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姨捨駅
長野県千曲市にある東日本旅客鉄道の駅 ウィキペディアから
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姨捨駅(おばすてえき)は、長野県千曲市大字八幡姨捨にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)篠ノ井線の駅である。
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概要
標高551メートルの山の中腹に位置し、全国でも数少ないスイッチバック方式を擁する駅である。冠着山に近いが、その山頂は駅舎およびホームからは山襞や樹木に隠れて望見はできない。
当駅のホームから見下ろす長野盆地(善光寺平)は、日本三大車窓の一つに数えられる[1]。長野県下にある国指定の名勝5か所のうちの一つでもある「田毎の月」(長楽寺持田である四十八枚田に映る月)が有名[1]。標高が高く眺望の良い手近な場所に当駅が設置されたことにより、観月と風景を楽しむ周辺の観光エリアが広がった。
日本経済新聞社の2007年アンケート「足を延ばして訪れて見たい駅」の全国第2位にランクされた(1位はJR九州門司港駅、この時東京駅は4位だった)。また、2008年(平成20年)9月6日号の『日本経済新聞』朝刊別刷り「日経プラス1」紙面において、全国に数ある月の名所の中から、当駅周辺が第1位の「お月見ポイント」に選ばれた[3]。日経BPが発行する『日経おとなのOFF』では、「日本三大名月の里」の1つに数えられている[4]。
2012年(平成24年)8月1日には日本夜景遺産(自然夜景遺産)に認定された[5]。後述の「ナイトビュー姨捨」も2015年(平成27年)7月27日に日本夜景遺産(施設型夜景遺産)に認定されている[6][報道 1][報道 2]。
当駅は無人駅ではあるが、こうした風景の良さから旅行者がしばしば立ち寄り、週末には周辺住民有志が来訪者にお茶を振る舞うなどしてきた。後述のように「TRAIN SUITE 四季島」が停車するようになってからは知名度が上がり、住民有志が販売を請け負う記念きっぷの販売枚数が2017年は約3,600枚と、2016年より1,100枚程度増えたという[新聞 1]。
- ホームより望む善光寺平
- ホームより望む善光寺平の夜景
- かつて設置されていたビューポイントの表示(2007年9月)
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歴史
- 1900年(明治33年)11月1日:官設鉄道(のちに日本国有鉄道)篠ノ井線・篠ノ井 - 西条間の開通と同時に開業[1][2]。旅客・貨物の取り扱いを開始[2]。
- 1934年(昭和9年):駅舎を改築[1]。
- 1950年(昭和25年)2月2日:地すべりによりホームが沈下し、使用不能となったため仮ホームへ移転[新聞 2]。
- 1951年(昭和26年)3月30日:復旧作業が終了し、元のホームに戻る[新聞 3]。
- 1960年(昭和35年)6月1日:貨物の取り扱いを廃止[2]。
- 1972年(昭和47年)3月31日:荷物の扱いを廃止[7]。無人駅化[8]。
- 1973年(昭和48年)1月20日:簡易委託駅となる[9]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、JR東日本の駅となる[2]。
- 2010年(平成22年)
- 2011年(平成23年)7月24日:駅舎外装および跨線橋のリニューアルに伴い、記念式典を開催[報道 4]。
- 2012年(平成24年)
- 2016年(平成28年)5月10日:クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の運行開始に合わせて、駅整備を行うことを発表。概要は上りホームの待合室のリニューアルと「TRAIN SUITE 四季島」の車両に合わせたホームの嵩上げとなっている[報道 6]。
- 2025年(令和7年)
- 開業当初の姨捨駅(1900年11月)
- リニューアル前の駅舎(2006年9月)
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駅構造
要約
視点

相対式ホーム2面2線を有するスイッチバック方式の地上駅である[1]。駅付近の本線は、稲荷山付近から冠着トンネルまで最大25 ‰の上り勾配である[1]。また、スイッチバックの引き上げ線内も奥へ向かって25 ‰の上り勾配になっていて、水平になっているのは駅の着発線付近のみである。かつては駅の着発線のさらに奥に66.7 ‰の急勾配が設置されており、ブレーキが効かずにオーバーランした車両を受け止める避難線となっていた。この線路の跡地は、姨捨変電所と駅利用者のための駐車場になっている[10]。
本線上にホームは設置されておらず、通過列車は当駅のホームには入線しない[1]。当駅に停車する場合、上り列車は急な上り勾配が続く本線から左側に分岐して水平に行き止まりの引き上げ線に入り、そこで進行方向を後ろ向きに変え本線を横切ってホームに入線する。発車時は再び進行方向を前向きに変え、本線へ進む。下り列車は逆に本線から左側に分岐して水平のホームに入線し、発車時は後進し本線を横切って引き上げ線に入った後に改めて前進する。運転士は後進の際、運転台を移動せずそのまま操作を行う(列車によって異なる場合あり)。
駅舎は大正デモクラシーの時代の設計であり、1934年(昭和9年)に完成したものである。木造で約100平方メートルある[報道 10]。古くは貨物や小荷物も取り扱っていたが、1972年(昭和47年)3月に国鉄の駅としては無人駅となった。無人駅化後も、平成初めごろまでは構内にキヨスクがあり、簡易委託駅として硬券の乗車券が販売されていた。しかし、店主の引退に伴い売店が閉店となり、完全に無人駅となった。駅の管理は長野駅によって行われている。簡易Suica改札機と乗車駅証明書発行機が設置されている。
なお、スイッチバック方式の駅として設置された目的に「蒸気機関車への給水」があったが、1970年(昭和45年)2月に蒸気機関車の運行が行われなくなったため、現在では給水設備は撤去されている。この区間の電化は1973年(昭和48年)3月28日であり、蒸気機関車廃止から電化までの間は気動車(ディーゼル車)による運行がされた。
2010年(平成20年)に駅舎のリニューアル工事が行われ、同年7月24日に記念式典が行われた[報道 3]。このリニューアルでは、1934年(昭和9年)当時の様子の復元が行われ、手小荷物扱い窓口が再現され、内壁や天井、建具などの修繕が行われた[報道 3][新聞 6]。さらに9月7日には2番線ホームに半径2.5メートルの展望台が設置された[新聞 7]。その後、2011年(平成23年)7月24日に駅舎の外装や跨線橋がリニューアルされ、記念式典が行われた[報道 4]。また、4月ごろ - 11月ごろまでの土休日は地元有志により「くつろぎの駅」として、駅事務室の開放に加えお茶などのおもてなしなどが行われる[報道 11][11][要文献特定詳細情報]。「くつろぎの駅」開設期間を通して、2018年(平成30年)までは硬券の記念入場券を買うことができたが[報道 11]、2019年(令和元年)からはこれに代わって「来駅記念券」が販売されている[新聞 8]。なお、出札業務は行われていない。
さらに、2017年(平成29年)5月から運行が開始されているクルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」の停車駅となるのに合わせ、ホーム上に新たに展望ラウンジとバーを兼ねた「更級の月」が設営された[報道 6]。
のりば
※案内上ののりば番号は設定されていない。
- 付記事項
- 一駅一名物:松尾芭蕉句碑 - 長楽寺にあやかってのものだが、松尾芭蕉が『更科紀行』で詠んだ「おもかげや姨ひとりなく月の友」の句碑がホームにある。
- ホーム上に俳句投函箱が設置されている[13][14]。
- 駅舎内(2022年4月)
- ホーム(2022年4月)
- 展望デッキ(2010年10月)
- 善光寺平に向かって設置されているベンチ(2024年6月)
- 「くつろぎの駅」屋内(2024年6月)
- ラウンジ「更級の月」(2024年6月)
- ホーム(左)と本線(右)(2023年3月)
- 車止め(2022年4月)
- 右手前の線路に長野方面へ向かう列車が、左手前の線路に松本方面へ向かう列車が進入する。通過列車はスイッチバックを行わずに、一番左側の本線を通過する。
- 松本方面へ向かう列車は右手前の待避線に入り、バックで駅構内へ進入し、発車後はそのまま松本方面へ向かう。長野方面へ向かう列車は左側の線路を走行し駅構内へ進入した後、バックで右手前の待避線に入り、折り返して長野方面へ向かう。
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利用状況
JR東日本によると、2014年度(平成26年度)- 2020年度(令和2年度)の1日平均乗車人員の推移は以下のとおりであった。無人駅ではあるものの、不定期で窓口営業が行われていたため、集計対象となっていた。
駅周辺
夜景100選に選ばれている長野自動車道の姨捨サービスエリアまでは当駅から直線距離約200メートルで、ほぼ同じ眺望を共有する。
棚田の周辺には、小規模ながら古墳が散在する。駅南側の踏切を渡って左側に入った小古墳上からの景観は穴場と言える。眺望ポイントは駅からのほか、下記の地点が標高差や方位、時代背景、環境変化と共に推奨されてきた。
その他
- 土休日に限らず駅周辺では写真を撮影する人が多い。列車や雪景色、桜、新緑、田植、稲刈、紅葉、夜景など四季の景観を合わせた題材が豊富に得られることで人気がある。また、元旦には初日の出を期待する人が20 - 30人を数えることもある。
- 近年は姨捨発着の臨時列車の設定が盛んで、2008年(平成20年)5月には豊田車両センターの201系四季彩号を使用した「姨捨フォトトレイン四季彩号」[報道 12]、2009年(平成21年)5月には高崎車両センターの旧形客車を使用した「快速ナイトビュー更科号」が(前年にも「更科ロマン号」として設定実績あり)設定されている。現在は「ナイトビュー姨捨」が土休日を中心に定期的に運行されている。また、しなの鉄道線からの直通運転で同社の観光列車「ろくもん」を「姨捨ナイトクルーズ」として軽井沢駅から同駅まで乗り入れ、長野駅へ向かうツアーを販売している。
- 松本 - 篠ノ井間で保安装置変更が行われ、従来のATS-SNからATS-P型に更新されたが、姨捨駅構内はATS-SN型のまま残置され、保安装置の「P」→「S」および「S」→「P」への切り替えを示す標識が駅手前の本線上や折り返し線に取り付けられている。
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隣の駅
脚注
関連項目
外部リンク
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