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カメ目に分類される爬虫類の総称 ウィキペディアから
カメ(亀)は、爬虫綱カメ目(Testudines)に分類される生物の総称。
カメ目は、多様な爬虫類グループの中でも比較的早期の約2億1000万年前(中生代三畳紀後期)に出現し、甲羅を本格的に発達させたことで特徴づけられる一群で、現代まで継続して繁栄している。ヒトの出現、乱獲によって絶滅した種、あるいは危惧される種があるが、それでも、グループ全体としては水・陸の両域で多様性を維持している。
文化的側面で言えば、亀は、堅い守りの象徴である一方で鈍重を揶揄する語として使われる。また、歩みの遅さではなく着実さを肯定的に捉える場合には、実直さや勤勉さなどを褒めるための比喩となる。古来、中国やインドでは神獣として扱われ、中国文化の影響下にあった地域では吉兆とされる。
基本的な構造は、四肢動物の基本から大きく逸脱するものではない。ただし、その胴部がはっきりした甲羅を構成する点が最大の特徴となっている。これは、内部構造では脊椎骨、肩胛骨、肋骨、胸骨などが互いに密着して箱のような構造をなしている。また外側ではブロック状に並んだ板によって外見的な甲羅が形成されるが、これは二次的に退化したものもある。甲羅は腹面、背面、側面で閉鎖されており、前側の窓から頭部と前足、後ろ側の窓から後ろ足と尾が出る形になっている。このように四肢帯が肋骨に囲まれているのは脊椎動物ではこの類以外になく、現生爬虫類中でもっとも特殊化した形態である[3]。
本目の構成種は甲羅に頸部や尾を収納する種が多いため、頭胴長(体長)や全長を測ることが難しい[4]。そのため背面の甲羅(背甲)の直線距離(背甲長、単に甲長とも)で大きさを表す[4]。現生の最大種はオサガメで最大甲長183センチメートル以上[5]。最小種はシモフリヒラセリクガメで最大甲長9.6センチメートル[6]。
大型種としては、コガシラスッポン属(インドコガシラスッポンは甲長140cm)、アルダブラゾウガメ(甲長120cmで体重300kg)、現生最大のウミガメであるオサガメ(甲長約200cm、重さ900kg以上)などを挙げることができる。
過去の絶滅種には全長4mに及ぶウミガメであるアーケロン(Archelon spp.。最大甲長1.9m。中生代白亜紀、米国)や、最大甲長でそれを上回る淡水棲のヨコクビガメ類であるスチュペンデミス・ゲオグラフィクス(Stupendemys geographicus。全長約4m、最大甲長約2.35m、最小甲長約1.8m。新生代中新世トートニアン、ベネズエラ)などの大型種が存在した。有史以前にはリクガメ属[要検証]の仲間やメイオラニアなど、2.5mを超える種が世界中の比較的広い範囲に分布しており、南北アメリカやオーストラリア、アフリカなどに棲息していたことが知られている。
オスとメスの大きさは同じか、多くの種ではメスのほうが大型化する[要検証]。極端な例としてはカンムリガメが挙げられ、17.5cmにとどまるオスの最大甲長に対し、メスでは61cmに達する。
多くの種は頸椎を垂直または水平方向に曲げることで頭部を甲羅に収納できるが、頭部を甲羅に収納することができない種もいる[7]。 原始的カメであるプロガノケリス類をはじめとして最初期に棲息していたカメ類は、頭部を収納できず、棘で武装するという違う方向性での進化を見せていた。しかし、その後のカメ類の進化は頭部と四肢を甲羅に中に納める方向に向かった。
ここで、収納を実現するために曲頸類のカメがとった方法は、上下の甲羅の間に頸を横向きにして折り畳み、挟み込むように納める「曲頸(きょくけい)」である。しかし、曲頸では、収納に成功してはいても頭部と頸部の半分が露出しており、完全に保護できているわけではない。
一方、遅れて出現した潜頸類のカメがとった方法は、頸を垂直方向にS字形に湾曲させて文字どおり中に押し込めるように収納する「潜頸(せんけい)」である。世界中の棲息地で曲頸類は潜頸類に取って代わられていった。
海棲に進化したものは、海に適応するにしたがって頭部を収納する必要がなくなり、退化的進化を遂げたものである。進化については、「#進化」も参照。
オオアタマガメは潜頸類であるが、巨大な頭部を持つため、それを甲羅に納められない。また絶滅種であるメイオラニアも頭部を甲羅に納められなかった。
背甲(左図) | 腹甲(右図) |
---|---|
項甲板 | 1 間喉甲板 |
椎甲板 | 2 喉甲板 |
肋甲板 | 3 肩甲板 |
縁甲板 | 4 胸甲板 |
臀甲板 | 5 腹甲板 |
6 股甲板 | |
7 肛甲板 | |
8 腋下甲板 | |
9 下縁甲板 (2x) | |
10 鼠蹊甲板 |
水棲カメの眼は横側についているものも多いが、陸上で暮らすカメの多くは、対象を見下ろせるように眼が前方についている[要検証]。カミツキガメやスッポンのような水棲カメの一部では、頭の上部付近についている。これらの種は、浅い水の中に眼と鼻孔を除く体全体を潜めて天敵から身を隠すことができる。ウミガメは、眼の近くに塩分を含む涙を作る涙腺を具えていて、飲んだ海水から得た体内の過剰の塩分を排出することができる。カメの網膜には、通常ほかの生物に見られるよりも多くの桿体細胞があるため、非常に夜目が利くと考えられている。また、近紫外線(UV A)から赤にわたる範囲に感度がある錐体を持っている。
草食性のリクガメの一部は、素早く動く餌を追跡して狩るための俊敏さが無いが、肉食性のカメは、頭部を素早く振ることができる。現生種では歯がなく、顎は角質の鞘(嘴)で覆われる[5][8]。この硬い嘴(くちばし)を具えた顎を用いて餌を切断したり咀嚼したりする。餌を呑み込むためにカメは舌を用いるが、トカゲやヘビなどの他の多くの爬虫類に見られるように舌を突き出してペロリと食物を捉えることなどはできない。植物食の種では硬い植物を噛みきれるように嘴に鋸状の突起がある種や[5]、動物食の種では獲物を切断できるように嘴が薄く刃物状になった種もいる[8]。また嘴が幅広く、硬い食物を噛み砕くことができる分類群もいる[5][8]。
カメの形態上の最大の特徴は、甲羅を持つことである[8]。甲羅は脊椎や肋骨と一体の甲板(骨甲板)と、鱗からなる甲板(角質甲板)の2つの甲板で構成される[5][8][9]。腹甲の一部は鎖骨や肋骨が変形したとされる[5]。骨甲板と角質甲板の継ぎ目がずれており、強度をあげている。
カメの甲羅(骨甲板)は肋骨や背骨のみが変形してできたとする説と、肋骨や背骨が「皮骨」と融合してできたという説とがあった。しかし2013年、理化学研究所は、カメの胚の発生プロセスの組織学的な解析と三畳紀の化石の調査により、カメの骨甲板は肋骨だけが拡張・変形して進化してきたことを立証したと発表した。ワニやアルマジロなど他の脊椎動物の装甲は、真皮層で形成された皮骨という組織からなるが、カメの背甲の板状の骨は肋骨が作られたのち骨膜が拡張し、その骨膜内で形作られるもので、その形成は真皮より下の結合組織内で起きる[10]というものである。
角質甲板は以下のように多くのパーツから構成されている[5][8]。分類群によってこれらの有無や数が決まっているが、発生時の環境や外傷、疾病などにより奇形を生じることもある[8]。
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現生種では化石種と比較して甲板が薄く軽量化し[5]、甲板数も少ない傾向がある[8]。例外もあるが陸棲傾向の強い種では甲板が分厚く背甲がドーム状に盛り上がり、水棲傾向の強い種では水の抵抗を減らすため甲板が薄く背甲が扁平になる傾向がある[5][8]。一方で例外も存在し、陸棲種でもパンケーキガメのように非常に甲羅が扁平で、素早く岩の隙間等に潜り込む種もいる[5][8]。水棲種にもフロリダアカハラガメやマレーハコガメの亜種などのようにドーム状に盛りあがる背甲を持つ種もいて、これは同所的に分布するワニなどの捕食者に対する防衛手段(甲羅が分厚くなることで飲みこみにくくなる)と考えられている[5][8]。陸棲種では腹甲が大型(背甲よりも長いことが多い)になり、水棲種では腹甲が小型になる傾向がある[8]。スッポン上科やオサガメは軽量化のため角質甲板が無く骨甲板も退化しているが[5][8]、これは浮力により体重を支えることができ表面を甲板ではなく皮膚で被うことで水の抵抗を減らす効果があると考えられている[9]。複数の科において腹甲に蝶番状の機構がある分類群が存在し、これにより腹甲を折り曲げて可動することができる[5][8]。蝶番のある多くの分類群で1か所、ドロガメ属のみ2か所、セオレガメ属のみ背甲に蝶番がある[8]。蝶番により腹甲が可動する利点としては背甲と腹甲の隙間を減らすことによる外敵や乾燥からの防御、逆に背甲と腹甲の隙間を増やすことで大型の卵を産むことができる(幼体や栄養分の増加により死亡率を減らせる)などの効果があると考えられている[5][8]。
なお、甲羅を持つがゆえに他の生物には見られない特徴が見られる。本来、肩帯は、肋骨が存在している場合は胸郭の肋骨より外側に付くのが普通である。しかし、カメでは発生時に肋骨が外側に広がり肩帯を取り込む[7]ため、四足動物では本目のみ肋骨(甲羅)の内側に肩帯がある[5][4][7]。また、肘関節は他の爬虫類とは逆に外側に曲がるようにできている。腰帯は他の四肢動物と同じく仙椎を介して体幹に繋がっているが、仙椎直前の胴胸椎肋骨と癒合した肋骨板が仙椎と癒合した上尾骨板とともに後方に伸長して甲羅後縁を形成するため、結果として甲羅の内側に位置する。また、かつて胴体を動かしていたと思われる筋肉は、甲羅により胴体を曲げたりしなくなったため退化したように見えるが、肺呼吸をするうえで鞴(ふいご)のように働き、呼吸運動に必要な力を供給する隔膜として転用されている。ただし、隔膜は人間の横隔膜と違い、縦に付いている。カメは主に肺呼吸を行うが、肺は大型であるものの胴体が甲羅で覆われているため、胸筋や腹筋を使って肺を収縮・膨張させて呼吸することはできない[8]。そのため頭部や四肢を甲羅に入れることで肺を収縮させ、肺の中の空気を吐き出し、逆に頭部や四肢を甲羅から出すことで肺をふくらませ空気を吸いこむ[5][8]。水棲種では鼻や口、喉の粘膜、総排泄口にある粘液嚢、皮膚を使い、副次的ではあるが皮膚呼吸によるガス交換をおこなう種もいる[8]。
前述のように、甲羅の外側の層は皮膚の一部からできていて、甲板は一枚一枚が鱗に相当する。甲羅以外の皮膚の残りの部分は、他の爬虫類のようなそれよりも小さい鱗から成る皮膚で構成される。
陸棲種では皮膚が大型の鱗で覆われ[4]、乾燥から身を守っている。水棲種では皮膚に大型の鱗がある種は少ない(陸上でも水中にも生息する種はこのかぎりではない)が、これにより皮膚呼吸が可能になり水中での活動時間を長くしている。
水棲カメはヘビのように全部を一度に脱皮することはせず、小さい部分ごとに行う。春から夏に脱皮することが多く、水中にいるときや、カメが木や石などに体がこすれて、皮の薄いシート(薄い樹脂フィルムのかけらのように見える)が剥がれる[12]。日の当たらない場所にいると剥けず、新陳代謝がうまく起こらないため成長せず、細菌が入って腐ってしまうため飼育している場合は剥いてあげる必要がある[12]。リクガメも脱皮を行うが、死んだ皮膚は山状に積層することがあり、それが甲羅の外側の部分を保護するのに役立つ。
一年でおよそどれだけの鱗甲ができるのかを知っていればカメの甲羅の積層によってできるリング模様を数えることで、およそのカメの年齢を見積もることができる[13]。ただし、カメの成長速度は一定ではない上に、鱗甲の一部はときどき剥落するので、この方法はあまり正確ではない。
リクガメは、短くて丈夫な足を持っている。リクガメは古来より歩みが遅いものとして認識されているが(#「動きの遅いもの」としての亀参照)、それは重くて邪魔になる甲羅があるため(甲羅を軽量化し素早く隙間にもぐりこむパンケーキガメといった例外もある)と、足が哺乳類のように体の下側にまっすぐ伸びているわけではなく、トカゲのように足が曲がってついているため、歩行運動の効率があまりよくないからである。
陸棲種では指趾が退化し[5]、鉤爪が発達する。水棲種は逆に指趾が長く、その間に水かきが発達する[5][8]。スッポンモドキやウミガメ上科では指趾の境目が不明瞭で、四肢はひれやオール状になる[5]。
ウミガメは前肢を上下運動させて推進力を得て、あたかも水中をはばたいて飛ぶように泳ぐ。後肢は推進には使われず、舵の役割を果たしている[5]。孵化(ふか)したての幼カメが巣から海まで移動するとき以外の場合は、淡水棲カメと比較するとウミガメは地上での動作がとても制限されている。メスのウミガメは産卵のために再上陸しなければならないが、そのときはひれ状の四肢を用いて苦労して体を前に引きずって前進する。
水陸両棲のカメは通常、リクガメによく似た四肢を具えているが、多くの種がアヒルのように指趾の間に水かきをもつ。水陸両棲のカメは四肢をすべて使って犬掻きに近い方法で泳ぐ。右側の2本の足と左側の2本の足を交互に前後させる。ワニガメのように、湖沼や河川の底をただ歩くことを好む種も存在する。ヌマガメ科の一部では、オスのカメは、メスに比べて特に長い鉤爪を持っている傾向がある。これは、交尾をする際にメスをつかまえておくための特徴であると考えられている。スッポンモドキのように、鉤爪が比較的小さくなり、指と指の間がつながった完全な水かきを持つカメもいる。これらのカメは前述のウミガメと同じ泳ぎ方をする。
卵はウミガメ科、カミツキガメ科、スッポン科では球形、ドロガメ科やヌマガメ科では楕円形で、他科では種によって異なる[5]。主にウミガメ科は皮革状の柔らかい殻、主にドロガメ科、スッポン科、ヘビクビガメ科では鶏卵状の硬い殻で被われ、他科では種によって異なる[5]。
淡水域、海洋、砂漠、草原、森林などの様々な環境に生息する[7]。緯度の高い地域に生息する種では氷の張った水面下での活動が観察されている種もいる。樹上棲種はいないが、オオアタマガメは四肢や尾を使い多少ながら木に登ることもある[7]。陸棲種のみで構成されるリクガメ科から、産卵を除いて上陸しない完全水生種(海棲種)のみで構成されるウミガメ上科もいる[8]。多くの種類が河川、湖沼、池等の淡水域に生息する[要検証]。水からあまり離れずに生活するが、リクガメ科は終生陸上で生活する。水棲種も多くは肺呼吸をしないと生きていけず、水面に顔を出して息継ぎを行う。しかし、冬眠中の個体やハヤセガメのように総排出腔でガス交換を行うことにより空気呼吸を行わず、呼吸のために水面に上がらない種もいる。
食性は種によって異なり[7]、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類、昆虫、貝類、甲殻類、植物の葉、果実、キノコなどを食べる種が知られている。一部の食物を専食する種もいる。水棲種では口を開け舌弓を動かし喉を広げることで口内の水圧を低下させ、水ごと獲物を吸い込み捕える事が多い[5][8]。
繁殖形態は卵生。主に陸上に産卵するが[5]、浅い水中に産卵(発生は水没していない状態で進む)する種もいる[8][14]。海を広範囲にわたって回遊するウミガメ類も産卵時は砂浜に上陸する。エミスムツアシガメは産卵巣の上に木の枝や落ち葉を塚状に積み上げ、母親が卵を保護する[5]。
カメ類は細胞の代謝のサイクルが遅く[要検証]、動物の中でも長寿の代表格とされる。 確実な長寿記録として1766年にセーシェルからモーリシャスに持ち込まれ、1918年に死亡したアルダブラゾウガメ(マリオンのゾウガメ)の152年の飼育記録がある[5][9]。他種ではギリシャリクガメ(ティモシー)の1855年-2004年にかけて149年(1842年生まれの162歳だったとされるが根拠は不明)、カロリナハコガメの138年、ヨーロッパヌマガメの120年の記録がある[9]。 不確実な記録としては1835年にダーウィンに採集され2006年に死亡したサンタクルスゾウガメ(ハリエット)は175年の飼育記録があるが、ハリエットはダーウィンが上陸しなかった島に分布するサンタクルスゾウガメであることが判明したためダーウィンが採集した個体ではないとする説もある[9]。1750年生まれとされアリポーア動物園で2006年に死亡したアルダブラゾウガメ(アドワイチャ)の255年の記録があるが、飼育していたとされるロバート・クライブが最後にインドにいた1767年からアリポーア動物園が開園する1875年までの記録がないこと、1875年にセーシェルから持ち込まれた個体とする報道もあり不確実とされる[9]。1773年か1777年にジェームズ・クックがトンガの女王に送り1966年に死亡したホウシャガメ(トゥイ・マリリア)の189年-193年の記録があるが、ジェームズ・クックがホウシャガメの分布するマダガスカルに寄港歴がないこと、ジェームズ・クックおよびトンガの双方にもホウシャガメの譲渡に関して記録がないことから不確実な記録とされる[5][9]。
カメ目の分類には、紆余曲折の歴史がある。従来、四肢動物の大まかな分類は、側頭窓(temporal fenestra)の形態によって行われていた[15]。20世紀初頭、オズボーンによって提案された当時の分類では、側頭窓を一つだけもつかあるいは持たないものが単弓類とされ、カメはここに分類された。その後、無弓類、広弓類などが提案され、カメはパレイアサウルス類などとともに無弓亜綱とされた[8][7][16]。しかし近年は形態や発生学の研究から双弓亜綱に含まれるとする説が有力で[8]、さらに形態的特徴から鱗竜類に近縁とする説もあった[15]。一方で分子系統学的解析からは主竜類もしくは主竜形類に含まれると推定されている[7]。また、主竜形下綱や鱗竜形下綱から独立したカメ下綱Testudinataに置く考えもある[17]。
以下の表で記号「†」は絶滅を意味する。
現生種は分類学上2つのグループ(亜目)のどちらかに所属する。これらは、頸部(首)を甲羅に納める方法によって分類される[18]。また、その単系統性については議論があるものの[要検証]三畳紀に生息していた初期の絶滅群をプロガノケリス亜目Proganochelydiaとしてまとめることもある[17]。曲頸亜目のカメは南半球に分布し[要検証]、頸(くび)を水平に折り曲げて甲羅に納める。これに対して潜頸亜目のカメは、頸を垂直にS字形に縮めるようにして納める。また頭部では、顎を動かす筋肉である下顎内転筋が向きを変える位置も両者で異なっている。腰骨と甲羅の接続部も異なる。潜頸亜目は両者が靭帯で結合しているのに対し、曲頸亜目では双方が癒合している。
以下の現生の分類群は、Turtle Taxonomy Working Group (2021) に従う[1]。
カメ類は側頭窓を持たない。このため、鳥やワニなどよりも古く、ペルム紀に分布していた無弓類から分岐したと考えられ、祖先となった可能性のある生物として、カプトリヌス、パレイアサウルス類 (Pareiasauridae) などが挙げられていた[19][20]。
それに対し、発生学の面からは側頭窓が二次的に閉じた双弓類ではないかという説が出されていた[7]。また、脊柱の可動性など全身の骨格の形態および石灰質の卵殻を持つことなどから、カメ類は主竜類に属するのではないかという見解が示された[21][22][23]。さらに近年の分子系統学的解析の結果も、カメが双弓類それもワニや鳥など主竜類に近縁な生物であるとの見解を支持した[7][24]。この説に従えば、カメは一度は持った側頭窓を後に再び失ったと考えられる。一方、トカゲ・ヘビなどの有鱗目は、カメよりも古く分岐したとされる[15]。
カメとその他の爬虫類の中間の形態を持つ化石資料や現生生物は発見されていなかったため、カメ目の進化は極めて短期間に生じたと考えられていた[25][26]。
中国南西部の貴州省で、中生代三畳紀後期、約2億2,000万年前の地層からカメに近い形態の爬虫類が発見された[7][27][28]。この爬虫類は、腹側に甲羅を発達させていたが、背側は不完全であり[7]、オドントケリス・セミテスタケア(Odontochelys semitestacea、「甲羅が半分で歯のあるカメ」の意)と名付けられた。また、海生生物の化石とともに発見されたため、海生であった可能性が指摘された[7]。一方で、2015年の研究では泳ぐことは不得意であり、仮に半水生であるとしても沿岸付近に生息していたと指摘されている[29]。オドントケリスは原記載で現生のカメ目に分類されたものの、後の見解ではPantestudinesというグループに含まれ、真のカメではないとされる。また、2018年に記載されたエオリンコケリスや2015年に記載されたPappochelysもカメに近い移行形態を持つ爬虫類であるとされ[30]、ペルム紀のEunotosaurusがカメ類が出現する系統の初期のグループであるという指摘もされたが[31]、異論もあり実際の分類に関しては不明瞭である[32][33]。また、2013年理化学研究所等の国際共同研究グループによる遺伝子解読の結果、カメの祖先は約2億5000万年前の生物大量絶滅が発生した時期(P-T境界)前後にワニ、鳥類、恐竜等のグループと分かれ独自の進化をした事が明らかとなった[34]。
同じく三畳紀の地層から知られるプロガノケリスは、口蓋部に歯が残っていた点、頭部や四肢を甲内に収納できず、むしろ頭から尾の先までの全身を数多くの棘で武装していた点が現生のカメと異なるものの、現生のカメ類に近い甲羅や、嘴を持ち、側頭窓を失うという特徴をすでに具えていた[7]。プロガノケリスやプロテロケルシス(Proterochersis)など初期の属は、もともとその他のカメ目の二亜目と姉妹グループの関係にあると考えられていたが[35]、より近年の研究においてはカメ目には含まれずPantestudines内のTestudinataというグループに含まれるとされる[36][37]。
ジュラ紀からはカイェンタケリス・アプリクス(Kayentachelys aprix)がジュラ紀初期の地層である米国アリゾナ州のカイェンタ累層(Kayenta Formation)から記載されている。この種は最古の潜頸類とされていたが、Testudinataの中でもMesochelydiaというグループに含まれるとされるようになった[38]。
ジュラ紀中期にはMesochelydiaの中からPerichelydiaというグループが出現している。このグループには現生カメ目も含まれるが、メイオラニアのように現生カメ目の外にありながら完新世まで生き延びたものも存在した[39]。
狭義のカメ目として知られている限り最古の属はジュラ紀後期から知られるSinaspideretesである。この属は潜頸類に含まれると考えられており、スッポン上科につながる最古の属であるとも考えられている[40]。一方で曲頸類もジュラ紀後期には出現していたとされており、Platychelysはすでに長い首を有していた[41]。
白亜紀にはスッポン上科に近縁のグループが多様化し、アドクス科や陸生のナンシュンケリス科(Nanhsiungchelyidae)などの絶滅群が出現した[42]。
ジュラ紀には二次的に海洋適応をしたThalassemysなどの属が知られており、白亜紀には大型種のアーケロンなどを含む潜頸亜目- プロトステガ科(Protostegidae)が出現した。ただし、分類については諸説あり、その形態的特徴から現生のオサガメに近い種であったと考えられていたが[43][44][45]、現生のグループとの関連性は明確ではなく、現生ウミガメとは関係ないグループであるとする説もある[46][47][48]。その中でも最初の属であるデスマトケリス(Desmatochelys)は、およそ1億2000万年前の白亜紀初期に現れたと考えられている[49]。初期の種であるサンタナケリスにおいては現生のウミガメに顕著な涙腺の肥大化という特徴も備わっていた。一方で白亜紀には現生のウミガメ類の系統も出現しており、日本からもオサガメに近縁なメソダーモケリスが記載されている[50]。
世界の熱帯・温帯を中心に300種類ほどが分布する。一部の種は、冬眠して越冬する。また、ブランディングガメのように耐寒性を持ち、水面が凍りついた環境でも活動する種もある。海棲種は深海にまで分布を拡げる。オーストラリア大陸に現生するカメは、ウミガメとスッポンモドキ以外は曲頸亜目のカメのみである。
開発による生息地の破壊、水質汚染、食用やペット用などの乱獲などにより生息数が減少している種もいる[5]。
アフリカ大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、スリランカ、セーシェル、日本、パプアニューギニア、フィリピン、マダガスカル[5]
外来種を含め、日本では以下の6科13種(うち2種は一部の亜種のみ)が見られる。
発見例の少ない外来種を除く。亜種分類には諸説があるものも含む。なお、ゼニガメは本来ニホンイシガメの幼体を指す俗称であるが、クサガメの幼体もゼニガメと呼ばれる。
古くから、甲羅は工芸品や占いに用いられ、肉は食用にされた。また、脂肪分は薬用、食用、美容、化粧用などの油として用いられた[9]。ウミガメ上科、アルダブラゾウガメ、ガラパゴスゾウガメ種群の脂肪、ナンベイヨコクビガメ属の卵などから採集された[9]。ガラパゴスゾウガメ種群やナンベイヨコクビガメ属の油は透明度が高く臭みも少ないことから、上質な油として欧米で取引された[9]。捕鯨船によるガラパゴスゾウガメ種群に対しての食用の乱獲は19世紀には個体数減少や、家畜の増加、灯油の普及に伴う捕鯨業者の衰退などにより減少したが、油用の乱獲は20世紀初期まで行われた[9]。
初期人類の研究では、出土するカメの骨が人類の活動が活発になるにつれて小さくなる(大型の個体群、種が食べつくされるため)ことが知られており、重要な指標となる[要出典]。
日本や中国ではスッポンが古来より食用にされており、養殖もおこなわれている。イスラム圏の中央アジアや南アジアでは水棲種は不浄なものとして食用として敬遠されることもあるが、卵は食用とされることもある[52]。一方でイスラム圏でもインドネシアでは魚と同様に扱い食用とする地域もある[52]。中華人民共和国では古くから食用とされたり薬用になると信じられ、例としてミスジハコガメは癌に効く万能薬になると信じられている[53]。中華人民共和国国外に移入した中国人もカメを食用とし、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸、東南アジア、ニューギニアなどからもカメを輸入するネットワークを構築している[52][54]。中には国際的な流通が規制されたワシントン条約附属書I掲載種が、中華人民共和国内の市場で発見された例もある[54]。大型種を乱獲しつくしたため続けて小型種を乱獲する[52]、食用や薬用で生息数が減少した種がペット用の採集や希少価値が加わることで高価になりさらに乱獲されるという連鎖現象も起こっている(Asian turtle Crisis)[54]。 香港ではミスジハコガメ(Cuora trifasciata)などの腹甲が、茯苓(ぶくりょう)などの生薬とともに煮込まれて、亀苓膏(きれいこう)、俗に「亀ゼリー」と呼ばれて、解毒・美容の効果がある食品として食べられていた。しかし、ミスジハコガメが絶滅の危機にあるため、近年は材料がクサガメなどに変えられている。弱い弾力があり、苦みと甘みがある。
オーストラリアではアボリジニが食用とし、壁画やアートのモチーフとしても用いられる[14][55]。スッポンモドキはオーストラリア国内では流通や輸出が禁止されているが、アボリジニによる自家採集は許可されている[55]。泥中で休眠するチリメンナガクビガメを人の手で泥中に埋めることで、生きた保存食としても利用された[14]。
欧米ではキスイガメが18世紀以降から大量に消費されるようになり大規模な養殖 (Turtle farming、養亀業) がおこなわれ、1880-1920年代にピークを迎えた[56]。生息数の減少と世界恐慌によりキスイガメが食用とされることは少なくなり大規模な養殖や食用の採集は行われなくなり、現在は郷土料理や家庭料理として扱われるようになった[56]。アミメガメの英名は味が鶏肉に似ていることが由来とされているが一部地域で食用とされていたとされ、食用とするのは一般的ではなく食用の養殖などが行われたこともない[57]。大航海時代にはアルダブラゾウガメやガラパゴスゾウガメ種群が食用とされ、囲心腔や膀胱に水分を溜めていることから飲水用にも利用された[9]。食物や水を与えなくても最長で2年は生存することもあり、保存食として用いられた[9]。南米では、インディオがカメを食する。
日本においても、ウミガメは貴重なタンパク源であった(特に卵は美味であるとされる)。小笠原諸島ではアオウミガメの刺身を含む各種の亀料理が発達していたが、ワシントン条約以後、捕獲が禁止されたため食用とされることはなくなった。味は鶏肉に似ている。
天然の亀は病原菌や寄生虫の宿主とされており、調理が不十分な状態での食用は危険である。生き血の飲用は特に危険であるため避けるべきである。粉末状に加工された漢方薬であっても肝炎を発症する可能性があるため、利用は避けたほうが良い。
タイマイの甲板は加工され、世界各地で工芸品の原料とされた(鼈甲)[58]。鼈甲は櫛や眼鏡のフレームなどに用いられ、日本では奈良時代から加工技術が存在する[58]。日本には1975年のワシントン条約発効後も鼈甲細工産業の保護という理由から、アメリカ合衆国による経済措置により1993年に鼈甲の輸入が禁止されるまで年あたり30トンの鼈甲が輸入されていた[58]。 ワシントン条約の附属書Iに掲載され、タイマイを含む全てのウミガメ(鼈甲製品、剥製)の国際商業取引は原則禁止されている。ただし、条約締結前あるいは付属書I掲載前に取得したものは適用除外され、また、飼育繁殖したものは附属書II掲載種と扱われるなど例外的に取引が許される場合がある[要検証]。現在は人工的に作られた鼈甲で代替されている。
古代中国の殷時代後期(3,300-3,000年前)には亀甲獣骨文字が使用され、これは世界最古の漢字とされる[59]。殷王朝においては祭事や戦争、農耕や天気予報などに至るまで、穴をあけた亀甲や獣骨に火をあてることで生じた割れ目によって吉兆が占われる[59]亀卜が行われた。「卜」という文字はこの際に生じた割れ目の形状に由来すると考えられている[59]。亀甲獣骨文字を刻んだ甲羅が今日まで残されている。日本ではこの亀甲による占いを「太占」と呼ぶ。
アメリカ合衆国では、1960-1970年代にかけてアカミミガメの亜種ミシシッピアカミミガメを主とした養殖個体が大量に流通し、不衛生な環境で飼育されたことも多く動物愛護上の問題とされたりサルモネラ菌による感染症の原因(実際は食品や他の動物が原因の感染も含まれると考えられている)とみなされた[60]。そのためアメリカ食品医薬品局により1975年以降は4インチ(約10センチメートル)未満のカメの輸入や流通が規制された(教育用、実験用であれば流通可能な場合もある)[60]。
日本では「ゼニガメ」の流通名で販売されるクサガメの幼体や「ミドリガメ」の流通名で販売されるミシシッピアカミミガメなどが特に多く流通している[要検証]。それ以外にも多くの種類が流通しており、近年では日本に分布しないリクガメも飼育される。しかし、インドホシガメのように、生息地からの輸出が禁止されているにもかかわらず密輸され、流通する種もある。また、寿命が長く成長すると大型化する種類もあることから、不法な放流による環境への被害は社会問題となっている。
カメ類はペットとして広く愛好されているが、実際の飼育が必ずしも簡単とはいえない。非常に我慢強いことがペットとしての適性にかなっていると誤解されている面もある。さらに適切な飼育環境下では長寿なこともあり、長期飼育を視野に入れる必要がある[4]。 動物行動学者コンラート・ローレンツはヨーロッパでペットとしてよく飼育されたギリシャリクガメについて、たいていの場合、死ぬのに時間がかかっているだけと酷評し、良好な条件で飼育することの困難さを指摘している[61]。
カメは地域や民族によっては信仰の対象とされる。中国文明影響下の東アジア文化圏では、霊獣四神の一つとして玄武があり、北方を守護するとされた。脚の長い亀に蛇が巻き付いた形で描かれることが多いが、尾が蛇となっている場合もある。先述のように古代中国ではカメの甲羅を用いて神託の儀式を行っていた。『史記』中にも神聖な亀について一書がある。
バラモン教による古代インドの人々の宇宙観では、複数で大地からなる我々の世界は3頭の巨象に支えられ、その巨象たちは1頭の大亀に支えられている。そしてさらには、その大亀は1匹の未曾有の体躯を持つ大蛇の上に乗っている [要出典]。ヒンドゥー教の時代、ヴィシュヌ信仰が盛んになると先の大亀はその化身であるところの大亀クールマであるとされた。世界(その一つ)であるマンダラ山が大蛇ヴァースキによって海底に沈められようとしたときに、大神ヴィシュヌが大亀の姿となって山を背に乗せ、それによって世界は保たれることになったという。また、クールマより古い亀の王アクーパーラも同様、マンダラ山を支える偉大な大亀で、本質的に同一である。
ギリシャ神話では変身譚の一つとしてケローネーの物語がある。ケローネーはニュンペーの一人で、ゼウスとヘーラーとの結婚式を馬鹿にして出席しなかったことから神々の怒りを買い、ヘルメースによって亀の姿に変えられる。「ケローネー」(Chelone)はギリシャ語で「亀」を意味する言葉である。
フランス南部の町タラスコンには、亀に似た怪物タラスクの伝説が伝わっている。この怪物は硬い甲羅に鋭い背鰭とヤマネコの上半身、6本の肢とドラゴンの体を具えている。
日本では亀の登場する伝説として、『浦島太郎』の物語がある。海辺で子供にいじめられていた海亀を助けた太郎は、この亀によって海底にある竜宮城へ連れて行かれそこで乙姫からもてなしを受ける。しばらくたって浦島が地上へ帰ろうとすると、乙姫は「決して開けてはならない」と注意しつつ土産として玉手箱を渡す。浦島が地上に戻ると、彼のことを知っている人が誰も見つからない。そこで浦島が玉手箱を開けると、そこから出てきた煙を浴びて、浦島は老人になってしまう。一般的にはこのような筋として知られているが、典拠によって様々なバリエーションがある(浦島太郎を参照)。
別伝であるが、乙姫が病気になり、竜宮の王が薬となる猿の肝を手に入れる必要が生じた、という話がある。その際、猿を呼び寄せるために、陸にも出られるからとカメが使いをする。カメは猿をだまして海に連れて行くが、途中で理由を漏らし、猿が「肝は枝に干してある」というのを信じて逃がしてしまう。カメは罰として甲羅を割られたと、これは甲羅の形の由来譚である。
日本では「鶴は千年 亀は万年」と言われ、鶴とともに亀は長寿の象徴、夫婦円満の象徴とされる。夫婦円満の象徴とされるのは、先述の『浦島太郎』伝説の原典の一つにおいて、浦島太郎が老人になったのちも乙姫(亀姫)が太郎を慕い続けて添い遂げ、やがて太郎は鶴に、乙姫は亀に化身したというところから来ている[要出典]。「亀姫」など名前としても使われる。
浮世絵師・歌川広重の『名所江戸百景 深川 萬年橋』(右方の画像を参照)には、手桶の取っ手に吊るされたニホンイシガメであろう1匹の亀が描かれているが、これは画題「萬年橋」の「萬年(万年)」を「鶴は千年 亀は萬年」にかけたもの。近景の亀も、手桶の取っ手と窓枠が形作る額のような四角画面に納まった遠景の富士の山も、そして2艘の帆掛け舟も、みな縁起物である。
緑藻類の付着したカメのことのことを蓑亀とよぶ。背中に蓑を羽織ったように見えることに由来し、日本では他に「緑毛亀」「緑藻亀」などと呼ばれる。中国や日本では長寿を象徴する縁起のよいものとして珍重され、古くからさまざまな文学作品や芸術作品に記述が見られる。
地中海文明および西欧文明においては、『イソップ寓話』中の一話「ウサギとカメ」が有名である。ここでの亀は鈍重で一見無能と思われながら、歩みは遅くとも着実に真っ直ぐ進む、いわゆる「勤勉さ」の象徴として描かれている。
古代ギリシアの無限に関する哲学的パラドックスとして有名な「アキレスと亀のパラドックス」では、俊足で知られる英雄アキレスに対して、歩みの遅いものの象徴として亀が用いられている。「先行する亀にアキレスが永遠に追いつけない」という常識的に受け入れがたい結論を導くパラドックスであり、アキレスに比べ亀が遅いものであるとの共通認識が無ければそもそもパラドックスとして成り立たない。
日本海軍においては潜水艦を水上艦船と比較して、「どん亀」と揶揄する表現があった。
サン=サーンス作曲の動物の謝肉祭の中の第4曲「亀」は、オッフェンバック作曲の天国と地獄のメロディを遅いテンポにして演奏したものである。
変速機構においてHi-Loの意味でウサギとカメの絵が描かれる例は多く存在する。例えば建設機械の変速機構操作にはJIS規格としてウサギとカメの絵が描かれている[62]ほか、ミシンの速度調節としてもウサギとカメが用いられている。
現代中国においては亀は侮蔑表現の一つとされる。中国語の最大の侮蔑語に「王八蛋(ワンパータン)」というものがあるが王八が亀を意味し中国人が守るべき八徳(仁・義・礼・智・信・忠・孝・悌)を忘れるという意味の「忘八(ワンパー)」と発音が似ているため、「王八蛋」で(八徳を忘れてしまうような)愚か者、恥知らずの意味として用いられる。
ラテン語では「カメ」を testūdō (テストゥードー)と言う[65]。これは陶製の容器testūや、煉瓦や土製の容器testaに由来する[65]。testūdōの複数形 testūdinēs (テストゥーディネース)が生物群としての「カメ類」の呼称、そして、和名の「カメ目」にあたる学名 Testudines ともなっている。
これとは別に、古典ギリシア語χελώνηに由来するchelysもカメを意味する[66]。この語は(亀の甲で作った)竪琴も指すためChelysはこと座を意味する[66]。
古代中国文明影響下の東アジアにおいて、亀の甲羅は、儀式に則り火に炙ったときの割れ方で吉凶を占うものであった[67]。
漢字の「亀」は、亀の体を横から見た形を描いた象形文字である[68]。詳しくはウィクショナリーの「龜」、および、その一節「字源」を参照。中国の繁体字(新字形)は現代のものでも、なお原形に近い(「他の言語」の「中文」、および、右の画像を参照)。頭と胴体、四肢と尾が揃っており、背中に甲羅を背負っている。地域などによって字形にかなり差異がある(繁体字#対照例示参照)。
現代中国語では陸棲、淡水棲のものを「烏亀」(烏龜 / 乌龟、wūguī、ただしクサガメの別名としても使われる)[69]、海棲のものを「海亀」(海龜 / 海龟、hǎiguī)という。陸生のもののうちスッポンについては「鱉」(鱉 / 鳖、biē)または「甲魚」(甲魚 / 甲鱼、jiǎyú)[69]などという。
日本での異称として「蔵六」と呼ばれる。四本の足と頭と尾の六つを甲羅の中に隠すところから。亀は長寿とされる縁起物なので人名にも使われる。
英語圏ではウミガメ上科は turtle、リクガメ科は tortoiseと呼称され、淡水棲種を指す1語はなく freshwater turtle と呼称される[9][57]。一方でカメ目全体の総称としてはアメリカ合衆国では turtles、イギリスでは turtle & tortoise を用いることが多い[57]。
アメリカ合衆国では陸棲種を terrestrial turtle と呼称することもあり、特にリクガメ科を除く陸棲種を指して用いられることもある[57]。キスイガメの種小名 terapin および英名はアルゴンキン語族の「食用ガメ」を指す語句に由来する[57]。アメリカ合衆国ではキスイガメのみをterrapinと呼称するのが一般的で、クーターガメ属を cooter、アカミミガメ属を sliderなどのように特定の分類群を指す単語を用いることが多い[7]。
イギリスでは turtle はウミガメ上科のみを指すという動きが強く、統一がとれていないものの淡水棲種を terrapin と呼称することもある[57]。ただし、例えば "Fly River turtle" のように、北米やオーストラリアで広く知られている名称があれば、例外としてそれを用いる。
オーストラリアでは水棲種は turtle、リクガメ科は tortoise と呼称される[57]。オーストラリアにはリクガメ科などの陸棲種がいないため淡水性種も tortoise と呼称する動きも過去にあったが、一般的ではない[57]。
べっこう(鼈甲)はウミガメ (sea turtle) の一種タイマイから作られるのに、tortoiseshell(直訳「リクガメの甲羅」)と呼ばれている。そのためタイマイ (hawksbill turtle) は tortoiseshell turtle とも呼ばれることがある。このように英語における tortoise と turtle の使い方は混乱している。
tortoise はラテン語 torqueō[注釈 2](「ねじる」「曲げる」の意[70])に由来する語根「tort-」から、足のねじくれた動物を意味する[71]。よって torsion「ねじれ」)や torture、torment(ともに「捻じ曲げる」、「拷問にかける」)と同系[71]。turtle も語源は tortoise と同じである。
混乱を避けるためにカメ目すべてを表せる単語として chelonian を用いることが、英語圏の獣医師や科学者、自然保護論者を中心に支持されている[要出典]。chelonian は、古代ギリシア語で "tortoise" を表す χελώνη (khelōnē、ケローネー。現代ギリシャ語の χελώνα)から来ている。
ドイツ語ではカメ類のことをSchildkröteと呼ぶ。 ドイツ語では複数の単語をつないで一単語を形成することが多いが、Schildは英語のshieldに相当する単語で、甲羅や背板を意味する。一方、Kröteにはヒキガエルの意味がある。
タイ語ではเต่า(tao、タウ)といい、タイ文字の「ต」の名称「ต เต่า」(to tao、トータウ、意味は「亀のトー」)となっている。
日本語、その他言語のカメ(亀、turtleなど)の名を冠する、または含む生物を挙げた。普通、カメの姿またはその一部分に似ていることに由来する。スッポン(鼈甲など)を由来とするものは省いた。
原則五十音順となっている。
和名で挙げたものを除く。
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