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昭和16年夏の敗戦
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『昭和16年夏の敗戦』(しょうわじゅうろくねんなつのはいせん)は、1983年に出版された猪瀬直樹によるノンフィクション小説。
当初は題名『昭和16年夏の敗戦 総力戦研究所“模擬内閣”の日米戦必敗の予測』で、世界文化社より1983年8月に出版された[1]。
後に改題され、文藝春秋の文春文庫より1986年8月25日に出版。小学館『日本の近代 猪瀬直樹著作集』とその電子版『猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」』の第8巻として、題名『日本人はなぜ戦争をしたか』で、2002年7月1日に出版。中央公論新社の中公文庫より2010年6月に出版、その新版が2020年6月24日に出版された。
累計発行部数は約18万3500部[2]。
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概要
太平洋戦争開戦前夜の1941年(昭和16年)の夏、総力戦研究所でアメリカと開戦した場合のシミュレーションが行われ、「日本必敗」という結論が導き出されていたにもかかわらず、戦争へ突入していった史実を描いた[3][4][5]。
テレビドラマ
要約
視点
1991年版
『開戦五十年特別企画 昭和16年の敗戦』(かいせんごじゅうねんとくべつきかく しょうわじゅうろくねんのはいせん)は、本書を原作とするフジテレビジョン・東宝制作による単発ドラマ[6]。
1991年12月6日にフジテレビ系「金曜ドラマシアター」枠で放送された[6]。
スタッフ(1991年版)
キャスト(1991年版)
- 久保山亮一:中村雅俊[6]
- 秋島昇平:神田正輝[6]
- 飯田千太郎:田村高廣[6]
- 久保山久子:中田喜子[6]
- 志垣清:勝野洋[6]
- 野崎学:三浦浩一[6]
- 森吾郎:別所哲也[6]
- 朝川誠司:美木良介[6]
- 増沢健:誠直也[6]
- 田中亜矢子:吉川十和子[6]
- 松家馨:勝部演之[6]
- 大泉良廣:内田直哉[6]
- 吉田弥吉:石橋蓮司[6]
- 片岡弘貴[6]
- 新井康弘[6]
- 秋間登[6]
- 池田貴尉[6]
- 辻つとむ[6]
- 新井つねひろ[6]
- 江藤漢[6]
- 平野稔[6]
- 丸岡奨詞[6]
- 福岡正剛[6]
- 金子由之[6]
- 奈良坂篤[6]
- 山下徳久[6]
- 仙波和之[6]
- 小山武宏[6]
- 寺内よりえ[6]
- 大林丈史[6]
- 松岡洋右:戸浦六宏[6]
- 東條英機:高松英郎[6]
- 近衛文麿:仲谷昇[6]
- ナレーター:鈴木瑞穂[6]
2025年版
「NHKスペシャル終戦80年ドラマ『シミュレーション〜昭和16年夏の敗戦〜』」は、本書を原案とするNHK制作による連続ドラマ[7]。前・後編の二部作で、NHK総合にて2025年8月16日・17日に放送された[8]。
キャスト(2025年版)
- 宇治田洋一
- 演 - 池松壮亮[7]
- 摸擬内閣の「内閣総理大臣」。産業組合中央金庫調査課長。
- 樺島茂雄
- 演 - 仲野太賀[8]
- 摸擬内閣の「内閣書記官長兼情報局総裁」。同盟通信社政治部記者。
- 村井和正
- 演 - 岩田剛典[8]
- 摸擬内閣の「海軍大臣」。海軍少佐。
- 高城源一
- 演 - 中村蒼[8]
- 摸擬内閣の「陸軍大臣」。陸軍少佐。
- 峯岸草一
- 演 - 三浦貴大[8]
- 摸擬内閣の「企画院総裁」。企画院物価局事務官。
- 宇治田小百合
- 演 - 二階堂ふみ[8]
- 宇治田の妹。日中戦争で夫を亡くす。
- 宇治田英二
- 演 - 杉田雷麟[8]
- 宇治田の弟。作家志望。
- 井川忠雄
- 演 - 別所哲也[8]
- 産業組合中金理事で宇治田の上司。宇治田を総力戦研究所の研究員に推薦。
- 近衛文麿
- 演 - 北村有起哉[8]
- 内閣総理大臣。直属機関として総力戦研究所を設立し、開戦後のシミュレート研究を命じる。
- 鈴木貞一
- 演 - 嶋田久作[8]
- 企画院総裁。
- 昭和天皇
- 演 - 松田龍平[8]
- 当時40歳。当初は和平交渉による対米開戦回避を求めていたが容認することとなる。
- 木戸幸一
- 演 - 奥田瑛二[8]
- 内大臣で天皇の最側近。政権を投げ出した近衛の後任として東條英機を推薦。
- 板倉大道
- 演 - 國村隼[8]
- 総力戦研究所所長として摸擬内閣を組織。陸軍少将。
- 瀬古明
- 演 - 佐藤隆太[8]
- 陸軍中佐。摸擬内閣メンバーと接触を持つ。
- 武藤章
- 演 - 中野英雄[8]
- 陸軍省軍務局長。陸軍少将。
- 西村良穂
- 演 - 江口洋介[8]
- 陸軍省軍務局高級課員で陸軍中佐。総力戦研究所の設立に関与し、宇治田と通じている。
- 東條英機
- 演 - 佐藤浩市[8]
- 陸軍大臣を経て近衛辞任後の内閣総理大臣。
- 宇治田初子
- 演 - 浅利香那芽[9]
- 宇治田の姪。小百合の子。
スタッフ(2025年版)
- 脚本・編集・演出:石井裕也[7]
- 原案:猪瀬直樹
- 題字:赤松陽構造[8]
- 音楽:岩代太郎[8]
- 戦争考証:古川隆久、一ノ瀬俊也
- 農村経済考証:玉真之介
- 時代考証:大森洋平
- 軍事指導:金子昌弘
- 宮中考証:梶田明宏
- 英文翻訳:塩屋孔章
- 撮影:浜田毅
- 照明:長田達也
- 美術:松宮敏之
- 録音:小松将人
- 編集:岡崎正亮
- 衣裳:宮本まさ江
- 特殊メイク:江川悦子
- アクション指導:小池達朗
- プロデューサー:大崎真緒(RIKIプロジェクト)
- 制作統括:新延明(NHK)、家冨未央(NHKエンタープライズ)、布川均(ポニーキャニオン)、橋本櫻(東京テアトル)、永井拓郎(RIKIプロジェクト)[8]
- 制作:NHK、NHKエンタープライズ、RIKIプロジェクト[8]
事故
2025年4月2日、京都府船井郡京丹波町のロケーション施設で、戦場シーンで準備していた音と煙を出すための火薬を使った装置が撮影前に誤って作動する事故が発生し、アクション専門の出演者5人が耳鳴りなどの症状を訴え、うち1人が左耳の鼓膜の一部を損傷するけがをした[10]。
批判
作中に登場した首相直属の機関である総力戦研究所の所長が実際に所長を務めた飯村穣陸軍中将の人物像とは異なるとして遺族から批判を受けた[11]。
実際に所長を務めた飯村穣は、史実や関係者の証言によれば若手メンバーの自由な議論を後押しする人物であったが、ドラマ内で描かれた所長の人物像は自由な議論を阻害し、日本必敗の結論を覆そうと圧力をかける人物であった[11]。事前に所長の描かれ方を知った飯村穣の孫で元駐仏大使の飯村豊は、NHKに創作である事を明示するよう求め、NHKは放送前に研究所の所長および関係者がフィクションとして描かれていることを示す注釈テロップを流し、更にドラマ直後のドキュメンタリーでは史実に基づいた実際の所長、飯村穣の人物像をナレーションで説明した[11]。放送後、飯村豊は取材に対し「想像以上に祖父が卑劣な人間に描かれていて愕然とした。」と答え、視聴者に誤った人物像が伝わる事を懸念した[11]。また、ドラマ製作陣による映画化の話を聞かされた飯村豊は、映画の場合のテロップなどの対策の難しさを指摘し、同じ役柄設定での映画化は納得できないとした[11]。
遺族が放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立てを検討していると報じられた[11]。
出版社の中公文庫(中央公論新社)の公式アカウントもドラマ内で描かれた所長の高圧的な態度が史実とは異なると指摘し、原作小説に書かれた実際の所長、飯村穣は先進的な発想の持ち主であったと紹介した[12][13]。ネットユーザーからもドラマ内における所長の描写やNHKの対応の不十分さにより視聴者が混乱すると批判的な声が上がっている[13]。
週刊ポストは、「放送前に問題を認識しながら回避できなかった姿は、まさにドラマの題材と重なってはいまいか。」と指摘した[14]。
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脚注
関連項目
外部リンク
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