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イギリスの小説作品シリーズ、メディアミックス作品 ウィキペディアから
『ハリー・ポッター』(英: Harry Potter) は、J・K・ローリングによるイギリスの小説シリーズである。出版はブルームズベリー出版。
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著者 | J・K・ローリング |
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原題 | Harry Potter |
訳者 | 松岡佑子 |
国 | イギリス |
言語 | 英語 |
ジャンル | ファンタジー、ドラマ、ヤング・フィクション、ミステリ、スリラー、教養小説 |
出版社 |
Bloomsbury Publishing 静山社 |
出版日 |
イギリス: 1997年6月26日 - 2007年7月21日 日本: 1999年12月8日 - 2008年7月23日 |
巻数 | 7巻 |
ウェブサイト |
www |
1990年代のイギリスを舞台に、魔法使いの少年ハリー・ポッターの学校生活や、ハリーの両親を殺害した張本人でもある強大な闇の魔法使いヴォルデモートとの因縁と戦いを描いた物語。1巻で1年が経過する。
第1巻『ハリー・ポッターと賢者の石』がロンドンのブルームズベリー出版社から1997年に刊行されると、まったく無名の新人による初作であるにもかかわらず、またたく間に世界的ベストセラーになった。子供のみならず多数の大人にも愛読され、児童文学の枠を越えた超人気作品として世界的な社会現象となった。73の言語に翻訳された本シリーズの全世界累計発行部数は2018年12月1日の時点で5億を突破しており、史上もっとも売れたシリーズ作品となっている。
2001年から8本のシリーズで公開された映画(2011年完結)もシリーズ世界歴代3位の興行収入と大きなヒットを記録。当初から全7巻の構想であり、第7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』の原書が2007年7月21日に発売された。
2016年に本編の後日談を描いた事実上の第8巻『ハリー・ポッターと呪いの子』が発売された。これは、2016年夏に上演された舞台劇の脚本を書籍化したもので、ローリングはこの作品を『ハリー・ポッター』シリーズの最終巻(または完結巻)としている。
2010年6月には、アメリカ合衆国フロリダのユニバーサル・オーランド・リゾート内にあるアイランズ・オブ・アドベンチャーに、映画版のセットを模したテーマパーク「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」が開園。2014年7月15日にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン、2016年4月7日にはユニバーサル・スタジオ・ハリウッドでも開園した。
2017年、大英図書館が企画した展覧会「ハリー・ポッターと魔法の歴史」がロンドンとニューヨークで好評を博し、日本でも2021年より兵庫県立美術館と東京ステーションギャラリーで開催された[1][2]。
2019年5月、作品世界をさらに掘り下げるシリーズとして「ハリー・ポッター:ア・ジャーニー・スルー」4冊の発売が決定された[3]。
2023年6月16日、としまえん跡地に『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』映画製作の魔法を体験できる体験型エンターテイメント施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ ハリー・ポッター」が開業した[4][5][6]。
赤ん坊のころに両親を亡くし、孤独な日々を過ごしてきた少年ハリー・ポッターは、11歳の誕生日に自分が魔法使いであることを知らされる。ホグワーツ魔法魔術学校へ入学し、いままで知らなかった魔法界に触れ、亡き両親の知人をはじめとした多くの人々との出会いを通じて成長する。そして、両親を殺害した闇の魔法使いヴォルデモート卿と自分との不思議な因縁を知り、対決していくこととなる。
各巻の詳細なあらすじは、以下の記事を参照。
作品世界の設定については、以下の記事を参照。
全7巻からなる長編で、各巻の内容は相互に密接に関連している。作者のローリングは、インタビューで、プロットが重要なので力を注ぎ、「第1巻を書き上げる前に、全7巻のプロットができていた」と語っている[9]。
当初は、1997年から毎年1冊の刊行が予定されていたが、最終的には第1 - 第4巻までが毎年、3年おいて、第5 - 第7巻が1年おきの刊行となった。
静山社から江守徹の朗読でオーディオブック化されていて、2003年に「賢者の石」、2004年に「秘密の部屋」のCD版が発売された後、2016年に両作のAudibleでのデータ配信版が発売された[10]。オーディオブックとしての需要が高く、「秘密の部屋」以降の配信も望まれたことから、同年に全巻のオーディオブック化が風間杜夫による新朗読で発売されることが決まり[11]、2019年までに全7作がデータ配信された。
前述の通り、本編終了から19年後を描いた舞台版のシナリオが出版されており、「8番目の物語(=事実上の第8巻)」と銘打たれている。本文はト書きと台詞で構成されており、第1巻 - 第7巻のような小説のスタイルはとられていない。またジョン・ティファニー、ジャック・ソーンとローリングの共著名義である。
以下は電子書籍のみ。著者はJ・K・ローリング。日本語版は2016年9月16日発売。
『ハリー・ポッター』シリーズは、世界各国で刊行されており、2008年時点で67言語に翻訳され、世界合計4億部(うち第1作が1億部)のベストセラーとなっている。珍しいところでは、ラテン語[12]・古代ギリシア語[13]など、日常で使われることのない言語にも訳されている。
なお、著者のローリングは自著の電子書籍化に対して強固に反対しており、『ハリー・ポッター』シリーズの電子書籍版は販売されていなかったが、2012年にはオフィシャルストア「ポッターモア」よりEPUB形式による販売が開始された。作品ごとのシリーズセットがあり、それぞれアメリカ英語版とイギリス英語版が用意されている[14]。日本語の電子書籍も2016年9月より「ポッターモア」やAmazon Kindleなどで取り扱われるようになった。
近年[いつ?]は全巻を合計20冊に分けて発売されていることが多い。
『ハリー・ポッター』シリーズは、ほとんどの固有名詞に意味が込められた命名がなされている[17]が、固有名詞の翻訳状況は、各言語の事情によって異なる。
中国語(とくに繁体字版)では、「天狼星 布萊克(シリウス・ブラック)」や「小仙女 東施(ニンファドーラ・トンクス)」のように人名にも意味を重視した翻訳が成されている[注釈 3]。スロベニア語では、固有名詞をスロベニア語に訳した上で、スペルを若干変更している[18]。しかし、映画化にあたりワーナー・ブラザースから、人名を変更しないよう要請が出され、各言語の翻訳者からは映画会社の横暴に不満が噴出したという[18]。
また、第6巻終盤に登場する「R.A.B」のイニシャルも、オランダ語やノルウェー語などでは、人物の名字に意味を重視した訳語をあてていたため「R.A.Z」や「R.A.S」となった。このため、ほかの言語と比較することで、その正体が予測できるということもあった。
松岡および静山社の、翻訳権獲得からミリオンセラーまでのサクセスストーリーは日本国内で大きな注目を集め[19]、また翻訳の評判もよかった[20][21][22]。
一方、翻訳家や読者からは第1巻から誤訳・珍訳、文章力の問題点が指摘されており[23]、2001年ごろには児童読者からの誤訳の指摘も松岡のもとに届いていた[21]。以下、おもな問題点を挙げる。
本シリーズは、1990年代のイギリスを舞台にした、(執筆時点から見て)ごく最近の物語である。
原書においては、一部の登場人物に訛り[注釈 4]や特徴的な口癖[注釈 5]が与えられ、個性を表現しているが、日本語では英語以上に一人称や言葉遣いの表現が多様である(役割語等も参照)。
したがって、1990年代という時代設定から逸脱した一人称・言葉遣いを用いたことによって、原作と日本語版ではまるで印象が違っている登場人物も少なくない。明治大学教授で翻訳家の高山宏は、「魔術という古い世界と現代のティーンエイジャーの世界の交錯がこの作品の醍醐味なのですが、日本語訳では会話文と普通の文章がごっちゃになって読みにくい」と評している[23]。このほか、「手水場」「下手人」「旅籠」など時代がかった言葉が多いことも、「センスが悪い」と批判されている[23]。口語としてあまりに不自然な場合、映画版の吹替え・字幕では修正されている。
また、本文には、特殊フォント・太字・囲み文字・網かけ文字やイラスト風の囲みが多用されているが、いずれも底本のブルームスベリー社版にはない、日本語訳独自の演出である。これは、原作者の意向で本文中に挿絵が使えない制約を回避するため、読者がイメージを膨らませられるようにという松岡の解釈で付与された[21]。
高山宏は、イギリス版の中表紙にあるホグワーツの紋章をカットしたことを批判したうえで「翻訳以前に、物語の持つ世界観を、最低限踏まえた上で紹介するのが訳者の責任だと思う」としている[23]。紋章の不掲載についてはドイツ語版などでも行われており、日本語版だけの問題ではない。
日本語の語彙が、正しい日本語の意味とは異なる意味で使われている箇所が多々ある。
第2巻『秘密の部屋』の作中において「先天的疾患に対する差別的表現がある」として2000年10月に市民団体「口唇・口蓋裂友の会」が抗議、問題箇所の削除を要求した。静山社は著者とともにこの市民団体と協議し、同年11月「第六十六刷から該当箇所を削除」することを回答。市民団体側は各都道府県教育委員会、全国の図書館や書店に対し配慮を行なうよう、同年12月に要望書を送付した[25]。
上下2冊組となった第4巻以降、返品を不可とする「買い切り制(責任販売制、買取り制ともいう)」となったため、一般の小売りと同等のリスクが発生した。この点については、第1巻・第2巻・第3巻が入手困難となったことから、書店業界側からの要望でもあった[26]。また発行元である静山社自体が小さな出版社であるため、大量発注を受けた結果として大量の返品を抱えた場合のリスクが小さくないという出版社側の事情もある。
2004年9月1日に第5巻『不死鳥の騎士団』は、初版290万セットで発売されたが、2週間以内に売れたのは65%にとどまった[27]。発売後すぐに実売部数は200万部を越えるベストセラーとなったが、発行部数に対して大量の在庫が出たため、書店業界から悲鳴が上がる事態となった[26]。これは、書店からの発注をそのまま受け入れて発行したからで、出版社(静山社)・取次会社(トーハン)・書店の調整不足が指摘されている[28]。
日本書店連合会からも高正味[注釈 6]と買い切り制の採用や、静山社が広告を打たないことに対する不満が、複数回表明されている[29][30]。こうした状況に対し松岡佑子は「クリスマスまでにたくさん売れるように期待しています。新聞広告などで私たちも応援したい」と発言[28]。その結果、12月に作品内容を明かしたキャッチコピーを広告に掲載し物議をかもした。
その後の、第6巻、第7巻では、書店が発注を控えたため、第5巻ほどのトラブルは生じていない。
『ハリー・ポッター』シリーズはワーナー・ブラザースによって映画化された。2001年に映画『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開され大反響を呼び、その後も続編が次々と製作され、撮影はリーブスデン・スタジオで行われた。
全作品を通じ、ハリー役はダニエル・ラドクリフ、ロン役はルパート・グリント、ハーマイオニー役はエマ・ワトソン。
2016年には、スピンオフ映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が公開され[31]、全5部作となることが予定されている。
2023年4月に開催されたワーナー・ブラザーズの新作発表会においてドラマ化が正式発表され、ホグワーツの外観が映るティーザー映像も併せて公開された[32]。映画版からキャストは一新され、1シーズン1巻のペースで原作に忠実に10年にわたるシリーズとしての制作が予定されている。Maxで配信予定であり、原作者であるJ・K・ローリングが製作総指揮を務める[33]。
『ハリー・ポッターと呪いの子(Harry Potter and the Cursed Child)』のタイトルで、2016年夏にウエストエンドのパレス・シアターにて上演。J・K・ローリング、ジャック・ソーン、ジョン・ティファニーが手掛ける新たなストーリーとなり[7]、本舞台は全7章の小説の続きとして、『ハリー・ポッターと死の秘宝』の19年後~22年後が描かれ、ハリーとその息子であるアルバスが登場する[34][35]。
脚本がシリーズ第8巻(最終巻)として2016年7月30日に発売され、日本語版脚本は2016年11月15日に発売[35]。
日本でも、TBS開局70周年を記念して東京・TBS赤坂ACTシアターで2022年夏より上演される。これに先立ちTBS赤坂ACTシアターは、2021年より大規模な改修を開始し、『ハリー・ポッター』専用劇場として生まれ変わる。上演期間は無制限のロングラン形式となる。
この節の加筆が望まれています。 |
『ハリー・ポッター』のゲーム化は、1997年の『賢者の石』の初出版から人気が軌道に乗りはじめた1年後の1998年にアメリカの任天堂のNintendo of Americaが『ハリー・ポッター』に目をつけ、その版権を独占的に獲得するため売り込みを展開し、同社傘下で設立されたばかりのNintendo Software Technology(NST)にゲームのアイデアを出すよう命じた。三人称視点のアドベンチャーゲームとマーベルコミックのアディ・グラノフをキャラクターアーティストとして担当したクィディッチゲームのふたつのピッチに取り組みはじめ、まずNINTENDO64から、ゲームボーイアドバンス、そしてニンテンドーゲームキューブやその先の任天堂のプラットフォームで『ハリー・ポッター』シリーズのゲームを自社で開発・発売することを計画していた。ライセンス契約者である作者のJ・K・ローリングはNSTのプレゼンテーションを見ることに同意したが、どのアートスタイルがこのフランチャイズに最もふさわしいかについてNST内で意見の相違があった。当初『ハリー・ポッター』の表紙カバーを担当していたイラストレーターのトーマス・テイラーのデザインを求める声があり、ローリングがよりイギリス的でありたいと言ったが、NSTの上層部は漫画的な、あるいは日本的なビジュアルスタイルでゲームをデザインするように要求していた。最終的にゲームだけでなくテレビや映画など、より多くの分野での映画化を提供できる大手メディア企業を優先し、ローリングはゲームしか進出できなかった任天堂のこの提案を断ったという[36][37]。独占権を要求していた任天堂との交渉が決裂したあと、ローリングは最終的にできるだけ多くの人に『ハリー・ポッター』を届けるためにワーナー・ブラザーズに権利を売却した。同社はエレクトロニック・アーツと契約し、イギリス支社のエレクトロニック・アーツUKが『ハリー・ポッター』シリーズの本をもとにした映画のゲーム開発および発売権を得て、2001年に『賢者の石』のゲームを最初に発売した。またエレクトロニック・アーツUKの『ハリー・ポッター』ゲームのメイキングでのインタビューでローリングは『ハリー・ポッター』製品の生産をできるだけイギリスで行うようにしたと述べている。
日本国内にて発売・配信されたもののみ記す。
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