SL冬の湿原号

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SL冬の湿原号

SL冬の湿原号(SLふゆのしつげんごう)とは、北海道旅客鉄道(JR北海道)が釧網本線釧路駅 - 標茶駅川湯温泉駅間の、沿線に釧路湿原を含む区間において冬季に運行している[JR 2]蒸気機関車(SL)牽引による臨時列車である。牽引には国鉄C11形蒸気機関車171号機が使われ、2021年時点、北海道で運行されている唯一のSLである[新聞 1]。運行開始日は2000年平成12年)1月8日[JR 1]

概要 概要, 国 ...
SL冬の湿原号
Thumb
SL冬の湿原号(2023年2月)
概要
日本
種類 普通列車
現況 運行中
地域 北海道
運行開始 2000年1月8日[JR 1]
運営者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
路線
起点 釧路駅
終点 標茶駅
使用路線 釧網本線
技術
車両 14系客車旭川運転所
スハシ44形客車(旭川運転所)
C11形蒸気機関車(旭川運転所)
軌間 1,067 mm
電化 非電化
備考
2016年12月現在のデータ
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台湾鉄路管理局CK124号機と姉妹列車である(2014年3月12日締結)。

2014年(平成26年)、JR北海道ではSLには新型の自動列車停止装置(ATS)の搭載が難しく、北海道新幹線の開業準備を優先させる必要性があることから、同年度を最後にSL函館大沼号、SLはこだてクリスマスファンタジー号、SLニセコ号を廃止する検討に入ったが、SL冬の湿原号については存続の方針となっている[新聞 2]

運行概況

運行時期

主に1月下旬から2月下旬にかけて[新聞 1]、年によっては3月まで運行される。2013年(平成25年)は、当時牽引機の一つであったC11 207の車輪トラブルのため、一部の日はディーゼル機関車牽引による「DL冬の湿原号」として運転された[1]。また、2017年(平成29年)も、牽引機のC11 171の車輪に傷が発見され、2月11日以降は全日ディーゼル機関車牽引による「DL冬の湿原号」として運転された[JR 3]。さらに2022年(令和4年)には牽引機C11 171の試運転中にピストンリングが割損し、1月22日からの運用はDE10が担当することになった。C11 171は2021年(令和3年)に全般検査に入っており、その際にこのピストンリングも新製交換されていた。のちに同じ部品を新たに製作したものの再度割損し、その後も復活に向け調整が行われたが間に合わず、結果的に3月21日の最終運用日までDLによる代走が続けられた。C11 171が修理でき次第復活する予定であったため、列車名は「SL冬の湿原号」のままである。なお代走の担当は国鉄色のDE10 1690号機だったが、3月18日は「くしろ湿原ノロッコ号」とのコラボとして同列車専用塗装のDE10 1661号機が運用に入っている。

運行サービス

釧路湿原を縦断するため、タンチョウエゾシカオオワシなどの大型野生動物に出会うことがごく普通であり、その際には列車を停止させてやり過ごすことがある。観光列車であるため、車内アナウンスによるガイドや乗車記念品の車内販売も行われる。また、この時期、JR北海道は知床斜里駅 - 標茶駅間で臨時バス「ツインクルバス知床号」を運転し、SL冬の湿原号と同様、2月を中心に1月から3月までの期間、網走駅 - 知床斜里駅間を運行する観光列車「流氷ノロッコ号」からの乗り継ぎを実施している。一度の運行に約400人前後が乗車する、人気の高い観光列車である。

停車駅

釧路駅 - 東釧路駅 - 釧路湿原駅 - 塘路駅 - 茅沼駅 - 標茶駅( - 摩周駅 - 川湯温泉駅

使用車両

要約
視点

牽引機関車

  • C11 171
    • 釧路運輸車両所で点検・整備されている[新聞 1]。台枠や台車などの車両の重要部に摩擦やひびが発生していることによる修繕が必要となったことから、客車である14系のリニューアル第1弾に合わせ、2021年(令和3年)に北海道旅客鉄道苗穂工場で全般検査を実施された。また、SLの重要部であるボイラーは、大阪の業者へ搬送させた上で、検査および修繕を実施された。しかし試運転の際にピストンリングが割損し、2022年(令和4年)の運行はすべてディーゼル機関車によって行われている(前述)。

過去の牽引機関車

上記の2両のSLが重連で運転されたこともあった。また、2001年(平成13年)1月21日に川湯温泉駅で開催されたイベント「北海道SLサミット」に合わせて、反向重連で運転されたこともある[新聞 3]

ヘッドマークは、「C11 171」と「C11 207」のいずれかが入った2種が牽引機に合わせて用意されていた。(C11 171用のみ番号の下に「SINCE 2000」が入る)。またイベントなどで特別なヘッドマークを掲出することがあった。

補助機関車

DE15 2510・2526

客車

牽引される客車の基本的な編成内容は以下のとおり。標茶方が1号車。座席車は1・5号車の「たんちょうカー」がボックス席(山側)とカウンター席(川側)、残り2~4号車が全席ボックス席になっている。

客車は2021 - 2022年(令和3 - 4年)に全面改修される予定である[JR 1][新聞 4]。このうち1・5号車は2021年(令和3年)に苗穂工場に入場し、車端部に展望通路を配し座席配置も変更(前述)したうえで、2022年(令和4年)から「たんちょうカー」として運行開始した。また2号車(カフェカー・座席車)は、旧型客車の雰囲気を損なわない範囲で内装リフレッシュが実施される予定である[JR 1]。また、1972年(昭和47年)および1980年(昭和55年)製造で老朽化が進行していることから、発電エンジンや台車部品などの機器取替が実施される予定である[JR 1]。また、過去にはSLすずらん号ノロッコ号などで用いていた、片側にヘッドマークや渡り板と幌付けされた車掌車で、常に車掌が乗務しない緩急車兼展望車代用やホキ835やSL機器運搬や救援用のワム281395などの貨車との貨客混結の演出による牽引もあったがいずれも廃車された。

利用状況

JR北海道釧路支社によると、近年の利用実績や運行実績は以下のとおりである。

さらに見る 年度, 乗車人員(1日平均) (単位:人) ...
年度 乗車人員
(1日平均)
(単位:人)
乗車人員
(計)
(単位:人)
運転日数
(単位:日)
備考 出典
2006年度(平成18年度) 319 15,300 48   [JR 4]
2007年度(平成19年度) 304 14,600 48   [JR 4]
2008年度(平成20年度) 331 12,900 39 SLの全般検査実施等により、運行日数が前年度比減少。 [JR 4]
2009年度(平成21年度) 348 13,600 39   [JR 5]
2010年度(平成22年度) 358 14,000 39 累計乗車人員20万人達成[JR 6] [JR 5]
2011年度(平成23年度) 275 15,100 55 運転日増加により、合計乗車人員が前年度比増加。 [JR 7]
2012年度(平成24年度) 300 12,500 41 2013年2月・3月の一部の日は「DL冬の湿原号」として運転。 [JR 8]
2013年度(平成25年度) 300 12,300 41   [JR 9]
2014年度(平成26年度) 368 10,300 28 2015年2月・3月の一部の日は「DL冬の湿原号」として運転。 [JR 10]
2015年度(平成27年度) 507 10,660 21 アジア圏中心の訪人個人旅行増加により、乗車人員が前年度比増加。 [JR 11]
2016年度(平成28年度) 395 7,900 20 2017年2月11日 - 28日は「DL冬の湿原号」として運転 [JR 12]
2017年度(平成29年度) 453 9,508 21 北海道内外およびアジア圏の利用が多数発生したことにより、乗車人員が前年度比増加。 [JR 13]
2018年度(平成30年度) 442 9,284 21   [JR 14]
2019年度(令和元年度) 431 9,483 22 2020年2月24日に累計乗車人員30万人達成。 [JR 15]
2020年度(令和02年度) 356 7,123 20   [JR 16]
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商標

C11 171/SINCE 2000/SL冬の湿原号」は、北海道旅客鉄道が商標として登録している[2]

さらに見る 登録項目等, 内容等 ...
登録項目等内容等
商標C11 171/SINCE 2000/SL冬の/湿原号
称呼シイイチイチイチナナイチ,エスエルフユノシツゲンゴー,シツゲンゴー,エスエルフユ
出願番号商願2000-19879
出願日2000年(平成12年)2月8日
登録番号第4454286号
登録日2001年(平成13年)2月23日
権利者北海道旅客鉄道株式会社
役務等区分14、16類
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ギャラリー

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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