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新潟県・長野県の川 ウィキペディアから
姫川(ひめかわ)は、長野県北安曇郡および新潟県糸魚川市を流れ日本海に注ぐ河川。一級水系の本流(1969年4月1日に一級河川に指定[2])。
国土交通省が公表している一級河川の水質現況において、1999年(平成11年)以降4回にわたって水質ランキング日本一に輝いている[3]。
水源は長野県北安曇郡白馬村の親海湿原の湧水である。古事記や出雲国風土記には、高志国を治めていた豪族の娘、沼河比売(奴奈川姫)に八千矛神(大国主命)が出雲から求婚しに来たという神話が残されている。この奴奈川姫が姫川の名の由来とされる[4]。またこの二柱の間に生まれた子・建御名方神が姫川を遡上して諏訪入りしたとの伝承もある。白馬村においては、白馬連峰に端を発する支流の松川や平川が扇状地を成し、平坦な盆地(白馬盆地)を形成している。ただ、流域の大半は白馬岳を始めとする標高2,000 mを超える山々が連なり、非常に急峻である。
流路が北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界となっている糸魚川静岡構造線にほぼ沿い、東西にある急峻な西頸城山地と北アルプスから供給される土砂が多い。また、飛騨外縁帯の脆弱な蛇紋岩が上流部の八方尾根、中流部の平岩・小滝付近、および支流の大所川上流部に広く分布するため、地すべり地形が広く分布する。そのため豪雨による土砂災害が絶えず、道路や鉄道が不通となることがたびたびあり、暴れ川として知られている。
糸魚川市のウェブサイトでは、天津神社に残る奴奈川姫にまつわる伝説のひとつとして、糸魚川の名の由来が「厭い川」(よく氾濫を繰り返す川)である説を紹介している。
西頚城郡に姫川と云ふ川あり、糸魚川と云ふ町にあり、糸魚川はもと厭川と書きしと云ふ。之れ奴奈川姫命が今日の姫川を渡りなやませたまひてかく呼びたまひしによると。 — 『天津神社並奴奈川神社』より、奴奈川姫の伝説[5]
この川の流域には、蛇紋岩中に構造岩塊として含まれていたヒスイの産地があり、現在確認されている日本全国の縄文時代早期から奈良時代の遺跡から発見されているヒスイ製大珠や勾玉などの装身具の原料は、この川の流域や西方にある青海川流域、および新潟県糸魚川市大和川海岸から富山県下新川郡朝日町宮崎海岸にかけての日本海沿岸で採取されたヒスイを用いて現地で加工されたものであると考えられている。
現在でも、姫川河口の東西の海岸(東は糸魚川市大和川海岸、西は黒部市石田浜)や姫川の河原において、ヒスイを観察することができるが、ヒスイに類似した岩石も多く鑑定には経験を要する。糸魚川市美山公園にはヒスイについて考古学的な側面から紹介した長者ケ原考古館と、地球科学的側面から紹介した、フォッサマグナミュージアム[6]があり、フォッサマグナミュージアムでは採集した岩石がヒスイかどうかを学芸員が鑑定するサービスが行われている。
姫川源流自然探勝園 | |
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名水百選姫川源流湧水 | |
所在地 | |
座標 | 北緯36度37分49秒 東経137度50分50秒 |
設備・遊具 | 遊歩道、取水場 |
駐車場 | サンアルピナ白馬さのさかスキー場駐車場 |
姫川の源流は元々の水源は青木湖であったが、佐野坂の地すべり堆積物によって堰き止められたと考えられている。親海湿原はその堆積物の間にすり鉢状の凹地に、河川の流入もなく湧水によって形成された標高745 mの湿原である[1]。また湿原の水は、「ドウカク山」の斜面に沿い伏流し姫川の源流となる。湿原の湧水は青木湖からの漏水であるとの説があるが詳しい調査は行われていない。
亜高山帯から高山帯の湿原植物が自生しホロムイソウの長野県唯一の自生地として有名である。また、福寿草、水芭蕉、ミツガシワ群落、カキツバタ・サワオグルマ・コオニユリ・サワギキョウ・コバギボウシ・ドクゼリ等の多くの植物が自生する。湿原は木道の遊歩道等で整備され20分程度で1周できる。
親海湿原の「ドウカク山」の南にある荒神の森を隔てて、親海湿原の水が再び湧水する。姫川源流湧水として名水百選に選定されている。[7]
河床は細かい礫であり、バイカモの群落、涌水近くはクレソン、川辺にはネコノメソウ、フクジュソウ、ミズバショウ、キクザキイチゲ、カタクリ、ニリンソウが咲き、ヒメザゼンソウの群落が自生する。セキショウモやエビモなどの水草が繁茂し、イワナの溯上も確認されている。
明治44年(1911年)8月、稗田山の北側斜面が崩壊し、大量の岩屑が支流の浦川を流下して姫川河床に堆積し、高さ60 m - 65 mの天然ダムを形成した。堰き止められた姫川は長瀬湖と呼ばれる湖を出現させ、川沿いの集落に甚大な被害を与えた。この崩壊は20世紀の日本における最大の山体崩壊であり「稗田山崩れ」と呼ばれている。常願寺川の鳶山崩れ、安倍川の大谷崩れと共に日本三大崩れの一つとされる。
近年では平成7年(1995年)7月11日の災害(7.11水害)で、川沿いに位置する姫川温泉、蒲原温泉などが甚大な被害を受け、国道148号、大糸線が長期不通となった。なお、翌年12月6日にはこの災害復旧工事中に土石流が発生し作業員14人が死亡している。
このほか江戸時代より多数の出水、土砂災害の記録が残る。糸魚川市の歴史も参照のこと。
姫川水系では電力会社のほか民間企業も水力発電所を運営している。本川上流部には中部電力、中・下流部にはデンカや黒部川電力(デンカ・北陸電力共同出資)、東京発電(東京電力グループ)、支流の大所川には東北電力の発電所が存在する。
姫川沿いは長野県と新潟県上越地方とを結ぶ数少ない交通路であり、塩の道(千国街道)として利用されてきた歴史がある。今日でも国道148号および大糸線(JR東日本・西日本)が並行している交通の要衝である。
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