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Intel Atom

インテルが設計・製造する、主に携帯情報端末 (PDA) や低価格PC、組込みシステム向けのマイクロアーキテクチャ及びマイクロプロセッサ群 ウィキペディアから

Intel Atom
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Intel Atom (インテル アトム、以下 "Atom") は、インテル設計製造する、主に携帯情報端末 (PDA) や低価格PC組込みシステム向けのマイクロアーキテクチャ及びマイクロプロセッサシステム・オン・チップ群である。

概要 生産時期, 生産者 ...

Atomは、インテルの製品分類でも特に低消費電力化が図られたLPIAと呼ばれるカテゴリに属している。LPIA製品としてはマイクロアーキテクチャから新規に開発された初めての製品である。2008年4月2日に正式発表され[1]、その年の夏から順次出荷されている。

2015年時点では Intel 64 に対応しているが、初期の製品に64ビット非対応で IA-32 の物もあった。メインストリームの製品との差別化のためか、64ビットと同時にVTに対応したモデルは以前は無かったが、2015年時点ではサーバ向けとしてそのようなラインナップも現れた。

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概要

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Atom N270

過去には、インテルのモバイル・組込み向けプロセッサはx86ではなく、DECから買収したStrongARMと、その発展型をXScaleブランドで販売していた。XScaleは携帯情報端末組込みシステムに採用され、多くのPocket PCで使われた。

当時のx86は、競合していたARMと比べて回路規模クロック周波数の高さから消費電力が大きく、パッケージも大きかったため、小型化や低消費電力が求められるモバイル機器向けや組込み用途にはあまり採用されていなかった。しかし、ソフトウェアの開発環境では、x86の豊富な開発ツールプログラミング技術者の層の厚さといった有利な面があり、その後の半導体プロセスマイクロアーキテクチャの改良などの性能向上によって低消費電力化や小型化が行われれば、市場に受け入れられる環境は整っていた。

2007年4月、インテルはx86ベースで低消費電力という新しいカテゴリ「LPIA」とその第一弾のプロセッサ「A100」を発表した[2]。内実としては、専用に大幅な新規開発を行ったものではなく、既に販売されていたPentium Mマイクロアーキテクチャの第2世代にあたるCeleron M (コードネーム「Dothan-512K」、90 nmプロセス) そのものであり、周辺チップには既存のICH7から消費電力の大きいPCI Expressインタフェースを取り除くなどしたICH7Uが使われていたが、XScale部門をマーベル・テクノロジー・グループに売却した[3]ことなどもあり、x86によるモバイル・組込み機器の発展の端緒となった。インテルはこれに続けて、Atomシリーズを展開した。

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マイクロアーキテクチャ

要約
視点

Atomでは以下のマイクロアーキテクチャが使われる[4]

インテル チック・タックモデルのように、機能強化を図る世代と単にシュリンクする世代を交互に繰返すという計画が発表されていたが、実際はそのようには推移していなく、Silvermont で機能強化が行われた。

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2016年5月にGoldmontに基づくスマートフォン/タブレット向けのBroxtonの廃止が発表になり[5]、タブレットPC向けのWillow Trailも廃止になり[6]、Joule は発表から10ヶ月で製造終了した。

Bonnell

第1世代のAtom向けマイクロアーキテクチャである。実装している命令セットIntel Core 2と互換であるとされ、x86命令、x87命令、そしてMMXSSESSE2SSE3SSSE3などの拡張命令を搭載している。製品により、Intel 64Intel VTハイパースレッディング・テクノロジーEISTNXビットが利用可能な物もある。また、新しくディープパワーダウン (C6)、スレッド別の低電力状態 (TCx)、CMOSバスモードなど電力管理機能が強化された[7]。 最初に出荷された製品は、I/Oパッドを両サイドに配置した細長い長方形のダイ・レイアウトで、製造効率が最も高いとされる正方形のダイ形状ではない。これは、ダイサイズの小さなプロセッサをマルチコア化する際に有利であることから採用されたもので、その後、これを活かしたデュアルコア製品が追加された。[要出典]

約4,700万個のトランジスタにより構成されており、これは当時(2008年)のインテルのx86プロセッサの中では最も少ない[要出典]。ダイサイズ25平方 mm未満であり、インテル史上最小のx86プロセッサとして登場した。製造にはリーク電流低減に有効とされるハフニウム注入によるHigh-k (高誘電率) ゲート絶縁膜とメタルゲートによる45 nmプロセス・ルールが採用されるなど、省電力化が徹底されており、インテルのCPU史上最も低い電圧で動作し、消費電力はVIA Edenと同等。電圧を高くすることで当面最大となる1.8 GHz程度の動作周波数を確保し、それに応じて熱設計電力 (TDP) も0.6 W - 2.5 W程度と抑制された[8]

またワットパフォーマンス向上のため、アウト・オブ・オーダー実行構造を捨て、イン・オーダー実行の、比較的古いマイクロアーキテクチャに立ち返り、再設計されている[9]

命令発行ポートは2つ用意された。しかし両者の処理できる命令に違いがあるうえに、インオーダー方式のため効率が悪く、実質的には1命令ずつしか処理できない場面が多い。Pentium Mは3命令を同時に処理できたため、クロックあたりの処理速度はそれだけ低下する。結果的にAtomの高い動作クロックに注目した消費者の低評価を招いたが、これはIntelの大々的な宣伝が裏目に出た可能性も指摘されている。[10]

2次キャッシュの容量やFSBの速度はPentium 4-Mと同程度で、実質的な処理速度でも、同クロックのWillamette・NorthwoodのPentium 4やNorthwood-256kのMobile Celeron、Prescott-V (Prescott-256K) のCeleron Dなどと同程度であるが、同クロックのZ530 (FSB533 MHz 1.6 GHz TDP 2.2 W (HT)) とPentium 4-M (Northwood FSB 400 MHz 1.6 GHz TDP 46.8 W) とで比較した場合、TDPは後者の約4.7%となり、エネルギー効率は格段に向上した。[要出典]

このうち、2008年9月より出荷された330は、CPUパッケージに230を2個搭載させたデュアルコアモデルである[11]。330はまずデスクトップパソコン (ネットトップ) において発売を開始、2009年6月にはネットブックへの搭載機種が発売された[12]。330搭載のネットトップについては消費電力が少なく、相応の性能があるため、主に超小型ベアボーンやショップブランドパソコンとして発売されており、ファンレス製品もある。230と330に関しては、各社からMini-ITXマイクロATXのマザーボードに実装された状態で発売され、いずれも概ね1万円以下で入手可能である。CPUのみの交換はできないが、自作デスクトップPCとして組み立てることが可能である。

2009年12月には、開発コードPine Trail-Dと呼ばれていた新型プロセッサD410、D510が発表された。これらの最大の特徴は、元来ノースブリッジの機能だったGPUとメモリコントローラーをCPUに統合した点にある。これにより従来のAtomプラットフォームと比較し、平均消費電力は約20%低下したとされている[13]。また、従来3D性能のもの足りなさが指摘されていたグラフィックは、GMA 950からGMA 3150へと替わった。メモリスロットとメモリ総容量の少なさも解消されたことからWindows 7に正式に対応している。2009年12月に発売された製品では、DVIHDMIはサポートされていない。

Centrino Atom

2008年4月に発表された、ノートパソコン市場向けのインテルの製品ブランドの1つCentrinoと結び付けられた「Centrino Atom」(セントリーノ・アトム) という製品群は、低消費電力が求められるデジタル・モバイル機器などでの採用を想定していた。インテルのウェブサイトでは、ノートパソコンとPDAとの中間に位置するネットブックや組込み機器向けとしている。CPUコアはコードネーム「Bonnell」と呼ばれている。Bonnellを採用した製品は複数公表されており、それぞれ対象とする市場が異なる[14]

  • Silverthorne - MID (モバイル・インターネット・デバイス、Mobile Internet Device、2008年4月に米インテル社が示した新たなノートパソコンのカテゴリー)
  • Diamondville - ネットブックネットトップ

Silverthorneと統合チップセット (コードネーム「Poulsbo」、System Controller Hub - SCH) を組み合わせたプラットホーム (コードネーム「Menlow」) には、インテル Centrino Atom プロセッサー・テクノロジー (Intel Centrino Atom processor technology、セントリーノ・アトム・プロセッサー・テクノロジー) というブランドネームが与えられた。しかし、2008年8月にはインテルが「Centrino Atom」ブランドの廃止を決定。「Atom」に一本化された[15]

ネットトップ・ネットブック向け

頭文字に"D"が付く製品は簡易用途デスクトップPC、いわゆるネットトップ向けである。一方"N"が付く製品はネットブック向けとなる。230と330は主にネットトップ向けだが、ネットブックにも搭載された。

Diamondville

2008年6月に発表された、Atom第1世代の製品である。

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Pine Trail

2009年12月発表。メモリコントローラーとグラフィックコアを統合したプロセッサ「Pineview」とチップセット「Tiger Point」を組み合わせたプラットフォーム。内蔵されたグラフィックコアはIntel GMA 3150Blu-rayH.264のアクセラレーションには対応していないので、それらにはBroadcomのCrystal HDなどの外部チップで対応することとなる。N475、N455、D525、D425はそれぞれN470、N450、D510、D410のDDR3対応版。

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タブレットPC向け

Menlow

2008年4月発表[1]。2011年5月20日が最終受注日で生産終了[16]

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Moorestown

2010年5月発表。スマートフォンのアプリケーションプロセッサへの採用が想定されている。プロセッサ「Lincroft」とチップセット「Langwell」を組み合わせたプラットフォーム。

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Oak Trail

2011年4月発表[17]タブレットPC向けで、Menlowの後継製品。プロセッサ「Lincroft」とチップセット「Whitney Point」を組み合わせたプラットフォーム。Oak Trail向けプロセッサZ670も同時に発表された。ネットブック向けのAtom N450に比べると消費電力は70%削減されている。F-07C (Windows 7搭載) ではZ650を 0.60 GHz (LFM) で搭載している。最大出力解像度は1366×768 (LVDS)[18]

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家電向け

Sodaville

Atom CE4100 (コードネーム:Sodaville) は家電向けSoC製品で、2009年9月にIDF Fall 2009で発表された[19]。CE4100 CE4130 CE4150の3製品が公表されている[20]

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Groveland

Atom CE4200 (コードネーム:Groveland) は車載システムやスマートデバイス向けの製品で、2010年9月にIDF 2010で発表された。新たにH.264 エンコーダーを内蔵。

組込み機器向け

Embedded Menlow

組込み機器向けの、コードネーム「Embedded Menlow」もSilverthorneとPoulsboで構成される。組込み機器においては「同じものが長期間に渡り調達可能であり続ける事」が重要となるため、ライフサイクルサポートを7年としている点が異なる。

Tunnel Creek

2010年9月に米intel社はFPGAを組み込んだ"Intel Atom E600シリーズ" (コードネーム:Tunnel Creek) を発表した。本製品は、産業機械や移動用医療機器、高性能プログラマブル・ロジック・コントローラーといった組込み型コンピュータや、通信機器、視覚システム、VoIPデバイスの制御ユニットなどを主な適用対象としている。プロセッサとチップセットとの接続にはDMIではなく標準のPCI Expressを採用することで、サードパーティ製チップセットの開発を容易にした(インテルからも標準のチップセットとして「EG20T」が用意されている)。

末尾にTがつくのは産業向けで、それ以外は環境温度保証が0 - 70℃であるのに対して、Tがつくのは-40 - 85℃。末尾にCがつくのは、Altera FPGAを統合してシングルパッケージにしたモデル。

組込み用途において、Atomプロセッサを使いながらさらにユーザが独自に設計したデジタル回路を用いる場合には、プログラマブルな集積回路を別チップにしてAtomと共に製品を組み上げる構成が一般的であったが、Intel社はAtomにアルテラ社のFPGAを組み込みシングル・パッケージで提供することにした。AtomプロセッサとFPGAを同一パッケージで扱えることで、設計者は基板スペースが縮小できるだけでなく、設計そのものもより柔軟となり、小さな修正や変更はプログラムの入れ替えによって迅速・容易に設計変更できる。このため、開発コストと設計変更リスクが最小限に抑えられ、また部品在庫の縮減が可能で製造工程も簡素化できるとされる。また、本製品のサポートはIntel社だけに集約し、少なくとも7年間のサポートを行うとしている。

産業用および商用温度環境のサポートし、動作クロックは0.6 - 1.3 GHz、TDP 2.7 W -3.6 Wの製品が準備されている。E665CT、E645CT、E665C、E645Cという4品種が同日から60日以内の出荷であり、E625CTとE625Cの2製品が2011年第1四半期の出荷を予定している。価格は61 - 106米ドル (1,000個時) を予定している[21]

本シリーズのダイは「Lincroft」系統の改良版であるとされる[22][注 1][23]

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Saltwell

第2世代のAtom向けマイクロアーキテクチャである。Bonnellを32 nmプロセスルールに縮小したもの。2011年9月出荷開始。

ネットトップ・ネットブック向け

Cedar Trail

2011年9月発表。サポートされるOSはWindows (グラフィックはWindows 7以降)、Chrome OS、Ubuntu 12.04 LTS (32bit版のみ)、MeeGo。内蔵グラフィック機能はドライバレベルでWindows 7/8/8.1、かつ32bitしかサポートされない(64bit版はβ5止まり)。Windows 8以降は7用のドライバを流用する形での対応となる。前述以外のLinuxディストリビューションやWindows Vista、Windows XP用のドライバは提供されておらず代用も不可能なため、これらのOSと組み合わせて使用する際には、ビデオカードの増設が必要である。Intel GMA 3600/3650 は PowerVR SGX 545 ベース。※一般向けには公式にサポート外となっているが、組込み向けには「エンベデッド・メディア・グラフィックス・ドライバー (EMGD)」としてWindows XPもサポートされている。

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タブレットPC向け

Medfield, Lexington

2012年1月発表 (Z2460)、スマートフォン向けで、Moorestownの後継製品[24]。メモリは LPDDR2-400 32bit デュアルチャネル (3.2 GB/s)。コードネームは「Medfield」。Z2420はMedfieldに属するが低価格市場向けを想定しておりコードネームは「Lexington」となる[25]。2.0 GHz 時は750 mW、0.1 GHz時は50 mW[26]

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Clover Trail

2012年9月発表。タブレットPC向け (主にWindows 8タブレットで採用)、Oak Trailの後継製品。コードネームは「Clover Trail」。Medfieldに比べてWindowsドライバのサポートなどに調整を加えた製品。メモリは LPDDR2-800 32bit デュアルチャネル (6.4 GB/s)、最大2 GB。DirectX 9.3, OpenVG 1.1, OpenGL 2.1, OpenGL ES 2.0 対応[27]。命令セットは32ビット。Intel VT-x 非対応。

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Clover Trail+

2013年2月発表。スマートフォン・タブレット向け、Medfieldの後継製品。コードネームは「Clover Trail+」。SoCのコードネームは「Cloverview+」。Clover TrailのGPUをスマートフォン向けに変更したものだが、Medfieldに比べて消費電力で劣るようなことはない[28]。最大出力解像度は 1920×1200。命令セットは32ビット。Intel VT-x 対応。

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サーバー向け

Centerton, Briarwood

2012年12月発表。CloverTrailをベースとする低消費電力などに適したサーバー向けSoCである[29]。Centertonがサーバー向け、Briarwoodがストレージ・通信機器向け。メモリは DDR3-1333 シングルチャネル (10.66 GB/s)。Intel 64, Intel VT-x, SSE 3 対応。

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組み込み向け

Berryville

Atom CE5300 (コードネーム:Berryville) はストレージデバイス向けの製品で、2013年3月に発表された。

Silvermont

第3世代のAtom向けマイクロアーキテクチャで、Atom向けとしては最初の機能強化版である。22 nmプロセスルール。Intel VT-xAES-NI 対応など、サーバ向けの機能が強化されている製品もある。デスクトップ・ネットブック向けのチップは Atom ブランドではなく CeleronPentium のブランドで発売される。最初に発表された製品がサーバー向けで2013年9月発表。

Silvermontマイクロアーキテクチャは、Atomとしては初めてアウト・オブ・オーダー型の設計となった。命令デコード、リタイアは依然としてクロック当たり2命令であるが、整数×2、浮動小数点/SIMD×2、ロード/ストア×1の計5つの命令発行ポートを備え、クロック当たり最大5命令を順不同で発行可能である。これらの発行ポートは各々に独立したスケジューラ (リザベーション・ステーション) を備えており、IntelのマイクロプロセッサとしてはNetBurstマイクロアーキテクチャ以来の分散型のスケジューラを持つ構造となっている。従来のAtomマイクロアーキテクチャではロード+演算の型を持つCISC命令に対応するため、命令パイプラインの共通部分にL1Dキャッシュへのアクセス段を組み込み、キャッシュアクセスのレイテンシを隠蔽する構成を取っていたが、Silvermontではこれを廃し、独立したロード/ストアパイプをバックエンドに設けている。このため、パイプライン長は従来と比較して短くなり、整数演算命令における分岐ミス時のペナルティも13サイクルから10サイクルへと短くなっている。

5つのスケジューラのうち2つの整数スケジューラは完全なアウト・オブ・オーダーの実装になっており、オペランドが準備できた命令から発行可能である。一方で他の3つのスケジューラはプログラム順の発行しか許しておらず、スケジューラ内の最も旧い命令が発行されない限り他の命令の発行はできない。このため、浮動小数点演算/SIMD命令で順不同での発行が可能なのは、別のスケジューラに割り当てられた命令同士の組み合わせのみである。ロード/ストア命令に関してはスケジューラが1つしか存在しないため、同種の命令同士で順不同の発行は不可能であるが、可能な限り命令発行をブロックしないために2つの工夫が導入されている。1つはキャッシュミスに対するノンブロッキングな設計で、キャッシュミスが起きても最大8命令までは後続命令をブロックすること無く命令発行が可能である。もう1つはRehab Queueと呼ばれるサブ命令キューの設置で、TLBミスやアドレス計算に必要なオペランドが到着していない等の理由で命令が発行できない場合に、このRehab Queueにスケジューラから命令を追い出すことができる。これらの工夫により、ロード/ストアパイプはインオーダ型のスケジューラ1つでも命令の"詰まり"による性能低下が起こりにくい設計になっている。

Silvermontは2つのコアと1 MBのL2キャッシュで1つのモジュールを構成しており、モジュール間はIntra-Die Interconnect (IDI) と呼ばれるポイント・ツー・ポイント型のインターコネクトで結ばれる。従来は低速なFSBがコア間通信やDRAMアクセスのボトルネックとなっていたが、新アーキテクチャではこれを廃している。サーバ向けには最大8コア、タブレット/ネットブック向けには最大4コア、スマートフォン向けには最大2コアの構成が予定されている。いずれの場合も1コアで1スレッドを実行し、従来のようにハイパースレッディング・テクノロジーには対応しない。対応する命令セットはSSE4.1、SSE4.2、AES-NIなどが新たに加わっているが、2011年より同社のCore系のプロセッサに搭載されているAVXには対応しない。

Intelは前世代の32 nmのSaltwellマイクロアーキテクチャと比較して、シングルスレッドではIPCが50 %程度改善し、同じ消費電力で性能は2倍になると主張している。また、マルチスレッドではSilvermontの4コアで2コア4スレッドの前世代と比較してピーク性能が2.8倍、同じ消費電力の場合は性能が2.5倍になると主張している。

デスクトップPC向け

Bay Trail-D

2013年9月発表。Cedar Trailの後継として登場。静音性 (ファンレス構造) や省エネ性を重視したタワー型デスクトップやA4型ノートにも搭載されるようになり、以前よりも用途が広がった。Atom の名を冠さず、CeleronPentium のブランドで発売される。

Intel VT-xAES-NI 対応など、サーバ向けの機能も強化されている。Bay Trail-Dはデスクトップ向けでPentium J / Celeron J、Bay Trail-Mはノート向けでPentium N / Celeron Nとして販売される。

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ノートPC向け

Bay Trail-M

2013年9月発表。GPU は Intel HD Graphics。Intel NUCなどのミニPCでも使われている。

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タブレットPC向け

Bay Trail-T

2013年9月発表。タブレットPC向け (Windows 8.1 や Android 対応)、Clover Trail の後継製品。GPU は PowerVR から第7世代 Intel HD Graphics (Ivy Bridge 世代) になり、DirectX 11, OpenGL 4.0, OpenCL 1.2 に対応。Intel 64, Intel VT-x, SSE 4.2 対応。H.263, H.264, VC1, Multiview Video Coding, Motion JPEG のハードウェアデコーダー、H.264 のハードウェアエンコーダー搭載。HDMI 1.4, DisplayPort 1.1, eDP, WiDi 出力対応。

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Merrifield, Moorefield

2014年2月発表。スマートフォン/タブレット向け、Clover Trail+の後継製品。Z34xxが「Merrifield」、Z35xxが「Moorefield」。

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SoFIA

2015年3月発表[30]。プロセスルールは28nmであり、インテル社外の半導体製造事業者が製造[31]x64 対応。このシリーズからモデル名がAtom x3/x5/x7の3種類に細分化され、そのうちAtom x3がこれに属する。

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サーバー向け

Avoton

2013年9月発表。「Avoton」が一般サーバー向け、「Rangeley」がネットワーク機器組み込み向け。Rangeleyの方が製品の提供期間が長い(組込み機器向けオプションあり)。搭載メモリの最大容量は16 GB - 64 GB。Intel 64, Intel VT-x, SSE 4.2, AES-NI 対応。

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組込み機器向け

Rangeley

型番がC2x38の製品はIntel QAT (QuickAssist Technology) に非対応。

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Bay Trail-I
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Airmont

第4世代のAtom向けマイクロアーキテクチャで、2015年3月2日発表。プロセスルールは14 nm。GPU は第8世代 Intel HD Graphics (Broadwell 世代) 。

デスクトップ・ノートPC向け

Braswell

2015年4月発表[32]。当初はデスクトップ・ノート共通としてNシリーズのみが発売されたが、後にデスクトップ専用のJシリーズが追加された。

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タブレットPC向け

Cherry Trail

2015年3月発表[33]。タブレットPC向け。Bay Trailの後継製品。コードネーム「Cherry Trail」。このシリーズではモデル名がAtom x3/x5/x7の3種類に細分化され、そのうちAtom x5とx7がこれに属する。

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組込み機器向け

Braswell
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Goldmont

第5世代のAtom向けマイクロアーキテクチャで、2016年9月発表。プロセスルールは14 nm。GPU は第9世代 Intel HD Graphics (Skylake 世代) 。

デスクトップ・ノートPC向け

Apollo Lake

Jが付いているのがデスクトップ用、Nが付いているのがノートPC用。

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サーバー向け

Denverton
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組込み機器向け

Apollo Lake
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Joule
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Goldmont Plus

第6世代のAtom向けマイクロアーキテクチャで、2017年12月発表。プロセスルールは14 nm。GPU は第9.5世代 Intel HD Graphics (Kaby Lake 世代) 。 ちなみに、この世代は「Intel Core i」における第8世代(Kaby Lake Refresh、およびCoffee Lake)と同様に、Windows 11にも正式に対応している。

デスクトップ・ノートPC向け

Gemini Lake

Jが付いているのがデスクトップ用、Nが付いているのがノートPC用。

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Tremont

第7世代のAtom向けマイクロアーキテクチャで、2019年10月発表。プロセスルールは10 nm。低消費電力が求められる組み込み分野やサーバーだけでなく5G基地局などネットワーク分野に向けた強化が図られた。またIntel Hybrid Technologyにおけるスモールコアとしても採用されている。

Tremont マイクロアーキテクチャは高いシングルスレッド性能を実現するために、Coreプロセッサ並の分岐予測、6命令同時デコード、実行ポートが10個になっており、同クロックのGoldmont Plusと比べて、平均で30%以上シングルスレッド性能が向上している。

デスクトップ・ノートPC向け

Jasper Lake
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Lakefield

2020年6月発表。CPU、GPU、PCH、メインメモリを3Dパッケージング技術「Foveros」によって1つのダイに統合[34]。CPUはヘテロジニアスマルチコアに基づいた、高性能コア(Ice Lakeに採用されているSunny Cove)と高効率コア(Tremont)の組み合わせで構成[注 2][35]。この高性能コア+高効率コアの構造はのちにAlder Lakeに、ダイ内臓メインメモリの構造はのちにLunar Lakeにそれぞれ引き継がれることになった。

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サーバー向け

Snow Ridge
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Parker Ridge
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組込み機器向け

Elkhart Lake
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Gracemont

2021年8月発表。Alder LakeRaptor Lakeの高効率コア(Eコア)として採用された[注 3]Skylakeと比較して同じ消費電力ならば40%性能が向上し、同じ性能ならば40%消費電力が削減できるという。

GracemontはAlder LakeRaptor Lakeの高効率コア(Eコア)として開発されたため、Alder Lake発表当初、Atom製品は終了し、Gracemontのみを使用したAtom製品は出ないとも予想されたが、その後、2023年に高性能コア(Pコア)を搭載せずGracemontのみを使用したAlder Lake-Nとして、Atom及びIntel ProcessorCore i3ブランドの製品が発表され、従来のAtom製品及びCeleron、Pentium Silverの後継となることがわかった。

GracemontではTremontから以下の改良が加えられている。

  • L1命令キャッシュが64KBに増加
  • 分岐ターゲットバッファ (BTB) が5,000エントリーに増加
  • オンデマンド命令長デコーダ
  • 命令発行数がクロックあたり5に増加
  • 命令リタイア数がクロックあたり8に増加
  • Reorder Buffer (ROB) が256エントリに増加
  • 実行ポート数が17ポートに増加
  • AVX、AVX2、FMA3、AVX-VNNI命令のサポート

ノートPC向け

Alder Lake-N
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Twin Lake
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組込み機器向け

Alder Lake-N
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Amston Lake
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脚注

関連項目

外部リンク

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