前瞻基礎建設計画
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前瞻基礎建設計画(ぜんせんきそけんせつけいかく)は2017年3月に中華民国総統の蔡英文が打ち出し、行政院長の林全が推進を宣言した台湾の基礎インフラの大規模建設投資計画である[1]。前瞻は「展望、予測」「プロスペクティブ」の意で、「将来を見据えたインフラ建設計画」という意味が込められており、未着手の事業も前倒しする意志の表れでもある[2]。

概要
これまでの十大建設、新十大建設に相当するものだが、主に軌道インフラの整備が重視されている[3]。
2016年に蔡英文が総統に就任すると、これまでの重厚長大寄りの産業形態を見直し、エコ化、デジタル化をより推進するための景気対策の一環で基礎インフラ建設投資への意欲を表明。 軌道インフラ、デジタルインフラ、水利インフラ、環境インフラ、地方の都市インフラに大別され、地域均衡、国内投資増、持続的かつ安定した経済成長を目標としている。この大規模な政府支出により民間投資1兆7,777億元も呼び込む狙いがあり[4]、8年間でGDPを総額9,759億元押しあげるとしている[5]。台湾各地方政府の提出計画に中央政府予算を盛り込んで2017年3月に行政院で閣議決定され、同年5月の法案成立を目指している。 前政権の馬英九が推進していた「愛台十二建設」の未着手分も一部受け継いでおり、蔡の2016年中華民国総統選挙での当選前後から就任前までに実現あるいは前進した事業も含まれる。
計画内容
要約
視点
台湾の各地方政府が提出していた項目のうちリスト入りされたもの。 以下の中央政府拠出分の事業費の単位は全て台湾ドル[6]。
軌道インフラ(軌道整備、軌道建設)
主に鉄道分野を記載する。既存計画の進捗については
→詳細は「台鉄捷運化 § 現在行われている主要な工事」を参照
→詳細は「捷運#建設中・計画中」を参照
鉄道は初年度で38項目がリスト入りし、総額9558.63億元に達する。このうち総統任期1期目である4年以内の完成あるいは具体化は8項目総額2419.75億元、4年以内に計画を推進させるものが30項目総額7138.88億元。4241億3300万元(日本円約1兆5328億円)を2017-2024年の特別予算として計上する。以下の地域別リストを参照。また、国内鉄道車両メーカーの育成を通じて国外市場への進出も視野に入れている[7]。
- 2期予算(2018-2019)
2018年7月20日 - 軌道部門420億元を含む前瞻基礎建設計画二期予算が行政院で承認(立法院の三読審議後に執行)[8]。
台北市・新北市・基隆市
新北市
- 新北捷運三鶯線(2016年着工済):502.00億
- 淡海軽軌(2016年着工済):153.06億
- 安坑軽軌(2016年着工済):166.32億
- 台北捷運万大中和樹林線第2段階:550億(2期[8])
桃園市
新竹市・新竹県
台中市
彰化県
雲林県
南投県
集集線近代化計画:23.63億
嘉義市・嘉義県
台南市
高雄市
屏東県
宜蘭県
花蓮県・台東県
水利インフラ(水生環境整備、水環境建設)
2017-2024年で総額2507億7300万元を投入、最初の4年で791.32億元を計上。
全体
- 水道水供給改善:117億
- 防災及び貯水池建設:37億
- 伏流水開発:20.00億
- ITによる水管理・節水:13.00億
- ダム環境保全:130.00億
- 他10項目
桃園市
台中市
- 台中市大甲渓水資源総合運用事業:89.00億
南投県
- 南投県鳥渓鳥嘴潭人口湖計画(事業化済):190.04億
台南市
- 沙崙グリーンエネルギーサイエンスパーク:
- 下水道建設、
- 白河ダムの継続改善工事:20.00億
離島地区
- 第2期離島地区給水改善計画:19.00億
地方の都市インフラ(都市と地方の建設、城郷建設)
4年総額1372億元を計上。
- パークアンドライド、スマート駐車場管理の推進(交通部):200億
- 道路のライフライン共溝化による電柱レス化、舗装品質向上など(交通部、内政部):332億
- 中小都市の区画整理、コンパクトシティ化推進(内政部):85億
- 大型工業団地や農地の業態転換による再開発(経済部):200億元
- 歴史遺産の保存や修復による地区再生(文化部):158億
- 少子高齢化で増加する学校の空きスペースを、地域コミュニティ取り込みや全老朽校舎の建替えにより多元化(教育部):45億
- 自治体の行政サービス拠点再整備で地方政府庁舎などの耐震強化、近代化、デジタル学習拠点への活用など(内政部、衛生福利部):212億
- 自転車道、河岸緑化整備などのレジャー施設インフラ高品質化(教育部):100億元
- 台3線を軸にした客家ロマンチック街道推進プロジェクト[21](客家委員会):20億元
- 集落の健全な持続維持のため、デジタル学習機会の強化、水資源改善など(原住民族委員会):20億
デジタルインフラ(デジタル建設、数位建設)
総額460億6900万元を計上。
- 公共・教育機関のクラウド推進、防災・セキュリティへの投資:138.8億
- 回線品質向上によるデジタルデバイドの解消:39.7億
- 文化遺産・歴史遺産のデジタル化投資:64.7億
- スマート・シティの実現:298.1億
- 次世代科学研究とスマートラーニングの教育機関への導入、人材育成など:191.5億
環境インフラ(グリーンエネルギー建設、緑能建設)
- グリーンエネルギー建設(243億1500万元を計上)
全体
台南市
- 沙崙グリーンエネルギーサイエンスパーク(台南市):117.8億
- 綠能社区(グリーンコミュニティ)発展計画
他の投資
新竹市・新竹県
台南市
関連項目
出典
外部リンク
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