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公認心理師
心理に関する日本の国家資格 ウィキペディアから
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公認心理師(こうにんしんりし)は日本の国家資格。
公認心理師法を根拠とし、「心理に関する支援を要する者の心理状態の観察・分析」・「心理に関する支援を要する者との心理相談による助言・指導」・「心理に関する支援を要する者の関係者との心理相談による助言・指導」・「メンタルヘルスの知識普及のための教育・情報提供」(第2条)を行う。
心理職としては唯一の国家資格である。
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立法過程
2005年に「臨床心理士及び医療心理師法案」を議員立法する動きがあった。政府提案ではなく議員立法が目指された背景には、関係団体の間で意見集約・合意形成が難しい状況と規制緩和・行政改革の流れの中で政府提案による国家資格化には課題が多いことがあった。最終的には関係団体の意見がまとまらず、国会提出に至らなかった。
意見の調整を経た後、2014年の第186回国会に「公認心理師法案」として提出された。この法案は第187回国会での衆議院解散に伴い審査未了となり、継続審議となった。
2015年の第189回国会において改めて法案が審議され、与野党間で協議が整ったことを受けて、衆議院文部科学委員長提出の議員立法として、衆・参ともに全会一致での可決により成立した。また、衆・参それぞれの委員会では、6項目の付帯決議が全会一致で採択された。
名称の扱い
名称独占資格として規定され(第44条第1項)、公認心理師の有資格者以外は「心理師」という名称の使用が禁止されている(第44条第2項)。ただし、混乱がおこることを避けるため「心理士」などの「士」の付く既存の民間資格の名称を禁止するというまでには至らないとされている[3][4]。
活動領域及び所管庁
公認心理師は、特定の分野に限定されない「汎用性」「領域横断性」[5][6]を特長とする心理職国家資格を旨とするものである。そのため、文部科学省と厚生労働省による共管とされ、主務大臣は文部科学大臣と厚生労働大臣と規定されている。
内容
第一八九回 衆第三十八号 公認心理師法案 [成立]
(【第一八九回 衆第二十八号[撤回]】[7]は、実質的な内容の変更を伴わない形式的な修正を【第一八六回 衆第四十三号[廃案]】[8]へ行ったのみとされている)
(委員長提出法案[9]として、与野党合意により、さきに与野党四会派共同で提出した法案[7]の附則[10][11]に、配慮規定[訓示規定][12]を追加)
- 目次
- 第一章 総則(第一条~第三条)
- 第二章 試験(第四条~第二十七条)
- 第三章 登録(第二十八条~第三十九条)
- 第四章 義務等(第四十条~第四十五条)
- 第五章 罰則(第四十六条~第五十条)
- 附則
臨床心理士との対比
要約
視点
→各国の心理療法資格については「心理療法 § 各国の資格要項」を参照
→各国の心理職資格については「en:Psychologist § Licensing and regulation」を参照
かつての日本では、心理士、心理カウンセラー(相談員)、心理セラピスト(療法士)などの心理職には国家資格が存在しない一方、民間の心理学関連資格は多数存在した。しかし、欧米諸国[13][14][15]は元より、オーストラリア[16][17][18]や中国・台湾・韓国[19][20][21]でも資格制度の整備や所掌の明確化が既に図られている現状など、国際的観点からも制度の遅れがあることに鑑み、日本における心理職の国家資格創設の必要性は度々取り沙汰されてきた[22]。
公認心理師は、臨床心理士と同様の特性を帯びる一方で、養成期間が2年間(臨床心理士)から6年間(公認心理師)となるなど、いくつかの点で臨床心理士との規定の相違が認められる。ついては、下記に公認心理師、臨床心理士双方の主な規定をまとめ、その同異を示すとともに、メンタルケア先進国である米国臨床心理士[23][24][25]を比較対照群として併記する。
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歴史(「臨床心理士及び医療心理師法案」提出準備から「公認心理師法」公布まで)
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)
- 精神科医系団体(「精神科七者懇談会」=日本精神神経学会、精神医学講座担当者会議、国立精神医療施設長協議会、日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会、日本総合病院精神医学会、全国自治体病院協議会)[67]から再度の反対声明が発表[68]
- 2008年(平成20年)
- 日本学術会議が、「学士課程における心理学教育の質的向上とキャリアパス確立に向けて」という対外報告[69]と、「医療領域に従事する『職能心理士(医療心理)』の国家資格法制の確立を」という提言[70]を公表
- 日本精神科病院協会と日本臨床心理士会との意見交換会が初めて開催され、日本精神科病院協会は、日本臨床心理士会に対して、資格化の条件として、①1資格1法案であること、②医療の場における医師の指示の明示、③「臨床」という名称を使用しないこと、を提示[71]
- 「日本心理学諸学会連合(日本の心理学系学会の連合体)」が臨床心理職推進側と医療心理師推進側の協議再開に向けて働きかけることを理事会で決議[1][4][72]
- 2009年(平成21年)
- 臨床心理職推進側と医療心理師推進側との間を取り持つ形で日本心理学諸学会連合が協議の席につき、以降はこの三団体で協議を再開・継続(三団体会談)[1][4][72]
- 三団体会談において、「2資格1法案」の実現を図ることは困難であるため、新しい方向性「1資格1法案」を模索せざるを得ないとの認識を共有[4][63]
- 臨床心理士関係3団体(日本臨床心理士資格認定協会、日本臨床心理士会、日本臨床心理士養成大学院協議会)と日本心理臨床学会による臨床心理士関係4団体会合が開始[12][73]
- 教育・発達心理関連学会と「教育・発達」心理3資格(学校心理士、臨床発達心理士、特別支援教育士)を中心として、心理職の国家資格において特定の分野に偏ることなく、教育・発達分野が適切に位置づけられるようにすることを目的に、「教育・発達」心理資格連絡協議会[74]が発足。その後、日心連に協力する形[75]となったが、「三団体の協議に加えてほしい」との要望は日心連にて否決[76]
(但し、2012年より新たに資格メンバーを加えた「拡大三団体会談」が開始された際には、日心連側の一員として会談に参加)[77] - 日本臨床心理士資格認定協会は、日本臨床心理士会の(1資格1法案の)方向性に反対の意を込めた見解(「いわゆる国家資格問題に関する見解」)を公表[27]
- 2010年(平成22年)
- 精神科医系団体(精神科七者懇談会)からの申し入れにより、精神科七者懇談会と三団体との心理職の国家資格化問題意見交換会を開催[4]
- 「臨床心理職の国家資格化の動向」に関する日本臨床心理士養成大学院協議会の見解(1資格1法案の方向性及び内容について再検討を求める見解)に対し、日本臨床心理士会が意見を公表[11][1]
- 三団体会談において、「基本コンセプト共同見解案」に続いて、「国家資格についての三団体共同見解(修正案)」として【資格の基本コンセプト】と【補足事項】が取りまとめられ、臨床心理士と医療心理師を1つの法案内に併記する「2資格1法案」から、統合的な心理職国家資格を新しく創設する「1資格1法案」へと方針転換[1][4][78]
- 2011年(平成23年)
- 2012年(平成24年)
- 三団体主催により、「心理職の国家資格化を目指す院内集会」を衆議院第一議員会館にて開催[1][80]
- 自由民主党の「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」が立ち上げ(会長:河村建夫、会長代行:鴨下一郎・岸田文雄、幹事長:加藤勝信)[1][4]
- 「心理職の国家資格化についての実務者打ち合わせ」が3回にわたって開催。自民党、民主党の若手議員、厚労省・文科省、法務省、衆議院法制局、三団体関係者が参加。名称、類似名称、要望書に未記載の経過措置、試験実施機関などについて意見交換[1][77]
- 民主党の「心理職の国家資格化を推進する民主党議員連盟」が立ち上げ(共同代表:高木義明・仙谷由人、事務局長:大塚耕平)[1][4]
- 2013年(平成25年)
- 精神科医系団体(精神科七者懇談会)が総会で「心理職の国家資格化に関する見解」を承認し、公表[1]
- 三団体は試験実施機関に関して、日本臨床心理士資格認定協会との協議が叶わず、その結果、三団体関係者を中心に、心理職国家資格創設後の試験・登録機関指定を目的として、「一般財団法人 日本心理研修センター」を設立[1][81]
- 自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」第2回総会において、三団体会談関係者及び日本臨床心理士会関係者へのヒアリング[1]
- 精神科医系団体(精神科七者懇談会)から「心理職の国家資格化に関する提言」として、「各分野共通で医師とは連携」「医療分野(※医療機関内ではない)のみ医師からの指示」を提案する見解が発表[1][4]
- 自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」第3回総会において、日本臨床心理士資格認定協会へのヒヤリング。 臨床心理士の歴史と養成制度の詳しい説明がなされ、出席議員からは心理職の数はもっと多くを必要とする状況であることについての質問、および国家資格創設への協力要請の意見として「早く国家資格を作ることが重要なのでそれを考えてほしい」旨の意見が出される[1][82][83]
- 2014年(平成26年)
- 4月
- 自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」所属議員、衆議院法制局、文部科学省、厚生労働省らにより、「公認心理師法案要綱骨子(案)」の三団体に対する説明会が衆議院議員会館にて開催(説明者[法案準備担当]:山下貴司)[1][84]。
- 自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」第4回総会において、衆議院法制局・関係省庁(厚生労働省、文部科学省)出席のもと、「公認心理師法案要綱骨子(案)」が公表され、三団体と共に日本臨床心理士会、日本臨床心理士資格認定協会、日本臨床心理士養成大学院協議会が総会に招かれる[1][84]
- この骨子(案)では、「医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に係る主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受ける」と記載されており、三団体の「要望書(2011年版)」とも精神科医系団体の「心理職の国家資格化に関する提言(2013年版)」とも食い違いがあった[1][84]
- そのため日本臨床心理士会から改めて、「各分野共通で医師とは連携」「医療機関内のみ医師からの指示」と記載を変更する要望書を、河村建夫、山下貴司(第4回総会より議員連盟の事務局長に就任)、文部科学省、厚生労働省らに提出し、また、医療心理師推進側の全国保健・医療・福祉心理職能協会は意見として、「医療関連領域において、心理的支援の対象者に係る主治医がいる場合に限り、医師からの指示」のように表現の変更を要望[1][84]
- 加えて、2つの職能団体は、養成課程に関する内容についても、現行の臨床心理士や欧米諸国と比較してできる限り遜色のないように、実務経験の必要期間を養成大学院の所要期間よりも長く規定することも要望[1][84]
- 骨子(案)公表以降、各都道府県臨床心理士会や開業臨床心理士協会より、「専門性の土台となる臨床心理学という表現が明記されていないこと」、「現行の臨床心理士、もしくは、2009年11月の日本臨床心理士会代議員会において【国資格に対する当会の考え方】として呈示・決議された受験資格要件と同等以上の要件が課せられていなく、また、免許更新制の規定もないこと」、「医師の指示が医療機関の外部にまで拡大されること」等を懸念する要望書や緊急声明が出される[11][85]
- 刑事政策や刑事法制における整合性確保等の観点から、法務省刑事局刑事法制管理官室において罰則規定関係の審議受理[86][87]
- 5月
- 自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」第5回総会において、公認心理師法案を承認[1]
- 精神科医系団体(精神科七者懇談会)から「心理職の国家資格化に関する要望書」として、「医療分野以外の全分野でも、心理的支援の対象者に係る主治医がいる場合に限り、医師からの指示を受ける」と記載された条文(案)に賛成する見解が発表[1][4]
- この見解の中での精神科七者懇談会の主張は、これまで同懇談会が発表していた「心理職の国家資格化に関する提言(2013年版)」における主張とは文脈が異なっており、条文(案)では医師からの指示を受ける範囲を医療機関の外部にまで拡大しようとする記載になっていることについて、異存なしとして賛成を表明している[1][4]
- 自由民主党の文部科学・厚生労働両部会の合同会議において、質疑等が活発ですぐには了承されず、議員連盟は急遽関連団体(臨士会、三団体、日精協、資格認定協会)へ招集をかけ、経緯と今後の見通しの説明を行い、関連団体からの意見を聴取。その後、再度開催された合同部会において公認心理師法案を承認[1]
- 6月
- 各党の文部科学・厚生労働部会等において、公認心理師法案の審査。審査時に、精神科七者懇談会の他にスクールカウンセリング推進協議会や都道府県臨床心理士会等の関連団体に対してもヒヤリング・意見交換を実施[1][88][89]
- 日本臨床心理士資格認定協会が、各党部会(部門会議)のヒヤリング・意見交換会において、「意見報告」資料を配布[35]
- 超党派の公認心理師法案の実務者協議が開催[1][90]
- これらの審査や協議の中で、医師からの指示を受ける範囲を医療機関の外部にまで拡大しようとする記載になっていることについて、反対意見や修正要求が出るとともに、「議論を議事録に残すべき」との指摘[1][91]
- 与党政策責任者会議において、公明党からの指摘を踏まえ、「医療機関内や医療分野だけでなく、あらゆる分野にまで医師からの指示の影響が拡がるとする場合、学校内や企業内などにおける公認心理師の活動や対象者の利益に支障が生じることがないように、文部科学省・厚生労働省からの省令で担保する」旨の委任規定を盛り込む方向で協議が進められ、第45条に第2項を追加[1][3][92]
- 第186回通常国会において、衆議院議員提出法律案第43号として、6会派(自由民主党、公明党、みんなの党、結いの党、生活の党、社会民主党)共同で公認心理師法案を提出(提出者:河村建夫、鴨下一郎、山下貴司、古屋範子、稲津久、柏倉祐司、井坂信彦、青木愛、吉川元衆議院議員)[93][94]
- 衆議院文部科学委員会において、公認心理師法案の趣旨説明が実施(委員長:小渕優子、説明者:山下貴司)[95]
- 秋の第187回臨時国会において公認心理師法案の継続審議を行うため、衆議院文部科学委員会において閉会中審査の申出を決定(同日、衆議院本会議においても閉会中審査を議決)[96][97]
- 7月以降
- 8月
- 日本臨床心理士養成大学院協議会と日本臨床心理士資格認定協会は連名で、「主治医の指示条項が撤廃されるか、“医師の指導”に修正されない限り、(継続審議となった)法案そのものに反対せざるを得ない」とする見解を、法案審議に関係する衆議院文部科学委員会と厚生労働委員会の議員へ送付[11][35]
- 日本心理臨床学会第33回秋季大会の加藤勝信(衆議院議員、自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」幹事長)の講演において、「公認心理師の業務は直接身体に危険[直接的・積極的な危険]を及ぼすものではないと認識しています」という報告に加えて、三団体の「要望書(2011年版)」と食い違いがあった経緯として、「例えば、これから“在宅医療”を進めていく上で、空間によって規制の在り方を変えることは法文上困難であるため、施設によって分けるということではなく、主治医の有無で分けることになった」という報告と、「主治医というのは外科や内科は全く対象外で、精神科ということになりましょう」という今後の課題を報告[3][102]
- 9月
- 11月
- 第187回臨時国会において、「公認心理師法案に関する請願」[103]、「公認心理師法案一部修正に関する請願」[104](紹介者:小川淳也衆議院議員)が、衆議院文部科学委員会へ付託[105](衆議院解散に伴って審査未了)
- 民主党の文部科学部門と厚生労働部門の合同会議が13日に開催され、文部科学部門座長の中川正春衆議院議員より改めて修正協議等の報告があり、公認心理師法案の内容や取り扱いについて、両部門座長一任となる[106]
- 三団体が、「12日の時点では、衆議院文部科学委員会理事の民主党議員が1時間の確認質疑を行い、それを議事録に残し、原案のまま通すということで、各党の了解が得られていたことから、審議入りすれば衆議院は通る状況にあった」という国会動向を17日に報告[107]
- 6会派共同提出の公認心理師法案の内容について、民主党が修正を提案し、与野党合意に至った[10]が、第187回臨時国会会期中における衆議院解散に伴って法案は廃案[108][109]
- 日本精神神経学会が、公認心理師法案の無修正成立を迫る要望書を、厚生労働省など関係各所に提出[110][111]
- 三団体は、翌年1月からの通常国会に法案が再提出されることを求めることを決め、「『公認心理師法案』再提出のお願い」を公表[1][112]
- 12月
- 2015年(平成27年)
- 3月
- 平成26年度厚生労働科学特別研究事業「心理職の役割の明確化と育成に関する研究」(主任研究者:村瀬嘉代子)の総括・分担研究報告書がとりまとめられる[113]
- 自由民主党「心理職の国家資格化を推進する議員連盟」総会において、山下貴司議員連盟事務局長の司会で、河村建夫議員連盟会長、鴨下一郎議員連盟会長代行、根本匠議員連盟会長代行[64]の挨拶に始まり、続いて関連団体(三団体、日本臨床心理士資格認定協会、精神科七者懇談会)の各代表者が、謝意を表明しつつ挨拶。その後、山下議員より「心理職の国家資格化を巡るこれまでの経緯」・「公認心理師法案概要」の説明と、出席議員の推進了承の発言の後、第186回通常国会に提出され、第187回臨時国会で廃案となった『公認心理師法案』を、第189回通常国会で再提出することを承認[72][114][115]
- 4月
- 7月
- 8月
- 9月
- 1日、4会派共同提出の法案の本則に定める内容そのものの変更は行わないものの、民主党の提案を取り入れて、法案の附則に「資質の水準を確保するために、所要の規定を整備する」旨の配慮規定[訓示規定][12]を置いて委員長提案とする「公認心理師法案」を、民主党の「次の内閣」会議で了承[10][123]
- 2日、衆議院文部科学委員会において、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び社会民主党・市民連合の5会派共同提案[102][124]により、起草案を委員会提出の法案とすべしとの動議が提出され、山下貴司議員から趣旨説明を聴取した後、全会一致で可決[125][126](同日、4会派共同提出の法案は、提出者からの申し出により、撤回)[127][128]
- その際、省令等制定にあたって専門性や自立性を損なうことのないように第42条第2項の運用基準を明らかにする、第7条に関する留意事項など6項目の附帯決議を全会一致で採択[129]
- 3日、衆議院本会議において、全会一致で可決[9][130]
- 7日、参議院文教科学委員会に付託[131]
- 8日、参議院文教科学委員会において、提出者福井照衆議院文部科学委員長から趣旨説明を聴き、山下貴司衆議院文部科学委員長代理、下村文部科学大臣及び政府参考人(文部科学省初等中等教育局長)に対し、田村智子参議院議員(日本共産党所属)より、第42条第2項の趣旨と心理専門職の国家資格化の意義等について質疑[132]が行われた後、全会一致で可決[133][134]
- その際、省令等制定による第42条第2項運用基準の明確化、第7条に関する適切な留意事項など6項目の附帯決議を全会一致で採択[135]
- 9日、第189回国会において、「公認心理師法」が参議院本会議で全会一致で可決、成立 (2017年度施行の見込み)[9][136]
- 11日、「公認心理師法」公布のための閣議決定、上奏がなされる[137]
- 16日、「公認心理師法」公布[138]
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歴史(「公認心理師法」公布後)
- 2016年(平成28年)
- 3月
- 15日からの「公認心理師法」の一部施行(附則第1条ただし書)により、公認心理師試験の実施に関する事務を行う指定試験機関に関する規定などが施行
- 4月
- 9月
- 公認心理師カリキュラム等検討会(座長=北村聖・東京大学医学教育国際協力研究センター教授)の第1回が、20日に開催
[検討会の事務局は、文部科学省健康教育・食育課の協力を得て、厚生労働省公認心理師制度推進室が行うこととされている]
(平成28年度中に報告書とりまとめの見通し)[140][141][142]
- 公認心理師カリキュラム等検討会(座長=北村聖・東京大学医学教育国際協力研究センター教授)の第1回が、20日に開催
- 10月
- 11月
- 公認心理師カリキュラム等検討会ワーキングチーム(座長=北村聖・国際医療福祉大学大学院教授)の第1回が、4日に開催[145]
- 公認心理師カリキュラム等検討会ワーキングチームの第2回が、16日に開催
- 12月
- 2017年(平成29年)
- 1月
- 公認心理師カリキュラム等検討会ワーキングチームの第5回が、12日に開催[151]
- 6月
- 7日、「公認心理師カリキュラム等検討会」報告書を公表
- 9月
- 11月
- 12月
- 「公認心理師法」第36条第1項の規定に基づき、11日付けで「一般財団法人 日本心理研修センター」を指定登録機関として指定
- 2018年(平成30年)
- 1月
- 31日付けで、文部科学省及び厚生労働省から「公認心理師法第7条第3号に基づく公認心理師試験の受験資格認定の取扱い等について」及び「公認心理師法第42条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について」の通知が発出
- 上記の運用基準に関して、「公認心理師が行う支援行為は、診療の補助を含む医行為には当たらないが、例えば、公認心理師の意図によるものかどうかにかかわらず、当該公認心理師が要支援者に対して、主治の医師の治療方針とは異なる支援行為を行うこと等によって、結果として要支援者の状態に効果的な改善が図られない〔場合には、医行為とみなされる〕可能性があること……」という趣旨の考え方ではなく、「公認心理師が行う支援行為は、診療の補助を含む医行為とはみなされない」という誤った趣旨の考え方をされることに加えて、主治の医師の有無の確認が「合理的に推測される場合」という曖昧な表現で公認心理師の判断に委ねられている点と、「合理的な理由がある場合を除き、主治の医師の指示を尊重するものとする」という表現により合理的理由がある場合は指示を受けなくてもよいと解釈できる点があること[155]等により、日本精神神経科診療所協会[156]は3月30日付けで、日本精神神経学会[111]は5月19日付けで、「公認心理師法第42条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準についての見解」を文部科学省と厚生労働省に送付
- 2月
- 第1回公認心理師試験の施行[64]について、2月2日、4月9日及び5月24日付けで官報に掲載
- 3月
- 9日、平成30年版公認心理師試験出題基準(ブループリント(公認心理師試験設計表)を含む。)を公表
- 9月
- 9日、第1回公認心理師試験を実施
※平成30年北海道胆振東部地震の被災状況を踏まえて、第1回公認心理師試験のうち、北海道の試験会場で実施予定であった試験を中止したため、12月16日に追加試験を実施
- 9日、第1回公認心理師試験を実施
- 10月
- 11月
- 30日、第1回公認心理師試験の合格発表が行われる
※追加試験の合格発表については、平成31年1月31日に行われた
- 30日、第1回公認心理師試験の合格発表が行われる
- 2019年(平成31年/令和元年)
- 2月
- 18日より順次、5日付けの公認心理師登録証[64]の発送を開始
- 6月
- 8月
- 4日、第2回公認心理師試験を実施(合格発表は9月13日)
- 12月
- 2020年(令和2年)
- 3月
- 厚生労働省 令和元年度障害者総合福祉推進事業「公認心理師の養成や資質向上に向けた実習に関する調査」(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター)の報告書がとりまとめられる[164][165]
- 8月
- 9月
- 2021年(令和3年)
- 3月
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主な争点
要約
視点
医師との関係性及び受験資格をめぐる問題
「 | (連携等) 第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。 2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。 (経過措置等) 第四十五条 2 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、文部科学省令・厚生労働省令で定める。 |
」 |
—法案第四章 義務等 |
上述のように、2014年6月に第186回通常国会へ提出した公認心理師法案は、同年秋の第187回臨時国会において継続審議を行うため、衆議院で閉会中審査が議決された[96]。審議においてはいくつかの論点がある中で、法案提出前の各党の文部科学・厚生労働部会等での法案審査や、超党派の法案実務者協議の中で特に反対意見や修正要求が具体的に指摘されることになったのが、法案の第四十二条「連携等」における「医師との関係性」に関する記載についてで、さらに、各関係団体が主張を見解や声明としてリリースした[1][4][11][35]ほか、SNS上においても活発な議論が行われていたこと[170]も踏まえ、これらの論点を下記にて整理する。
※補足
厚生労働省社会援護局精神・障害保健課による「支援対象に主治の医師があるかどうかを常に確認しなければならないかどうかについて」の説明(2014年4月23日付け)は、下記の通りである。
「 |
1、この定めの趣旨としては、心理状態が深刻であるような者に対して公認心理師が当該支援に係る主治の医師の治療方針に反する支援行為を行うことで状態を悪化させることを避けたいということ。 |
」 |
※参考(補足)
「 |
医療関係職種の業務における3つの行為類型(案) |
」 |
—厚生労働省 |
また、臨床心理士関係4団体の組織概要と倫理、国家資格化への態度等を下記に示す。関係4団体の間で最後まで意見が分かれたのは、法案の第四十二条「連携等」における「医師との関係性」及び第七条「受験資格」についての記載である[12][136][173]。
「 | (受験資格) 第七条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者 二 学校教育法に基づく大学おいて心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの 三 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者 |
」 |
—法案第二章 試験 |
与野党協議の結果、衆議院文部科学委員会提出の法案では、附則に下記の条項を追加し、また、衆参両院で下記の附帯決議を採択し、全会一致で成立した。
「 | (受験資格に関する配慮) 第三条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。 |
」 |
—法案附則 |
「 |
|
」 |
—衆議院文部科学委員会 平成二十七年九月二日[129] |
「 |
|
」 |
—参議院文教科学委員会 平成二十七年九月八日[135] |
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脚注
根拠法令
関連項目
外部リンク
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