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デーヴァナーガリー文字 (Unicodeのブロック)

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デーヴァナーガリー文字(デーヴァナーガリーもじ、英語: Devanagari)は、Unicodeの23個目のブロック

概要 範囲, 面 ...
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解説

要約
視点

インドの第一言語であるヒンディー語やインド・マハーラーシュトラ州の公用語であるマラーティー語カシミール地方で話されるカシミール語などをはじめとしたインド中北部の多くの言語、ネパールの公用語であるネパール語ヒンドゥー教仏教などの宗教文化に大きな影響を与えたサンスクリット語など、南アジア地域におけるインド・ヨーロッパ語族インド語派ドラヴィダ語族の多くの言語を記述するために用いられるデーヴァナーガリーを収録している。

デーヴァナーガリーはサンスクリット語の表記のためにブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では短母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。母音記号はものによっては文字の左側に付けられることがあるが、Unicodeにおいては子音字→母音記号の順に入力することとなっており、符号上の文字の置かれる順序と実際のレンダーにおける表示順とが入れ替わる場合がある。

また、頭子音を伴わない単独の母音にも子音字同様に独立した文字が充てられており、子音連続など子音のみで発音する場合は半子音字(英語: half-form)と呼ばれる形に変化したり、特殊な子音字同士の合字を形成したり、あるいは単に殺母音記号であるヴィラーマという記号を子音字の下に付加したりする。鼻母音化記号(チャンドラビンドゥ)や前鼻音化記号(アヌスヴァーラ、或いはビンドゥ)のように、母音字や子音字に付加される結合文字ダイアクリティカルマーク)もいくつか存在する。

書字方向ラテン文字キリル文字などと同様に左から右へと横書き(左横書き)し、下に行を送る。単語毎に分かち書きをし、ベンガル文字グルムキー文字などと同様に同じ単語内ではシローレーカー(śirorekhā)と呼ばれる上部の水平線を繋げて書かれる。

子音字は有声音無声音の弁別に加えて、有気音であるか無気音であるかを区別する。そのため、各調音点における破裂音には計4種類の子音字が存在する。また、母音字については母音の長短によって文字が分けられている。

符号位置の順序はおおむね伝統的なブラーフミー系文字の順序に従っている。母音はa, i, u, e, oの順、子音字はまず破裂音について調音点が喉の側から口の側の順に並び、各調音点内では無声無気音、無声有気音、有声無気音、有声有気音、鼻音の順に並んでいる。また、破裂音の後に接近音及び流音(y, r, l, v)、摩擦音(s, h)が並んでいる。これらの順序はおおむね日本語の五十音順と一致しているが、これは五十音表がサンスクリット語の音韻学に由来しているためである。[1]

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(デーヴァナーガリー数字)を有している。アラビア文字における数字のことを「インド数字」と呼称することがあるが、これはデーヴァナーガリー数字とは異なるものである。

Unicodeのバージョン1.0においても「デーヴァナーガリー文字(Devanagari)」というブロック名で制定されていた。[2]

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収録文字

要約
視点

ラテン文字転写」の列はブラーフミー系文字のラテン文字への翻字方式の一つであるISO 15919(及び一部はIAST)に従う。

さらに見る コード, 文字 ...
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小分類

要約
視点

このブロックの小分類は「各種記号」(Various signs)、「独立母音字」(Independent vowels)、「子音字」(Consonants)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「ヴィラーマ」(Virama)、「記号」(Sign)、「ヴェーダ用声調記号」(Vedic tone marks)、「アクセント記号」(Accent marks)、「カシミール語用の従属母音記号」(Dependent vowel signs for Kashmiri)、「追加の子音字」(Additional consonants)、「サンスクリット語用の追加母音字」(Additional vowels for Sanskrit)、「インド諸文字用の一般句読点」(Generic punctuation for scripts of India)、「数字」(Digits)、「追加の記号」(Additional signs)、「マラーティー語用の独立母音字」(Independent vowel for Marathi)、「カシミール語用の独立母音字」(Independent vowels for Kashmiri)、「シンド語の入破音字」(Sindhi implosives)、「声門破裂音」(Glottal stop)の18個となっている。[4]本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。

各種記号(Various signs

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

独立母音字(Independent vowels

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、頭子音のない母音の音節を表す際に用いられる独立した母音字が収録されている。

子音字(Consonants

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、基本的な子音字が収録されている。子音字は何も母音記号が付かない場合は母音/-a/を伴って発音される。なお、現在のヒンディー語では短語末にある子音字は原則として母音が脱落して子音字のみで読まれる。

従属母音記号(Dependent vowel signs

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。文字によっては子音字の左側に結合されるため文字の符号上の順序とレンダー上の順序が入れ替わる場合があり、また、組み合わせる先の子音字によっては特殊な合字を形成することがある。

ヴィラーマ(Virama

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、ヴィラーマ(殺母音記号)と呼ばれる、子音字の持つ母音/-a/を読まずに子音のみを発音することを表す記号1つのみが収録されている。この記号はレンダー上は子音字を半子音字形(half-form)に変形したり、後続する別の子音字と合字を形成するための制御文字として働くことが多い。但し、文字によっては半子音字形を持たずただ単にヴィラーマが子音字の下に付く場合もある。

記号(Sign

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、ヒンドゥー教などにおいて聖音として扱われるオームを表す記号1文字のみが収録されている。

ヴェーダ用声調記号(Vedic tone marks

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、ヒンドゥー教やバラモン教における聖典のヴェーダを記す際に用いられる声調記号が収録されている。

アクセント記号(Accent marks

これらのアクセント記号は、もともとサンスクリット語のラテン文字への翻字を目的としていたが、現在は代わりにU+0300 ̀ 及びU+0301 ́ を使用する必要がある。これらの2つのアクセントは、ブラーフミー系文字の形状特性がないため、デーヴァナーガリー文字では使用しないことが推奨されている。[4]

カシミール語用の従属母音記号(Dependent vowel signs for Kashmiri

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、カシミール語で用いられる、子音字に結合する母音記号が収録されている。

追加の子音字(Additional consonants

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、借用語や特定の言語で用いられる拡張子音字が収録されている。

サンスクリット語用の追加母音字(Additional vowels for Sanskrit

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、サンスクリット語の表記に用いられる音節主音化した母音字としての流音の文字が収録されている。

インド諸文字用の一般句読点(Generic punctuation for scripts of India

これらの句読点は、文字名に「デーヴァナーガリー(DEVANAGARI)」という名前が付けられているが、インドの他の文字体系でも一般的に使用されている。また、南インドの一部の文字では略語記号としても使用されている。[4]

数字(Digits

この小分類にはデーヴァナーガリーで用いられる固有の数字が収録されている。

追加の記号(Additional signs

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、特殊な用途で用いられる2種類の記号が収録されている。

マラーティー語用の独立母音字(Independent vowel for Marathi

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、マラーティー語において用いられる、頭子音のない母音の音節を表す母音字が収録されている。

カシミール語用の独立母音字(Independent vowels for Kashmiri

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、カシミール語において用いられる、頭子音のない母音の音節を表す母音字が収録されている。

シンド語の入破音字(Sindhi implosives

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、パキスタンとの国境近くで話されるシンド語で用いられる入破音の子音を表す子音字が収録されている。

声門破裂音(Glottal stop

この小分類にはデーヴァナーガリーのうち、ネパールやインドのシッキム州に話者が存在する、シナ・チベット語族に属するリンブー語をデーヴァナーガリーで表記する際に用いられる子音字1文字のみが収録されている。

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文字コード

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履歴

要約
視点

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

さらに見る バージョン, コードポイント ...
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出典

関連項目

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