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プライメイトシティ
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プライメイトシティ(英: primate city)とは、地域の中で最も大きく、規模において2番目の都市(第二都市)を大きく引き離している都市を指す。一極集中型となっているため、影響力も大きい。
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日本語では首位都市(しゅいとし)[1]、あるいは首座都市(しゅざとし)と訳される[2]。

分類
要約
視点
人口が集中する都市は、人口を涵養できる産業の立地と関係がある。
税に起因する立地
農業が産業の主体である国は、産業の中心である農村の方が人口を涵養できるため、都市への人口の集積は少ない。但し、余剰農産物の発生によって交易拠点が都市化したり、税を集める首都や地方政府所在地が都市化する。この時、首都がプライメイトシティとなる。例として、日本の平安京がある。
鉱業や原料立地型工業に起因する立地
原料指向型(原料立地型)工業や鉱業が発展すると、工業原料の産出地や工場周辺に人口が集中して都市化する。日本では江戸時代までは金鉱・銀鉱の産地、明治以降は炭鉱や鉄鉱の産地がそれに当り、夕張炭鉱・筑豊炭田・釜石(鉄鉱)が有名である。
一部の国では、鉄鉱・金鉱・ダイヤモンド産地・油田など様々ある。発展途上国の内、産油国やダイヤモンド・金産出国では、これらの鉱業に関連した都市やその輸出港がある都市がプライメイトシティになる場合が多いが、鉱物の輸出で得た富が必ずしも産出地や輸出港のみが独占するわけではなく、富を集めるのは金融が発達した都市(首都や国際空港がある都市)となる例も多いため、そちらがプライメイトシティとなる事もある。
発展途上地域の金融センターに起因する立地
その他の資源の乏しい発展途上国では、自国外からの援助金や投資を元に産業が発展する例が多い。この場合、先進国から遠い国では国際空港がある首都、及び首都周辺に産業が集中する傾向が大きい。即ち、交通の利便性が大きい都市(主に首都)が国内や地方内の金融の窓口となり、そのお金に引き寄せられて人口や産業が集まって、プライメイトシティとなる。ASEAN諸国の内、資源の乏しい国はこの傾向が大きい。
日本では、都道府県別GDP比率で、本土の2倍程度の公共事業の資金が経由する札幌(札幌都市圏)や那覇(那覇都市圏)が、この代表例である。
内需の発達に起因する立地
産業発展によって国民の所得が増加すると、工業製品やサービスの内需が拡大する。その際、国内交通が発達していない場合は、販売やサービスの拠点は無数につくられる。交通インフラストラクチャーや物流が発達してくると、それらが集約されてプライメイトシティとなる例が見られる。
→詳細は「支店経済都市」を参照
先進国のプライメイトシティ
一方、日本のように、資源が乏しいか、あるいは国内産業に必要な量ほどの資源がない先進国では、中央集権体制を敷いてプライメイトシティが形成される傾向がある。同様の傾向はタイなど、新興国にも見られる。また、人口の少ない国や、面積の小さい国(連邦国家である場合は例外)は、国内投資に回せる資金が少ないために「都市国家」の様相を呈し、自然とプライメイトシティを形成する。ただし、歴史との関係もあるため、一律にはいえない。
日本の現在の状況は、IT産業の発達と同時に産業の「金融化」が進み、企業の収益体制が実業部門と株などの金融部門の二本立て傾向が強まったため、内需・外需双方の金融の中心である東京にヒト・モノ・カネ・情報が集まり、企業の本社も東京一極集中傾向にある。すなわち、バブル経済期まで企業の本社が多く存在した大阪から東京へ本社が移転したり、本社機能が移転する傾向が強まり、東京と大阪との差が大きく開いてきている[3]。
連邦国家のプライメイトシティ
アメリカ合衆国・ロシア・ブラジルなどの連邦国家においては、交通・産業の拠点が分散し、地域の拠点都市が多く造られやすい。この場合は国土の広さとは関係が無く、ドイツ、スイス、アラブ首長国連邦などでも同様である。また、連邦国家ではないが、中華人民共和国にもこのような傾向が見られる。これらの国では国家的なプライメイトシティは成立しがたい。しかし、州(省・自治共和国)ごとや地域ごとの、より小さい単位でのプライメイトシティが多数存在する。
例えば、ニューヨーク市はアメリカ合衆国最大の都市であり、大都市圏では2000万人近い人口を抱え、世界経済に与える影響も大きいが、国内政治面での影響は小さい。首都どころかニューヨーク州の州都ですらない。一方で、アリゾナ州の州都フェニックスは全米規模では(人口こそ全米6位と多いものの)地方都市の一つに過ぎないが、その都市圏には州の総人口の約7割が集中し、州の政治・経済・産業・交通の中心地としての役割を担う、アリゾナ州のプライメイトシティと言うことができる。西部ではハイテク産業とエンターテイメント産業の中枢であるカリフォルニアのロサンゼルスやサンフランシスコ、北西部では航空産業のシアトル、中西部では自動車産業のデトロイトや穀物取引・食品加工のシカゴ、南部では商業・通信産業のアトランタや金融産業のシャーロット、南西部では石油産業のヒューストンやダラスと、規模だけでなく産業も分散している。マスメディアも地方紙が多い。
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影響
問題点
- 過密と社会資本不足
- プライメイトシティは更なる巨大化に拍車をかけるため、物的・社会的インフラの整備に対して人口が過剰になり易い。この結果、通勤ラッシュ、交通渋滞、汚染、騒音、住宅不足、地価高騰、物価高、治安の悪化も含めた住民サービスの低下などの都市問題が発生する。
- 集中の脆弱性
- 都市への集中は効率性をもたらす可能性が高いが、局所的に大きな被害をもたらす自然災害などに際しては脆弱である。周辺に機能が代替可能な都市がない場合には、大規模な自然災害が起こると、当該都市のみならず地域全体が機能不全に陥る。
- 均衡ある発展の阻害
- プライメイトシティ化は放置しても解消しがたく、地域内の他都市や村落の疲弊・衰退を招く可能性がある。
長所
一方、プライメイトシティの卓越を評価する意見もある[4]。プライメイトシティへの集中的な投資により、長期的な視点でみると規模の経済や集積の経済につながるという主張や、交通網の発達やイノベーションの拡散を促進するという主張もある[4]。
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世界のプライメイトシティの例
(参考)明確なプライメイトシティが存在しない国
- 国内に複数の拠点性を持つ都市が存在する。
- 最大都市と第2の都市との人口格差が小さい。
- 商業・工業・行政・歴史等の機能を各都市で分け合っている。
- ※は厳密にはプライメイトシティが存在する国
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都道府県単位のプライメイトシティの例
プライメイトシティが存在しない都道府県
脚注
参考文献
関連項目
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