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神奈川県横浜市旭区から藤沢市を結ぶ相模鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
相鉄いずみ野線(そうてついずみのせん)は、神奈川県横浜市旭区の二俣川駅と同県藤沢市の湘南台駅を結ぶ、相模鉄道(相鉄)の鉄道路線である。駅ナンバリングで使われる路線記号はSO。路線名に社名を含む。
もともとこの路線は神奈川東部方面線計画の一部分を構成する区間であり、このうち横浜市西部の区間が1970年代に整備されたのが始まりである[注釈 1]。それと同時に沿線に大規模なニュータウンを造成することで建設資金の回収を期待した。
2013年以降の開発方針として、いずみ野線沿線地域(二俣川 - ゆめが丘)は豊かな自然環境や未利用地を活かして新しい街の開発を行うモデル地域に指定されている[2]。
「職住分離」の一端を担うニュータウンアクセス交通に見られるように朝夕のラッシュ時とそれ以外の時間における利用客数の変動が激しいという特徴がある。また建設費償還のため加算運賃が設定されており相鉄本線と比べてやや高いものになっている。詳細は「相模鉄道#運賃」を参照のこと。
長らく路線名は「いずみ野線」のみであったが、親会社相鉄ホールディングスの2023年3月期『有価証券報告書』[3][4]、令和5年(2023年)度版の『鉄道要覧』から「相鉄いずみ野線」として「相鉄」を含む路線名に改められており[5][6]、相鉄のウェブサイトにおける表記も同様の変更がなされている[7][8]。ただし同時に改称された相鉄本線とともに、以下では路線名の「相鉄」は省略して表記する。
いずみ野線は横浜市西部の丘陵地帯を通過する。とはいっても地形に沿う形ではなく、掘割・トンネルや高架橋を多用して極力勾配を緩和している。また、踏切は一つもなく、軌道は50kg以上の重軌条でロングレールとして敷設されており、現在の認可最高速度は100km/hだが120km/h運転も可能な施設である。
二俣川駅を発車した列車は徐々に高度を上げながら相鉄本線下り線を跨ぐとすぐに分かれていく。トンネルを抜け、東海道新幹線の高架をくぐると南万騎が原駅となる。南万騎が原を出るとすぐにトンネルに入る。この区間は当初掘割区間として計画されていたが、周辺の分譲地と一体化した遊歩道や上下水道を同時に整備する目的で、ボックスカルバート式トンネルに変更された経緯がある[19]。トンネルを抜けると高架橋になりすぐに緑園都市駅となる。いずみ野線の駅名にはいかにもニュータウンを思わせる駅名が多く、特に当駅周辺は開発が進んだ地区になっている。緑園都市を出ると再びトンネルに入る。高架橋で阿久和川を越え掘割区間に入ると弥生台駅である。掘割だが法面の傾斜は緩く「ソメイヨシノ」が植えられており、春には桜のトンネルの様相を呈す。弥生台を出るとすぐにトンネルに入り掘割の中のいずみ野駅となる。ここまでが第1期開業区間である。
いずみ野を出ると高架橋の連続区間になる。和泉川を渡った列車はこの川に沿うように谷沿いを走る。辺りは畑や雑木林が広がっており、右手には丹沢山地、箱根山や、天気が良いと大きく富士山が見える。長後街道を渡るとすぐに高架駅のいずみ中央駅に到着する。いずみ中央を出た列車は和泉川と分かれ再び丘陵地帯に入って行く。アーチ橋の一種、ニールセン・ローゼ橋で環状4号を跨ぐとゆめが丘駅である。近くに横浜市営地下鉄ブルーラインの下飯田駅がある。ゆめが丘を出た列車はこのブルーラインと並走するようになり、境川を渡った直後に谷の斜面に突入する。そのままトンネルを走行し続けて、地下駅の湘南台駅となる。
いずみ野線を走る列車種別は従来は「各停」だけであったが、1999年2月27日に「快速」が新設され、さらに2014年4月27日に「特急」がいずみ野線内で初めて速達運転する種別として新設された[20]。2019年11月30日には特急が廃止され、「通勤特急」・「通勤急行」が新設された[11]。
2023年3月18日の相鉄新横浜線開業に伴うダイヤ改正で特急の設定が再開された。
ニュータウンを抱えるいずみ野線は横浜中心部や東京都心部への指向性が強いので、ダイヤ構成も本線とのつながりが強く、多くの列車が二俣川駅から本線に乗り入れて西谷駅を経て横浜駅・新横浜駅方面へ向かうものになっている。本線の大和・海老名方面への直通運転は二俣川駅で折り返す方向となるため、回送列車を除き行われていない。通勤急行は全列車10両編成で、その他の種別は10両編成または8両編成で運行される。
いずみ野線内ではいずみ野駅で緩急接続を行う列車もある。
種別\駅名 | 直通先 | 二俣川 | … | 湘南台 | ||
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運行範囲 | 各停 | 本線・いずみ野線系統 | 横浜← | 4本 | ||
相鉄新横浜線・東急線直通系統 | 川越市← | 1本 | ||||
和光市← | 1本 |
列車番号は2023年3月18日以降は以下の通りとされている[21]。
普通旅客列車とはこの場合、各駅停車のことを表す。下りが奇数、上りが偶数となっている。それぞれの種別の系統ずつに付番される。
列車番号とは別に先頭車両の右上・左上・左窓下のいずれかに二桁(東急線直通運用のみ末尾にアルファベットを追加)の運行番号を表示している。列車番号と運行番号の関連性は無い。
すべて通勤型車両で運転され、乗車券のみで乗車できる。相鉄本線で運転されている種別も存在するため接続列車等は「本線特急」のように「(系統)(種別)」と表記する。
通勤特急と急行については系統が一つのため種別名だけで記す。
英語表記は「Limited Express」。種別色は■橙色(下り列車)、■桃色(東急東横線直通)。 現在の特急は2023年3月18日の相鉄新横浜線延伸および東急東横線方面を中心とする東急線直通運転開始に合わせ、運行が再開された[17]、相鉄線内最速の種別である。
特急は2014年4月27日のダイヤ改正より新設された種別[20]で、従来ターミナル駅としてきた横浜駅を経由しない神奈川東部方面線の建設進捗に伴い、横浜駅の空洞化を避けるために、同駅及びその周辺施設のリニューアルなどと共に「県央地域と横浜駅をより速く結び利用客の逸脱を抑える」という目的で設定されたものであり、以前から計画されていた[26]。ただし、いずみ野線内では2019年11月30日のダイヤ改正でいったん休止となっていた[11]。
2023年3月18日ダイヤ改正の運行概要について系統ごとに分けて示す。
英語表記は「Commuter Limited Express」。種別色は■橙色(相鉄線内完結、2023年3月18日以降は定期設定なし)、■桃色(東急東横線直通)および■水色(東急目黒線直通)。2019年11月30日ダイヤ改正より新設された種別である[27]。当初は横浜駅行きの列車として運転されたが、2023年3月18日ダイヤ改正で東急線直通に変更された。いずみ野線内の停車駅は特急と同じで、本線鶴ヶ峰駅へ停車する点のみ特急と異なる。
2023年3月18日ダイヤ改正の運行概要について以下に示す。
英語表記は「Commuter Express」。種別色は■赤色。2019年11月30日ダイヤ改正より新設された種別である[11]。
いずみ野線内は各駅に停車し、本線鶴ヶ峰駅・西谷駅停車後横浜駅まで停車しない。上りの湘南台駅発平日朝6時台から7時台に5本が運転され、いずれも10両編成で運転されている。朝ラッシュ時は横浜駅とを結ぶ唯一の優等種別となっている。
英語表記は「Rapid」。種別色は■青色(2007年11月2日以前は■緑色)。
2023年3月18日改正以降は、朝ラッシュ時の上り・13時台 - 15時台を除きおおむね設定が存在するが、いずみ野線内での運転間隔はパターン化はされておらず各駅停車を置き替える形で運転されている。いずみ野線の快速は全列車が本線横浜駅 - 湘南台駅間の運転であり、途中駅発着の列車はない。
いずみ野線は開業以後各駅停車だけが運転されていたが、1999年(平成11年)3月10日の湘南台駅への延伸開業を目前に控えた2月27日のダイヤ改正において、いずみ野線初の速達列車として快速が新設された。同年3月9日までの11日間はいずみ中央行きとして運転し、いずみ中央駅 - 湘南台駅間の新規開業部分は回送扱いで乗務員訓練を行った。
1999年の登場当時は朝ラッシュ時と日中時間帯に限り運転されており、日中は12分間隔で運転されていた。2003年ダイヤ改正では10分間隔に増発、2006年のダイヤ改正では各停を混ぜて運転間隔を20分おきに減らす代わりに、運転時間帯を増やし1日の運転本数をほぼ維持するという水増し的な改正が行われ、夕方・夜間にも設定されるようになった。2012年改正で西谷駅工事のために朝ラッシュ時の運転が休止された。
2014年ダイヤ改正では日中時間帯が特急に格上げされたが、2015年5月31日ダイヤ改正では1本増発及び1本格下げの形で復活した。2019年11月30日ダイヤ改正では、新たに本線西谷駅が停車となった。2021年3月13日ダイヤ改正では朝時間帯と平日夕ラッシュ下りを除いて設定がなくなり、各停に置き換わるか減便となった。
2023年3月18日ダイヤ改正現在として
英語表記は「Local」。種別色は■黒色または■灰色(相鉄線内が終着となる列車)(2007年11月2日以前は■白色(上り)、および■青色(下り)[注釈 2])、■桃色(東急東横線直通)および■水色(東急目黒線直通)。各停は各駅停車の略称でその名の通り相鉄線内では各駅に停車する。種別幕や路線図などでは「各停」と表記されることが多いが、駅や車内の案内放送などでは「各駅停車」と放送することが多い。
終日にわたって運転されている。昼間時間帯のパターンダイヤではおおむね10分間隔で運転され、1時間に4本が本線横浜とを結ぶ系統、2本が相鉄新横浜線・東急新横浜線・東急東横線・東京メトロ副都心線へ乗り入れ、うち1本は東武東上線の川越市駅まで運転されている。午前中及び土休日の夕方には東急目黒線とを結ぶ列車も運転されている。
開業当初は日中は20分おきでそのうち半数のみが本線に乗り入れて横浜駅まで達していた。その後何度か増発がなされたものの、1999年2月27日に「快速」が設定されると日中のすべての列車が快速に置き換わり、この時間帯の各停の設定は消滅した。しかし2006年5月ダイヤ改正では日中の「快速」が減便されたため、その補完として再び設定されて現在に至る。
2023年3月18日ダイヤ改正時点の運行概要について以下に示す。
英語表記は「Express」。種別色は■赤色。1986年(昭和61年)4月6日、いずみ野線開業10周年を記念して、横浜駅 - いずみ野駅(当時はいずみ野駅がいずみ野線の終点)間に急行(途中駅無停車[28])が当時の最新鋭だった新7000系によって運転された[29]。その後、1987年(昭和62年)4月12日にも、横浜駅 - いずみ野駅間に急行が新6000系「緑園都市号」によって運転された[30]。
いずみ野線の車両は本線と共通である。ただし、JR線との直通列車は現時点で設定されておらず、JR東日本の車両(E233系7000番台)は通常いずみ野線内に乗り入れない。
相鉄・東急直通線系統の列車には相鉄20000系・21000系と東急5050系4000番台・3020系・5080系・3000系が、それ以外の相鉄線(本線・いずみ野線)内完結列車には相鉄のすべての現有車両(一部列車は東急の車両)が運用される。
各車両における編成の違い | ||||||||||
← 湘南台 横浜・小川町・浦和美園・西高島平 →
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相鉄20000系 | ||||||||||
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相鉄車10両編成(20000系を除く) | ||||||||||
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東急5050系4000番台 | ||||||||||
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相鉄車8両編成 | ||||||||||
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東急3020・5080・3000系 | ||||||||||
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原則として海老名・湘南台寄りから数えて2両目(10両編成9号車、8両編成7号車)を弱冷房車としている。ただし、8両編成については東急目黒線からの乗り入れ車両(3020系・5080系・3000系)に限り4号車が弱冷房車となる。
平日朝ラッシュ時間帯の上り列車において女性専用車が実施されているが、列車の行先によって設定号車及び時間帯が異なる[18]。
東急目黒線直通列車や、平日日中以降および土休日ダイヤでは、女性専用車の設定は行われない。
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 特急・通勤特急(東急線直通) | 接続路線・備考 | 地上/地下 | 所在地 | ||
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二俣川から | 横浜から | ||||||||
直通運転区間 | 相鉄本線経由で以下の駅まで
| ||||||||
SO10 | 二俣川駅 (ジョイナステラス前) |
- | 0.0 | 10.5 | ● | 相模鉄道: 相鉄本線(西谷・横浜方面直通運転:上記参照)〈大和・海老名方面〉 | 地上 | 横浜市 | 旭区 |
SO31 | 南万騎が原駅 | 1.6 | 1.6 | 12.1 | | | ||||
SO32 | 緑園都市駅 | 1.5 | 3.1 | 13.6 | | | 泉区 | |||
SO33 | 弥生台駅 (国際親善総合病院) |
1.8 | 4.9 | 15.4 | | | ||||
SO34 | いずみ野駅 | 1.1 | 6.0 | 16.5 | ● | ||||
SO35 | いずみ中央駅 | 2.2 | 8.2 | 18.7 | | | ||||
SO36 | ゆめが丘駅 (ゆめが丘ソラトス前) |
1.1 | 9.3 | 19.8 | | | ||||
SO37 | 湘南台駅 | 2.0 | 11.3 | 21.8 | ● | 小田急電鉄: 江ノ島線 (OE09) 横浜市営地下鉄: ブルーライン (B01) |
地下 | 藤沢市 |
いずみ野線は起工された当初から運輸政策審議会の答申により平塚方面への免許を取得しており、当初の計画では湘南台駅から慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスを経て茅ヶ崎市北部を通過し平塚駅へと向かう予定 (14.5 km) となっている。
しかし、相模線倉見駅に東海道新幹線の新駅(相模新駅)が建設される計画が持ち上がったことから、経路を変更するか分岐線を設け、途中から寒川町に向かって倉見駅(ツインシティ構想地区)まで結ぶ構想が浮上した。また、2004年度には神奈川県や沿線市町、国土交通省、学識経験者、相模鉄道から成る「いずみ野線延伸研究会」が組織され、倉見駅方面への延伸の可能性について、LRT(ライトレール)導入も含めた検討が3箇年にわたり進められてきた[32][33]。
2010年6月に、神奈川県、藤沢市、相模鉄道、慶應義塾の4者で、「いずみ野線延伸の実現に向けた検討会」を設置し、2年間にわたる検討の結果、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス周辺までの区間 (3.3 km) について、LRTではなく鉄道(単線)による延伸を目指すという方針が選定されている[33][34]。
2016年4月7日の交通政策審議会にて了承された答申案では2030年頃までに整備すべき鉄道24路線の一つに、湘南台駅から寒川町の倉見駅までの延伸が選ばれている[35](答申案は同月20日に「交通政策審議会答申第198号」として正式に答申されている)。
2017年6月8日には藤沢市より同市内に設置を予定している2駅の候補地が公表され、イトーヨーカドー湘南台店前付近のA駅(地下駅)および慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス前のB駅(高架駅)が示された[36]。
2019年11月30日より、相模鉄道は相鉄・JR直通線として相鉄新横浜線羽沢横浜国大駅で東日本旅客鉄道(JR東日本)の埼京線新宿方面と相互直通運転を行っているが、この時点では海老名駅発着の相鉄本線系統のみであり、いずみ野線との直通列車は設定されなかった。
2023年3月18日には相鉄新横浜線が新横浜駅まで延伸開業[14]し、新横浜駅で東急線(東急新横浜線日吉駅・東横線渋谷駅・目黒線目黒駅)方面との相互直通運転も開始し、さらにその先の東京メトロ線(副都心線和光市駅・南北線赤羽岩淵駅)、東武東上線和光市駅・川越市駅・森林公園駅(平日のみ)、都営三田線西高島平駅、埼玉スタジアム線浦和美園駅方面にも直通する[15]。
東急線との直通運転開始後、いずみ野線は東横線・副都心線・東上線直通列車が基本となるが[17]、早朝・夜間の一部列車は目黒線方面にも直通列車が運行されている[16]。
2017年(平成29年)11月2日に2022年(平成34年〈令和4年〉)度までに相鉄線全駅へのホームドア設置を発表した[37]。2022年(令和4年)度の設備投資計画ではホームドアを7駅に設置すると発表され、2022年度はいずみ野線には5駅に設置された[38]。同年10月頃にはホームドアがない駅では設置工事前に仮設転落防止柵を設置し転落防止の対策を取っている。これは2023年3月から直通運転する東急線への対応によるものである。2023年(令和5年)度の設備投資計画ではホームドアを8駅に設置すると発表され、いずみ野線には2駅に設置され[39]、2023年7月に全駅でのホームドア整備が完了した。
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