマイクロソフトなどと共同で開発したもう一つの「iTunesフォン」であるMotorola ROKR E1といった「design by committee」の手法を否定した。ROKR E1のファームウェアは200曲までしかiTunes楽曲を保存できず、iPod nanoとの競合を避けていた[26][27]。Cingularは当時稀有な社内開発権限をAppleに与え、Appleはハードとソフトを自社で開発し、iPhone 3Gまでの四年間のアメリカ内独占販売契約の対価として月額売上の一部を受け取った[28][29]。この独占契約は2011年まで続いた[30]。
ジョブズは2007年1月9日、サンフランシスコのモスコーニ・センターで開催されたMacworld Conference & Expo 2007で初代iPhoneを発表した[31]。iPhoneは3.5インチのマルチタッチディスプレイと最小限のハードウェアボタンを備え、iPhone OS(当時はMac OS Xの一部バージョンとしてマーケティングされていた)で、タッチ操作に適したインターフェースを提供した[32]。マルチタッチ技術を採用した初の携帯電話であった[33]。デバイスは2007年6月29日にアメリカで発売され、499ドルの価格で2年間のAT&T独占契約が必要であった[34]。2か月後に価格が3割引きにされたため、購入者の不満が生じ、ジョブズは謝罪の上、早期購入者に一部返金を行った[35]。

発売当初から販売地域
2008年7月11日、AppleはWorldwide Developers Conference (WWDC) 2008でiPhone 3Gを発表し、発売初日に22ヶ国で提供を開始、最終的に70の国と地域で発売した[36][37]。iPhone 3Gは高速3G通信に対応し、初期価格はAT&T契約込みで199ドルと低価格であった[38]。2008年末までにアメリカで最も売れた携帯電話となり、Motorola RAZR V3の販売数を抜いた[39]。後継機種のiPhone 3GSは2009年6月8日にWWDC 2009で発表され、動画撮影機能を追加した[40]。
2010年代

iPhone 4は2010年6月7日のWWDC 2010で発表され、ステンレス鋼製フレームと背面ガラスパネルを組み込んだ新デザインを特徴とした[41]。発売時点で世界最薄のスマートフォンとされ[41]、Apple設計のプロセッサ「Apple A4」を初めて搭載、先代より4倍高解像度のRetinaディスプレイを採用し、発売時点で最高解像度のスマートフォン画面であった[41]。前面カメラも搭載され、FaceTimeによるビデオ通話を可能にした。
iPhone 4のユーザーから特定の持ち方で通話が切断される問題が報告され、「アンテナゲート」と呼ばれた[42]。2011年1月にAppleとAT&Tの独占契約が終了するのに合わせ、VerizonがiPhone 4の提供を発表し、ベライゾン・コミュニケーションズのCDMAネットワーク対応モデルは2月10日に発売された[43][44]。
iPhone 4Sは2011年10月4日に発表され、Siri仮想アシスタント、デュアルコアApple A5プロセッサ、800万画素カメラと1080p動画撮影機能を導入した。iPhone 5は2012年9月12日に発表され、3.5インチから4インチに大型化した画面と高速LTE接続を初めて搭載した[45]。薄型軽量のアルミ合金製ボディと、従来の30ピンドックコネクタに代わりリバーシブルな新型Lightningコネクタを採用した。

iPhone 5sとiPhone 5cは2013年9月10日に発表された。iPhone 5Sは64ビット対応のApple A7プロセッサを搭載し、史上初の64ビットスマートフォンとなった[46]。指紋認証センサーTouch IDも初搭載した[47]。iPhone 5cはiPhone 5のハードウェアを元に、カラフルなプラスチック製フレームを採用した低価格モデルである[48]。
2014年9月9日、AppleはiPhone 6およびiPhone 6 Plusを発表し、iPhone 5sよりも大幅に大きい4.7インチおよび5.5インチの画面を採用した両モデルにApple Payを用いたモバイル決済技術を導入した[49]。6 Plusのカメラには光学式手ぶれ補正が導入された。同日発表されたApple Watchはスマートウォッチであり、接続されたiPhoneと連動して動作する。iPhone 6および6 Plusの一部ユーザーには通常使用による曲がりの問題が発生し、とくに6 Plusにおいて顕著だったため、「ベンドゲート」と呼ばれた問題が浮上した[50]。
iPhone 6sと6s Plusは2015年9月9日に発表され、より強度の高いアルミ合金を用いた曲がりにくいフレームと、4K動画撮影可能な1200万画素の高解像度メインカメラを備えた[51]。初代iPhone SEは2016年3月21日に発表され、iPhone 6sの新しいハードウェアを旧型のiPhone 5sの筐体に組み込み、低価格モデルとして位置付けられた[52]。
iPhone 7と7 Plusは2016年9月7日に発表され、大型化されたカメラセンサー、IP67対応の防水・防塵性能、big.LITTLEテクノロジーを用いるクアッドコアA10 Fusionプロセッサを搭載した[53]。3.5mmヘッドジャックは廃止され、AirPodsのワイヤレスイヤホンが導入された[54]。7のカメラに光学式手ぶれ補正が追加され、7 Plusには2倍光学ズームが可能な第2の望遠レンズと、写真でのボケを再現する「ポートレート」撮影モードが搭載された[55]。
iPhone 8、8 Plus、iPhone Xは2017年9月12日に、Apple ParkのSteve Jobs Theaterで初めて開催されたAppleイベントにて発表された。全モデルにiPhone 4に似た背面ガラスパネル、ワイヤレス充電機能、6コアのA11 BionicチップとAIアクセラレータ搭載の「Neural Engine」を搭載した。iPhone Xは5.8インチ有機EL「Super Retina」ディスプレイ、ベゼルレス設計、LCDディスプレイ機種より高いピクセル密度とコントラスト比を備え、ステンレス製の強化フレームを採用した。Face ID顔認証機能を「ノッチ」画面切り欠きに配置し、従来のTouch IDの代替とした[56][57]。ホームボタンは廃止され、ジェスチャーベースの操作システムに置き換えられ、ベゼルレスデザインを実現した[58]。発売時の価格999ドルは当時のiPhoneで最高額であった[59]。
iPhone XR、iPhone XS、XS Maxは2018年9月12日に発表された。全モデルに「Smart HDR」計算写真技術と大幅に強化された「Neural Engine」が搭載された[60]。XS Maxは6.5インチの大型画面を採用。iPhone XRは6.1インチのLCD「Liquid Retina」ディスプレイを備え、iPhone Xと同様のベゼルレスデザインながら、2つ目の望遠レンズは搭載せず、多彩なカラーバリエーションでiPhone 5cに似た外観の低価格機種だった[61]。
iPhone 11、iPhone 11 Pro、11 Pro Maxは2019年9月10日に発表された。iPhone 11はiPhone XRの後継モデルであり、11 Proと11 Pro MaxはiPhone XSとXS Maxの後継モデルである。全モデルに超広角レンズが追加され、二倍光学ズームアウトとバッテリー容量の増加が実現された[62][63]。第2世代iPhone SEは2020年4月17日に発表され、iPhone 8の筐体にiPhone 11の新しいハードウェアを組み込みホームボタンとTouch IDセンサーを維持した低価格機種であった[64]。
2020年代
iPhone 12、12 Mini、iPhone 12 Pro、12 Pro Maxは2020年10月13日にライブ配信イベントで発表された。全モデルに有機ELの「Super Retina XDR」ディスプレイが搭載され、5G通信に対応し、MagSafe磁気充電およびアクセサリーシステムが導入された。より薄型でフラットエッジのデザインと強化されたガラスセラミック製の前面ガラスにより、従来モデルより耐落下性が向上した[65][66]。iPhone 12 Miniは5.4インチの小型画面を採用し、12 Proと12 Pro Maxはそれぞれ6.1インチと6.7インチの大画面モデルである。12 Proと12 Pro Maxは拡張現実アプリの精度向上のため、Lidarセンサーを追加した。

iPhone 13、13 Mini、iPhone 13 Pro、13 Pro Maxは2021年9月14日にライブ配信イベントで発表された。全モデルでカメラセンサーが大きくなり、バッテリーも大容量化して駆動時間が延長され、ノッチの切り欠き部分が狭くなった[67]。13 Proと13 Pro Maxは有機ELディスプレイに120Hzの「ProMotion」可変リフレッシュレート技術を搭載し、望遠レンズの光学ズームは3倍に強化された[68]。2022年3月8日に発表された第3世代iPhone SEはiPhone 13のA15 Bionicチップを搭載し、その他の仕様は第2世代SEとほぼ同様である。
iPhone 14、14 Plus、iPhone 14 Pro、14 Pro Maxは2022年9月7日に発表された。全モデルに衛星電話による緊急通報機能が追加された。14 Plusは6.7インチの大型画面を初めて低価格モデルに導入した[69]。14 Proと14 Pro Maxは、iPhone 6s以来初の解像度向上となる4800万画素メインカメラを搭載し、常時表示機能付きのロック画面や新たな画面切り欠き「ダイナミックアイランド」を備えた操作可能なステータスバーインターフェースを導入した[70]。
iPhone 15、15 Plus、iPhone 15 Pro、15 Pro Maxは2023年9月12日に発表された。すべてのモデルでEUの規制に準拠し、これまでの11年間使用された独自のLightningコネクタからUSB-Cコネクタに切り替えられた[71]。15と15 Plusは、iPhone 14 Proから導入されたダイナミックアイランド搭載、4800万画素メインカメラ、わずかに曲面を帯びたエッジ、着色フロストガラス背面を備える[72][73][74]。15 Proと15 Pro Maxはマナーモードスイッチを「アクションボタン」に変え、素材をステンレスからチタンに変更した[74]。
iPhone 16、16 Plus、iPhone 16 Pro、16 Pro Maxは2024年9月9日に発表された。16と16 Plusは縦配置カメラを採用し、改良された「Fusion」および超広角カメラを搭載[75]。16 Proと16 Pro Maxは6.3インチ・6.9インチディスプレイ、4800万画素超広角カメラ、最大容量バッテリーを搭載[76]。全機種にApple Intelligence AI機能、改良された冷却システム、Wi-Fi 7対応、新設の「カメラコントロール」ボタンを装備。2025年2月19日には16シリーズの新モデル「iPhone 16e」が発表され、A18チップとApple設計のセルラーモデム「Apple C1」によりバッテリー持続時間が延長。画面サイズは6.1インチ、48メガピクセルカメラを備えるが、低価格化のため広角撮影は非搭載[77][78]。
iPhone 17、iPhone 17 Pro、17 Pro Max、iPhone Airは2025年9月9日に発表された。
2025年9月19日、iPhone 13シリーズ以降の対象21機種で、Starlink Directがデータ通信でも利用できるようになった[79]。
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沿革
- 2005年
- 9月7日 - モトローラよりiTunesを搭載した携帯電話のMotorola ROKR E1が発売される。アメリカで販売を担当する携帯電話事業者はシンギュラー・ワイヤレス(2007年1月15日よりAT&Tモビリティに社名変更)。
- 2005年 - モトローラよりiTunesを搭載した携帯電話Motorola RAZR V3iが発売される。
- 2006年
- 1月31日 - モトローラよりiTunesを搭載した携帯電話のMotorola SLVR L7が発売される。アメリカで販売を担当する携帯電話事業者はシンギュラー・ワイヤレス。
- 2007年
- 1月9日 - Macworldで初代iPhoneが発表される。同日「Apple Computer」が「Apple」に社名を変更する。
- 1月10日 - シスコシステムズが商標権を不当に侵害されたとしてAppleを提訴する。
- 2月21日 - シスコとAppleは両社で自由に世界中でiPhoneの商標を使うことができるという合意に達した[80][81]。
- 6月29日 - アメリカ合衆国で販売開始。携帯電話事業者はシンギュラー・ワイヤレス。
- 9月10日 - 前日(9月9日)の時点で販売台数100万台となったことが発表された[82]。
- 11月9日 - イギリス、ドイツで販売開始。
- 11月29日 - フランスで販売開始。
- 2008年
- 1月15日 - 販売台数が400万台となったことが発表された[83]。
- 2月5日 - 16GBモデル発表、販売開始[84]。
- 3月 - 3月末時点で累計販売台数は540万台と公表[85]。
- 5月 - カナダ・中南米・チェコ・エジプト・ギリシャ・イタリア・インド・ポルトガル・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ共和国・トルコの各国および地域における販売が決定した。
- 6月4日 - 日本のソフトバンクモバイルがAppleとの契約締結を発表[86]。
- 6月9日 - iPhone 3Gを日本を含む22か国で7月11日より販売すると発表[87]。販売台数は600万台に達したと発表[88]。
- 6月8日 - ソフトバンクモバイルがiPhone 3Gを7月11日販売すると発表。
- 7月11日 - ソフトバンクモバイルがiPhone 3Gを12時から、表参道店では7時から(MNPは9時から)販売。
- 7月14日 - iPhone 3Gの販売台数が3日間で世界で100万台を突破[89]。App Storeによるアプリケーションのダウンロード数は1,000万を突破[90]。
- 2009年
- 2010年
- 2011年
- 1月11日 - CDMA版iPhone 4を発表。
- 2月10日 - アメリカ合衆国のベライゾン・ワイヤレスよりCDMA版iPhone 4が発売開始となり、同国における1事業者独占販売が崩れる。
- 4月28日 - iPhone 4 ホワイトモデルがアメリカや日本などで発売開始[96]。
- 7月 サンフランシスコで従業員が次期iPhoneの試作機と思われるものを紛失と報道[97]。
- 10月5日 - iPhone 4Sを発表。このモデルから、日本ではソフトバンクモバイルに加えてKDDIからも発売すると正式に発表され、日本のソフトバンクモバイルにおけるiPhone独占販売が崩れる。
- 10月14日 - iPhone 4S、日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・カナダ・オーストラリアにおいて販売を開始。
- 2012年
- 9月12日 - iPhone 5を発表。
- 9月21日 - iPhone 5、日米などで販売開始。
- 2013年
- 9月11日 - iPhone 5sおよび5cを発表。このモデルから、日本ではNTTドコモからも発売すると正式に発表された。
- 2014年
- 9月10日 - iPhone 6および6 Plusを発表。iPhoneでは初となる画面サイズが異なる2機種の発表となった。
- 2015年
- 9月9日 - iPhone 6sおよび6s Plusを発表。
- 2016年
- 3月22日 - iPhone SE(第1世代)を発表。3月31日、日米などで販売開始。
- 9月7日 - iPhone 7/7 Plusを発表。9月16日、日米などで販売開始。
- 2017年
- 9月13日 - iPhone 8/8 Plus,Xを発表。8/8 Plusは9月22日に、Xは11月3日に、それぞれ日本やアメリカなどで販売開始。
- 2018年
- 9月12日 - iPhone XS/XS Max,XRを発表。XS/XS Maxは9月21日に、XRは10月26日に、それぞれ日本やアメリカなどで販売開始。
- 2019年
- 9月10日 - iPhone 11/11 Pro/11 Pro Maxを9月20日に日本やアメリカなどで販売開始と発表。
- 2020年
- 3月26日 - 第5世代移動通信システム対応の次期iPhone発売を、例年の9月ではなく、数か月延期する検討を始めたことが報じられた[98]。
- 4月15日 - iPhone SE(第2世代)が発表された[99]。
- 10月14日 - iPhone 12/12 mini/12 Pro/12 Pro Maxを発表。12/12 Proは10月23日に、12 mini/12 Pro Maxは11月13日に販売開始。
- 2021年
- 2022年
- 3月9日 - iPhone SE(第3世代)を発表。
- 9月7日 - iPhone 14/14 Plus/14 Pro/14 Pro Maxを発表。
- 2023年
- 9月13日 - iPhone 15/15 Plus/15 Pro/15 Pro Maxを発表[102]。
- 2024年
- 9月10日 - iPhone 16/16 Plus/16 Pro/16 Pro Maxを発表[103]。
- 2025年
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主な仕様(日本国内)
要約
視点
| サポート(Appleでの修理受付)終了 | 販売終了 | 携帯キャリアで販売中 (Apple Storeでの販売は終了) |
Apple Store・携帯キャリアで販売中 | 販売予定 |
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年表

iOSサポート
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
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ハードウェア
Appleは外部のOEM企業にハードウェア製造を直接委託するが、最終製品について高度な管理を維持している。iPhoneには、現代的なスマートフォンの主要なハードウェア部品がほぼ揃っている。一部の要素(3D TouchやTaptic Engineなど)はiPhone特有の機能である。iPhoneの主なハードウェアはタッチスクリーンで、現行モデルは4.7インチ以上の画面サイズとなっている。すべてのiPhoneは背面カメラを備え、前面カメラはiPhone 4で初搭載された。iPhone 7 Plusでは背面カメラに複数レンズが導入された。近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁気センサー、顔認証センサーまたは指紋認証センサー(モデルにより異なる)、気圧センサーなど多様なセンサーも搭載している。2022年以降、iPhone 13以降に対し衛星通信機能が追加された[161]。iPhone 15 Pro/Pro Max以降では、AV1のハードウェアデコードに対応している[162]。
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ソフトウェア
要約
視点
オペレーティングシステム
→詳細は「iOS」および「iOSのバージョンの歴史」を参照
iPhoneはiOSを搭載している[163]。このOSはmacOSのDarwinおよびその多くのユーザーランドAPIをベースにしており、CocoaはCocoa Touchへ、AppKitはUIKitへと置き換えられている。グラフィックススタックはApple独自のローレベルグラフィックスAPIであるMetal上で動作する。iPhoneにはAppleが開発したバンドルアプリケーションが標準搭載されており[164]、App Storeを通じてサードパーティー製アプリのダウンロードにも対応している[165]。
AppleはiOSのアップデートを、FinderやiTunes、OTA(無線経由)で無料提供している[166]。主要なiOSメジャーアップデートは新型iPhone発売と同時に登場するのが通例となっている[167][168]。最新バージョンはiOS 26である[169]。
App Storeとサードパーティアプリ
→「iOS SDK」も参照
2007年6月11日のWWDC 2007で、AppleはiPhoneがiPhoneインターフェースに準じたAjaxベースのサードパーティWebアプリに対応することを発表した[170]。2007年10月17日、スティーブ・ジョブズはApple公式ブログ「Hot News」にて、サードパーティ向けのソフトウェア開発キット(SDK)を2008年2月に公開することを発表した[171]。iPhone SDKは2008年3月6日に正式リリースされた[172]。App StoreはiPhone OS 2.0と共に2008年7月11日に公開された[173]。
Appleは、App Storeでダウンロードできるアプリに原則として限定しており、企業向けのアドホックアプリ等を除くすべてのサードパーティアプリに適用している。開発者はApple Developer Programへの年会費99ドルの支払いが必要であり[174]、メンバーシップが期限切れになるとそのアプリはApp Storeから削除されるが、既存ユーザーは再ダウンロード可能である[175]。アプリは無料でも有料でも公開でき、有料アプリの場合Appleは売上の30%を手数料として徴収している[176]。年間売上が100万ドル未満の開発者にはApp Store Small Business Programが適用され、手数料は15%となる[177]。
iOSはAndroidに比べて市場シェアは低いが、アプリエコシステムは評価が高く、より高品質な専用アプリやiOS独自のリリースが多いとされる[178]。Androidのバージョン断片化や[179]、ハードウェアの不統一性、アプリ収益の低さなどが要因とされている。
すべてのアプリはApp Storeの配布前にAppleの審査(App Review)を通過する必要がある[180]。不適切と判断されたアプリは配信停止となる場合もあり、例えば2009年には新聞アプリが『ザ・サン』紙の「扇情的な」ページ3の写真掲載を理由に却下された[181]。2018年にはTumblrのアプリが違法コンテンツを理由に削除され、Tumblr側も成人向けコンテンツの全面禁止対応をとった[182]。App Storeの審査プロセスは「不透明」「競争阻害」「非合理的」など批判も受けている[183][184][185][186]。
ユーザーはまた、Jailbreakや脆弱性利用(例:TrollStore)を通じてApp Store以外からネイティブアプリをインストールすることも可能である[187]。ただし、Jailbreakはセキュリティリスクがあり、Appleの公式サポート外となる[188]。
2013年10月現在[update]、Appleは累計600億のアプリダウンロードを記録している[189]。2016年9月現在[update]、App Storeのダウンロード数は1,400億を突破している[190]。2017年1月時点でApp Storeには2,200,000以上のiPhone用アプリが公開されていた[191][192]。2024年8月時点で、AppleのApp Storeには約200万アプリが公開されている[193]。
脱獄
→詳細は「Jailbreak」を参照
Appleは未承認のサードパーティーアプリのインストールを制限し、iPhoneのファイルシステムへの完全なアクセスを許可していない。ジョナサン・ジットレインによれば、iPhoneのようなクローズドなデバイスの台頭により、PC時代に比べてコンピューティングはより専有的になったと指摘している[194]。
脱退により、ユーザーはApp Storeにないアプリのインストールや、Appleが許可しない方法でのデバイスのカスタマイズ、キャリア承認なしでのSIMロック解除が可能になる[195]。マルチタスク、ウィジェット、コピー&ペーストなど、ジェイルブレイクで提供された機能の一部はのちにAppleにも取り入れられた[196]。
AppleはDMCAを用いてジェイルブレイキングに対抗しようとしたが、2010年にアメリカ合衆国でジェイルブレイキングは合法と判断された[197]。しかしジェイルブレイクされたiPhoneはAppleのアプリエコシステムの管理が及ばないため、マルウェア感染リスクが高いとされる[198]。アメリカ国内では、Appleはジェイルブレイキングが理由でiPhoneの保証を無効にできない[199]。
ジェイルブレイキングはエクスプロイトを利用しており、AppleはiPhoneのハード・ソフト両面のセキュリティを強化しているため、新しいiPhoneではジェイルブレイクが困難となっている[200]。
アクセシビリティ
iPhoneには視覚、聴覚、運動機能の支援を目的とした多彩なアクセシビリティ機能が搭載されている。ユーザーには画面上のバナー、音声アラート、振動、LEDフラッシュなどで通知が届き、振動パターンはカスタマイズ可能である。iOS 15以降、Siriはイヤホンを通じて通知を読み上げられ、iOS 16以降はデバイススピーカーからも通知を読み上げるようになった[201]。
運動機能に制限のあるユーザーはAssistive Touchを使い、メニュー操作のカスタマイズができる。ピンチなどの特定のジェスチャーが困難な場合、メニュー上で操作可能にし、ユーザー独自のジェスチャーも作成できる。ホームボタンの代わりに画面上のタップでホーム操作を有効にすることも可能である。回転やシェイクなどのジェスチャーは車椅子に装着した状態でも使える。さらに、前面カメラによって顔の動きを認識し操作できるHead Trackingも利用できる[202]。
視覚障害者向けにはVoiceOver(画面読み上げ機能)があり、Siriと組み合わせてハンズフリー操作が可能である。無線式の点字ディスプレイにも対応し、インターフェースを読みやすくしている。テキストもシステム全体で拡大可能。マグニファイアアプリはiPhoneのLidarセンサーを活用して、ドアや人、物などを認識し距離と共にユーザーに説明する。Door Detection機能は音声や振動でドアの存在を知らせる[202]。
Made for iPhoneプログラム対応補聴器はiPhoneから直接操作可能で、Live Listen機能によりiPhoneを指向性マイク代わりに使い、補聴器に音声を送信できる[203]。この機能は騒がしい部屋での会話音の増幅や離れた場所の音声を聞くのに役立つ[204]。Live ListenはすべてのAirPodsに対応し、接続中のiPhoneマイクからの音声を送信できる。クローズドキャプションや外部TTY機器もサポートし、Live Captionはすべてのアプリの音声をリアルタイムで文字化し表示する。Sound Recognition機能はドアベル、ケトルの音、水音、赤ちゃんの泣き声など周囲の音を認識し画面で通知できる[202]。
ガイドアクセス機能は、自閉症やADHD、感覚処理障害等の利用者が一つのアプリに集中できるよう支援し、保護者や教員、療法士がホームボタンの無効化や利用時間制限、画面の特定領域の操作禁止などを設定できる。
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機能
要約
視点
概略
- マルチタッチスクリーンによる直感的操作
- キー入力やスタイラスなどは必要なく、指で直接画面上のアイコンやキーボード、ボタンなどに触れるマルチタッチスクリーン方式を採用している。フリック(はじく)、タップ(軽く叩く)、ピンチ(つまむ)の3種類のシンプルな動作により直感的な操作ができる。
- iPhone 6s/6s Plusではさらに圧力センサーを搭載することによる「3D Touch」を採用、押し込む動作が追加されたが、iPhone XRから「Haptic Touch(触覚タッチ)」へ置き換えられた。
- iPhone発売後、他メーカーからもマルチタッチスクリーンパネルを利用した携帯電話製品が出ているが、これらの製品の操作性はiPhoneを完全に再現・模倣しているわけではなく、多くの相違点がある[要出典]。また、Appleはマルチタッチに関する特許を所有しており、Androidでマルチタッチを利用した端末を発売しているメーカーを特許侵害で提訴している[205][206]。
電話
- 着信拒否機能はiOS 7から対応している。日本においては、公衆電話からの着信が非通知と表示される。
- 留守番電話機能は「ビジュアルボイスメール」として搭載され、登録された音声をファイルにしてiPhoneに配信されるようになっている。キャリア側の留守番電話サービスが対応する必要があり、ソフトバンクでは3Gでの販売から、auでは2012年4月14日に対応しており、NTTドコモも2015年1月21日より対応する。
- iPhone 4からはビデオチャット/IP電話機能であるFaceTimeに対応し、iOS 5以前ではWi-Fi接続時に、またiOS 6からはモバイルネットワーク接続時でも、ほかのiOS端末やMacとの間でテレビ電話として利用可能となる。なお、日本国内ではソフトバンクではリリース当初から、またauではiOS 5.1へのアップデートが行われた2012年3月8日から対応している。
- iPhone 6/6 PlusからはLTEネットワークを介したVoLTEやWi-Fiを介して電話回線に接続できるWi-Fi Callingに対応するが、いずれも携帯電話会社のネットワークが対応する必要があり、日本ではiOS 8.3へのアップデートが行われた2015年4月9日よりVoLTEに3キャリアともに対応している。
- iPhone 11シリーズから、VoLTE (HD+) EVS-SWBに対応し、ドコモでは高品質音声通話を実現している[207]。
- インターネット
- 搭載されているSafariはJavaScriptエンジンを内蔵しAjaxアプリケーションを利用可能。RSSやSVG、タブブラウズに対応している。ただしJavaアプレットおよびFlashには対応していない。iPhone/iPod touch対応サイトを除く携帯電話端末専用サイトは閲覧不可。
- メール
- MMSにiPhone OS 3.0で対応、一般のPOP3、IMAPメールサーバにも接続することが可能である。
- 米国Yahoo! Mail(@yahoo.com)に関しては携帯メールのようなプッシュ型電子メール(自動受信)にも対応したメールが利用可能である。日本のYahoo! メールも2011年10月19日よりIMAPアクセス使用時にプッシュ通知が可能となっている[208]。
- AppleのサービスiCloud(旧MobileMe)や、MicrosoftのMicrosoft Exchange OnlineやMicrosoft Exchange Server(2製品ともに法人向け)のメールアカウントもプッシュ機能を備えており、Exchange ActiveSyncをサポートするメールサービス(Gmail(現在はGoogle Apps利用者のみ)、Outlook.com(旧Windows Live Hotmail)など)でもプッシュ機能が使えるようになっている。
- メッセージングサービス
- SMSは初代iPhoneより、MMSはiPhone OS 3.0より対応し、iChatを思わせる吹き出しを使った対話形式で、メッセージが表示される。最大670文字まで送信できる。
- iOS 5からはSMS/MMSに加え、iOS端末およびOS X Mountain Lion搭載Macとの間でメッセージや写真、動画などのやりとりが可能となる「iMessage」に対応している。
- RCSは日本国内では3大キャリアは「+メッセージ」として2018年6月に対応クライアントアプリが配信されサービスを開始、楽天モバイルは専用の通話・メッセージアプリ「楽天Link」が提供されている。ただし日本国外の通信キャリアとは接続できず、Y!Mobile・LINEMO・UQ mobileやMVNOでは使用できない。またSMSやMMSはこれまで通りOS標準のメッセージアプリを使用する。
- 無線アクセス
- Bluetooth による無線PAN、IEEE 802.11a/b/g/n/ac/axによる無線LAN (Wi-Fi)、EDGE/GPRS/HSPA/HSPA+/DC-HSDPA/EV-DO Rev. A/EV-DO Rev. B/FDD-LTE/TD-LTE(WiMAX2+/AXGP)/LTE-Advanced(キャリアアグリゲーション)/5G NRなどのパケット通信規格による無線WANなど、多様な無線アクセスを内蔵。
カメラ
- iPhoneとiPhone 3Gでは、2メガピクセルカメラを搭載。ボタンはシャッターのみで機能設定、オートフォーカス、ライト、動画撮影機能は搭載されていない。
- iPhone 3GSでは、3メガピクセルオートフォーカスカメラを搭載し、動画撮影にも対応している。
- iPhone 4では、LEDフォトライトつきの5メガピクセルオートフォーカスカメラ(裏面照射型CMOSセンサ採用、HD動画撮影対応)、およびFaceTime用のフロントカメラ(VGA画質)を搭載している。4Sではこれを強化し8メガピクセルオートフォーカスカメラ(裏面照射型CMOSセンサ採用、フルHD動画撮影対応)を、5ではさらに1.2メガピクセル(HD動画撮影対応)のフロントカメラを搭載している。6ではオートフォーカスが強化され、さらに6 Plusでは光学式手ぶれ補正機構が内蔵されている。
- iPhone 6s/6s Plus以降のモデルでは4K動画が撮影可能な12メガピクセルオートフォーカスカメラと5メガピクセルのフロントカメラを搭載、フロントカメラでの自撮り撮影時に使える画面を明るく光らせてフラッシュ代わりにする「Retina Flash」も搭載されている。7 Plus, 8 Plus, X, XS/XS Maxでは広角と望遠の2つのレンズを搭載し、2段階ズーム機能を備えているほか、2つのレンズを使うことで背景をぼかして撮影できるポートレートモードに対応している。X, XS/XS Max, XRでは顔認証用に用いるTrueDepthカメラと通常のフロントカメラとの組み合わせで自撮りでもポートレートモードが使える。
- iPhone 11, 11 Pro/11 Pro Maxでは、新たに13mmの超広角レンズのカメラを搭載し、ナイトモードにも対応した。
- iPhone 12 Pro/12 Pro Maxでは、77mmの望遠レンズのカメラを搭載した。iPhone 14 Pro/14 Pro Maxでは、初めて4800万画素のメインカメラを搭載した[209]。
- 写真
- カメラで撮影した写真は写真Appで見ることができる。iOS 12では「For You」タブが追加され、撮影した写真やビデオを撮影期間や撮影場所ごとにまとめたり、写真を自動的に解析してベストショットを見つけ出し、その写真を用いたメモリームービーを作成したりする機能がある[210]。
- 音楽
- 音楽ライブラリのレイアウトはこれまでのiPodから変更され、より分かりやすいセクション、大きなフォントになっている。2015年6月30日からApple Musicという音楽配信サービスが開始された。Apple Musicには、月額980円の「個人メンバーシップ」、月額1480円の「ファミリーメンバーシップ」、月額480円の「学生メンバーシップ」の3つのプランがあり、iTunes Storeに配信されている曲のほとんどを定額で聴くことができる[211]。
動画
iPhone 3GSより、動画撮影機能(VGA/30fps)が搭載された[212]。iPhone 4では720p/30fpsで[213]、iPhone 4Sからは1080p/30fpsで撮影できる。また、iPhone 5Sでは720p/120fpsでのスローモーション撮影に対応している[214]。iPhone 6/6 Plusからは1080p/60fpsで[215]、iPhone 6S/6S Plusからは4K/30fpsで[216]、iPhone 8/8 Plusからは4K/60fpsで撮影できる[217]。
iPhone 13, 13 mini, 13 Pro/Pro Maxでは1080pシネマティックモードで[218]、iPhone 14, 13 Plus, 14 Pro/Pro Maxでは4Kシネマティックモードや強力な手ぶれ補正で滑らかな映像が得られるアクションモードで撮影できる[219][220]。
YouTube再生
- iOS 5まではApple製のYouTubeアプリが用意されていたが、iOS 6ではライセンス契約が切れたことから搭載されていない。ただしSafari上でHTML5に最適化されたYouTubeサイトを使用するか、Googleが提供するYouTubeアプリを使うことで視聴することが可能となる。
- 地図
- AppleとGoogleの提携により、iPhone 4S、またはiOS 5まではiPhoneに最適化されたGoogle Mapsが利用可能だった。iPhone 3G以降からはGPSを搭載したことにより、精度の高い位置情報を取得できるようになった。
- マップアプリについてはiOS 6ではベクターベースのAppleの独自の地図となったが、Google Mapsに比べて圧倒的に情報量が少なく、機能も少なく間違った場所に表示されるなど地図としては致命的な不具合が多数見つかった。iOS 7以降では急速に改善され、iOS 11以降では高機能で実用的な地図ソフトとなっている[221]。
- アクセシビリティ
- 視覚障害のあるユーザ向け機能として、ボイスオーバーによる画面の操作ガイド、拡大鏡、色の反転表示機能を搭載している。また、聴覚障害のあるユーザ向けとして、周囲の雑音を軽減することができるライブリスニング機能を搭載している。
センサー
- iPhoneに搭載されている基本的なセンサーは以下の通りとなっている。
- 3軸ジャイロ
- 加速度センサー
- 近接センサー
- 環境光センサー
- これらのセンサーに加えて、iPhone 6/6 Plus以降では「気圧計」、iPhone 5s, 6/6 Plus, 6s/6s Plus, SE(第1世代・第2世代), 7/7 Plus, 8/8 Plusでは「Touch ID」、iPhone X, XS/XS Max, XRでは「Face ID」が搭載されている。
- 3軸ジャイロセンサーはiPhone 4以降から搭載し、加速度センサーと組み合わせることでより精密な角度や加速度、端末の回転などの動きを感知できるようになった。iPhone 6/6 Plusでは気圧計が搭載され、その時点の気圧から端末がある高度の情報が分かるようになった。
- また、iPhone 5sからは指紋認証センサTouch IDがホームボタンに組み込まれており、指紋を読み取ることで端末ロックの解除、iTunes StoreやApple Payなどでの決済認証などに使うことができるようになっている。iPhone Xではホームボタンが廃止されたのにともない、Touch IDの変わりとなる顔認証システムFace IDが搭載されている。
- iPhone 14/14 Plus, 14 Pro/14 Pro Maxでは、一部センサーが下記へ増強された[222][223]。
- 高重力加速度センサー
- デュアル環境光センサー
- ウィジェット
- 天気予報、株価が見られるウィジェットがプリインストールされている。iOS 8からはサードパーティ製のウィジェットも使えるようになった。
- iOS 14では、ホーム画面上に様々なサイズのウィジェットを表示できるようになった。
電子決済機能
- iPhone 6/6 Plus 以降NFCが搭載され、AppleとVISA、マスターカード (MC)、アメリカンエキスプレス (AMEX)などとの提携による電子決済サービス「Apple Pay」が開始される。
- iPhone 8/8 Plus以降(および、iPhone 7/7 Plusの日本仕様モデル)ではFelicaが搭載され、これによりApple Payの決済手段として、日本のSuica/iD/QUICPayの利用が追加された。2021年5月現在、日本ではこれらに加えPASMOとVISAのタッチ決済に対応している。
- iPhone XS/iPhone XS Max/iPhone XR以降のモデルでは、予備電力機能付きエクスプレスカードにより電池切れの状態でもエクスプレスカードに登録したカードが利用できる。これにはiPhone SE(第2世代)も含まれる。
- その他の機能
- iTunesやMobileMeからアドレスブック、E-mailアカウント、ブラウザのブックマークの情報を同期できる。iOS 5からはMobileMe後継サービスのiCloudによって、iTunesで購入した楽曲の自動ダウンロード、撮った写真をほかの端末へ自動転送する機能、編集した書類データの自動同期、端末のバックアップなどができるようになっている[224]。
iPod touchとの相違
iPhoneとiPod touchはハードウェア・ソフトウェアともに共通点が多いが、iPhoneのみで使用可能な機能は以下の通り。
- 音声通話やSMS・MMSが利用できる。
- HSDPA(W-CDMA)などにより、無線LAN以外のデータ通信ができる。
- 近接センサを搭載している。
- デジタルコンパスを搭載している(3GS以降)。
- バイブレータを内蔵している。
- GPS(全地球測位システム)を搭載している。
また、第3世代までのiPod touchは、カメラを搭載していない、マイクがないなどの違いもあった。
ほかの携帯電話との相違
以下の機能はiPhoneには搭載されていない。
- メールアプリで受信したメールのSMS/MMSへの転送(ただしメールにはソフトバンクから付与されるアカウント以外も設定可能)
- MMSの件名を含めた転送
- グループMMSの送信者一人への個別返信(一人に返信/全員に返信を選べない。SMS/MMSアプリはチャット風のUIなので宛先欄がなく変更できないため、全員に返信することしかできない。メールアプリの場合、返信時に宛先欄を削ることは可能)。
- 地上デジタルテレビ放送(ワンセグ/フルセグ)、マルチメディア放送 (NOTTV, i-dio等)
- ただし下記で述べるソフトバンクの「TV&バッテリー」をはじめ、バッファロー製の「ちょいテレi」、BitBay製の「eSegTV ワイアレスTV チューナー」、ピクセラ製の「PIX-DT350-PL1」「PIX-DT355-PL1」(後者はNOTTVにも対応)などの外付けチューナー(Wi-Fi接続またはDock/Lightningコネクタ接続)を使えば視聴可能。また、ソフトバンク(ピクセラ製)の「エリアフリーTV」や次世代放送推進フォーラム策定のリモート視聴規格対応チューナー・テレビ・レコーダーと対応アプリを使えば、自宅にあるチューナーなどにリモート接続することでテレビの視聴が可能となる。
- NHKプラス・TVer・TOKYO MXのエムキャスなどの放送局側が提供しているアプリを使用すると、テレビ番組の視聴が可能。また、i-dioはインターネット経由での聴取が可能となっていた。ラジオに関してもradikoやNHKネットラジオ らじる★らじるなどサイマル配信サービス対応アプリを使うことで聴取できる。
- 着うたの購入などといった日本独自のサービス(ただしiTunes Storeにおいて類似のサービスを提供している)
- ユーザ自身でのバッテリ交換(米国では2022年4月27日から可能[225])
- SDカードなどの外部メディアの利用(Lightningコネクタに接続可能な外部フラッシュメモリ・メモリカードリーダーも販売されている)
- ストラップホール(ストラップを装着可能なケースも販売されている)
ほかのスマートフォンの多くと同じようにグローバルモデルであるため、過去には主要な日本国内向け携帯電話に搭載されている、多くの機能が装備されていなかった。
またかつては以下の機能が対応していなかった。
- 「ネットワーク自動調整」による日時修正(ただしiTunesにより、同期対象のPCと日時を同期可能)。→iOS 4から対応。
- 緊急地震速報(「ゆれくるコール」などのサードパーティ製アプリを使用する必要があった)→iOS 5からOSレベルで対応。
- おサイフケータイ (FeliCa)→iPhone 8/8 Plus以降でApple Payの機能として対応。(※日本国内仕様のiPhone 7/7 Plusでも利用可)
- iPhone 4およびiPhone 4S(ソフトバンク扱い)には「電子マネーシール for iPhone 4」があるものの、iPhoneにリーダー・ライターの機能はなく電子マネーチャージなどの連携ができないため、擬似的なものである。実態としてはiPhoneに最適化されたカード型とみなされる。また、NTTドコモからはiPhoneに装着し専用アプリでチャージ等の管理可能な「おサイフケータイ機能内蔵ジャケット」が提供されている。
- 防水防塵性能ː iPhone 7/7 PlusからIP67等級、iPhone XS/XS Max, 11からIP68等級対応[226]
- 絵文字ː iOS 4から対応。iOS 15.4ではEmoji Version 14.0対応[227]
アクティベーション
iPhoneは、購入後や初期化後の初回起動時のアクティベーションに成功しない場合、ほぼすべての機能が働かない。GSMおよびUMTS (W-CDMA) 方式のiPhoneでは、通信会社が提供するSIMカードを装着するとアクティベーションが可能となる。なお、通信会社提供ではなく、保守製品かと思われるSIMカードによってアクティベーションに成功した報告例もある。また、iOSのメジャーアップデートの際にもアクティベーションが必要である。
充電
iPhoneは、iPad同様に通常充電モードと高速充電モードの2つの充電モードが存在する。通常充電ではUSB 2.0規格に準ずるUSBポートと接続することにより、およそ500mAを充電できる。高速充電モードを利用するには、1A以上の高出力のUSBポートを利用する必要があり、またUSBピンアサインのD+D-データラインに特殊のバイアス信号による高速充電モードの起動が必要である。通常のUSB 2.0規格に準ずるUSBポートであっても、一部のバイアスを供給する市販商品を使用すれば、約700mAの高速充電モードを起動させることができる。特にiPhone 6, 6 Plus以降の機種であれば、1.6Aや2.1Aでの充電が可能である[228]。
iPhone 8/8 Plus, X以降では、USB-C電源アダプタを使うことで高速充電(PD充電)[229]ができるようになった[230]ほか、Qi準拠のワイヤレス充電にも対応している[231]。
バッテリ容量の50%までは急速充電、80%までは高速充電し、その後、低速のトリクル充電に切り替えることで充電時間を短縮しつつバッテリ耐用年数も延ばしている[232]。
バッテリのフル充電サイクルは、iPhone 14シリーズ以前は500回であるが、iPhone 15シリーズ以降は1000回で設計されている[233]。
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製造
iPhone 4まで、すべてのiPhoneおよびiPod touchモデルやiPadなどの他のデバイスは、台湾に拠点を置くフォックスコンによって製造されていた。2011年、新CEOのティム・クックはAppleの製造戦略を変更し、供給基盤の多様化を進めた。2012年のiPhone 4sは、フォックスコンと同じく台湾に拠点を置くペガトロンの2社によって同時に製造された初のモデルであった。フォックスコンはいまだにより多くのiPhoneを生産しているが、ペガトロンの受注比率は徐々に増加している。同社は2013年にiPhone 5cの一部を製造し、2014年にはiPhone 6の30%を生産した。6 Plusモデルはフォックスコンのみが製造した[234]。2019年、Appleはフォックスコンの一部の管理職が不良部品を用いてiPhoneを製造していたとの報告を調査した[235]。インドでは、Appleはウィストロンに委託し、バンガロール近郊にある同社の工場でiPhoneを組み立て、地域向けに供給している[236]。
2022年、AppleはiPhone 14の一部をインドのタミル・ナードゥ州で製造すると発表した。これは中国の「ゼロコロナ政策」が多くの産業で世界的なサプライチェーンに悪影響を与えたことへの対応であった[237]。Appleは、2025年までにiPhoneの製造の25%をインドに移管する計画を表明している[238]。
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マーケティング
初代iPhoneは正式発表前に大々的に宣伝され、話題と期待を生み出した[239]。発売時には、TBWA\Chiat\Dayと提携して制作されたテレビ、ウェブ、印刷広告で集中的にマーケティングされた[240]。
Appleのプレミアム市場での位置付けは、iPhoneがステータスシンボルとみなされる要因となっている[241][242][243]。
Appleのエコシステムは、iPhoneのブランドロイヤルティを高める主要な参入障壁と評されてきた。特にiMessageは「グリーンバブル」現象で注目されている。iMessageにおいて、AndroidユーザーからのSMSは緑色の吹き出しで表示され、他のiPhoneユーザーからのテキストは青色の吹き出しで表示される。2024年にiOS 18でリッチ・コミュニケーション・サービス(RCS)のサポートが導入されるまで、iOSとAndroidのグループチャットは十分に対応しておらず、リアクションは吹き出しではなくテキストとして表示され、画像はMMSを通じて送信されるため画質が劣化した。Androidに乗り換えた後に「仲間外れにされた」と表現するティーンもいた[244]。Googleはこれを「いじめ」と表現した[245]。この現象は、アメリカのティーンの88%がiPhoneを使用するに至った重要な要因であると批評家によって指摘されている[246]。
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教育での活用
2009年に、東京都渋谷区に本部をおく青山学院大学とソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコムは、iPhone 3Gを活用したモバイル・ネット社会の教育および研究を進める基本協定を締結。それにともない青山学院大学社会情報学部の学生にiPhone 3Gが配布された[247]。
アクティベーション・SIMロックと解除
要約
視点

アクティベーション
iPhoneは購入後、アクティベーションしなければ緊急通報電話としてしか機能しない。
アクティベーションにはSIMカードが必要で、SIMロック版の場合は特定のSIMカードのみ、SIMフリー版であっても何らかのSIMカードが必要であったが、SIMカードがない状態でもiTunesに接続することでアクティベーションができるようになった。
アクティベーション回避
2007年7月、ヨン・レック・ヨハンセンがAT&Tへの登録なしに起動させるツール「Phone Activation Server」を公開。
電話としては機能しないものの、その他は機能したとしている。
アクティベーションロック
iPhoneの盗難や不正利用を防ぐために本来のユーザー以外のアクティベーション行為を文字通りロックし阻止するもので、本来のユーザーが所有するApple Accountのパスワードの入力を求め、第三者にアクティベーションができないようにする機能である。
SIMロック
キャリアを通じて販売されるiPhoneは、キャリアの方針によりSIMロックがかかっている場合とかかっていない場合がある。SIMロックがかかっているiPhoneは特定のキャリアが発行するSIMカードのみ利用できる。SIMロックを解除すれば、GSM・UMTS (W-CDMA)、LTE・第4世代移動通信システムを採用している携帯電話事業者で使用できる。
不正なSIMロック解除
いずれの方法も、Appleおよび移動体通信事業者が認めていない、保証範囲外かつ不正かつリスキーな行為であり、何があっても自己責任で行う必要がある。
ソフトウェアによるロック解除
「iPhoneSimFree」というグループが、iPhoneのSIMロックを簡単に解除できるソフトウェアを開発した。
こうした不正改造を防ぐために、Appleもソフトウェアアップデートで対策していたが、いたちごっこになっていた。
Appleが2007年9月27日に公開したiPhone OS 1.1.1において、非正規の手順でロック解除された一部のiPhoneは使用できないようになった[248]。
このようなユーザーによる不正なSIMロック解除に対し、アメリカ著作権局は「ユーザーが合法的に入手したアプリケーションなどを実行するためにJailbreakする行為」や「携帯電話を他の携帯キャリアに接続させるためのJailbreak」などは、合法との判断を下している[249]。
2017年時点では、ソフトウェアでのロック解除はかなり難しくなっており、ツールも配布されていない。
ハードウェアの改造によるロック解除
2007年8月25日、アメリカ在住の17歳の少年が夏休み中に計500時間を費やし、iPhoneのSIMロックを解除したと発表した[250]。これは、iPhoneを分解して半田付けなどをして改造してロック解除する方法であり、リスキーであり時間と手間がかかる。初代iPhoneでは行われていたが2017年時点ではほとんど行われていない。
アダプタによるロック解除
複数の業者により、SIMロック解除アダプタが販売されている。
これは、SIMカードとSIMスロットの間にアダプタを挿し込み、複数のSIMカードを利用できるようにするものであり、iPhoneそのもののロック解除ではないが、挿入している間は一時的にロック解除と同等の状態となる。
ファクトリーアンロック
廃棄されたSIMロック解除済みiPhoneのIMEIと、ロック解除したいiPhoneのIMEIを入れ替えるもので、複数の業者により行われている。依頼料金はいずれも高額であり、詐欺業者も目立つ。
IMEIの管理はAppleが行うが、iPhoneの廃棄のためにごく一部の業者にも管理を許可しており、この業者が流した情報により、ロック解除を行っているものと思われる。
キャリアによる正式なSIMロック解除
アメリカ
AT&T・ベライゾン・スプリント・T-Mobile USなどアメリカの各キャリアが、これまでに発売したすべてのSIMロック版iPhoneのロック解除を、ユーザーの求めに応じて行っている。また、キャリアを通じて販売されているiPhoneは現在はすべてSIMフリーである。
フランス
フランスでは、ユーザーに販売後3か月を経過したiPhoneのSIMロック解除に応じ、SIMロックフリーのiPhoneも同時に販売している。これは、フランス国内法でキャリアによる囲い込みを禁じているためであり、ユーザからの求めがあった場合、キャリアは端末をロック解除する手段を提供しなければならず、SIMロック端末と同時にロックなしの端末も販売しなければならないためである[251]。
日本
日本においても、NTTドコモ・ソフトバンク・au (KDDI) 各社はSIMロック解除義務化により、2015年5月1日以降に発売されたiPhone 6s/6s Plus以降、顧客の申請によりSIMロック解除に応じている。楽天モバイルを通じて販売されているiPhoneはSIMフリーである。
2021年9月、iPhone 13, 13 mini, 13 Pro, 13 Pro MaxはすべてのキャリアでSIMロックフリーで発売されている[252]。
SIMフリー版
2019年時点で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本を含め多くの国で、SIMフリー版iPhoneがAppleから発売されている。
販売されている国および地域一覧
この節の加筆が望まれています。 |

初代iPhoneから発売
iPhone 3G以降から発売
未発売
2009年12月には、世界94か国・地域で販売されていた[253]。
商標問題
世界各国での販売には、商標の調整が必要だった。以下は、その一例。
- アメリカ合衆国:シスコシステムズ[80][81]。
- カナダ:コムウエーブ・テレコム。
- 日本:アイホン(綴りはAiphone) - インターホンの日本国内最大手・アイホン株式会社(名古屋市)が「表音・表記が紛らわしい」と、Appleに協議を申し入れ、iPhoneの日本語表記(カタカナ)を、長音(長音符・音引き)を含む表記、「アイフォーン」とすることで決着した。アイホン株式会社が『アイホン』を商標登録し(第5147866号ほか)、Appleがアイホンに年間約1億円の商標使用料を払うことになった[254][注 6]。
- 中華人民共和国:漢王科技[255]。
- ブラジル:グラジエンチ・エレクトロニカ
シスコシステムズやアイホンからは、使用許諾を得て共存することになったが、漢王科技からは同意を得られていない。また、ブラジルではグラジエンチ・エレクトロニカとの間で係争状態となっており、ブラジル国立工業所有権院は、「グラジエンチ社が2018年まで独占使用権を有する」との判断を示した[256]。
出荷台数
要約
視点

初代 iPhone
iPhone 3G
iPhone 3Gおよび3GS(Appleは両者を区別していない)
iPhone 4
この節の加筆が望まれています。 |
2007年9月10日には、前日の時点で累計出荷台数100万台となったことが発表された[82]。2008年5月末現在、欧米など6か国での累計出荷台数は600万台に達した[88]。Appleは2008年末までに累計出荷台数1,000万台を目指していた。
米市場調査会社IDCによると、2008年第1四半期の米国スマートフォン市場におけるAppleのシェアは19.2%。ちなみにカナダのリサーチ・イン・モーション (RIM) が販売する「BlackBerry」(ブラックベリー)のシェア44.5%には及ばないが、パームのシェア13.4%を上回る[257]。
2008年10月22日、Appleは2008年度第4四半期にiPhoneを689万2,000台とRIMよりも多くの台数を販売したと発表[258]。目標より3か月以上早く累計で1000万台を超えたことが判明した。
2008年7 - 9月の米国内での販売台数でも、それまで3年間首位を維持してきたモトローラのMotorola RAZRを初めて抜き、首位に躍り出た[259]。
日本においては、iPhoneの新規発売に際しては、折からの話題性の高さもあったにせよ、Appleが予約販売を認めなかったために、全国各地で購入希望者の行列が作られ、携帯電話の新機種発売としては異例の盛り上がりを見せた。ソフトバンクモバイルの販売ランキングでは、iPhone 3G (16 GB) が2008年9月14日時点までは10週連続首位であった[260]。
2009年6月19日から米国などで販売が開始されたiPhone 3GSは、発売から3日で100万台以上出荷された[261]。
なお、日本単独での出荷台数は公開されていないが、市場調査会社MM総研は、2009年度の国内出荷台数はシェア4.9%で約169万台、累計出荷台数は約230万台としている[262]。
2011年以降はソフトバンクだけでなく、au、ドコモ、さらにはSIMフリー・MVNO・サブブランド、楽天モバイル向けと販路が拡大し、iPhoneを主力機種として販売に力を入れた大手キャリアでは、各社で新規契約・番号ポータビリティ時のキャッシュバックや旧機種下取りなど、さまざまな販売奨励策が取られた。また、iPhone発売以前からデコレーション携帯電話が人気のあった日本では、iPhoneの人気に合わせ、サードパーティーによるケースなどのiPhone専用グッズも拡充された。こうしたことで、iPhoneは、日本のスマートフォン市場で圧倒的な人気を誇っており、Appleは携帯電話メーカー別出荷台数シェアで2012年に1位に躍り出てから、2021年まで10年連続で1位を記録している[263]。
一方、Appleなど外資系メーカーに先を越された日本メーカーは、2010年ごろから、おサイフケータイやワンセグ対応、防水・防塵、テンキーなど、当時のiPhoneにはない機能を搭載させながら、Androidスマートフォンへと進出したものの、Androidの開発ノウハウが未熟だった2012年ごろまでの黎明期の機種は致命的な不具合が多かった。そして、ソフトバンクだけでなく、auやドコモがiPhoneを販売するようになるにつれ、Android離れが進み、動作が安定していて、セキュリティ対策やOSのアップデートが手厚い、iPhoneに人気が集まった。こうして、日本メーカー離れが進んだ結果、フィーチャーフォンの時代にはシェアの高かった日本メーカーのシェアは大きく低下し、多くのメーカーが携帯電話事業からやむなく撤退することとなった。そして、Appleは日本の携帯電話業界のメーカー勢力図を大きく塗り替えていき、異国のスマホが市場の大半を占拠するという異常事態が発生することとなった。
販売・価格・契約
要約
視点
日本
2021年9月現在、日本におけるAppleの公式な通信事業者(キャリア)はソフトバンクモバイル(現:ソフトバンクKK、2008年7月11日発売開始のiPhone 3Gより)、KDDI(au、2011年10月14日発売開始のiPhone 4Sより)、NTTドコモ(2013年9月20日発売開始のiPhone 5s/5cより)、楽天モバイル(2020年に発売されたiPhone 12シリーズ/SE (第2世代)より、ただし取り扱い開始は2021年4月23日)である。キャリアの販売サイトを通じて購入する場合、4キャリアともに端末と回線をセットで提供しており、楽天モバイルを除く3キャリアのiPhone本体にはSIMロックがかけられている。しかし、AppleがSIMロックフリーの端末を香港で販売していることを利用して、2010年8月より日本通信がSIMロックフリー端末専用の回線(電波)のみの提供を開始した。海外で販売されているSIMロックフリーのiPhone 4/3GS用にtalking b-microSIM Platinum Service/talking SIM Platinum Serviceという通信(携帯電話)事業サービスのみを提供する(端末自体は自分で手に入れなくてはならない)。ほかのMVNO各社も独自にiPhoneでの動作検証を行っているところもある。
日本通信のサービスに対して、Appleから公式なアナウンスは一切出ていない。日本通信が、海外でのみ販売されているSIMロックフリー版iPhone 4の端末を利用した、国内で単独で行っているサービスである。そのため、2010年8月ごろ以前は故障など購入後のサポートに関して、ソフトバンクモバイルはもちろんのこと国内でのAppleのサービスも受けることができなかった[273]。現在ではAppleのサービスを受けることが可能[274]。
2013年11月22日、日本でもSIMフリーのiPhoneの販売がApple Storeにおいて開始された[275]。
2021年4月22日、楽天モバイルよりiPhoneを取り扱うことが発表される。楽天モバイルで販売されるiPhoneに関しては、SIMフリーである。正式にiOSへの正式サポートとなる。
ソフトバンク
SoftBankブランド
価格、サービス概要に関しては2008年7月4日、同社のサイト[276]で公開された。
日本国内での発売日は2008年7月11日で、ソフトバンクショップと一部の家電量販店で一斉に販売開始された。なお、日本のApple Storeでは当初デモ機の展示、ワークショップ、購入後のサポートおよび各種アクセサリーの販売のみに留まっていたが、2008年12月16日から本体の販売が開始された。
契約
iPhoneの仕様・インターフェイス・操作性は、日本で販売されている一般的な携帯電話とは異なるため、販売店ではiPhoneを販売する前に「iPhone ご契約に際してご注意項目」を説明し、内容を確認した旨の署名を求めている。
ただし、説明用書面に記されている「いかなる状況においてもキャンセルできない」や「キャンセルは受付しませんのでご注意ください」との文言は、消費者契約法などに照らして無効であると特定非営利活動法人消費者機構日本は指摘している。また、同機構は、他機種の第3世代携帯電話では通話・通信が正常に可能であるのにiPhone 3Gでは通話・通信に不具合が生じる場合がある点についてiPhone 3G自体に由来する瑕疵であるとし、その瑕疵の存在を契約前に確認していなければ、民法上、契約を解約できるようにするべきだと指摘している[277]。
MMS/メール
2009年6月に実施のiPhone OS 3.0アップデートによって、iPhone 3Gおよび出荷時からこのOSを搭載したiPhone 3GSはMMS(S!メール)に対応し、@softbank.ne.jpドメインによるメールの送受信が可能になった。このため、iPhone購入時はMMSである@softbank.ne.jpとEメール(i)として一般のPCメールに分類される@i.softbank.jpの2つのメールアドレスが付与される。MMSはメッセージアプリで、Eメール(i)はメールアプリで送受信する。
Eメール(i)と呼ばれる@i.softbank.jpドメインのEメールはiPhoneがMMSに対応していない時から用意されている物であり、プッシュ配信ではないが「メッセージを受信しました」という画面表示と着信音によってメールの新着が通知される。これはプッシュ配信が当たり前であるケータイメールが普及している日本市場のために、iPhoneが MMS(S!メール)に対応していないときにSoftBankが構築した独自のシステムである[278]。2013年12月10日からEメール(i)でのプッシュ通知に対応、順次ユーザーが使用できるようになる[279]。
また現時点では、デコレメール(一部は受信可能。送信は不可)は利用不可(MMSには対応していないが@i.softbank.jpおよびPCメールアドレス使用で受信は可能である。またデコレメールを送信できるアプリもある)。
USIMカード
USIMカードはiPhone専用となり、既存のSoftBank 3G契約のUSIMカードは使用できない。また、iPhone専用のUSIMカードをほかのSoftBank 3G端末に使用することもできない[注 7]。
独自のサービス
2008年10月30日に、ソフトバンクモバイルから自社のiPhoneユーザのみに対する新たなサービスと機能が追加が発表された[280]。
発表内容は次の3点である。
- ソフトバンクテレコムによる公衆無線LANの「BBモバイルポイント」を無料で利用できる「公衆無線LANし放題」を提供すること。
- 2010年6月からこれを発展させた「ソフトバンクWi-Fiスポット」を開始している。
- iPhone 3G専用の「TV&バッテリー」(ワンセグチューナーと無線LANとバッテリーを内蔵)を2008年内に発売する予定であること。
- 「TV&バッテリー」は2008年12月31日にソフトバンクの直営店舗である、ソフトバンクショップ仙台クリスロード、渋谷、六本木、表参道、八重洲中央、名古屋、横浜ザ・ダイヤモンドの7店舗で先行販売された。そして新年が明けて1月1日にApp Storeよりワンセグ視聴アプリ「テレビ」の無料配布が始まりiPhone 3Gでワンセグ視聴が可能となった。2009年1月6日に「TV&バッテリー」の全国販売が1月9日からであることが発表された。
- 2010年1月からは「TV&バッテリー」で受信したワンセグ映像を、無線LAN使用時にインターネット経由で遠隔受信可能にする「TVモバイル」が開始している(有料)。
- 2008年内に絵文字の送受信に対応すること。
絵文字
絵文字に関しては、iPhone OS 2.2(2008年11月21日配信開始)より対応した。絵文字が送信できるのは、SoftBankのメールアカウントおよびSoftBank SIMを使っている、OS バージョン2.2以降のiPhoneのみである。SMS、MMS、Eメール(i)作成時において絵文字キーボードが表示される。キャリア間の相互変換については下記の通り。
- ソフトバンク、ディズニー・モバイル 2008年11月21日対応
- イー・モバイル、ウィルコム 2009年1月22日対応
- KDDI 2009年2月25日 iPhoneへ送信対応(iPhoneからauへの送信は2009年2月26日対応)
- ドコモ 2009年6月1日 iPhoneへ送信対応(iPhoneからドコモへの送信は2009年2月26日対応)
利用可能な周波数帯
iPhoneの3G対応周波数帯は3Gと3GSでは850MHz帯・1.9GHz帯・2.1GHz帯のトライバンド、4と4Sでは900MHz帯を加えたクワッドバンド対応となっているが、日本国内では周波数割り当ての関係上2.1GHz帯のみ使用可能だった(これはソフトバンクだけでなくドコモも同様である)。2012年3月1日にソフトバンクに900MHz帯が割り当てられ、同年7月25日より「プラチナバンド」としてこの周波数帯が使用可能になると、iPhone 4/4Sでもこの周波数帯による通信が可能となる。
iPhone 5のLTE(SoftBank 4G LTE)については、当初は2.1GHz帯のみ使える形だったが、2012年10月1日のソフトバンクとイー・アクセスとの業務提携を受け、2013年3月21日よりイー・モバイルの1.7GHz帯が使える「ダブルLTE」を開始している[281]。iPhone 5s/5cでは900MHz帯に対応するが、同帯域でのLTEサービスは2014年4月以降開始予定となっている[282]。また、6/6 PlusではTD-LTE互換サービスであるSoftBank 4G (AXGP) の2.5GHz帯にも対応、Hybrid 4G LTE対応端末となる。6s/6s Plusでは4G LTE/4Gそれぞれでキャリアアグリゲーションにも対応し、それぞれ下り最大 187.5 Mbps / 165 Mbps で通信が可能となる[283]。
Y!mobile
Y!mobileブランドでの展開は、旧イー・アクセス時代から、SoftBankブランドとの差別化などからiPhoneの取り扱いはしてこなかった(ただし、Google Nexusシリーズなどを独占対応していた)。
しかし、2016年3月4日より、2世代前のiPhone 5sで参入することになった。その後、2017年3月25日より、iPhone SE(iPhone 5sの後継機)を新たに追加した。2017年3月25日はiPhone 7,iPhone 7 Plus (PRODUCT)REDの発売日でもある。
2018年12月20日より、iPhone 7の取り扱いを開始した[284]。
なお、最新機種などの取り扱っていない機種については、Apple Storeなどで購入したSIMフリー版およびSIMフリー化されたキャリア版iPhoneであればSIMカードを差し替えるだけで利用することができる。ただし、最新世代のiPhoneにはY!mobileのキャリア情報が入っていないため、別途、APN設定用のプロファイルをダウンロードする必要がある[285]。
契約
従来のAndroid端末の契約同様、タイプ1でのスマホプランS/M/L、スマホベーシックプランS/M/Rから基本料金を選択する形となる。
スマホプランでの購入時には、バリュースタイルが適用になり、毎月の料金から契約翌月から24か月間割引が適用される。ただし、S/M/Lの違いで割引額がそれぞれ異なる。
MMS/メール
MMSは、@ymobile.ne.jpが割り当てられる。Androidやガラホ同様、PHSのアドレスを継承することもできる。また、EMOBILE 4G-Sからの契約変更の場合もメールアドレスは継承できる。
これとは別に、Androidスマートフォンの契約同様に@yahoo.ne.jpのアドレスも利用できる。
USIMカード
iPhone端末の購入を伴う契約をした場合は、n141が発行される。SIMのみ契約をした場合は、Androidやガラホと同様のn101やn111が発行される。ビジュアルボイスメールはn141のみ可能である。
利用可能な周波数帯
タイプ1契約のため、基本的にはSoftBankブランドと同様となる。
KDDI・沖縄セルラー電話(各au)
従来、auにおいては通信方式が異なるため、物理的にau回線を使用したiPhoneを発売・利用することは不可能であった。
しかし、2011年初頭にアメリカ合衆国の携帯電話会社であるベライゾン・ワイヤレスから“CDMA版iPhone 4”が発売されたことを受けて、「同社と同じ通信方式を備え持つauからも発売されるのではないか」という憶測が飛び交い始めた。そんな中同年9月22日、「KDDIも新型iPhoneを発売することをAppleと調整している」と突如日経ビジネスが報道したことを皮切りに、各種メディアが一斉に報じた[286]。しかし、結局iPhone 4のCDMA版については同社が販売することはなかった。
そして、2011年10月5日(日本時間)、開催されたAppleの発表会において新モデル「iPhone 4S」を同月14日から発売を開始し、このモデルよりauでのiPhone提供が正式発表された。同月7日にはKDDIから料金などの詳細も発表され[287]、10月14日、発売開始となった。
このKDDIによるiPhoneは、au_ICカード(4SはmicroSIMカードと同じ形状、5以降はnanoSIMカードと同じ形状)を本体のSIMカードスロットに差して使用する。画面上部には「KDDI」、iOS 7以降は「au」が表示される。ただし、同社の一連のスマートフォンシリーズ(ISシリーズ・Lシリーズ)にはラインナップされていない。安心セキュリティパックに関してもサポートされず、代わりに「AppleCare+」を受けることとなる。
契約
店頭受付となり、当初はauショップおよびPiPitを含む一部のトヨタディーラー各店、量販店など全国1,200店舗で取り扱っていたが、半年以内に取り扱い店舗を順次拡大した。
なお、新規契約であっても郵便局のお取次サービス特典対象外となっている。
料金
従来通りの料金プランが利用可能なほか、iPhone利用者向けにパケット定額サービス「ISフラット」(4Sでの場合。5以降は「LTEフラット」)の利用料を割り引くキャンペーンも実施する。
SMS / MMS / メール
SMS(「Cメール」)は「SMS(i)」として提供。当初はパケット通信を利用していたため、その料金が別途発生していた(定額料金の対象にはなる)が、現在はパケット通信を使用しない。国際SMSにも対応している。キャリアメールであるEZwebメール(@ezweb.ne.jp)はiPhone 4S発売時から利用可能。当初はMMSは利用できずメールアプリを使用する形で、プッシュではなく最短15分おきのフェッチ取得だった。2012年3月13日から、リアルタイム着信通知機能に対応した。このリアルタイム着信はソフトバンクで行っているSMSを利用した新着通知方式ではなく、iOSメールアプリがサポートするプッシュ取得による、完全なリアルタイムでのメール取得と新着通知である。ただし、フェッチ取得でのメールアカウントとプッシュ受信でのメールアカウントは別扱いのため、リアルタイム着信を利用するには設定しなおす必要がある[288]。
絵文字の利用は当初はiPhone同士でのみ可能であったが、2012年1月27日からはauのほかの携帯電話および他社携帯電話とのEメールでの絵文字の利用が可能になった。
2012年4月14日からはキャリア設定のアップデートによってMMSの使用が可能となった。auのiPhone同士であれば電話番号を宛先にすることができる。これによってメッセージアプリでEZwebメールをMMSとして送受信できるようになり、購入時は、メッセージアプリで送受信するMMSとして設定されている。ただし、デコレーションメールの受信には未対応で、Wi-Fiのみでの接続時には受信ができないほか、メールアプリで送受信するリアルタイム受信はメッセージアプリで送受信するMMSと併用できず、いずれか1つを選ぶ必要がある(フェッチ受信するようメールの設定を変更すれば、アプリ自体の併用は可能)。メールアプリで受信していて、メッセージアプリでの受信に切り替える際、メールアプリで受信したメールはMMSには引き継がれない仕様となっている。なお、au内であってもiPhone以外の移動機はMMSに対応しないため、電話番号のみで長文や画像の送信をすることはできない。また、SMSと違いMMSはキャリア間相互接続されていない。
このほか、iMessageは2012年3月8日にリリースされたiOS 5.1で対応、ビジュアルボイスメールも2012年4月14日のキャリア設定のアップデートで対応している。
独自のサービス
auがほかのスマートフォンなどで展開しているサービスは対応を検討している。公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」は2011年12月に対応した。2012年3月21日からは「待ちうた」への対応も行われ(新規楽曲購入サービスは同年5月9日開始)[289]、2012年9月21日からは「auスマートパス」の対応も開始した[290]。
2016年8月17日より、iTunes Store、およびApp Store、Apple Music、iBooksがau版iPhone、およびau版iPadの月額料金と合算して支払える「auかんたん決済」を利用した決済に正式対応となった(日本の大手通信キャリアとしては史上初。ただし法人の契約者は対象外となる)[291]。
海外利用の際にはグローバルパスポート(のちにau世界サービスに改称)を利用した国際ローミングが利用可能で、通信の際にはCDMA/UMTS(W-CDMA)/GSMのいずれかが利用可能となる。
au ICカード
au ICカードはiPhone 4SではマイクロSIMサイズのMicro 02が、iPhone 5以降ではau Nano ICカード (6) (LTE) がそれぞれ使用されている。auの場合は携帯電話本体とSIMカードが紐付けされ、他人のSIMに差し替えたとしても使用できないようになっているが、au向けのiPhone 4Sではキャリア内ロックがかかっていないため白ロムを通販やオークションなどで購入した際、ロッククリアの手続きは不要。なお、カードは通常サイズのVer.002と同一の扱いとなるため旧800MHz帯のみの対応機では使用できない。ソフトバンクとの違いはSIMをほかのマイクロSIM対応のauスマートフォンに差し替えての使用ができるが、通常サイズのSIMに変換するアダプターは保証していないため差し替え時には注意が必要となる。ロッククリアは一部ロッククリアの解除をしなくてもよい機種ではそのまま使用ができるが、ロッククリアの必要なマイクロSIM対応の機種以外はauショップの対応によりできない場合がある。
利用可能な周波数帯
iPhone 4SではCDMAモデルの使用帯域が800MHz帯と1.9GHz帯のみだったため、auで使用できるのは800MHz帯(いわゆるN(新)800MHz帯)だけで、EV-DOもRev.Aのみだった。iPhone 5からは2.1GHz帯も対応するようになったため、auでも同帯域を使えるようになったほか、EV-DOもRev.B (MC-Rev.A) をサポートし、WIN HIGH SPEEDによる高速通信が使用可能となった。6s/6s PlusではRev.Bに対応しなくなったため、WIN HIGH SPEEDも使えなくなる。
LTEはiPhone 5においては2.1GHz帯のみで、au 4G LTEでAndroid端末がメインにしているN800MHz帯や1.5GHz帯は使用できなかった。5s/5cからはN800MHz帯にも対応することでサービスエリアが広がった。6/6 Plusでは2.1GHz帯とN800MHz帯に加え、WiMAX2+ (TD-LTE) で使用されている2.5GHz帯にも対応、さらにN800MHz帯と2.1GHz帯のキャリアアグリゲーションにも対応することで、LTEで下り最大150 Mbps、WiMAX2+で下り最大110 Mbpsでの受信速度で高速通信が可能となる。6s/6s PlusではLTE-Advanced(カテゴリー6)への対応とWiMAX2+でのキャリアアグリゲーションのサポートが行われるため、それぞれ下り最大で225Mbps/220Mbpsでの通信が可能となる[292]。
NTTドコモ
日本最大手の携帯電話会社であるNTTドコモは、日本国内でiPhoneが発売されてから、iPhoneを取り扱うかその去就が注目されてきた。2013年9月11日にiPhone 5s/5cの発表が行われた際にドコモが提供することが発表され、Appleと共同でニュースリリースを発表している[293]。同年9月13日にはサービス内容の詳細と料金体系が発表されている。
契約
ドコモでの契約・販売は、全国のドコモショップで行われている。
料金
料金プランは基本的にほかのXiのスマートフォンと同様だが、パケット定額サービスが「Xiパケ・ホーダイ for iPhone」のみ用意されており、「Xiパケ・ホーダイ ライト」「Xiパケ・ホーダイ ダブル」の設定がなかった。現在は、「カケホーダイプラン」もしくは「データプラン」のみ選べる。また、iPhone本体はau・ソフトバンクモバイル版と同様にキャリア設定によりAPN設定画面がロックされており、利用可能なISPサービスは専用の「spモード」のみとなる。端末価格はソフトバンクやauに比べると高く設定されているが、各種割引施策によって2年間利用後の実質価格が2社よりも安くなるようになっている[294]。
SMS / MMS / キャリアメール
SMSは2013年9月20日の発売から対応する。docomo.ne.jpドメインのキャリアメール(spモードメール)は、MMSではないためメッセージアプリでは送受信できない。そこで同年10月1日から、docomo独自のアプリではなくiOSの標準メールアプリにdocomo構成プロファイルをインストールすると、spモードメールおよびメッセージR/F/Sが利用可能となる。しかし、開始時点ではプッシュ取得には対応せず、最短15分間隔でのフェッチもしくは手動取得となった。2013年9月20日から10月1日までの間に受信されたメールは、spモードセンターに蓄積され10月1日以降に閲覧できる[295][296]。spモードメールの後継となるドコモメールは12月17日に開始し、新着メールのプッシュ通知には対応したが、プッシュ自動受信には対応していなかった[297]。ドコモメールのプッシュによる自動受信は、当初2014年1月中旬と予告されていたが[298]、実際に自動受信に対応したのは2014年9月24日であった[299]。
独自のサービス
これまでスマートフォンで展開してきたサービスのうち、留守番電話サービス(ビジュアルボイスメールは2015年1月21日より対応[300])などの通話関連サービスや公衆無線LANサービスのdocomo Wi-Fiなどが2013年9月20日の販売開始より対応する。コンテンツ配信サービスのdマーケットやiコンシェル、iチャネルなども順次提供を開始、おサイフケータイやNOTTVについては、前述の外部機器を使うことで対応可能となっている。
一方でドコモ電話帳などには未対応、または対応時期未定となっており、mopera UもiPhoneで使用できるISPが「spモード」に固定されているため使用できなくなっており、iPhone 5s/5c契約時にiモード、mopera Uを契約していた場合、自動解約となる[295][296]。このほか、ドコモプレミアクラブ安心サポートには対応せず、保証を受けるには、AppleCare+やケータイ補償サービス for iPhone & iPadに加入する必要がある。
利用可能な周波数帯
3GサービスのFOMA、LTEサービスのXiともに対応し、FOMAは2GHz帯と800MHz帯(FOMAプラスエリア)で使用可能だが、1.7GHz帯と新800MHz帯には対応しない。Xiは800MHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯で使用可能で[301]、6s/6s PlusではLTE-Advancedに対応したことから、PREMIUM 4Gのキャリアアグリゲーションによる高速通信サービスに対応、東名阪地域(2GHz帯(ごく一部のエリアでは800MHz帯)と1.7GHz帯)で下り最大262.5Mbps、それ以外の地域(2GHz帯と800MHz帯)で下り最大187.5Mbpsでの通信が可能となる[302]。
楽天モバイル
第4のキャリアとして2020年4月にサービスを開始したが、開始当初からiPhoneユーザーよりサポートを望まれており、iOS版のRakuten Link、My楽天モバイルをリリース。公式ホームページ上では、正式サポートはしていないが利用できることのみ記載。
2021年4月22日、楽天モバイルのカンファレンスにてiPhoneの販売・サポートが正式発表される。
アメリカ合衆国
2011年まで、iPhoneのアメリカ合衆国でのキャリアはAT&Tのみであり、初代の価格は2年間契約の縛りつきで4 GBモデルが499ドル、8 GBモデルが599ドルだった。2007年9月5日に、4 GBモデルの生産停止と8GBモデルの値下げが発表され、4 GBモデルの在庫が299ドル、8 GBモデルが399ドルとなった。この値下げは既存の購入者から反発が大きく、8 GBモデルの購入者に100米ドルのApple Storeカードが配布される事態となった[303]。2008年2月5日には16 GBモデル (US$499) が追加された。その後の本体価格は、2代目であるiPhone 3Gが2年縛りで8 GBモデルUS$199、16 GBモデルUS$299。3代目のiPhone 3GSと4代目のiPhone 4は2年縛りで16 GBモデルUS$199、32 GBモデルUS$299となっている。
アメリカでは、従来の携帯電話の大半は端末の売りきりだったが、iPhoneはユーザの月間料金の一定の割合がオペレータからAppleへ支払われる収入配分方式 (Revenue Sharing) をとっている。アクティベーションと契約プランの選択、番号ポータビリティの手続きなどは、初代は本体購入後にユーザがiTunesで行う形式だったが、2代目のiPhone 3G以降は、店頭もしくはオンラインで本体の購入と同時に行う形態へ変更された。初代は後払い式のほかにプリペイド式を選ぶこともできた。プリペイド式は後払い式より割高だが、ソーシャルセキュリティーナンバー (SSN) を所持していない、もしくはクレジットスコアが低くAT&Tの審査を通らない人も契約することができた。しかし2代目のiPhone 3G以降は、プリペイド式は廃止された。
iPhoneのデータ通信は3代目のiPhone 3GSまでは、どのプランを選択しても定額になっていたが、AT&Tの無線パケット通信は輻輳寸前となってしまった。2009年時点で、AT&Tのデータトラフィックは2年前の500倍に膨れ上がっていた[304]。AT&Tのパケット通信は、エリアや能力にムラがあり、特にヘビーユーザの多いニューヨークとサンフランシスコは深刻となった[305]。結局2010年6月、4代目のiPhone 4の発表とともに新規契約者に対するデータ通信の定額制は廃止された[306]。2011年2月から、アメリカ合衆国でのキャリアにベライゾンが加わり[307]、同年10月からはスプリントも加わり、2013年4月にはT-Mobile USも参入した。ベライゾンも当初は定額制のデータ通信プランを提供していたが、AT&Tと同様に現在は廃止している。
IPhone 4S以降、AppleによりSIMフリーモデルの販売も開始されている。
2017年現在、アメリカ国内各キャリアが、過去に発売されたすべてのiPhoneのSIMロック解除をユーザーの求めに応じて行っている。
ヨーロッパ
イギリス
当初、イギリスにおける独占キャリアはO2と発表された。
O2に加え、2009年11月よりOrange UKもiPhoneに参入し、2つのキャリアからの展開となった。
2010年1月14日からボーダフォンもiPhoneに参入し、O2, Orange, Tesco Mobileに続き4番目のiPhone提供キャリアとなった。
ドイツ
ドイツでは、T-Mobileが独占キャリアに選ばれた。
しかし、ヨーロッパにおけるiPhoneの独占権獲得競争に敗れたボーダフォンからのAppleおよびT-Mobileに対する販売差し止め請求を裁判所が認め、携帯電話契約の義務づけを禁じる差止命令を出した。そのために、iPhoneをT-Mobileで契約している場合、追加料金600ユーロでSIMロック解除に応じ、SIMロックフリーかつT-Mobileとの契約なしの8GBモデルiPhoneを999ユーロでの販売を余儀なくされた[308][309]。
さらに、2010年10月29日より、O2・ボーダフォンが参入した。
フランス
フランスではOrangeが独占キャリアとなった。
しかしながら、フランスでは国内法により発売後3か月が経過したiPhone含め携帯電話のロック解除に応じなければならないうえに、契約なしSIMフリーのiPhoneも並行して販売しなければならない。
これは、キャリアの囲い込みを禁じ、ユーザからの求めがあった場合、キャリアは端末をアンロックする手段を提供しなければならずSIMロック端末と同時にロックなしの端末も販売せねばならないという法律によるものである。
SIMフリー版
2017年時点で、ヨーロッパのすべての地域でSIMロックフリー版も発売されている。
プライバシー
要約
視点
トラッキング防止
Appleは2021年4月にリリースしたiOS 14.5でApp Tracking Transparency(ATT)を導入した。ATTは、アプリが他のアプリやウェブサイトをまたいでユーザーをトラッキングする前に、明確な許可をユーザーから取得することを要求するものである。ユーザーが許可しなければ、そのアプリはAppleの広告用識別子(IDFA)にアクセスできず、パーソナライズド広告の配信に利用できない[310]。ただし、ATTはアプリ内でのユーザー行動に基づくパーソナライズド広告を禁止していない[311]。この機能は反競争的だとして批判されており、例えばFacebookはATT導入後に株価が26%下落した[312]。一方でAppleは自社アプリをこのトラッキング防止措置から除外しており、この点がフランスおよびドイツの政府による反トラスト調査の対象となっている[313][314]。
位置情報追跡論争
2010年7月、AppleはiPhoneユーザーのGPS座標と近隣のWi-Fiネットワーク情報を一日二回収集していると主張したが、『ウォール・ストリート・ジャーナル』の調査でGoogleのAndroidはこのデータを「1時間に数回」送信していることが判明した[315][316]。
2010年9月、フォレンジック専門家のクリストファー・ヴァンスは、iPhone利用者の位置情報が記録された「consolidated.db」という暗号化されていない隠しファイルを発見した[317][318]。このファイルは2010年6月リリースのiOS4アップデートで追加されたものであるが、それ以前のiOSバージョンでも"h-cells.plist"という類似の位置情報ファイルが保存されていた[319]。2011年4月20日、『ガーディアン』は調査研究者のアラスデア・アランとピート・ウォーデンが発見した、iPhoneに物理的にアクセス可能な者なら過去1年間のユーザーの位置情報を詳細に取得可能だとする報告を取り上げた[320]。さらに、このファイルはiTunesによってiPhoneを同期した任意のコンピュータに自動的にバックアップされていた[321]。ウォール・ストリート・ジャーナルの調査で、位置情報サービスがオフの場合でもユーザーの位置情報は保存されていたことが判明した[322]。この論争はアメリカ議会による監視と連邦通信委員会(FCC)による調査を引き起こし、メディアでは「Locationgate」と称された[318][323]。
Appleは2011年4月27日に声明を出し、この情報が位置情報の高速かつ精度の高い特定のため、近隣のWi-Fiホットスポットや携帯基地局をキャッシュするために用いられていると説明した。また、位置情報サービスをオフにしている際にも情報が収集されていた件や1年以上キャッシュが保存されていた件はバグであるとした[323]。さらにiOS 4のアップデート(4.3.3版およびCDMA版iPhone 4向け4.2.8版)が配信され、キャッシュサイズの削減や暗号化、iTunesへのバックアップ停止、位置情報サービスオフ時のキャッシュ完全消去等が実施された[324]。しかし2014年7月、国営中国中央電視台はiPhoneの位置情報追跡を「国家安全保障の懸念」と報じた[325]。
現在のiPhoneには「頻繁な場所」データベースが搭載されており、ユーザーが訪れた場所と到着・出発の正確な時間が記録され、これが裁判で利用される可能性を懸念する声がある[326]。この機能はオフにすることが可能である[327]。
子どもの安全を巡る論争
2021年8月、AppleはiCloudフォトにおいて児童虐待画像をスキャンする計画(「NeuralHash」というアルゴリズムを使用)や、iPhoneを使う子どもが送受信する露骨な画像をフィルタリングする「会話の安全性」機能を同年内に展開予定と発表した[328]。90以上の政策・人権団体が両機能を非難する公開書簡を送付した[329]。NeuralHashをクラウドではなく端末上で実行するAppleの計画は、EFFやセキュリティ専門家から「バックドア」と批判され、その機能が将来的に他のコンテンツ検出に拡張されユーザーのプライバシーを低減させる懸念が指摘された[330]。Apple側はこのシステムは「誤解されている」と主張し[331]、2022年12月に写真スキャン機能の実装は永久に取りやめると発表した[332]。一方、「会話の安全性」はiOS 15のバージョン15.2で追加された[333]。
セキュリティ
要約
視点
AppleのiOSオペレーティングシステムは、Androidに比べて一般的なマルウェアに対する安全性が高いと一部のセキュリティ専門家に評価されている[334]。モバイルマルウェアのうちiOSを標的とするものは1%未満である[335]。
2014年以前、iPhoneは「メッセージ、写真やビデオ、連絡先、音声録音[…]通話履歴」を暗号化せず保存しており、法執行機関によるアクセスが容易であった[336]。これはiOS 8でファイル単位の暗号化が採用され変更された。Appleは復号キーを保持せず、政府から令状があってもユーザーデータの開示を強制されない[337]。一方、GrayshiftやCellebriteといった企業はユーザーのパスコード無しにiPhoneからデータを抽出できる脆弱性攻撃を開発している[338][339]。
2015年及び2016年にはAppleと連邦捜査局(FBI)の間で暗号化を巡る紛争が発生した。FBIはサンバーナーディーノ事件の犯人のiPhone 5cおよび、その約1か月半前のiCloudバックアップを回収し、All Writs Actに基づく令状を用いて、解析のためにパスコードへの総当たり攻撃を可能にするiOS改変をAppleに求めた[340][341]。ティム・クックは企業サイト上で暗号化の必要性を説明し、バックドアの設置は全ユーザーのプライバシーを脅かすとして反論した[342]。FBIは後にiPhoneのパスコード回避のエクスプロイトを入手し、要求を撤回した[343]。この対策としてAppleはUSB Restricted Modeを実装したが、これもすぐに突破されている[344][339]。
2016年にはiOSおよびAndroidを標的とするPegasusマルウェアスイートが発見され、国際的な報道で大きく取り上げられた[345]。Pegasusの一部の攻撃はゼロクリック攻撃であり、ユーザーの操作なしに悪意のあるiMessageを送信するだけで完全感染が可能で、通知すら発生しないこともある[346]。Pegasusはチャット、パスワード、写真を含むほとんどのデータを収集し、リモートでマイクやカメラを起動可能である[347][348]。AppleはFORCEDENTRYを含むPegasusの既知の脆弱性修正を迅速に行ったが、依然として新たなエクスプロイトが使用され続けている[349][350]。Appleはバグバウンティプログラムを導入し、iOS 16にオプションのロックダウンモードを追加し攻撃対象面を減らしている[351][352]。一方、多くのセキュリティ研究者はAppleのバグバウンティ報酬が低額で対応が遅いことやコミュニケーション不足を批判し、2人のAppleの社員がThe Washington Postに対し「未修正のバグが大量にあり対応が追いついていない」と語っている[353]。
Pegasusの著名な標的にはジャマル・カショギや多くの活動家、実業家、政治家が含まれる[354]。Pegasusは2011年から広く使用されており[355]、2022年7月時点でも法執行機関や政府によって利用されている[356]。
評価と発売後の発展
要約
視点
初代iPhoneは「革命的」と称され[357]、「画期的な携帯コンピュータ」と評され[358]、「これまでに作られた中で最高の電話機」とも評された[359]。現在ではAppleで最も売れている製品であり、2011年にはAppleを世界で最も価値のある上場企業の一つに押し上げたとされている[360]。以降のモデルも高い評価と多数の賞を受けている[361][362]。
iPhoneの登場前はスマートフォンが主にテキストメッセージ、通話、メールに用いられ、より高度な機能は小さい画面での使用が難しく不便であった[363]。開発も困難であり、2008年に登場したApp Storeのような活発なアプリエコシステムも存在しなかった[364][365]。多くの携帯電話は通信キャリアにより過度にカスタマイズされ、機能が分断されており、これが成功したソフトウェアプラットフォームに成長するのを阻害していた[366]。これに対しAppleのiPhone SDKは幅広いAPIを提供し、モバイル開発を飛躍的に容易にし[367][368]、多機能かつ多様なアプリを備えた「スイスアーミーナイフ」へとiPhoneを変貌させた[363]。
歴代のiPhoneのモデルは多くの熱狂的なファンを生み、発売日には多くの顧客がApple Storeの前に行列を作った[369]。2021年の時点で、iPhoneは他のスマートフォンよりも高いブランド忠誠度を誇っている[370]。
iPhoneの成功は既存のノキア、ブラックベリー、モトローラの衰退をもたらした[371]。RIM、シンビアン、マイクロソフトはすべてiPhoneと競合するために、Maemo、Windows Phone、BlackBerry 10のようなよりモダンなオペレーティングシステムの開発を試みたが、いずれも成功しなかった。GoogleはAndroidプロジェクトを一から再構築し、通信事業者や携帯電話メーカーによる大量導入に対応できる設計を行った[363][372]。現在[いつ?]、iOSとAndroidは世界中で使用されているスマートフォンの99%を占めている[373]。
売上

スティーブ・ジョブズの最初の目標は2008年に携帯電話市場の1%のシェアを獲得することだった[374]。Appleは2007年度第3四半期[注 8]および2008年度第4四半期に初代iPhoneを610万台販売し、2008年度第4四半期および2009年度第1四半期にiPhone 3Gを1130万台販売した[375]。2008年にはiPhoneが世界の携帯電話市場で1.1%のシェアを獲得し、スマートフォン市場では8.2%のシェアを占めた[376][377]。当時、北米で急速に存在感を高め、2009年にはアメリカ市場でBlackBerryに次ぐ第2位のシェアとなった[378]。2010年にはiPhone 3GSがアメリカで最も売れたスマートフォンとなり、iPhone初の市場トップの座についた[379]。
iPhoneの販売は導入以来、2016年度第2四半期まで年間を通じて継続的に成長した[380][381]。iPhoneは2008年度第4四半期に一時的にBlackBerryを上回り[382]、2010年度第3四半期以降は恒常的に追い抜いた[383]。2011年にはAppleは世界で1億台のiPhoneを販売し[384]、売上高ではかつての首位であるノキアを抜き世界最大の携帯電話ベンダーとなった[385]。2012年度第1四半期はAppleの歴史で最高の四半期収益となり、この期間の収益の53%がiPhoneによるものであった[386]。iPhoneの販売は季節性の強いもので、祝日シーズン(Appleの第1四半期)にピークを迎える。iPhone 13のリリースにより2022年度第1四半期にAppleはサムスンを一時的に上回り、8490万台を出荷しサムスンの6890万台を凌いだ。ほとんどの四半期でAppleは出荷台数で第2位である[383][注 9]。Appleは2023年度終了の9月24日時点で2億2300万台のiPhoneを販売した[387][388]
現在[いつ?]、サムスンとAppleがスマートフォン市場を支配し、それぞれ21.8%と15.6%の世界市場シェアを持つ[389]。Appleは製品ラインアップが小規模であるため、多くのベストセラースマートフォンモデルのリストを占める傾向にある[390][391]。市場シェアは低いものの、iPhoneのプレミアム路線により、世界のスマートフォン収益の約半分と利益の80%を占めている。サムスンは残りの20%を占める[392][393]。通信キャリアはiPhoneのアップグレード補助を巡り競い合っており、これはiPhone販売の重要な要因であるが通信キャリアの利益を圧迫している[394]。2016年7月27日、AppleはiPhoneの販売台数が10億台に達したと発表した[395]。2024年1月1日時点で累計販売台数は23億台を超えている[396]。2025年7月、AppleのCEOティム・クックは累計販売台数が30億台に達したと発表した[397]。
他のハイテク製品と比較してiPhoneユーザーは女性の割合が高い[398]。iPhoneは消費者だけでなくビジネスユーザーにも採用されている[399]。iPhoneユーザーはAndroidユーザーよりも収入が高く、端末の使用時間も長い傾向がある[400][401]。アメリカでは特に人気が高く、市場シェアは50%に達する[402]。ティーンエイジャーの88%がiPhoneを使っている[246]。世界的にiPhoneは1000ドル以上の高価格帯スマートフォン市場の78%を占める[402]。
NPDグループによると、2010年にAndroidはiPhoneのインストールベースを抜いた[403]。2021年1月27日のAppleの決算発表で、ティム・クックは世界で10億台のiPhoneが現在使用されていると述べた[404]。
新興市場
他の製造業者が別個のエントリーレベルの携帯電話を製造する一方で、Appleのエントリーレベルの携帯電話は前年のモデルであり、プレミアムブランドを損なうことなく新興市場での市場シェア拡大の一環である[405][406]。また新興市場の趣向を製品設計に反映しており、例えば中国の顧客において金色が人気の高級製品の象徴と見なされていることから、金色のiPhoneを導入した[407]。2017年、Appleは前年のiPhoneモデルの製造をインドで開始し、2022年には現行のiPhone 14の製造も同地で始めた[408]。この背景にはAppleが中国への依存を減らしたい意向と、インドの輸入関税を回避したい思惑があると分析されている[408][409]。2023年、中国政府は政府職員によるiPhoneの使用を禁止し、これは外国技術への依存を減らしサイバーセキュリティを強化する狙いと見なされている[410]。
2024年5月、イランの大統領のモハンマド・モフベルは輸入されたiPhone 14以降のモデルの禁止を発表した。11月には禁止が解除され、代わりに30%の関税が課された[411][412]。
脚注
関連項目
外部リンク
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