スチームボーイ
日本の映画、メディアミックス作品 ウィキペディアから
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『スチームボーイ』(STEAMBOY)は、大友克洋が監督したSFアニメ映画作品。2004年公開。またそれを原作とした漫画やゲーム作品。
漫画家の大友が手がけた『AKIRA』『MEMORIES』に続く3本目のアニメ映画(長編としては2作目)。19世紀のロンドンを舞台に、スチームパンク的な世界で繰り広げられるSF冒険活劇である。総製作費24億円、製作期間9年をかけ[1]、時代設定やメカデザインを徹底的に拘った作品である。総作画枚数18万枚でデジタルと手描きの共演による緻密な映像表現で描かれる。題名は『鉄腕アトム』の米題『ASTRO BOY(アストロ・ボーイ)』へのオマージュ[2]。
1994年に書かれた最初の企画書では40分×3本立てのOVA作品だった[3]。日本初の(フィルム撮影のない)フルデジタル制作の長編アニメ映画というプロジェクトになっていくが、スポンサーとの交渉が難航して準備作業は中断。打開策として大友が企画を買い戻し、バンダイビジュアルを新たな出資者に迎える。1997年10月28日、バンダイビジュアルのデジタルエンジン構想発表の記者会見で、押井守監督の『G.R.M.』とともに製作発表が行われた(1999年公開予定)[3]。ジェームズ・キャメロンやローランド・エメリッヒ、ジョエル・シルバー、ウォシャウスキー兄弟といったハリウッドの大物たちとの共同作業や、フランスのCanal+社との共同出資も模索されたが実現しなかった[4]。
制作はスタジオ4℃で行われていたが、プロダクションI.Gへ制作の相談をしたところ、石川光久社長の推薦によりサンライズへの移管が決まる[4]。制作現場のデジタルエンジン研究所はスチームボーイスタジオに改名された[4]。
2002年末には「2003年秋、東宝洋画系にて公開予定」と発表されたが、制作作業の遅れにより2004年夏公開へと延期。2004年7月17日に国内で封切され、舞台挨拶では続編企画の進行も示唆された[5]。同年9月には第61回ヴェネツィア国際映画祭でクロージング上映され[6]、以後ヨーロッパやアメリカなど海外でも公開された。2005年11月には第78回アカデミー賞長編アニメ映画賞のノミネート候補作に選ばれた[7]。
日本国内における興行収入は11億6000万円[8]に留まり、当初の予想よりも業績を残せなかった。エンターテインメントとして完成度は高いが、『AKIRA』のような作品を期待したコアなアニメファンには物足りなかったのではないか、という見方もある[9]。
舞台は19世紀半ば、産業革命期に科学技術が目覚しい発展を遂げていたイギリス。マンチェスターに住むレイは、親子三代発明一家のスチム家に生まれた、発明好きな少年だった。祖父ロイドと父エドワード(エディ)は、新型蒸気機関研究のため、アメリカのオハラ財団に招かれ渡米していた。
ある日、レイのもとにロイドから不思議な金属の球体が届く。するとオハラ財団の使者が現れ、逃げるレイを捕まえ、ロンドン万博会場のパビリオンに連れて行く。そこで容姿の変貌したエディが現れ、金属球の正体が超高圧の水蒸気を閉じこめた「スチームボール」であり、人類に幸福をもたらす世紀の発明だと教える。パビリオンは、3つのスチームボールを動力源とする科学要塞「スチーム城」だった。レイは父の研究を手伝うことになり、オハラ財団のわがままな孫娘スカーレットと知り合う。
ロンドン万博が開幕すると、スチーム城に各国の軍事関係者を招いて、新兵器の商談会が始まる。オハラ財団はデモンストレーションと称してイギリス軍に攻撃を仕掛け、万博会場は大混乱に陥る。レイはオハラ財団に囚われていたロイドと再会し、エディが新発明を戦争の道具に使おうとしていることを知り、スチームボールを奪ってイギリス軍に渡す。しかし、イギリス軍もスチームボールを利用した兵器で反撃を始める。
エディはスチーム城を空中に浮上させるが、スチームボールが1つ足りないため安定せず、巨体の崩壊が始まる。このままではロンドン市街に甚大な被害を及ぼす。レイはイギリス軍からスチームボールを奪い返すと、スチーム城に届けて墜落までの時間を稼ぐ。レイとスカーレットが脱出するやスチーム城は爆発し、ロンドン上空には水蒸気が冷やされてできた結晶が雪のように舞う。
衣谷遊が作画を務め、講談社の漫画雑誌『月刊マガジンZ』に2005年8月号から2006年9月号まで連載。単行本はマガジンZKCから上下巻が発売されている。内容は映画の前日譚にあたる。
PlayStation 2専用のテレビゲームとして、2005年6月9日にバンダイから発売。開発元はシムス、開発協力はキャビア。主人公レイを操作し、スチームボールを駆使しながら、スチーム城最上階を目指すアクションゲーム。大友監督描き下ろしのラスボスが登場する[10]。
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