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マニ文字 (Unicodeのブロック)
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マニ文字(マニもじ、英語: Manichaean)は、Unicodeのブロックの一つ。
解説
3世紀から10世紀ごろにかけてサーサーン朝ペルシア及びその周辺地域(ウイグル王国[1]など)のマニ教の信者によって現在のイラン、ウズベキスタン、タジキスタン、アフガニスタンにあたる中央アジア地域で用いられていた、インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派イラン語群に属するパルティア語[1]、パフラヴィー語[1]、ソグド語[1]、バクトリア語[1]、近世ペルシア語[1]や、現在の中華人民共和国の新疆ウイグル自治区にあたる地域で話されたインド・ヨーロッパ語族ケントゥム語派に属するトカラ語[1]、加えて同じく現在の新疆ウイグル自治区やカザフスタン、キルギス、モンゴルなどにあたる地域で話されたテュルク語族に属する古ウイグル語[1][2]、古テュルク語[3]を表記するためのマニ文字を収録している。
マニ文字はパルミラ文字或いはシリア文字エストランゲロ体から派生した文字体系であり、音素文字のうち基本的に母音を表記せず、子音字のみで綴られるアブジャドに分類される。アラビア文字やヘブライ文字などと同様に右から左への横書き(右横書き)であり、単語毎に分かち書きをする[1]。
アラビア文字やシリア文字と同様にそれぞれの文字は単語内の位置(独立・語頭・語中・語末)によって形状が変化するが、アラビア文字ほど複雑な変化はせず、多くの文字では前後の文字と接続するかどうかの差異しかない。ただし、一部の文字は語末形において大きく形が変化する。なお、文字の語内位置による字形変化を説明する場合はゼロ幅接合子(U+200D; ZWJ)を用いることで、その字形を表現することができる。例えば字母aleph(U+10AC0 𐫀)の語中形は𐫀U+200D U+10AC0 U+200D
の形で表すことができる。
また、強調のため文字と文字とを繋ぐ線を引き延ばして書かれることがあるが、Unicodeではアラビア文字で同様の用途で用いられるU+0640 ـ ARABIC TATWEEL
(タットウィール)を使用してこれを表現する[1]。
加えて、アラビア文字などと同様に独自の数字体系(マニ数字)を有している。
マニ文字は本来の文字名が判明しておらず、Unicode公式では対応する帝国アラム文字の命名規則に従って文字名が付けられている。上付きの2つの点が付いた、アラム文字にない拡張文字には多くの場合-H-を加えて文字名を表している(U+10ACA 𐫊 MANICHAEAN LETTER ZHAYIN
など)が、字母ayinとshinについてはこの方法が意味を成さないため、それぞれ文字名の最初の文字を繰り返してaayn, sshinと命名されている[1]。
符号位置の順序はおおむね伝統的なマニ文字の順序に従っている。
Unicodeのバージョン7.0において初めて追加された。
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収録文字
要約
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小分類
このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「表語文字」(Logogram)、「結合記号」(Combining marks)、「数値」(Numbers)、「約物」(Punctuation)の5つとなっている[4]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。
字母(Letters)
この小分類にはマニ文字のうち、基本的な字母が収録されている。
表語文字(Logogram)
この小分類にはマニ文字のうち、1文字で単語を表す表語文字が収録されている。
結合記号(Combining marks)
この小分類にはマニ文字のうち、他の字母に結合する、文字幅を持たない結合文字(ダイアクリティカルマーク)が収録されている。
数値(Numbers)
この小分類にはマニ文字のうち、位取り記数法を用いず、単位数字を並べて表現する数値記号(Unicode上では10進法の位取り記数法を用いる"digit"とは区別される)が収録されている。
アラビア・インド数字とは異なり、数字も右横書きで書かれる[1]。また、字母同様に文字列の位置によって形状(独立形・語頭形・語中形・語末形)が変化する。
約物(Punctuation)
この小分類にはマニ文字で用いられる句読点などの約物類が収録されている。
句読点の一部は赤や青などの色付きで表記されるが、Unicode上は色情報については扱いの対象外となっている[1]。
異体字
本ブロックに含まれる5つの文字には使い分けが存在するが、文脈による自動的な処理が不可能な異体字[1]が存在し、Unicodeではこれを異体字セレクタのVS1(U+FE00)を用いて表現することが可能である[4]。
U+ | 10AC5 | 10AC6 | 10AD6 | 10AD7 | 10AE1 |
既定の符号位置 | 𐫅 | 𐫆 | 𐫖 | 𐫗 | 𐫡 |
VS1添加 (独立形) | 𐫅︀ | 𐫆︀ | 𐫖︀ | 𐫗︀ | 𐫡︀ |
VS1添加 (語頭形) | 𐫅︀ | 𐫆︀ | 𐫖︀ | 𐫗︀ | 𐫡︀ |
VS1添加 (語中形) | 𐫅︀ | 𐫆︀ | 𐫖︀ | 𐫗︀ | 𐫡︀ |
VS1添加 (語末形) | 𐫅︀ | 𐫆︀ | 𐫖︀ | 𐫗︀ | 𐫡︀ |
ラテン翻字 | d | ẖ | m | n | r |
必須の合字
字母sadhe(U+10ADD 𐫝)は字母yodh(U+10ACF 𐫏)及び字母nun(U+10AD7 𐫗)が後続すると必ず特殊な合字を形成する[1]。
U+ | 独立形 | 語頭形 | 語中形 | 語末形 |
sadhe+yodh(cy) | 𐫝𐫏 | 𐫝𐫏 | 𐫝𐫏 | 𐫝𐫏 |
sadhe+nun(cn) | 𐫝𐫗 | 𐫝𐫗 | 𐫝𐫗 | 𐫝𐫗 |
文字コード
マニ文字(Manichaean)[1] Official Unicode Consortium code chart (PDF) | ||||||||||||||||
0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F | |
U+10ACx | 𐫀 | 𐫁 | 𐫂 | 𐫃 | 𐫄 | 𐫅 | 𐫆 | 𐫇 | 𐫈 | 𐫉 | 𐫊 | 𐫋 | 𐫌 | 𐫍 | 𐫎 | 𐫏 |
U+10ADx | 𐫐 | 𐫑 | 𐫒 | 𐫓 | 𐫔 | 𐫕 | 𐫖 | 𐫗 | 𐫘 | 𐫙 | 𐫚 | 𐫛 | 𐫜 | 𐫝 | 𐫞 | 𐫟 |
U+10AEx | 𐫠 | 𐫡 | 𐫢 | 𐫣 | 𐫤 | 𐫥 | 𐫦 | 𐫫 | 𐫬 | 𐫭 | 𐫮 | 𐫯 | ||||
U+10AFx | 𐫰 | 𐫱 | 𐫲 | 𐫳 | 𐫴 | 𐫵 | 𐫶 | |||||||||
注釈
|
履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
出典
関連項目
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