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ブラーフミー系文字
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ブラーフミー系文字(ブラーフミーけいもじ、英: Brahmic scripts)、またはインド系文字(英: Indian scripts)は、マウリヤ・インドのブラーフミー文字から派生し、南アジア、東南アジア、チベットで使われているアブギダ(文字体系)の一族の総称である。
歴史
要約
視点

ブラーフミー系文字は古代インドのブラーフミー文字から派生した。ブラーフミー文字は欧州の文字と同じ祖先を持っているかもしれないが、学者によっては (Rastogi 1980:88-98を参照) Vikramkhol[1][2][3]碑文はブラーフミー文字が固有の (おそらくインダス文字からの) 起源を持つという決定的な証拠であると信じている。
一族の最も有名な一員は、デーヴァナーガリーである。デーヴァナーガリーはインドとネパールの数種類の言語で使われている。これにはヒンディー語、コンカニ語、マラーティー語、ネパール語、ネパール・バサ語およびサンスクリットが含まれる。他の北ブラーフミー系文字にはベンガル文字 (ベンガル語、アッサム語(アッサム文字とも呼ぶ)、ビシュヌプリヤ・マニプリ語、および他の東インド言語を書くために使われる)、オリヤー文字、グジャラーティー文字、ランジャナ文字、Prachalit script、Bhujimol scriptおよびグルムキー文字が含まれる。南インドのドラヴィダ語族は、南方の需要に合わせて改善が加えられたブラーフミー系文字を使っている。南インドでブラーフミー文字が使われた最古の証拠は、アーンドラ・プラデーシュ州のグントゥール県にあるバッティプロール刻文(en:Bhattiprolu) からもたらされた[4]。バッティプロールは3世紀にかけて大きな仏教の中心地であり、仏教はここから東アジアへ広まっていった。現在のテルグ文字は'テルグ=カンナダ文字'、別名'古カンナダ文字'から派生したものであり、その類似性の原因も同じである[5]。初めに小さな変更がなされ、現在タミル・ブラーフミー文字と呼ばれている文字は他のインド系文字のいくつかと比べてはるかに少ない文字しか持たない。これは独立した有気もしくは有声 子音が存在しないからである。後に、グランタ文字、ヴァッテルットゥ文字の影響を受け、今日のマラヤーラム文字と類字の外見になった。19世紀と20世紀にさらなる変更が加えられ、印刷やタイプライターでの使用ができる現在の文字になった。
ビルマ語、カンボジア語、ラーオ語、タイ語、ジャワ語、バリ語およびチベット語もブラーフミー系文字で書かれるが、それらの言語の音韻に合わせるため、かなりの変更が加えられている。悉曇文字は多くの経典を書くために使われたため仏教で特に重要であり、悉曇書道の芸術は今日の日本で生き残っている。
いくつかの特徴はすべての文字体系に存在するとは限らない:
- 各子音が持つ随伴母音は通常短母音の'a'である (ベンガル語、オリヤー語、およびアッサム語では、母音推移のため短母音の'ô'である)。他の母音は文字を追加することによって書かれる。随伴母音が存在しないことを示すにはマーク (サンスクリットではヴィラーマ/ハラントと呼ばれる) を使う。
- 各母音には2つの形態がある。子音の一部でない場合の独立形と、子音に付けられる場合の従属形である。文字体系によって従属形は基底子音の上下左右のどこに置かれるかは異なり、左右の両方に置かれることもある。
- 子音は (デーヴァナーガリーの場合5つまで) 組み合わせて合字にできる。'r'を他の子音と組み合わせることを示すには特別なマークが追加される。
- 子音に従属する母音の鼻音化と有気化も独立した記号によって示される。
- 伝統的な文字順は以下のようにまとめられる: 母音、軟口蓋音、硬口蓋音、そり舌音、歯音、両唇音、接近音、歯擦音、そして他の子音。各子音のグループには4つの子音 (有気化と有声化でありうる4つの組み合わせすべて) と、鼻音化した子音が含まれる。
ブラーフミー系文字を使う言語の多くは、主に非母国語話者の利便性や当該文字体系をサポートしないコンピュータソフトウェアでの使用のためにラテン文字で書かれることがあるが、それらの慣習は南アジア自身ではほとんど進んでいない。
ウルドゥー語、カシミール語、およびシンド語は、すべて基本的にブラーフミー系ではないペルシア=アラビア系文字を使っているが、インドの一部ではデーヴァナーガリーで書かれることもある。
en:Gari Ledyard教授は、朝鮮語の表記に使われるハングルが、チベット文字を経由してブラーフミー系文字から派生したモンゴルのパスパ文字を基に作られたという仮説を立てている。
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比較
要約
視点
以下は数種類の主要なインド系文字の比較表である。発音はISO 15919とIPAで示す。発音は可能ならサンスクリットからとったが、必要に応じて他の言語からもとった。これらの一覧は包括的なものではない。表現されていないグリフもある。
子音
母音
母音は独立形を左の欄に表現し、ka に対応する子音と組み合わせて右の欄に表現する。
数字
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Unicodeに存在するブラーフミー系文字の一覧
基本多言語面
- オリヤー文字 (U+0B00 .. U+0B7F)
- カンナダ文字 (U+0C80 .. U+0CFF)
- グジャラーティー文字 (U+0A80 .. U+0AFF)
- クメール文字 (U+1780 .. U+17FF, U+19E0 .. U+19FF)
- グルムキー文字 (U+0A00 .. U+0A7F)
- サウラーシュトラ文字 (サウラーシュトラ語, U+A880 .. U+A8DF)
- ジャワ文字 (U+A980 .. U+A9DF)
- シロティ・ナグリ文字 (シレット語, U+A800 .. U+A82F)
- シンハラ文字 (U+0D80 .. U+0DFF)
- スンダ文字 (U+1B80 .. U+1BBF)
- タイ文字 (U+0E00 .. U+0E7F)
- タイ・ナ文字 (タイ・レー文字, U+1950 .. U+1974)
- タイ・ロ文字 (新タイ・ルー文字, U+1980 .. U+19DF)
- タイ・ヴィエト文字 (タイ・ダム語など, U+AA80 .. U+AADF)
- タグバンワ文字 (U+1760 .. U+177F)
- タミル文字 (U+0B80 .. U+0BFF)
- チベット文字 (U+0F00 .. U+0FFF)
- チャム文字 (U+AA00 .. U+AA5F)
- デーヴァナーガリー (U+0900 .. U+097F, U+A8E0 .. U+A8FF)
- テルグ文字 (U+0C00 .. U+0C7F)
- バイバイン文字 (タガログ文字, U+1700 .. U+1714)
- パスパ文字 (U+A840 .. U+A87F)
- バタク文字 (U+1BC0 .. U+1BFF)
- ハヌノオ文字 (U+1720 .. U+173F)
- バリ文字 (U+1800 .. U+1B7F)
- ビルマ文字 (U+1000 .. U+109F, U+AA60 .. U+AA7F, U+A9E0 .. U+A9FF)
- ブギス文字 (U+1A00 .. U+1A1F)
- ブーヒッド文字 (U+1740 .. U+175F)
- ベンガル文字 (U+0980 .. U+09FF)
- マラヤーラム文字 (U+0D00 .. U+0D7F)
- メイテイ文字 (マニプリ語, U+ABC0 .. U+ABFF, U+AAE0 .. U+AAFF)
- ラーオ文字 (U+0E80 .. U+0EFF)
- ラーンナー文字 (U+1A20 .. U+1AAF)
- リンブ文字 (U+1900 .. U+194F)
- ルジャン文字 (U+A930 .. U+A95F)
- レプチャ文字 (U+1C00 .. U+1C4F)
追加多言語面
- アーホム文字 (U+11700 .. U+1173F)
- カイティー文字 (マイティリー語, U+11080 .. U+110CF)
- グランタ文字 (U+11300 .. U+1137F)
- 悉曇文字 (U+11580 .. U+115FF)
- シャーラダー文字 (U+11180 .. U+111DF)
- タークリー文字 (U+11680 .. U+116CF)
- チャクマ文字 (U+11100 .. U+1114F)
- ティルフター文字 (マイティリー語, U+11480 .. U+114DF)
- フダーバーディー文字 (シンド語, U+112B0 .. U+112F9)
- ブラーフミー文字 (U+11000 .. U+1107F)
- ホージキー文字 (U+11200 .. U+1124F)
- マハージャニー文字 (U+11150 .. U+1117F)
- ムルターニー文字 (U+11280 .. U+112AF)
- モーディー文字 (マラーティー語, U+11600 .. U+1165F)
他のブラーフミー系文字
ブラーフミー系文字に似た文字
脚注
関連項目
外部リンク
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