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国土交通省の外局 ウィキペディアから
観光庁(かんこうちょう、英: Japan Tourism Agency、略称: JTA)は、日本の行政機関のひとつ。日本の観光立国の実現に向けて、魅力ある観光地の形成、国際観光の振興その他の観光に関する事務を所管する国土交通省の外局である。2008年(平成20年)10月1日に設置された。
国家行政組織法および国土交通省設置法第41条第1項に基づき設置されている[5]。観光庁長官を長とし、内部部局として総務課、観光戦略課、観光産業課、国際観光部、観光地域振興部の3課2部を置く。
観光庁が起草・編集する白書として「観光白書」がある。観光立国推進基本法により政府が毎年国会に提出しなければならない「観光の状況及び政府が観光立国の実現に関して講じた施策に関する報告」(第8条第1項)および「前項の報告に係る観光の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書」(第8条第2項)が収録される。後者の文書は国土交通省の交通政策審議会(観光分科会)の意見を聴いて作成しなければならない。文書作成に関する事務は総務課がつかさどる(国土交通省組織令第224条の4第22項)。
国土交通省設置法に定められた上記任務を達成するため、観光庁は、同法第4条に列記された所掌事務のうち、下記の計7号の事務をつかさどる(国土交通省設置法第44条)。具体的には以下に関することなどがある。
上所掌事務の根本基準は、観光立国の実現に関する施策に関し国及び地方公共団体の責務等を明らかにした「観光立国推進基本法(平成18年12月20日法律第117号)」が定めている。同法第3条は国の観光振興に関する責務について、「観光立国の実現に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」と規定している。
観光立国推進基本法の規定により政府は、観光立国の実現に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、観光立国の実現に関する基本的な計画(以下「観光立国推進基本計画」という。)を定めなければならない(第10条第1項)。観光立国推進基本計画は、(1)観光立国の実現に関する施策についての基本的な方針、(2)観光立国の実現に関する目標、(3)観光立国の実現に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策、(4)そのほか、観光立国の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定める(第10条第2項)。計画の案は国土交通大臣が、交通政策審議会の意見を聴いて作成し、閣議の決定を求めなければならないとされ(第10条第3項)、観光庁はその実務を担う。
現在の「観光立国推進基本計画」は2017年3月28日に閣議決定されたもので[6]、2007年6月29日に閣議決定された最初の計画を2012年3月30日に改訂したものを更に改訂したものである。なお従来の計画は5年間の計画期間としていたが、観光ビジョンの目標年次や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえ、平成32年度(2020年度)までの4年間を新たな計画の計画期間とした[7]。
基本的な目標として以下の7項目が掲げられている[7]。
観光立国推進基本法の規定により、国は、外国人観光旅客の来訪の促進を図るため、我が国の伝統、文化等を生かした海外における観光宣伝活動の重点的かつ効果的な実施、国内における交通、宿泊その他の観光旅行に要する費用に関する情報の提供、国際会議その他の国際的な規模で開催される行事の誘致の促進、外国人観光旅客の出入国に関する措置の改善、通訳案内のサービスの向上その他の外国人観光旅客の受入れの体制の確保等に必要な施策を講ずるものとされる(第17条)。
この訪日外国人観光旅行を促進する施策の一環として、観光庁は「訪日旅行促進事業」(ビジット・ジャパン事業)に協力している。これは観光基本法時代の2003年4月より、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」という呼び名で、国土交通省、国際観光振興機構、民間旅行業者および関係自治体などが参加する「ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部」が統括主体となり、始まった事業である。
観光立国推進基本法の規定により、国は、観光旅行の容易化及び円滑化を図るため、休暇に関する制度の改善その他休暇の取得の促進、観光旅行の需要の特定の時季への集中の緩和、観光事業者の不当な営利行為の防止その他の観光に係る消費者の利益の擁護、観光の意義に対する国民の理解の増進等に必要な施策を講ずるものとされる(第20条)。これに関する事務は総務課が所掌する(国土交通省組織令第22条の4第18号)。また、2012年3月に改訂された「観光立国推進基本計画」は、顕在化していない需要を掘り起こし、交流人口の拡大による地域経済の活性化を図るために、観光庁が「休暇改革の推進」を主導することを掲げている。具体的には、年次有給休暇の取得推進、小中学校の休業の多様化と柔軟化、大型連休を地域別に分散して設定する休暇取得の分散化を挙げている。
観光庁の組織は基本的に、法律の国土交通省設置法、政令の国土交通省組織令および省令の国土交通省組織規則が階層的に規定している。。
観光庁は、地方の出先機関(法律上の呼称は「地方支分部局」)を有しないが、各地域の観光に関する施策は、各国土交通省地方運輸局、神戸運輸監理部、内閣府沖縄総合事務局運輸部において行っている[19]。担当組織は地方運輸局は観光部(観光企画課、国際観光課、観光地域振興課)、神戸運輸監理部は、総務企画部企画課 沖縄総合事務局は、運輸部企画室[19]となっている。
2024年度(令和6年度)一般会計予算における観光庁所管の歳出予算は520億0485万円[4]。科目内訳は観光庁共通費が21億1851万8千円、観光振興費[注 1]が373億4432万円、独立行政法人国際観光振興機構運営費[注 2]が125億4201万2千円となっている。
国土交通省は、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省所管[注 3]の東日本大震災復興特別会計を共管している。2024年度予算において東日本大震災復興特別会計に官公庁所管分は、計上されていない。
一般職の在職者数は2023年7月1日現在、213人(男性158人、女性55人)である[20]。
定員は省令の国土交通省定員規則によって、224人[3]と定められている。
国土交通省が主管する独立行政法人のうち、は2024年4月1日現在、観光庁は、国際観光振興機構(JNTO、通称:日本政府観光局)の主務局になっている[21]。
国土交通省が所管する特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)[22]、特殊法人[23]、特別の法律により設立される法人で、観光庁主管のものはない。
国土交通省の該当の項も参照
代 | 氏名 | 在任期間 | 前職 |
---|---|---|---|
1 | 本保芳明 | 2008年10月1日 - 2010年1月4日 | 国土交通省総合観光政策審議官(技官) |
2 | 溝畑宏 | 2010年1月4日 - 2012年3月31日 | 株式会社大分フットボールクラブ代表取締役 |
3 | 井手憲文 | 2012年4月1日 - 2013年8月1日 | 国土交通省海事局長 |
4 | 久保成人 | 2013年8月1日 - 2015年9月10日 | 国土交通省大臣官房長 |
5 | 田村明比古 | 2015年9月11日 - 2018年7月31日 | 国土交通省航空局長 |
6 | 田端浩 | 2018年7月31日 - 2020年7月21日 | 国土交通審議官 |
7 | 蒲生篤実 | 2020年7月21日 - 2021年7月1日 | 国土交通省総合政策局長 |
8 | 和田浩一 | 2021年7月1日 - 2023年7月4日 | 国土交通省航空局長 |
9 | 髙橋一郎 | 2023年7月4日 - 2024年7月1日[24] | 国土交通省海事局長 |
10 | 秡川直也 | 2024年7月1日[24] - 現職 | 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付) |
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