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ミャオ文字 (Unicodeのブロック)

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ミャオ文字(ミャオもじ、英語: Miao)は、Unicodeブロックの一つ。

概要 範囲, 面 ...

解説

要約
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中華人民共和国南部の貴州省畢節市威寧イ族回族ミャオ族自治県雲南省などに居住するミャオ族が話す、ミャオ・ヤオ語族ミャオ語(フモン語、Hmong)の方言の一つである大花ミャオ語英語版(大花苗語、A-Hmao)を表記するため、1936年イギリスコーンウォール地方出身のキリスト教プロテスタントメソジスト宣教師であったサミュエル・ポラード英語版によって作られたミャオ文字(ポラード文字)を収録している。現在は大花ミャオ語以外にも、他のミャオ語の方言でも用いられており、雲南省鹿泉区ではシナ・チベット語族彝語リス語の表記にも用いられている[1]

なお、ミャオ語を表記するための文字体系としては他にラテン文字(RPAと呼ばれる[2])パハウ・フモン文字(ラオスやその周辺国、移民として移住したアメリカ合衆国オーストラリアなどにおいて用いられる)ニアケン・プアチュエ・フモン文字英語版注音符号(中国南部で話されるミャオ語の方言の一つであるフムー語英語版及びグー語英語版において。注音字母拡張ブロックを参照)が存在する。

ミャオ文字はラテン文字に由来するが、音素文字のうちアブギダに分類され、子音字に母音記号を付加することで音節を表現する。ただしブラーフミー系文字とは異なり、暗黙の随伴母音/-a/を持っていないため、必ず母音記号を付けなければならない。ラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)であり、音節毎に分かち書きをする[1]

なお、ミャオ語は声調言語であり、声調を文字の中で表現する必要があるが、声調を記す方法は大きく分けて2種類あり、母音記号の付加する位置を変えることで声調の違いを表す方法と、声調記号を文字の右下(固定位置)に置かれる母音記号の後に配置する方法とが存在する。このうち前者はより古くから使われている表記法であり、Unicodeではデフォルトで母音記号が基字の右下に置かれ、U+16F8F-U+16F92の範囲に符号化されている不可視の制御文字を用いることで位置の変更を表現することとしている。

子音字の中には文字の中に縦線に接続するような小さな半円("wart", 「いぼ」)が付いたものがあり、これは元の字に対応する有声音、半有声音、軟音、あるいはその他の「緊張を緩和した」ような音を表すために用いられる。この半円は文字の縦線の左側に付けられることが多いが、基字の右側が空洞になっている場合は印刷時のスペースを節約するために右側に付けられることもある。彝語の表記では文字にセリフに似た縦線を付けた文字が同様の機能を担うこともある[1]

約物には中国語や欧文で用いられるものと同じものが、数字は通常の算用数字が用いられる[1]

符号位置の順序はおおむね伝統的なポラード文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン6.1において初めて追加された。

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収録文字

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小分類

このブロックの小分類は「頭子音字」(Consonant onsets)、「修飾文字」(Modifiers)、「母音と末子音」(Vowels and finals)、「声調記号の位置変更」(Positioning tone marks)、「基線位置の声調記号」(Baseline tone marks)、「古典的な基線位置の声調記号」(Archaic baseline tone marks)の6つとなっている[4]

頭子音字(Consonant onsets

この小分類にはミャオ文字のうち、頭子音を表す頭子音字が収録されている。

修飾文字(Modifiers

この小分類にはミャオ文字のうち、頭子音の発音を変更するために用いられる記号が収録されている。

母音と末子音(Vowels and finals

この小分類にはミャオ文字のうち、母音及び末子音を表す記号が収録されている。ポラード文字では母音記号の書かれる位置によって声調の種類が変わるため、次に続く小分類「成長記号の位置変更」と合わせて用いられる。

デフォルトでは基字の右下に配置され、低平調(IPA: [˩])或いは低降調(IPA: [˧˩])を表す[3]

声調記号の位置変更(Positioning tone marks

この小分類にはミャオ文字のうち、前の小分類「母音と末子音」の配置される位置を変更するための不可視の制御文字が収録されている。

これらは、母音をベースラインの位置からずらして、音調の変化を示すために使用される[4]

基線位置の声調記号(Baseline tone marks

この小分類にはミャオ文字のうち、目に見える文字として基字の右下に置かれる母音字の後に配置される声調を表す記号が収録されている。

大花ミャオ語の実際の声調により忠実に綴るため後述する「古典的な基線位置の声調記号」を更に改良したもので、昆明市及び楚雄市のミャオ族によって作られた「正規化表記法(Normalised writing system)」或いは楚雄式と呼ばれる表記法で用いられる[1]

この表記法においては声調記号が何も付いていない場合は高降調(IPA: [˥˧])を表す[3]

古典的な基線位置の声調記号(Archaic baseline tone marks

この小分類にはミャオ文字のうち、かつて用いられていた、目に見える文字として基字の右下に置かれる母音字の後に配置される声調を表す記号が収録されている。

1950年代にポラード文字を実際のミャオ語が持つより細かい声調の違いに対応させる改革のために中華人民共和国貴州省威寧に在住するミャオ族のYang Rongxinらによって作られたが、ミャオ族からの支持はあまり得られなかった[1]

文字コード

ミャオ文字(Miao)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
 0123456789ABCDEF
U+16F0x 𖼀 𖼁 𖼂 𖼃 𖼄 𖼅 𖼆 𖼇 𖼈 𖼉 𖼊 𖼋 𖼌 𖼍 𖼎 𖼏
U+16F1x 𖼐 𖼑 𖼒 𖼓 𖼔 𖼕 𖼖 𖼗 𖼘 𖼙 𖼚 𖼛 𖼜 𖼝 𖼞 𖼟
U+16F2x 𖼠 𖼡 𖼢 𖼣 𖼤 𖼥 𖼦 𖼧 𖼨 𖼩 𖼪 𖼫 𖼬 𖼭 𖼮 𖼯
U+16F3x 𖼰 𖼱 𖼲 𖼳 𖼴 𖼵 𖼶 𖼷 𖼸 𖼹 𖼺 𖼻 𖼼 𖼽 𖼾 𖼿
U+16F4x 𖽀 𖽁 𖽂 𖽃 𖽄 𖽅 𖽆 𖽇 𖽈 𖽉 𖽊 𖽏
U+16F5x 𖽐 𖽑 𖽒 𖽓 𖽔 𖽕 𖽖 𖽗 𖽘 𖽙 𖽚 𖽛 𖽜 𖽝 𖽞 𖽟
U+16F6x 𖽠 𖽡 𖽢 𖽣 𖽤 𖽥 𖽦 𖽧 𖽨 𖽩 𖽪 𖽫 𖽬 𖽭 𖽮 𖽯
U+16F7x 𖽰 𖽱 𖽲 𖽳 𖽴 𖽵 𖽶 𖽷 𖽸 𖽹 𖽺 𖽻 𖽼 𖽽 𖽾 𖽿
U+16F8x 𖾀 𖾁 𖾂 𖾃 𖾄 𖾅 𖾆 𖾇 𖾏
U+16F9x 𖾐 𖾑 𖾒 𖾓 𖾔 𖾕 𖾖 𖾗 𖾘 𖾙 𖾚 𖾛 𖾜 𖾝 𖾞 𖾟
注釈
1.^バージョン17.0時点
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履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

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出典

関連項目

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