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日本の小説家 ウィキペディアから
佐藤 亜紀(さとう あき、1962年9月16日 - )は、日本の小説家。新潟県栃尾市(現長岡市)出身。
夫は、1993年に『イラハイ』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞した佐藤哲也。
栃尾市立栃尾中学校、新潟県立長岡大手高等学校を経て成城大学文芸学部卒業。同大学院文学研究科博士前期課程(修士課程)修了。専攻は18世紀美術批評。大学院修了後の1988年 - 1989年にはロータリー財団奨学金を得て、フランスに留学。
1991年、『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。以後『戦争の法』『鏡の影』などの作品を主に新潮社より発表するが、1999-2000年頃に『鏡の影』が絶版になると、著書の版権を引き上げ同社との関係を断つ(詳細は後述)。
2002年に5年ぶりの長編『天使』を上梓し、第53回芸術選奨新人賞(平成14年度)受賞[1]。2004年にはその『天使』の姉妹編である『雲雀』、2006年には初の評論集となる『小説のストラテジー』を刊行した。2007年刊行の『ミノタウロス』は高い評価を受け、第29回吉川英治文学新人賞、2007年「本の雑誌が選ぶノンジャンルのベストテン」1位を受賞した。2022年、『喜べ、幸いなる魂よ』で第74回読売文学賞受賞[2]。
1999年から2005年まで早稲田大学文学部文芸専修の講座において、小説の創作指導を担当(2002年4月以降は客員教授)。2007年4月より明治大学商学部特別招聘教授として「特別講義」を実施。2008年、2009年にも5月から5回の特別講義を実施した[3]。
好きな日本の作家として篠田節子、笙野頼子、奥泉光を挙げている。近代西洋文学においてはヴォルテール、ドゥニ・ディドロ、マルキ・ド・サド、ジョージ・メレディス、ウィリアム・メイクピース・サッカレー、フョードル・ドストエフスキーらの一部作品を好む[5]。20世紀の文学に関しては、自身のウェブサイトで「二十世紀ベスト」として、ギルバート・キース・チェスタトン、ウラジーミル・ナボコフ、イーヴリン・ウォー、ロベルト・ムージル、ヨーゼフ・ロート、ヴォルフガング・ヒルデスハイマー、リチャード・パワーズ、トーマス・ベルンハルト、ブレット・イーストン・エリスらの一部作品を挙げている[6]。
山田正紀に対しては「四半世紀前に『神狩り』を読んだ時既に終ってると感じられた作家」、小松左京に対しては「二百万死のうと三百万死のうと人類の進歩と調和の前では無、な小松左京的粗野」とコメントしている[7]。
筒井康隆、小林恭二、堀晃、薄井ゆうじとの5名で、「JALInet」(JAPAN LITERATURE net)を発起人として立ち上げている[8]。比較的早い段階から自身の公式サイトを開設しており[9]、いくつかのSNSにおいてもオフィシャルにアカウントを持っている[10]。
佐藤は2000年までに新潮社から3冊の著書(『バルタザールの遍歴』、『戦争の法』、『鏡の影』)を出していた[11]。このうち『鏡の影』は同社から1993年に刊行された。平野啓一郎の「日蝕」は1998年に同社の雑誌〈新潮〉に発表された[12]。
佐藤によれば新潮社は、1998年12月に『鏡の影』を絶版とした。1999年3月には『戦争の法』の文庫版を絶版としながら、同社は佐藤にその事実を連絡せず、1994年4月には佐藤が当時執筆していたウィーン会議を題材とした作品[13]の〈新潮〉掲載について「載せる余地がないので掲載は不可能」として掲載約束を反故にしたという。その後、佐藤は3冊の著書の版権を引き上げることを申し入れたため、『バルタザールの遍歴』も2000年春に絶版となった。同年に佐藤は「今後、新潮社とはいかなるビジネスもしない」と述べている[11][14]。
佐藤によれば、『鏡の影』が新潮社によって絶版とされたのは、「日蝕」が芥川賞候補になってから間もなくであったという。この絶版のタイミングについて佐藤は、同書と「日蝕」が読み比べられることを避けるために絶版とされたのだと「考えたくもなります」と述べているものの、『鏡の影』および雑誌掲載時点での「日蝕」の各々から抜粋して比較対照できそうな箇所はない、と2000年に述べている[11]。
この件はネットやゴシップ雑誌などで盗作疑惑として取り上げられた[15]。佐藤も「ぱくり」「習作段階での補助輪」といったのであり「盗作」とはいっていない、また『鏡の影』と『日蝕』は酷似したプロットである以外はまったく異なる性格を持った作品ではあると主張[16]、違法性のある盗作という言及の仕かたはしていない。
平野は2006年9月のブログにおいて、『日蝕』が1999年に芥川賞を受賞した後に佐藤が『日蝕』について朝日新聞に発表した短い書評を読んだのが佐藤の存在を初めて知った機会であったとしている[17]。平野は2006年9月なかばの時点で佐藤の小説を1行も読んだことがなく、読む意志もなく、佐藤についても関心がないので「『盗作』云々は、あり得ない話である」と述べている。佐藤のウェブサイトに「『日蝕』が佐藤の作品の“ぱくり”である」との佐藤の見解が掲載されていると平野は主張し、“ぱくり”は「盗作」と「要するに同じことである」との解釈を述べたうえで、自身は「『盗作』という屈辱的なレッテルを貼られた」と平野は述べている[18][19]。
佐藤は2011年1月のブログにおいて、『鏡の影』の連続的な一部分と『日蝕』の「プロットの流れがほぼ一致していることを示すための」表を示したあと、「プロットの借用自体は格別問題はない」としつつ、「しかし『日蝕』の作者が濡れ衣を着せられたと嘘を吐いたことは相当に問題だと、今も考えている。私の現在の見解を申し上げるなら、彼は盗作者ではもとよりないが、平気で嘘を吐く男ではある」と批判している[20]。
※第六部以降を加筆し、単行本化予定
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