トップQs
タイムライン
チャット
視点

ラグビーワールドカップ2015日本対南アフリカ

ラグビーワールドカップ2015 プールBの試合 ウィキペディアから

Remove ads

ラグビーワールドカップ2015における日本対南アフリカの試合は、2015年9月19日、プールBの第1試合として、イングランドブライトンで行われた。

これまでワールドカップで通算1勝、2引き分けを挟んで16連敗中だったワールドラグビーランキング13位の日本代表〝ブレイブ・ブロッサムズ〟が、過去2回の優勝経験を持つ同ランキング3位の南アフリカ共和国代表〝スプリングボクス〟を34-32で破り、「史上最大の番狂わせ(Greatest upsets of all time)などと評された[1]

Remove ads

これまでの経緯

日本は過去7大会全てに出場していたが、通算成績は1勝2引き分け21敗、すべての大会でグループリーグ敗退であった。当然「ティア1」と呼ばれる列強相手との差は歴然で、例えば1995年大会ではその一角であるニュージーランド〝オールブラックス〟に17-145という歴史的大差で敗北していた。

一方の南アフリカ共和国は、アパルトヘイトによる制裁からの復帰後に出場した5大会で全て決勝トーナメントに進出し、そのうち2度の優勝を果たした。グループリーグでの敗戦も1度しかなく、当時ワールドカップの最高勝率を保持していた。ウィリアムヒルによる試合前のオッズは、南アフリカ共和国の1倍(元返し)に対し、日本は34倍であった。

試合展開

要約
視点

試合前々日の発表では日本の背番号12番はクレイグ・ウィングだったが、前日の負傷により22番の立川理道が12番、メンバー外の田村優が22番と変更された[2]

試合開始直後は、南アフリカ共和国がボールキープして攻め込み、日本もブレイクダウンからターンオーバーを繰り返して対抗する、という展開が続いたが、前半8分、日本がファーストスクラム後にペナルティを獲得し、五郎丸歩のペナルティゴールで先制した。

前半17分には、南アフリカ共和国がモールで攻撃を仕掛け、フランソワ・ロウがトライを決め逆転するが、前半29分には日本もラインアウトからモールを組み、キャプテンのリーチマイケルがトライ。得点を10対7とし、再度逆転した。しかし前半32分にビスマルク・デュプレッシーがトライを決めたことで、前半は10対12と、南アフリカ共和国優勢で終了した。

後半戦が始まると、3分にルード・デ・ヤハーが、21分にはアドリアン・ストラウスがトライを決めるが、日本も五郎丸がペナルティゴールを着実に重ね、28分には自らトライしたことで、29対29の同点に持ち込んだ[3]

スクラム選択からの逆転トライ

南アフリカ共和国は後半32分にペナルティゴールを成功させ、得点を29対32としたが、チーム内で連続して反則があり、コーニー・ウーストハイゼンがイエローカードを提示され、一時退場処分となったため、日本は数的優位となっていた[3]

そして試合終了間際、日本は敵陣深くでペナルティを獲得。ペナルティキックかスクラムが選択でき、比較的確率の高いペナルティゴールの3点で引き分けを狙うか5点のトライによる逆転勝ちを狙うためスクラムを組むかの判断に迫られた。ヘッドコーチのエディー・ジョーンズは、安全に引き分けに持ち込めるペナルティゴールを狙うよう選手たちに指示した。しかし、リーチは同級生でフッカーの木津武士に「スクラム、行けるか?」と相談した後[4]、最終的に自身の判断でスクラムを選択。最後はアマナキ・レレイ・マフィからのパスを受けたカーン・ヘスケスがトライを決め、34対32[5]で歴史的な勝利を挙げた[6]

試合終了後、リーチは自身の選択について「同点じゃなく、勝ちに行くという気持ちだった。みんなもそうだった」と話した[3]。エディー・ジョーンズも「今日の選手たちは勇敢なんてもんじゃない。最後まで相手に向かって行った。引き分けを選ばずに最後のPGで蹴らないことを選択したリーチの勇気をたたえたい」と、リーチを始めとした選手たちを称賛した[6]

なお、上述のようにペナルティを獲得した際、エディー・ジョーンズはペナルティゴールを指示しており、選手たちが自分の指示に従わずスクラムを選択したため、激昂したエディー・ジョーンズは着けていた無線のヘッドセットを外して投げつけ、叩き壊してしまった[7]。ヘッドセットを投げつけた映像は残っていないが、着けていたヘッドセットをスクラム選択の後では装着していない姿が確認できる。

Remove ads

試合結果

要約
視点
さらに見る 南アフリカ共和国, 32–34 ...
南アフリカ共和国
日本
FB15ザイン・カーシュナー
RW14ブライアン・ハバナ
OC13ジェシー・クリエル
IC12ジャン・デヴィリアス (c)
LW11ルワジ・ンヴォヴォ70分に交代退場 70分
FH10パトリック・ランビー58分に交代退場 58分
SH9ルアン・ピナール58分に交代退場 58分
N88スカルク・バーガー
BF7ピーター=ステフ・デュ・トワ 57分に交代退場 57分
OF6フランソワ・ロウ
RL5ヴィクター・マットフィールド
LL4ルード・デ・ヤハー69分に交代退場 69分
TP3ヤニー・デュプレッシー54分に交代退場 54分79分に交代出場 79分
HK2ビスマルク・デュプレッシー54分に交代退場 54分
LP1テンダイ・ムタワリラ 54分に交代退場 54分79分に交代出場 79分
交替選手:
HK16アドリアン・ストラウス54分に交代出場 54分
PR17トレヴァー・ニャカニ54分に交代出場 54分79分に交代退場 79分
PR18コーニー・ウーストハイゼン78分から80分一時退場 78分から80分54分に交代出場 54分
LK19エベン・エツベス69分に交代出場 69分
FL20シヤ・コリシ57分に交代出場 57分79分に交代退場 79分
SH21フーリー・デュプレア58分に交代出場 58分
FH22ハンドレ・ポラード58分に交代出場 58分
WG23JP・ピーターセン70分に交代出場 70分
監督:
南アフリカ共和国の旗 ハイネケ・マイヤー英語版
Thumb
FB15五郎丸歩
RW14山田章仁79分に交代退場 79分
OC13マレ・サウ
IC12立川理道
LW11松島幸太朗
FH10小野晃征73分に交代退場 73分
SH9田中史朗67分に交代退場 67分
N88ツイヘンドリック46分に交代退場 46分
OF7マイケル・ブロードハースト
BF6リーチマイケル (c)
RL5大野均54分に交代退場 54分
LL4トンプソンルーク
TP3畠山健介10分に交代退場 10分19分に交代出場 19分54分に交代退場 54分
HK2堀江翔太70分に交代退場 70分
LP1三上正貴58分に交代退場 58分
交替選手:
HK16木津武士70分に交代出場 70分
PR17稲垣啓太58分に交代出場 58分
PR18山下裕史10分に交代出場 10分19分に交代退場 19分54分に交代出場 54分
LK19真壁伸弥54分に交代出場 54分
N820アマナキ・レレィ・マフィ46分に交代出場 46分
SH21日和佐篤67分に交代出場 67分
CE22田村優73分に交代出場 73分
WG23カーン・ヘスケス79分に交代出場 79分
監督:
オーストラリアの旗 エディー・ジョーンズ

マン・オブ・ザ・マッチ:
日本の旗 田中史朗

タッチジャッジ:
イングランドの旗 JP・ドイル英語版
アルゼンチンの旗 フェデリコ・アンセルミ英語版
テレビジョン・マッチ・オフィシャル:
イングランドの旗 グラハム・ヒューズ英語版

Notes:

  • 田中史朗の通算50試合目[8]
  • 両国の初対戦。
  • 南アフリカ共和国の初のティア2の国への敗戦[9]
  • 日本の初の南半球3強(南アフリカ共和国、ニュージーランド、オーストラリアの3国)からの勝利[10]

試合後の反応

  • イギリスの地元紙であるガーディアンは、「W杯史上、比類のない試合。世界に波紋を広げた」と報道[11]した。
  • 事前のブックメーカーのオッズは南アフリカ共和国勝利1倍、日本勝利34倍であった[13]
  • ワールドラグビーの公式YouTubeチャンネルの「ワールドカップで記憶に残る瞬間ランキング」でこの勝利を2位タイに挙げている[16]
  • 上述のとおりラグビー史上でも類を見ない番狂わせだったため、この結果を「奇跡」と伝える報道もあったが、勝利の立役者となった五郎丸歩が「これは奇跡じゃなく必然です。ラグビーには奇跡なんてありません。」と語るなど[19][20]、選手側からは反発も見られた。
Remove ads

映画化

エディー・ジョーンズがヘッドコーチに就任してからこの試合までの4年間を、ドキュメントと再現ドラマで構成したオーストラリア映画「ブライトン・ミラクル」が、2019年10月31日からオーストラリアで公開された[21]

日本では、2019年9月11日にプレミアム試写会が行われた[22][23][24]ワールドカップ2019開幕前日の9月19日からAmazon Prime Video、Google Play、Apple TVなどで配信され[24]、さらにイベントでの公開などを経て[25]、10月29日から劇場公開された[26]

監督・脚本は、2015年4月から8月までエディー・ジョーンズのもとで実際に日本代表のスポットコーチを務めた[27][28][29]マックス・マニックス[30][31]

脚注

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads