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NVIDIA Tegra

NVIDIAによるARM系の省電力統合型プロセッサのシリーズ ウィキペディアから

NVIDIA Tegra
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NVIDIA Tegra(エヌビディア テグラ)は、NVIDIAによるARM系の省電力SoC[1]のシリーズ。2025年現在はNintendo Switch 2、nVidia Shield TV、自動車のインフォテインメントシステムなどに採用されている。

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Tegra T20 (Tegra 2) と T30 (Tegra 3)
 
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Motorola Xoomに実装されたTegra 2

概要

要約
視点

TegraにはモバイルSoCの基本構造として、1チップ内に独立したプロセッサコアが機能別に搭載されている(ARMプロセッサ、GPU、2Dエンジン、HD動画エンコーダデコーダ、オーディオ処理、画像処理)。使っていない機能のプロセッサは電源が遮断され、消費電力を下げる仕様となっており(100 - 500mW程度)初代から低消費電力高パフォーマンスを目指す設計となっていた[2]

競合製品は同じくモバイルSoCでシェアを持つ、クアルコム社のモバイル向けプロセッサSnapdragonや、TI社のモバイル向けプロセッサOMAPなど。

初代モデルTegra APX2500は2008年に、APX 2600は2009年に発表、携帯電話などの搭載に適したチップとして当初から打ち出されていた。Tegra600および650チップはスマートフォン向けに設計されUMPCなどの搭載にも対応した。Tegraを使用した最初の製品はマイクロソフトのZune HDである。
2011年頃に登場したTegra2から徐々にタブレット等に搭載され始める事となる[3]。同チップを搭載する端末では、テレビに繋いで大画面に出力できるほか、対応するPS3WiiXboxなどのゲームコントローラーをつなげて、家庭用ゲーム機レベルの3Dゲームが楽しめる[4]

Tegraはスマートフォンやタブレット機器等のモバイル端末向けSocとしては、特にゲーム等に強い高パフォーマンス型の処理の出来る方向性の設計思想が打ち出されたが、採用シェア率は低く、自社開発を行ったタブレットゲーム機nVidia Shieldへの搭載を行ってシェアの挽回を計った(Tegra K1)[5]

低消費電力であるモバイルSoCは自動車の運転支援システムにおけるサポートAIの性能需要も満たしており、2010年には自動運転車載用コンピュータとしてアウディがTegra採用を表明し、その後は他にもフォルクスワーゲンや、電気自動車ベンチャーのテスラモーターズのEV「Model S」にも採用された。車載分野では、Tegraとともにメモリなどの周辺ICや電子部品を搭載したモジュール製品『Tegra VCM(Visual Computing Module)を展開しており、これらはTegraのアップグレードを容易にするとしている[6]
先行運転支援システム(ADAS)に代表される、自動車の自動運転機能・補助機能、及び全自動運転を目指すAI用チップの開発は、PCのコンシューマ用GPUでも採用されたTensor Core等の技術も統合、フィードバックされた最新半導体が開発される事で、2022年時も継続されており[7]EV車メーカーにおいての採用シェアでは60%を超える高いシェアを誇っている[8]

2017年に発売された任天堂ハイブリッドゲーム機Nintendo Switchへの搭載が発表され[9]、2018年にはTegraのみで15億3000万ドルの収益を記録した(内訳は9億7200ドルがSwitch、5億5800万ドルが自動車)[10]

2025年には同じく任天堂ハイブリッドゲーム機Nintendo Switch 2にてT239(OrinベースのSoC)の搭載が発表された[11] [12]

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特徴

  • 省電力でありながらグラフィック性能が高い
  • コンピュータに必要な機能が1枚のチップに収まっているので、チップセットの面積が小さい
  • 世界初のデュアルコアARM Cortex A9 CPUを搭載 (Tegra 2)
  • 世界初のクアッドコアARM Cortex A9 CPUを搭載 (Tegra 3)
  • 低周波数で低消費電力動作を実現する第5のコンパニオンCPUコアを搭載 (Tegra 3)
  • モバイルプロセッサとして世界初の1TFLOPSの処理を実現した(Tegra X1)

仕様

要約
視点
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性能

Tegra 650のグラフィック性能は「GeForce 6」シリーズ相当で、『Quake III Arena』を46 fpsで実行できる[62]。Tegra 250は1024 × 600の解像度を60 fpsで実行できる[63]

Tegra 3は12コアのGeForce GPUを搭載しており、Tegra 2と比べ約3倍のグラフィックス性能を持つ[64]。また、最新のビデオ・エンジンを実装することで、1080p、40 Mbpsのビデオを再生することが可能[64]。このほか、ステレオスコピック3Dにも対応する。

Tegra 4は72コアのGeForce GPUを搭載しており、Tegra 3の約6倍、Tegra 2の約20倍のグラフィック性能を持つ[65]

Tegra K1は192のCUDAコアを搭載、Tegra 4の3.75倍のグラフィック性能をもっており[66]第7世代の据え置きゲーム機(PS3/Xbox 360)の性能を超えている[67]

Tegra X1は256のCUDAコアを搭載、Tegra K1の1.5 - 2倍のグラフィック性能を持つ。正式にFP16に対応しており、最大で1 TFLOPSの演算能力を有する[68][69]。またHDMI 2.0とHDCP 2.2に対応したことで、最新の著作権保護付き60 fpsの4Kコンテンツの出力をサポートしたほか、内蔵されるハードウェアビデオプロセッサもHEVC対応となった。色深度はDeep Color相当の10 bitまで対応している[70]

Xavierは512のCUDAコアを搭載、GPUアーキテクチャであるVoltaにAI処理を行うための「Tensorコア」を搭載しており、Tegra X1の10倍以上の演算性能を発揮する(Jetson Xavier NXとJetson Nanoの比較において)[71][72]。Xavierには10 W消費の小型省電力NXシリーズ(8 GB・16 GB)から、40 W消費の大型高性能のAGXシリーズ(AGX 32 GB・64 GB、Industrial)の2シリーズ5モデルが存在する[57]

OrinはXavierの6倍の処理性能を有する[60]。Orinには7 W消費の小型省電力から順にNano、NX、AGX(最大70 W消費)の3シリーズ9モデル[73]が存在する[60]

メモリ帯域

ARMアーキテクチャのデュアルコアCPUで LPDDR2 SDRAM を利用している場合はデュアルチャネル(32ビット × 2)を採用しているものが多い中、Tegra 2 と Tegra 3 はシングルチャネル(32ビット × 1)を採用している。

Tegra 3の省電力技術

「4-PLUS-1」
メインである4つのコアに加え、低性能・低消費電力のコンパニオンコアを状況に応じて活用する技術。端末のパフォーマンスが必要なときは4つのコアから必要な数のコアを使い、不要なときは低消費電力のコンパニオンコアだけで動作して全体の消費電力を削減する。ビデオ再生時では最大61 %、Web閲覧では最大30 %の消費電力の削減が可能[74]
PRISM Display Technology(プリズム・ディスプレイ・テクノロジ)
液晶の消費電力を低減するための技術。液晶に表示される画像・動画のピクセル1つ1つを分析して、明るい色に置き換えることで、バックライトを暗くしても同じ明るさを維持する。バックライトの消費電力を最大40 %削減できる[4]
DirectTouch(ダイレクト・タッチ)
タッチパネルの消費電力を削減する技術。タッチパネルの制御を専用チップではなくTegra 3で行うことで、消費電力およびチップ面積を低減する。また、タッチパネルの制御にTegra 3のパフォーマンスを活用できるため、タッチレスポンスが向上する[4]

サポートするOS

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Tegraを搭載した製品

要約
視点

Tegra 2以降のプロセッサを搭載したスマートフォン・タブレットを、NVIDIAでは「Tegraスーパー・フォン」「Tegraスーパー・タブレット」と呼ぶ。


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競合製品

脚注

外部リンク

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