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ゴマ
一年草 ウィキペディアから
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ゴマ(胡麻[3]、学名: Sesamum indicum)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカ大陸に野生種のゴマ科植物が多く自生しているが、考古学の発掘調査から、紀元前3500年頃のインドが栽培ゴマの発祥地であるとされている[4][5]。主に種子が食材や食用油などの油製品の材料とされ、古代から今日まで世界中で利用される植物である。
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名称
中国名は、「芝麻」「胡麻」[1]。紀元前1世紀ごろに西域(中央アジア)から古代中国に渡来した、胡(塞外民族)の麻(油分を含んだ種子の意)として中国名「胡麻」が生まれた。和名「ゴマ」はこれを音読みしたものと言われている[7]。
植物学的特徴

アフリカ原産とされる一年草で、紀元前14世紀ころには、古代エジプトや古代インドで栽培されていたと言われている[7]。
草丈は約1メートル (m) になり、夏(8月)、葉腋に白色の花をつけ、秋に結実して実の中に多数の種子を含む[7]。旱魃に強く、生育後期の乾燥にはたいへん強い。逆に多雨は生育が悪くなる。
歴史

アフリカのサバンナに約30種の野生種が生育しており、ゴマの起源地はサバンナ地帯、スーダン東部であろうというのが有力である。ナイル川流域では5,000年以上前から栽培された記録がある。古代エジプトでは、ゴマは体に良い食べ物とされ、薬用利用などしていたことが、医薬書に象形文字で紹介されている[8]。
日本では縄文時代の遺跡からゴマ種子の出土事例がある。奈良時代には畑で栽培し[9]、ゴマを圧搾しゴマ油を作り食用油として調理したり、燈油として用いた[8]。平安時代の『延喜式』では、ゴマの菓子や薬用利用について記されている[8]。
栽培・流通
日本で使用されるゴマは、その99.9%を輸入に頼っている。財務省貿易統計によると、2006年のゴマの輸入量は約16万トン。国内では鹿児島県、茨城県、沖縄県などで生産されているが、総生産量は100トンにも満たない[10]。国内有数の産地である鹿児島県喜界島では、8-9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する[11]。西日本の暖地の場合、5月から6月頃、畦に二条まきする。発芽適温は20度から30度で、適当な水分と温度とがあれば容易に発芽する。本葉が二枚になり草丈が成長してきたら、2回程度間引きを行い、株間を開ける。収穫は9月ごろ。
品種
白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマ(または金ゴマ、茶ゴマ)など、種子の外皮の色によって分類される[3][9]。欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは半々。金ゴマは主にトルコでの栽培である。
農薬や肥料なしでもそれなりの収穫が可能という、自然まかせで栽培できる作物であるため[12]、後述のような品種改良はあまり行われてこなかった歴史がある。
生産
2010年のゴマの世界の総生産量は384万トンであった。2010年の最大の生産国はミャンマーである。上位3カ国はミャンマー、インド、中国で、世界総生産量の約50パーセントを占める[16]。
ゴマは2010年には世界の農場で780万ヘクタールを超える面積で栽培されるまでになった[15]。
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食材としてのゴマ
要約
視点
鞘の中に入った種子を食用し、古くから世界各地で食され、香辛料や食用油としても利用されてきた[3]。鞘から取り出し、洗って乾燥させた状態(洗いごま)で食用となるが、生のままでは種皮が固く香りも良くないので、通常は炒ったもの(炒りごま)を食べる。また、剥く、切る(切りごま)、指先でひねり潰す(ひねりごま)、すり鉢で擂り潰す(擂りごま・下記参照)などして、料理の材料や薬味として用いられる。また、伝統的にふりかけに用いられることが多い。味の特徴としては、白ごまはほのかな甘みがあり、黒ごまは香りが強く、コクがある。黄ごま(金ごま、茶ごまとも)は香りがよく、味が濃厚である。炒ると香りがよく引き立ち、料理や菓子の風味付けに使われる[3]。
- 白ごま - 種皮が白いタイプで、風味がおだやかでクセがなく、最も多く食べられている[17]。ごま和えやごま豆腐、練りゴマまど、様々な料理に使われる[3]。脂質が多いため、ごま油の原料にもなっている[17]。
- 黒ごま - 種皮が黒いタイプで、黒い皮にはアントシアニンや鉄分が含まれている[3]。香りが良く、ごま和えのほか、赤飯やおはぎなどに使われる[3]。皮の割合が多く、すって使うことが多い[17]。
- 黄ごま(金ごま) - 種皮が明るい茶色のタイプ。香りが良く、脂質が多いためコクが強い[3]。生産量が少なく、希少価値が高い[17]。

- 炒りごま
- ごまを炒ったもの。炒ることによって香ばしさが出るだけでなく、消化吸収を高められる[17]。炒るときにごまが跳ねるため、ふたをして、焦げないように鍋を動かしながら炒る[17]。
- 擂りごま
- すり鉢を使ってごまを擂り潰したもの。また、少量の擂りごまを得るには「卓上ごま擦り器」のような道具が便利である。ごまが半ば粉砕され、含まれていた油分が滲出してきて、ややしっとりとした感じになる。とくに和食において、白和えをはじめとしてさまざまなレシピで活躍する食材である。
- ごまダレ
- タレの一種で、擂りごまなどを材料に用いたもの。サラダなどに用いる「ごまドレッシング」も類似のものである。
- 練りごま
- ごまを完全に粉砕し、ピーナッツバターのように油分を含んだままペースト状にしたもの。これに植物油や調味料を入れると芝麻醤になる。
- ごま油
- 含油率が約50%以上あるため、搾ってごま油として用いられる。煎りごまを材料に独特の香りを出した焙煎ごま油と、ごまを煎ることなく精製し、ごま本来の旨みを出した太白油・白ごま油(未焙煎ごま油)とに分かれる。調理油・調味料として用いる他、未焙煎のごま油は製菓用油やマッサージオイルなどにも使用する。
→詳細は「ごま油」を参照
葉は青汁の材料として利用されている。ミネラル、ビタミン、食物繊維のほか、抗酸化作用のあるアクテオシドが含まれている[18]。
ゴマの料理、菓子
栄養
昔からゴマは栄養価の高い食品として知られ、生薬としても用いられた。
種皮の色によって黒ゴマ、白ゴマ、黄褐色のものは金ゴマなどの品種に分けられるが、栄養的にはほとんど差がない[7][3][21]。黒ゴマの皮の部分にはタンニン系ポリフェノール色素を多く含んでいる。すりゴマや切りゴマにすることでかたい種皮が破られ、より風味が出て美味しく味わえるほかに、栄養の吸収効果を高めるメリットもある[3]。
カルシウム、マグネシウム、鉄、リン、亜鉛等のミネラルが多く含まれ[3]、骨粗しょう症の予防や貧血の改善に効果がある。タンパク質、食物繊維、ナイアシン、ビタミンA・B1・B2・B6・Eや葉酸が豊富に含まれている[3]。ゴマには抗酸化物質として働くリグナンが含まれており、ゴマの代表的なリグナンはセサミンである[3]。ゴマ自体も抗酸化作用を持ち、活性酸素が体内で生成されるのを抑え、肝臓機能を強化し細胞の老化やガン化を抑制する作用がある。種子にはオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などの脂肪油45 - 50%、蛋白質約20%、含水炭素10%、アデニン、コリンなどを含んでいる[7]。
リノール酸は必須脂肪酸の1種で、コレステロールの血管への沈着を抑制し、動脈硬化の予防に役立つと言われている[7][3]。ただし、搾油したものは、そのまま空気に触れさせて放置すると過酸化脂質化して、癌や肝炎、動脈硬化の発病に関与してしまうとも言われている[7]。セサミンは、抗酸化作用によって動脈硬化予防、老化防止や肝機能にもよいといわれている[17][3]。
ごまアレルギー
栄養価が高く健康に良いとされているゴマではあるが、子供を中心にごまアレルギーの調査が報告されている。アトピー性皮膚炎の子供126名を対象に行なった例では、1歳未満の乳児が21%、1歳から1歳6ヶ月未満では44%、2歳・3歳以上では約50%が、ゴマに対して陽性を示す結果となった[9]。
食材以外での利用
ゴマはかつて生薬としても用いた。秋に果実を収穫して種子を採取して日干しにしたものを胡麻(ごま)と称し、栄養価が高いことから滋養強壮になり、切り傷、ただれ、刺し傷の治癒にも使われた[7]。傷や皮膚ただれには、新鮮な胡麻油を患部に塗布すると、傷面の保護や消炎に役立つと言われている[7]。また、耳に小さな虫が入ったときに、綿棒の先に胡麻油を塗って耳に入れると、油の粘りで虫取りに利用できる[7]。
薬膳的には、黒ごまは平性で肝臓や腎臓に作用し、精力を増強して、白髪・耳鳴り・めまいなどを改善するとされる[17]。白ごまは寒性で、便秘を解消するとされる[17]。
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文化
ゴマに関する言葉
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- ゴマが弾ける様子から
- 形状から比喩的に - ゴマは、外見が黒いドットであることから、シンボル的な意味で用いられることがある。
- ゴマの加工から
- その他
- 「誤魔化す(ごまかす)」の語源に関わっているとする説[誰によって?]がある。
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ギャラリー
- 白ごまの拡大写真
- ふりかけとしての黒ごま
- 黒ごまのタレを掛けたごま団子
- 香港の米で作る点心(腸粉)
- ハンバーガーに用いたゴマ
- ゴマをまぶしたパン(トルコやギリシャなどで食べられているシミット)
- アラブ料理のごまパン
- 料理に使われる胡麻
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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