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パハウ・フモン文字 (Unicodeのブロック)
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パハウ・フモン文字(パハウ・フモンもじ、英語: Pahawh Hmong)は、Unicodeのブロックの一つ。
解説
要約
視点
中国南部や東南アジア北部(ラオス、ベトナム、タイなど)に居住するミャオ族によって話される、ミャオ・ヤオ語族に属するミャオ語(苗語、フモン語;英語: Hmong、ミャオ語: Hmoob)を表記するため、1959年にラオス北部のベトナムとの国境地帯に住むミャオ族のカリスマ的な宗教的指導者であるション・ルー・ヤン(Shong Lue Yang; ミャオ語: ション・ルー・ヤー (Soob Lwj Yaj); 𖬌𖬤𖬵 𖬘𖬲𖬞 𖬖𖬲𖬤 [ʃɔ́ŋ lɨ̂ jâ])によって作られたパハウ・フモン文字を収録している。ション・ルー・ヤンは数ヶ月にわたって彼の前に現れた二人の超自然的な使者によって、この文字体系が伝えられたとしている[1]。
なお、ミャオ語を書き記す文字体系には他にラテン文字(RPAと呼ばれる[1])、ポラード文字(ミャオ文字)(中国南部で話されるミャオ語の方言の一つである大花ミャオ語(A-Hmao)において)、ニアケン・プアチュエ・フモン文字、注音符号(中国南部で話されるミャオ語の方言の一つであるフムー語及びグー語において。注音字母拡張ブロックを参照)が存在する。本文字体系は主にラオス及びタイ北部や、その後それらの地域から移民として渡ったアメリカ合衆国のミネソタ州、カリフォルニア州及びオーストラリアに居住するミャオ族の間で広く用いられている[1]。
パハウ・フモン文字は音素文字のうち子音と母音とに独立した文字が割り当てられているアルファベットに分類される。ラテン文字などと同様に左から右への横書き(左横書き)である。
音節毎に分かち書きをするが、多くの文字とは異なり、母音を表す母音韻字を初めに書きその後ろに頭子音字を書くため、発音される順序と文字として書かれる順序が異なる。また、頭子音が何も付いていない母音字は暗黙の頭子音k-を含み、母音字が書かれずに頭子音字が書かれた場合は暗黙の母音-auがあるものとして読まれる。これらの特徴はアブギダに類似している。
母音韻字には声調を表す声調記号が、頭子音字には子音の発音を変更することを表すダイアクリティカルマークがそれぞれ文字の上に付けられる。なお、これらのダイアクリティカルマークには声調や発音をどのように変化させるかについて一定の法則がなく、基字とダイアクリティカルマークの組み合わせで様々な発音が表される。
加えて、アラビア文字やタイ文字などと同様に独自の数字体系(パハウ・フモン数字)を有している。
パハウ・フモン文字は主に4つの段階の進化過程を経ており、現在主に用いられているのはこのうちの2番目、3番目のそれぞれ第二段階縮約版(英語: Pahawh Njia Dua O, ミャオ語: Phajhauj Ntsiab Duas Ob; 𖬁𖬲𖬝𖬵 𖬄𖬲𖬟 𖬔𖬝 𖬑𖬲𖬞𖬰 𖬒𖬮𖬰 [pʰâ hâu ⁿd͡ʒía dùa ʔɔ́])、第三段階縮約版(英語: Pahawh Njia Dua Pe, ミャオ語: Phajhauj Ntsiab Duas Peb; 𖬁𖬲𖬝𖬵 𖬄𖬲𖬟 𖬔𖬝 𖬑𖬲𖬞𖬰 𖬈𖬪𖬵 [pʰâ hâu ⁿd͡ʒía dùa pé])と呼ばれる綴り字方式のものである。現行のラテン文字表記(RPA)は第三段階縮約版のものと一対一で対応している[1]。
初版のパハウ・パ文字(英語: Pahawh Pa, ミャオ語: Phajhauj Paj; 𖬁𖬲𖬝𖬵 𖬄𖬲𖬟 𖬁𖬲𖬪𖬵 [pʰâ hâu pâ])は第二、第三版のものとは異なる文字体系であり、現在は使われていない。また、4番目の改訂版であるパハウ・ツァ文字(英語: Pahawh Tsa, ミャオ語: Phajhauj Txha; 𖬁𖬲𖬝𖬵 𖬄𖬲𖬝 𖬗𖬰𖬦𖬰 [pʰâ hâu t͡sʰa])も一般的には使用されておらず、一部の知識人が速記として用いるのにとどまり、2011年にセントポールで開催された会議では、パハウ・モン語の利用者全員が、この版を使用している人はいないことに同意した。これらの版のものは使用頻度の低さや、文字体系が異なることから本ブロックには含まれていない[2]。
符号位置の順序はおおむね伝統的なパハウ・フモン文字の順序に従っている。
Unicodeのバージョン7.0において初めて追加された。
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収録文字
要約
視点
母音韻字と頭子音字のUnicode文字名は第三段階縮約版の綴り法に従っており、Unicode公式文書の注釈には第二段階縮約版の綴り法による文字名が示されている[3]。
なお、母音韻字について、第二段階縮約版では一部文字名として用いられているものと異なる声調(ラテン文字表記において音節末の-b, -m, -j, -v, -s, -gで表される)が対応しているため、そのような文字名とのずれがあるものについては「用例・説明」欄の第二段階縮約版に基づく転写(スラッシュで囲まれた部分)を太字で示す。
ラテン文字転写の列にはスラッシュ区切りで第三段階縮約版/第二段階縮約版の転写法を記す。
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小分類
このブロックの小分類は「母音韻字」(Vowel rimes)、「頭子音字」(Consonant onsets)、「結合分音記号」(Combining diacritical marks)、「約物」(Punctuation)、「数学演算子」(Mathematical operators)、「修飾文字」(Modifier letters)、「数字」(Digits)、「数値」(Numbers)、「表語文字」(Logographs)、「氏族名の表語文字」(Logographs for clan names)の10個となっている[3]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。
母音韻字(Vowel rimes)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、音節の母音を表す母音韻字が収録されている。
頭子音字(Consonant onsets)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、音節の頭子音を表す頭子音字が収録されている。
結合分音記号(Combining diacritical marks)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、母音韻字や頭子音字の上に付いて声調や発音を変更することを表す、文字幅のない結合文字(ダイアクリティカルマーク)が収録されている。
約物(Punctuation)
数学演算子(Mathematical operators)
修飾文字(Modifier letters)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、様々な機能を持つ修飾文字が収録されている。
数字(Digits)
この小分類にはパハウ・フモン文字で用いられる固有の数字が収録されている。
数値(Numbers)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、位取り記数法を用いず、単位数字を並べて表現する数値記号(Unicode上では10進法の位取り記数法を用いる"digit"とは区別される)が収録されている。
表語文字(Logographs)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、音と意味の情報を同時に持つ、単語を表す表語文字が収録されている。
氏族名の表語文字(Logographs for clan names)
この小分類にはパハウ・フモン文字のうち、氏族の名を表す表語文字が収録されている。
文字コード
| パハウ・フモン文字(Pahawh Hmong)[1] Official Unicode Consortium code chart (PDF) | ||||||||||||||||
| 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F | |
| U+16B0x | 𖬀 | 𖬁 | 𖬂 | 𖬃 | 𖬄 | 𖬅 | 𖬆 | 𖬇 | 𖬈 | 𖬉 | 𖬊 | 𖬋 | 𖬌 | 𖬍 | 𖬎 | 𖬏 |
| U+16B1x | 𖬐 | 𖬑 | 𖬒 | 𖬓 | 𖬔 | 𖬕 | 𖬖 | 𖬗 | 𖬘 | 𖬙 | 𖬚 | 𖬛 | 𖬜 | 𖬝 | 𖬞 | 𖬟 |
| U+16B2x | 𖬠 | 𖬡 | 𖬢 | 𖬣 | 𖬤 | 𖬥 | 𖬦 | 𖬧 | 𖬨 | 𖬩 | 𖬪 | 𖬫 | 𖬬 | 𖬭 | 𖬮 | 𖬯 |
| U+16B3x | 𖬰 | 𖬱 | 𖬲 | 𖬳 | 𖬴 | 𖬵 | 𖬶 | 𖬷 | 𖬸 | 𖬹 | 𖬺 | 𖬻 | 𖬼 | 𖬽 | 𖬾 | 𖬿 |
| U+16B4x | 𖭀 | 𖭁 | 𖭂 | 𖭃 | 𖭄 | 𖭅 | ||||||||||
| U+16B5x | 𖭐 | 𖭑 | 𖭒 | 𖭓 | 𖭔 | 𖭕 | 𖭖 | 𖭗 | 𖭘 | 𖭙 | 𖭛 | 𖭜 | 𖭝 | 𖭞 | 𖭟 | |
| U+16B6x | 𖭠 | 𖭡 | 𖭣 | 𖭤 | 𖭥 | 𖭦 | 𖭧 | 𖭨 | 𖭩 | 𖭪 | 𖭫 | 𖭬 | 𖭭 | 𖭮 | 𖭯 | |
| U+16B7x | 𖭰 | 𖭱 | 𖭲 | 𖭳 | 𖭴 | 𖭵 | 𖭶 | 𖭷 | 𖭽 | 𖭾 | 𖭿 | |||||
| U+16B8x | 𖮀 | 𖮁 | 𖮂 | 𖮃 | 𖮄 | 𖮅 | 𖮆 | 𖮇 | 𖮈 | 𖮉 | 𖮊 | 𖮋 | 𖮌 | 𖮍 | 𖮎 | 𖮏 |
注釈
| ||||||||||||||||
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履歴
以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。
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出典
関連項目
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