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野村芳太郎

日本の映画監督 (1919-2005) ウィキペディアから

野村芳太郎
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野村 芳太郎(のむら よしたろう、1919年大正8年)4月23日 - 2005年平成17年)4月8日)とは、日本映画監督。父は映画監督の野村芳亭、祖父は浮世絵師の二代目野村芳国

概要 のむら よしたろう 野村 芳太郎, 生年月日 ...
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来歴

父・芳亭は日本の映画監督の草分け的存在で、松竹蒲田撮影所の所長も務めた。その関係で、京都と東京を行き来して育つ[1]京都市生まれで、生後まもなく東京市浅草区に移った[1]。蒲田小学校から暁星小学校暁星中学校を経て[2]慶應義塾大学文学部芸術学科卒業[3]。大学卒業後の1941年松竹大船撮影所に入社。

1946年に復員。黒澤明作品の『醜聞』『白痴』では助監督を務め、黒澤からは「日本一の助監督」と評価された。1952年の『鳩』で監督デビュー。初期は会社の意向に従って喜劇から時代劇まであらゆるジャンルの作品を手掛ける職人監督に徹した。

野村の名を広めたのは1958年の『張込み』。以降ショッキングな描写を伴う社会派的色彩の強いサスペンスを数多く撮るようになり、名作を世に送り出した[4]1974年に監督した松本清張原作の『砂の器』ではモスクワ国際映画祭の審査員特別賞を受賞。1978年、松本と共に「霧プロダクション(霧プロ)」を設立[5]松本清張作品の映画化を多く手掛けたが、1983年の『迷走地図』で確執が生じ、1984年に解散。製作者としても『八甲田山』などを手掛けた。

1985年紫綬褒章受章。1995年勲四等旭日小綬章受章。2005年4月8日午前0時15分、肺炎のため東京都内の病院で死去。享年85。法名は映芳院釋顕真。墓所は築地本願寺和田堀廟所

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人物

門下生には山田洋次森﨑東がいる。渥美清主演の社会派風刺喜劇『拝啓天皇陛下様』は、彼らが後に手がける喜劇映画の先駆的作品だった。また、山田に関しては助監督時代からその才能を買って企画段階から関わらせることが多かったという。霧プロ時代の弟子には小林政広古山敏幸三村渉[5]、プロダクション・クラップボード時代の弟子には檜木田正史らがいる。

無類の推理モノ好きで、撮影終了後や食事中には推理小説の話をすることが多くて日常の話はほとんどせず、自宅を入ってすぐの廊下の両側にある本棚は、推理小説の本で埋め尽くされていたという。また、キャリア後期の『震える舌』『真夜中の招待状』ではオカルト的な恐怖描写を前面に出すなど、技術的にはモダンな作風であった。

「映画の良し悪しは観客が決める」が信条であったため、自身の作品を批評することはほとんどなかったが、息子の野村芳樹によれば『昭和枯れすすき』だけは文化庁から評価されて1000万円のボーナスが出たため、とても満足していたという。

助監督も務めた大嶺俊順によれば、車の運転が好きで、撮影が終わると大船から自宅まで第三京浜を猛スピードで走らせるのが日課だったため、誰も野村の運転する乗用車には乗りたがらなかったという。

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主な監督作品

Thumb
張込み』(1958年)

その他の映像作品

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エピソード

  • 野村が『砂の器』を長期間かけて製作するのと並行して、コント55号主演の映画を2本作ってしまった。55号の映画のラッシュは一度見るだけなのに、『砂の器』のラッシュは繰り返し見ていた。55号の萩本欽一が野村に「55号の映画とは力の入れ方が全然違いますね」と言ったところ、野村は「欽ちゃんの映画がたくさんお客を入れてくれるから、こういういい映画を作る機会が与えられるの。だから欽ちゃんの映画も僕は大事なんだよ」と答えたという[6]

研究文献

  • 樋口尚文『『砂の器 』と『日本沈没』 70年代日本の超大作映画』(筑摩書房、2004年) ISBN 9784480873439
    樋口は映画評論家、およそ30ページにわたる映画『砂の器』の分析の中で、野村の名職人的な演出の明晰さを語っている。2005年の野村逝去時にも、新聞に野村演出への愛情に満ちた追悼文を寄稿。一方で『八つ墓村』で主演した萩原健一は、回想『ショーケン』で、現場ほほとんど川又昂カメラマンが仕切っており、野村にはエスケープ癖もあったと暴露している。
  • 『映画の匠 野村芳太郎』(ワイズ出版、2020年6月、野村芳樹監修、小林淳編)、資料集成と関係者の証言
  • 西松優『映画監督 野村芳太郎私論』(ブイツーソリューション、2024年1月)

脚注

外部リンク

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