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キラーストリート
サザンオールスターズの14枚目アルバム ウィキペディアから
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『キラーストリート』(英語: KILLER STREET)は、サザンオールスターズの14作目のオリジナル・アルバムであり、本作のDisc1の13曲目に収録されている楽曲名でもある。2005年10月5日にCDで発売。発売元はタイシタレーベル。キャッチコピーは“「すごいの、頂戴。」名盤保証!!”。
同年11月12日にはレコードとして発売され、2008年12月3日にはCDとして再発売されている。2014年12月17日からはダウンロード配信、2019年12月20日からはストリーミング配信が開始されている[7][8]。
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背景
オリジナル・アルバムとしては1998年発売の『さくら』以来、約7年振りとなる作品[9]。ギターの大森隆志脱退後、5人体制となってから最初の作品でもある。
タイトルは、所属しているレコード会社であるビクターエンタテインメントのレコーディングスタジオ「ビクタースタジオ」沿いにある、外苑西通りの通称「キラー通り」に由来している[9][10]。ジャケットやタイトルは、ビートルズの『アビイ・ロード』のパロディであり、桑田佳祐は『アビイ・ロード』を引き合いに出し、本作を「総ざらい」的なイメージがあると位置付けていた[10]。ただし、そのような覚悟を述べていた一方で、桑田は本作を引っ提げて開催した『Live Tour 2005 みんなが好きです!』の東京ドーム公演のMCでサザンの活動について「これからもゆっくり、命ある限り続きますんでよろしくお願いします」「また28年目29年目、生きている限り30年目よろしくお願いします」と当初から解散をしない旨を強調する発言をしている[11][12]。2009年初頭から2013年夏までサザンは無期限活動休止を選択したが、桑田はその理由の一つに本作品のことに言及し「このアルバムでサザンオールスターズとしてできることを(当時の時点で)すべてやりつくした」旨をラジオで公言している[13]。活動休止をしたこともあり、次作の『葡萄』まで約9年半もの間アルバムのリリースが途絶えることになり、桑田は次作の発売時に上述した「ラストアルバム」「総ざらい」などといった発言への反省の弁を語っている[14]。
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録音
シングル収録曲がカップリング曲含め12曲収録されている。このような量になったのはアルバムのレコーディングに時間がかかり過ぎたためであり、シングルとして発表した曲は、本来シングル用として制作されたわけではなく、アルバム制作の先が見えないので仕方なくシングルカットしたという経緯がある[15]。実際に総レコーディング時間は前作『さくら』の3,000時間を上回る3,300時間となり、自身のオリジナル・アルバムの中では最も長い時間となった。2003年からレコーディングが開始されているが、一部の収録曲に関しては1999年頃に実験的に制作されていた楽曲や2002年の桑田のソロアルバム『ROCK AND ROLL HERO』からのアウトテイクも含まれている。シングル曲は「神の島遥か国」以外は一部アレンジが加えられた[9][10][16][17]。
このアルバムではパーカッションの野沢秀行がヘルニアで休養したため、三沢またろうのサポートを借りてレコーディングされた楽曲が数曲存在する。ベースに関しても関口和之が演奏した曲や、桑田が演奏した曲、関口が考案したベースラインをシンセベースに打ち込んだ曲が存在しており、曲によって異なったニュアンスを出している[18][19][20]。
本作収録曲の本格的なレコーディングにあたり2005年2月に野沢を含めたメンバー全員で鎌倉市のリハーサルスタジオで2泊3日の合宿が行われた。桑田が言うにはレコーディングのためのリハーサル合宿は久しぶりだったといい、新鮮さとともにバンドの原風景を思い出して感動したという[21][22]。
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リリース
発売形態
初回盤特典は「FILM KILLER STREET」と題されたレコーディング風景を記録したDVDと桑田自身によるセルフライナーノーツが付属している[10]。DVDではレコーディング風景以外にもメンバーのインタビュー、前述の鎌倉合宿の映像とエピソード、休養を決めた野沢の心境、レコーディングの合間に夜桜をメンバー・スタッフで酒や食事を囲んで観る姿なども収録された[22]。
2005年11月12日にはレコード3枚組のアナログ盤も発売された。アナログ盤購入特典として、アルバム・ジャケットとキラー通り歩道橋上で撮影され、プロモーション写真に使用されているサザンのアーティストビジュアルの2種が縦横90センチメートル大の特大ポスターとして封入。公式サイトでも一部掲載されている桑田への発売に関するロングインタビューのブックレットも付属している[23]。
再発売
プロモーション
- コマーシャル
2005年4月28日にニューアルバムのリリースの決定が告知され、テレビやサザンのホームページではビクタースタジオで「ごめんよ僕が馬鹿だった」のイントロをメンバー全員で演奏するレコーディング風景の映像を用いている[注釈 1][21]。
同年9月1日にはアルバムのタイトルが発表された。この際にはサザンのメンバー5人がスーツを着て7年間リリースの間隔が空いてしまったことを記者会見で謝罪する内容の広告が制作された[24]。
- テレビ披露
既発曲のテレビ出演に関しては、各収録作品の項目を参照のこと。
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ツアー
本作のレコーディングドキュメントと同年末に掛けて行われた『Live Tour 2005 みんなが好きです!』の東京ドーム公演の模様が、DVD『FILM KILLER STREET (Director's Cut) & LIVE at TOKYO DOME』として2006年に発売された。
批評
後年に桑田は、本作の一部の収録曲についてやや否定的な発言をしており、制作当時を「デジタルを過信してしまった」「マニアックにやり過ぎてしまった」「サザンの一八番であるポップス、バラードに対して自信を失いかけていたのかもしれない」と振り返っている。また、桑田は本作について「リリース当時も悪く言ってたんだよな」と振り返り反省をしている[27]。
公式サイトでインタビュアーを務めた鹿野淳はサザンを象徴する言葉として「そんなことやらなくてもいい」を挙げており、そのうえで二枚組のアルバムの発表、歌唱法、バラード、いわゆるエロ曲を含め「そんなことやらなくてもいいし、誰も想像していなかったことをやる、それがサザンオールスターズの偉大さなのだ」「しかしだからこそみんなを驚かせ、楽しませ、圧倒したのがサザンオールスターズのヒストリーである」とし、このアルバムを「究極の『そんなことやらなくてもいいサザンオールスターズ』の金字塔と呼ぶべきアルバム」と評した[28]。渋谷陽一は後年に本作を「いいアルバム」としつつも「ちょっと情報量が多すぎてプレッシャーを感じますけれども」とも評しており、桑田もそれを認めている[29]。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのRIKUは、小学5年生の時に初めて親に買ってもらったCDが本作であり、家ではサザンをよく聴いていたという。また、母親と初めて行ったライブもサザンであり、ライブを見てよりサザンが好きになったことをコメントしている[30]。
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受賞歴
チャート成績
2005年10月17日付のオリコン週間ランキングで初週63.3万枚を売り上げて、1位を獲得し[32]、登場6週目である同年11月15日付の同チャートでオリジナルアルバムとしては、『Young Love』以来9年ぶりのミリオンセラーを達成した[33]。2008年までに累計112.8万枚を売り上げている[34]。
2枚組オリジナルアルバムによるミリオンセラーは、B'zの『The 7th Blues』以来11年8ヵ月ぶり通算2作目の快挙となった。活動歴が四半世紀以上のアーティストによるミリオン突破は、ベスト・アルバムでは自身の『海のYeah!!』をはじめ、井上陽水の『GOLDEN BEST』や小田和正の『自己ベスト』などの例があるものの、オリジナルアルバムでの達成はオリコン史上初である。これまでの記録は、松任谷由実の『KATHMANDU』のデビューから23年6ヵ月が最長記録で、今回はそれを遥かに上回る27年と5ヵ月という記録を打ち立てた[33]。
オリコンによる本作の登場回数は48回である[3]。
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収録曲
要約
視点
全作曲:桑田佳祐。初回盤・アナログ盤・通常盤共通収録。既発曲の解説は各収録作品を参照のこと。
Disc 1
- からっぽのブルース
- セイシェル 〜海の聖者〜
- 彩 〜Aja〜
- 2004年に発売された48枚目シングル。
- JUMP
- 夢と魔法の国
- 神の島遥か国
- 2005年に発売された51枚目シングル「BOHBO No.5/神の島遥か国」の2曲目。
- 涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜
- 2003年に発売された47枚目シングル。
- 山はありし日のまま
- 原由子ボーカル曲。
- 歌詞の内容は制作当時に原が読んでいた本の物語がイメージの基本になった[37]。メンバーは当初はノラ・ジョーンズやザ・バンドのような方向性を目指していたが、歌詞が載った段階で唱歌的な方向に進んでいった[37]。
- 原はハモンドオルガン、松田はブラシによるドラム、関口はアリアのアコースティック・ベースを演奏した[37]。斎藤は生ギター、片山敦夫は生ピアノ、三沢はコンガで参加した[37]。
- 初回盤特典のDVDでは桑田が自分のキーで仮歌を斎藤と片山に伝える姿や、仮歌[注釈 4]を桑田と原の二人で聴く姿、音合わせのために桑田のギター伴奏のもとで原がメロディを歌う姿、原がハモンドオルガンを重ねていく姿が収録された[22]。
- ロックンロール・スーパーマン 〜Rock'n Roll Superman〜
- トヨタ自動車『MORE THAN BEST』CMソング。
- 歌詞の内容は中学・高校時代の桑田自身を歌っているのかもしれないとしており、桑田が影響を受けたグラムロックのサウンドを意識した楽曲となっている[38]。仮タイトルは「電気男」[17][38]。
- 本楽曲のテンポは制作当初は遅くしていたが、最終的には2段階ほど機械的にアップしている[39]。
- シングル曲を除けば、アルバム曲として唯一ミュージック・ビデオが存在しており、ミュージック・ビデオ集『21世紀の音楽異端児 (21st Century Southern All Stars Music Videos)』に収録されている。
- 直後に行われた『Live Tour 2005 みんなが好きです!』で披露された際には、桑田のアイデアで自身が敬愛するビートルズの楽曲「エリナー・リグビー」がイントロに管楽器によって挿入された[12]。
- 2018年に発売されたベスト・アルバム『海のOh, Yeah!!』に収録されている。
- BOHBO No.5
- 殺しの
接吻 〜Kiss Me Good-Bye〜 - LONELY WOMAN
- 2004年に発売された50枚目シングル「愛と欲望の日々/LONELY WOMAN」の収録曲。
- コーラスの入る部分が1小節早まっている[42]。
- キラーストリート
- 夢に消えたジュリア
- 2004年に発売された49枚目シングル「君こそスターだ/夢に消えたジュリア」の2曲目。
- 限りなき
永遠 の愛
Disc 2
- ごめんよ僕が馬鹿だった
- 八月の
詩 - DOLL
- 49枚目シングル「君こそスターだ/夢に消えたジュリア」のカップリング曲。
別離 - 桑田が言うには歌詞は恋人が亡くなるというストーリーであり、逆に1960年代の歌謡曲を意識したポップな曲調の楽曲。桑田は製作途中で登場する"彼女"の死にテーマを当てたと語っている。歌詞中には長めのセリフが収録されており、今までに遊び感覚や社会風刺のセリフを入れたことはあったが、曲に関係した言わば“真面目”なセリフは新たな試みである。このセリフ部分に関しては桑田は「恥ずかしながら、初めて正々堂々とセリフを挿入してみた」と語っている[49]。
- 三沢またろうのアイディアもありAメロの関口のベースは平山三紀の「真夏の出来事」のようなフレーズになっている。そのベースには斎藤のギターをユニゾンさせている。これはビートルズの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」に倣ったものである[49]。
- 愛と欲望の日々
- 50枚目シングル「愛と欲望の日々/LONELY WOMAN」の収録曲。
- Mr.ブラック・ジャック 〜裸の王様〜
- 君こそスターだ
- 49枚目シングル「君こそスターだ/夢に消えたジュリア」の1曲目。
- シングルには無い桑田のカウントやスタッフのハンドクラップが追加されている[17]。
- リボンの騎士
- 愛と死の
輪舞 - コンセプトは桑田の敬愛するビートルズの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』であり、ジョージ・マーティンの真似事みたいなことをやってみようということがこの曲の制作の発端となった[52]。
- 歌詞はフランス語が多用されており、演劇用語や音楽用語のほか、アンデルセン、ジュペリ、イソップ、クロサワなどの芸術家の名が登場する[53]。
- この曲では関口が「F#(嬰ヘ長調)に対して一度下のE(ホ長調)の音をぶつけて」弾くベースプレイを行っており、当初こそ桑田は反対していたが、結局本人に押し切られている。そのため桑田は「結果すごくカッコイイと思う」「あいつには負けた(笑)」とライナーノーツでコメントした[54]。
- 松田の息子である松田翔がスネアのロールで参加している[54]。
- 恋人は南風
- 47枚目シングル「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」のカップリング曲。
- シングルバージョンと異なり、一部ボーカルが省略されている。
- 恋するレスポール
- タイトルのレスポールをはじめ、ギターメーカーや「Kids Alright」「Hey Joe」「Gently Weeps」といった60年代のアメリカやイギリスのミュージシャンの楽曲名が歌詞に使われている[16]。
- 元々は桑田のソロアルバム『ROCK AND ROLL HERO』製作時に作っていた曲。そのため製作開始は2002年からとなっている[16]。
- 雨上がりにもう一度キスをして
- 47枚目シングル「涙の海で抱かれたい 〜SEA OF LOVE〜」のカップリング曲。
- シングルバージョンと異なり、イントロにはドラムスのフィルインが挿入され、アウトロのボーカルは省略されている。
- The Track for the Japanese Typical Foods called “Karaage” & “Soba” 〜 キラーストリート (Reprise)
- メドレー楽曲。桑田が言うには「とことんバカバカしいまでに遊び半分」「ナンセンスソング」であるという[55]。
- メドレー前部の歌詞には「ホープ軒」「丸屋」が登場するが、これはキラー通り付近に存在する店の名前をそのまま引用している。なお、「丸屋」に関しては現在は閉店している。メドレー後部にはインスト曲「キラーストリート」に歌詞をつけたものが収録されているが、はっきりとは聞こえにくく、桑田が言うには「イタリアっぽい感じのメロディーを、どこかの日本人が詠み人知らずの詩をボソボソ歌っているイメージにしてみた」という。歌詞をつけるアイディアはレコーディング当初からあった[56]。
- 制作当初はメドレー前部を「ワイルド・ハニー・パイ」(ビートルズの楽曲。『ザ・ビートルズ』収録)のような曲と桑田は考えており、1分もあればいいと思っていたが、ビルドアップした結果3分となった[55]。
- 初回盤特典のDVDでは桑田が本楽曲の仮歌[注釈 9]を吹き込んだり、片山がキーボードを重ねるなどの姿が収録された[22]。
- このアルバムの中で最後に歌入れした曲[55][56]。
- FRIENDS
- 48枚目シングル「彩 〜Aja〜」のカップリング曲。
- ひき潮 〜Ebb Tide〜
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参加ミュージシャン
要約
視点
- サザンオールスターズ
- 桑田佳祐 - ボーカル、コーラス、エレクトリックギター、アコースティック・ギター、ベース, シンセベース、キーボード、ハーモニカ、ドラムス・プログラミング、パーカッション、ハンド・クラップス、ドラムス, ジョーズ・ハープ、カウベル、エレクトリックベース、タンブリン
- 関口和之 - ベース、アコースティック・ベース、ウクレレ、コーラス
- 松田弘 - ドラムス、ドラムス・プログラミング、パーカッション、ハンド・クラップス、コーラス
- 原由子 - ピアノ、エレクトリックピアノ、ハモンドオルガン、キーボード、ボーカル、コーラス, ハンド・クラップス、エレクトリック・オルガン
- 野沢秀行 - パーカッション、コーラス
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ライブ映像作品
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脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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