くらい

日本語

形容詞

くらい【暗い】

1. 光（ひかり）が乏（とぼ）しい。光が遮（さえぎ）られている。
   • 外も暗くなってきたから家に帰ろう。
2. 色（いろ）が濃（こ）く、他との区別がしにくい。
   • 心持ちか、この色は暗く見える。
   • ワインのような暗い赤
3. 【陰い】気分や性格が落ち込んでいる。態度が後向（うしろむ）き。
   • この作品は暗い雰囲気だ。
   • いつも陰いと楽しさがなくなるよ。
4. 上手く行きそうにない。先行きが悪い。心配。
   • 我が社の先行きは暗いな。
5. よく知らない。うとい。
   • 外国特許の法制度には暗い。

活用

活用と結合例

くら-い 形容詞活用表（日本語の活用）

語幹	未然形	連用形	終止形	連体形	仮定形	命令形
くら	かろ	く かっ	い	い	けれ	(無し)

各活用形の基礎的な結合例

意味	語形	結合
推量・意志	くらかろう	未然形 + う
否定形	くらくない	連用形 + ない
過去・完了	くらかった	連用形 + た
言い切り	くらい	終止形のみ
名詞化	くらいこと	連体形 + こと
仮定条件	くらければ	仮定形 + ば
様態	くらそうだ	語幹 + そうだ

語源

古典日本語「くらし」

1. 「くろ(黒)」より。（志不可起・和訓栞・大言海）

   cf.あかるい＜あかし＜あか（赤）

2. 「くる（暮る:くれる）」より。（和句解）

   cf.あかるい＜あかし＜あく（＞あける:明ける）

対義語

• あかるい

派生語

• くらさ
• くらがり
• くらやみ
• くらむ／くらます
• うしろぐらい
• うすぐらい
• ほのぐらい

翻訳

訳語

• イタリア語: oscuro ^(it), tenebroso ^(it)
• 英語: （色）dark ^(en),（性格）gloomy ^(en)
• エスペラント: malhela ^(eo), malluma ^(eo)
• スペイン語: oscuro ^(es), sombrío ^(es), tenebroso ^(es)
• タガログ語: madilim ^(tl)
• 中国語: 黑 ^(zh)，暗 ^(zh)/闇 ^(zh)，黑暗 ^(zh), 暗黑 ^(zh)
• 朝鮮語: 어둡다 ^(ko) (eodupda)
• ドイツ語: dunkel ^(de), finster ^(de)
• トキポナ: pimeja
• ハンガリー語: sötét ^(hu)
• フランス語: obscur ^(fr), 女性/フランス語, ténébreux ^(fr)
• ポーランド語: mroczny ^(pl)
• ポルトガル語: obsucuro ^(pt), sombrio ^(pt), tenebroso ^(pt)
• ルーマニア語: întunecos ^(ro)
• ロシア語: мрачный ^(ru) (mračnyj), тёмный ^(ru) (tjómnyj)

漢字

• 暗い
  • 一般的にはこの「暗い」のみ使われることがほとんど。以下に表記されているものは常用漢字表外の読みである。
• 陰い
• 闇い
• 昧い
• 晦い
• 昏い
• 眛い
• 冥い
• 暝い
• 瞑い
• 幽い
• 蒙い
• 矇い
• 溟い
• 蔑い

名詞

くらい【位】 (歴史的仮名遣い くらゐ)

1. 社会的な身分、階級や地位、位置。
   • いでや、この世に生まれては、願はしかるべきことこそ多かめれ。帝の御位はいともかしこし。 （吉田兼好『徒然草』）
   • 位人臣を極める
2. 位取り記数法において各数字を記す位置。その記数法の基数Nを整数乗した値を用いて「N^kの位」と呼ぶ。
   • 十分の一の位、一の位、十の位、百の位、千の位
   • 二分の一の位、一の位、二の位、四の位、八の位、十六の位
   • 関連語: 桁（けた）
3. 程度。
   • この位は平気だ。

語源

• 「座（くら）」 + 「居」

翻訳

身分や階級

• イタリア語: posto
• 英語: rank ^(en)
• スペイン語: puesto
• フランス語: poste

身分や階級のうち、王位など最高のもの

• 英語: throne ^(en)

数の段階

• 英語: place ^(en)

程度

• 英語: degree ^(en)

関連語

• 位取り

助詞

副助詞

くらい、ぐらい【位】

名詞「くらい」からの転用

1. それに相当する事物や様態を示してものごとのおおよその程度、度合いを表す。ほど。ばかり。
   • もう2、3泊できるくらいの時間と金はある。
   • 小指くらいの大きさ。
   • そのくらいでいいでしょう。
   • 冗談はこのくらいにして本題に入ろう。
2. 数量などを含む語句について、おおよそのところを表す。ほど。ばかり。前後。
   • 2時間くらい待った。
   • ひと月に何回くらい会いますか。
   • 一個おいくらくらいでしょうか。
3. 発言や思考などのおおよその内容を表す。というほど。程度。
   • 子供のいたずらくらいに思っていた。
   • 風邪がはやっているから気をつけようくらいの話だった。
4. ある限度に達することを驚きをもって示す。
   • 私がおつき合いをお願いしている先輩は井伏鱒二氏一人といっていい位です。（太宰治『わが半生を語る』）
   • 声も出ないくらい驚いた。
   • 全滅と言ってもいいくらいの被害を受けた。
   • 相撲取りくらい太っていた。
   • さすがに大臣くらいになると警備の数も違う。
5. 程度の軽いこと、大したものでないこと、少ないことなどを強調する。
   • そのくらいのことで慌てなさんな。
   • ベートーヴェンの「運命」くらい私だって知ってます。
   • せめて返事くらいしなさいよ。
   • 先生に𠮟られなかったのは彼くらいのもので、あとはみんな大目玉を食らった。
6. （否定語を伴って）それ以上のものがないことを示す。ほど。
   • これくらい面白い小説はなかなかお目にかからない。
   • 彼女くらい努力した人はいない。
7. （「くらいなら」などの形で）したくないこと、すべきでないことを強調する。
   • 戦争に行くくらいなら囚人になってもかまわない。
   • 途中でやめるくらいだったらはじめからやらなきゃいいのに。

翻訳

• イタリア語: circa
• 英語: about