農林水産省
日本の行政機関の一つ ウィキペディアから
日本の行政機関の一つ ウィキペディアから
農林水産省(のうりんすいさんしょう、英: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries、略称: MAFF)は、日本の行政機関のひとつ[4]。食料の安定供給、農林水産業の発展、森林保全、水産資源の管理等を所管する。日本語略称・通称は、農水省(のうすいしょう)。
Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries | |
---|---|
農林水産省本省庁舎(中央合同庁舎第1号館) | |
役職 | |
大臣 | 坂本哲志 |
副大臣 |
鈴木憲和 武村展英 |
大臣政務官 |
高橋光男 舞立昇治 |
事務次官 | 渡邊毅 |
組織 | |
上部組織 | 内閣[1] |
内部部局 |
大臣官房 消費・安全局 輸出・国際局 農産局 経営局 農村振興局 畜産局 |
審議会等 |
農業資材審議会 食料・農業・農村政策審議会 獣医事審議会 農漁業保険審査会 日本農林規格調査会 国立研究開発法人審議会 |
施設等機関 |
植物防疫所 動物検疫所 那覇植物防疫事務所 動物医薬品検査所 農林水産研修所 農林水産政策研究所 |
特別の機関 |
農林水産技術会議 食育推進会議 農林水産物・食品輸出本部 木材利用促進本部 |
地方支分部局 |
地方農政局 北海道農政事務所 |
外局 |
林野庁 水産庁 |
概要 | |
法人番号 | 5000012080001 |
所在地 |
〒100-8950 東京都千代田区霞が関1-2-1 北緯35.673741度 東経139.751542度 |
定員 | 19,583人[2] |
年間予算 | 2兆933億4425万6千円[3](2024年度) |
設置根拠法令 | 農林水産省設置法 |
設置 | 1978年(昭和53年)7月5日 |
前身 | 農林省 |
ウェブサイト | |
www |
国家行政組織法第3条第2項および農林水産省設置法第2条第1項に基づき設置されている。農林水産省設置法により、「農林水産省は、食料の安定供給の確保、農林水産業の発展、農林漁業者の福祉の増進、農山漁村および中山間地域等の振興、農業の多面にわたる機能の発揮、森林の保続培養および森林生産力の増進ならびに水産資源の適切な保存および管理を図ることを任務とする」(第3条)と規定されている。農業、畜産業、林業、水産業をはじめ、食料の安全・安定供給、農村の振興などを所管する。広義の「食」の安全については、農水省消費・安全局も関与しているが、狭義の「食品」の安全については、厚生労働省(医薬食品局)が所管している。競馬の監督官庁でもあり、競走名に「農林水産省賞典」がつく中央競馬の重賞競走がある。地方競馬の場合は農林水産大臣賞典となる。国営競馬時代には競馬部が競馬を主催したこともある。
農林水産大臣を長とし、内部部局として大臣官房、消費・安全局、食料産業局、生産局、経営局および農村振興局ならびに政策統括官を置くほか、審議会等として農業資材審議会、食料・農業・農村政策審議会、獣医事審議会、農林漁業保険審査会および農林物資規格調査会を、施設等機関として植物防疫所、動物検疫所および那覇植物防疫事務所並びに動物医薬品検査所、農林水産研修所および農林水産政策研究所 を、特別の機関として農林水産技術会議、食育推進会議および農林水産物・食品輸出本部を、地方支分部局として沖縄を除いた全国を分轄する形で、7つの地方農政局と北海道農政事務所を設置する。地方農政局と北海道農政事務所の下にはそれらの一部事務を分掌する出先機関として計81人の地方参事官[注釈 1]、農業水利や土地改良をつかさどる事務所および計45の事業所が置かれている。
設置当初は、農林省(のうりんしょう)という名称だったが、200海里水域問題など種々の問題で水産行政の重要性が高まりつつあったため、1978年7月5日に現在の省名に改められた。
上述の農林水産省設置法第3条に示された任務を達成するため、農林水産省設置法第4条は計87号に及ぶ事務を列記し、所掌させている。具体的には以下などに関することがある。
|
|
|
農林水産省の内部組織は一般的に、法律の農林水産省設置法、政令の農林水産省組織令および省令の農林水産省組織規則が階層的に規定している。
農林水産省の施設等機関には以下の6区分がある。
農林水産省の地方支分部局は地方農政局と北海道農政事務所の2区分がある。
上記のうち農林水産消費安全技術センターは行政執行法人であり、役職員は国家公務員の身分を有する。
特殊法人(2024年4月1日現在[10])
特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人、計1法人、2023年10月2日現在[11])
特別の法律により設立される法人(2023年6月14日現在[14])
2024年度(令和6年度)一般会計当初予算における農林水産省所管歳出予算は、2兆933億4425万6千円である[3]。組織別の内訳は農林水産本省が1兆5071億4401万2千円、本省検査指導機関が166億0435万5千円、農林水産技術会議が622億6346万9千円、地方農政局が698億3616万9千円、北海道農政事務所が35億1478万円、林野庁が2857億3633万6千円、水産庁が1482億4513万5千円となっている。本省予算のうち主なものは国産農産物生産基盤強化等対策費3735億2418万4千円、農業農村整備事業費1998億5367万4千円、担い手育成・確保等対策費1823億5411万6千円である。
歳入予算の合計は4855億5975万9千円である。大半は雑収入で4454億0077万7千円となっており、主要なものは日本中央競馬会納付金が3699億7160万9千円、公共事業費負担金が394億2533万4千円となっている。雑収入以外では、国有林野事業収入382億9611万2千円などがある。
農林水産省は、食料安定供給特別会計と国有林野事業債務管理特別会計(林野庁)の2つの特別会計を所管する。また国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省および防衛省所管[注釈 4]の東日本大震災復興特別会計を共管する。
一般職の在職者数は2023年7月1日現在で18,156人(男性14,092人、女性4,064人)である[15]。機関別内訳は本省が12,988人(男性9,788人、女性3,200人)、林野庁4,244人(男性3,532人、女性712人)、水産庁924人(男性772人、女性152人)となっている。
2013年3月まで、林野庁の国有林野事業に従事する職員の大半が適用されていた、国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法は、国有林野事業改正に伴い2013年4月から廃止されたため、現在では特別職を除く、全員が一般職給与法が適用される。
行政機関職員定員令に定められた農林水産省の定員は特別職1人を含めて19,583人である[2]。本省および各外局別の定員は省令の農林水産省定員規則に定められており、本省13,884人、林野庁4,672人、水産庁1,027人と規定している[16]。
2024年度の一般会計の予算定員は特別職が7人、一般職が19,391人の計19,398人である[3]。これとは別に特別会計の予算定員として食料安定供給特別会計で178人(本省123人、水産庁22人、地方農政局33人)[注釈 5]。東日本大震災復興特別会計で13人(地方農政局10人、林野庁3人)が措置されている[17]。国有林野事業債務管理特別会計は、整理会計のためとして定員の措置はされていない。一般会計予算定員の機関別内訳は以下の通りである。
農林水産省の一般職職員は非現業の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として、国家公務員法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国家公務員法第108条の2第3項)。従前は、林野庁の国有林野事業職員は、団体協約締結権も認められていた。これは国有林野事業職員が現業職員であるゆえに、非現業の職員と異なる公務員法によって規律されているためであったが、国有林野の改正により、労働組合法と特労法の適用から国家公務員法の適用となったため、現在は団体協約締結権はなくなった。国有林野は、かつて5現業といわれたものの最後であった。
2023年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数は単一体2、支部197となっている[18]。組合員数は8510人、組織率は57.5%となっている。この組織率は12府省2院の中で最高である。2位の厚生労働省を1.9ポイント上回り、全体平均の33.4%より24.1ポイント高い。職員団体は全農林労働組合と全国林野関連労働組合(林野労組)である。全農林は国有林野事業を除いた省関係機関全体に組織を置き、林野労組は国有林野事業の職員および作業員から構成されている。加盟産別は、前者は国公関連労働組合連合会(略称:国公連合)、後者は全日本森林関連産業労働組合連合会(森林労連)で、どちらも連合の構成組織である。また全農林は国公連合を介して、林野労組は直接、連合系の官公労協議会である公務公共サービス労働組合協議会(公務労協)に加盟している。
従来は農家の申請は紙の書類が基本であり、1つの手続きに必要な書類の厚さは50cmにも達していた[19]。このような紙に依存した業務を見直しデジタルトランスフォーメーションを勧めるため、2019年に事務次官直轄の「デジタル戦略グループ」が発足し、ITに精通した若手官僚を中心に改革が進められた[19]。
2000年代初頭に電子政府計画時にも、25億円以上の予算で電子申請システムを整備したが、職員側の知識が不足しており書類による事務から脱却することができず、ベンダーに丸投げした結果、使いにくい仕様となり、2008年度時点で利用率が0.09%などほぼ使われない状態であった[19]。このような反省を踏まえ、デジタル戦略グループのメンバーが応用情報技術者試験やプロジェクトマネージャ試験を受けて資格を取得するなど研鑽を積むなどしてベンダーと高度な対話が可能となったことで使いやすいシステムの開発が可能となり、2021年4月には約3000ある手続きの3分の1をオンライン化した「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」の運用が開始された[19][20]。
省内ではプログラミングに詳しくない一般職員でも、オンライン申請用の画面を構築できる仕組みと操作の研修を行うなど、現在では霞が関で最もデジタル改革が進んでいるとされる[19]。
農林水産省が編集する白書には『食料・農業・農村白書』、『森林・林業白書』および『水産白書』があり、それぞれ、食料・農業・農村基本法、森林・林業基本法および水産基本法の規定により、毎年、政府が国会に提出する報告書および今後の施策文書を収録している。たとえば、『食料・農業・農村白書』は食料・農業・農村基本法第14条に定められた「食料、農業及び農村の動向並びに政府が食料、農業及び農村に関して講じた施策に関する報告」と「食料、農業及び農村の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書」が収録される。森林・林業白書と水産白書も同様である。また、これらの報告書・文書は対応する審議会の意見を聴いて作成しなければならず、食料・農業・農村は食料・農業・農村政策審議会が、森林・林業は林政審議会が、水産は水産政策審議会がの役割を担う。
定期刊行の広報誌としては、農林水産本省の「aff(あふ)」、林野庁の「林野」、水産庁の「漁政の窓」がそれぞれ月刊で刊行されている。
ウェブサイトのURLのドメイン名は「www.maff.go.jp
」。ほかに林野庁は「www.rinya.maff.go.jp
」、水産庁は「www.jfa.maff.go.jp
」、農林水産技術会議は「www.s.affrc.go.jp
」と、独自のドメイン名を持つ。
省の公式YouTubeチャンネルとして「maffchannel」を有しており、大臣記者会見などを流しているが、これと別に「食、地方の魅力を伝えるSNS発信プロジェクト」としてYouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」(ばずまふ)を2020年1月7日に立ち上げた。これは当時の農林水産大臣の江藤拓の「ネットを使った日本の魅力を若い世代に世界中に発信したい」という発案によるもので、地方農政局職員を含む若手職員14チーム69人が日常業務の一環として発信を続けている[21]。
一般職の幹部職員は以下のとおりである(2024年7月5日現在[22])
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.