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チベット文字 (Unicodeのブロック)

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チベット文字(チベットもじ、英語: Tibetan)は、Unicodeの35個目のブロック

概要 範囲, 面 ...

解説

中華人民共和国チベット自治区に居住するチベット人に話され、チベット仏教の聖典言語にもなっているチベット語や、ヒマラヤ山脈に位置するブータン王国の公用語であるゾンカ語ネパールインドシッキム州などで話されるシッキム語シェルパ語カシミール地方で話されるラダック語バルティ語の表記に用いられるチベット文字を収録している。なお、チベット文字はブータンではボディ(Bodhi; 菩提)文字と呼ばれている[1]

チベット文字はブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では短母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。

デーヴァナーガリー文字などのインドの文字とは異なり、頭子音のない独立した母音を表す文字が存在しない。代わりに頭子音のない母音を表す場合は無子音であることを表す子音字(U+0F68 ཨ)を用いて表現する。なお、チベット文字では無子音であることと声門破裂音[ʔ]を伴うこと(チベット文字:U+0F60 འ)を文字の上で区別する。

書字方向ラテン文字キリル文字などと同様に左から右へと横書き(左横書き)し、下に行を送る。単語毎の分かち書きはせず、代わりに音節ごとにtsheg(U+0F0B ་)と呼ばれる記号を挟む。

子音字は有声音無声音の弁別に加えて、無声音については有気音であるか無気音であるかを区別していた。そのため、各調音点における破裂音には計3種類の子音字が存在していた。現在のチベット語では有声無気音は無声有気音に合流している。現在はこれらの有声音/無声音の弁別の代わりに声調の規則の変化が対応付けられており、子音字にはその規則ごとに高子音字・低子音字の2つのグループに大別される。なお、サンスクリット語の音訳のために有声有気音や反舌音用の文字などが拡張文字として用意されている。子音字は組合せによって発音が大きく変化し、変化規則も複雑であるため綴りと発音には大きな乖離が生じている。

母音字については他の多くのブラーフミー系文字に見られるような母音の長短はチベット語では区別されないが、サンスクリット語の音訳のために母音の長短によって文字を書き分けられるようになっている。

符号位置の順序はおおむね伝統的なブラーフミー系文字の順序に従っている。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(チベット数字)を有している。

Unicodeのバージョン2.0で初めて追加された。

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収録文字

要約
視点

ラテン文字転写」の列はチベット文字のラテン文字への翻字方式の一つであるワイリー方式に従う。

さらに見る コード, 文字 ...
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小分類

要約
視点

このブロックの小分類は「音節文字」(Syllable)、「ヘッドマーク」(Head marks)、「マークと記号」(Marks and signs)、「占星術用記号」(Astrological signs)、「数字」(Digits)、「1/2が引かれた数字」(Digits minus half)、「対になる約物」(Paired punctuation)、「子音字」(Consonants)、「バルティ語用の拡張」(Extensions for Balti)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「発声修飾子」(Vocalic modification)、「翻字用頭文字」(Transliteration head letters)、「翻字用の下接記号」(Transliteration subjoined signs)、「下接子音記号」(Subjoined consonants)、「固定形式の下接子音記号」(Fixed-form subjoined consonants)、「記号」(Signs)、「朗唱用記号」(Cantillation signs)、「シンボル」(Symbols)、「マーク」(Marks)、「宗教のシンボル」(Religious symbols)、「註釈記号」(Annotation marks)の21個となっている[1]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。また、収録文字が1文字しかない小分類については小分類名が単数形で表現されているが、本記事では単数形か複数形かによる小分類名の表記ゆれについては別の小分類として扱わず、同一の小分類として扱うこととする。

音節文字(Syllable

この小分類にはチベット文字のうち、聖音のオームを表す記号1つのみが収録されている。

ヘッドマーク(Head marks

この小分類にはチベット文字のうち、テキストの冒頭に書かれる記号類が収録されている。

マークと記号(Marks and signs

この小分類にはチベット文字のうち、様々な記号や約物などが収録されている。

占星術用記号(Astrological signs

この小分類にはチベット文字のうち、占星術で用いられる記号が収録されている。

数字(Digits

この小分類にはチベット文字で用いられる固有の数字が収録されている。

1/2が引かれた数字(Digits minus half

この小分類にはチベット文字で用いられる固有の数字のうち、数値から1/2を引いた値を表す文字が収録されている。

対になる約物(Paired punctuation

この小分類にはチベット文字のうち、2つで1対となる括弧類を収録している。

子音字(Consonants

この小分類にはチベット文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

バルティ語用の拡張(Extensions for Balti

この小分類にはチベット文字のうち、インドとパキスタンの領土係争地であるカシミール地方の北部に位置するバルティスタンで話されるバルティ語を表記するための拡張子音字が収録されている。

従属母音記号(Dependent vowel signs

この小分類にはチベット文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

発声修飾子(Vocalic modification

この小分類にはチベット文字のうち、子音字に結合して発音を変化させるための記号類が収録されている。

翻字用頭文字(Transliteration head letters

この小分類にはチベット文字のうち、モンゴル文字満州文字からの翻字で用いられる、通常の子音字と同じ位置に書かれる記号類が収録されている。

翻字用の下接記号(Transliteration subjoined signs

この小分類にはチベット文字のうち、モンゴル文字や満州文字からの翻字で用いられる、子音字の下部に結合する記号類が収録されている。Unicodeのバージョン6.0で追加された。

通常子音字と同じ位置に現れ、その下に別の下接子音記号が付くことが多い記号類について、稀に下接記号の位置に同じ記号が書かれることがあるため用意されている[2]

下接子音記号(Subjoined consonants

この小分類にはチベット文字のうち、子音字の下部に結合して子音クラスタを表すための子音記号が収録されている。ただし、現在のチベット語では書かれた通りの子音字列では読まれず、大部分が読まれない、或いは別の発音で読まれるようになっている。

WA、YA、RA の連結文字は、完全形と短縮形の両方で表示される。短縮形はそれぞれ wa.zur、ya-btags、rabtags であり、これが最も一般的で、本小分類ではこちらの字形を採用している[1]

固定形式の下接子音記号(Fixed-form subjoined consonants

この小分類には下接子音記号のWA, YA, RAについて、通常は元の子音字から大きく字形が変化するが翻字などにおいては元の子音字と同じ形でそのまま子音字の下に書かれることがあるため、その場合の下接子音記号を収録している。

これらの文字は、音訳と転写にのみ使用される[1]

記号(Signs

この小分類にはチベット文字のうち、約物類が収録されている。

朗唱用記号(Cantillation signs

この小分類にはチベット文字のうち、チベット仏教などの聖典を音楽に合わせて朗唱する際に使われる楽譜で用いられる、打楽器の音を表す記号類が収録されている。

シンボル(Symbols

この小分類にはチベット文字のうち、物や概念を模ったシンボルが収録されている。

マーク(Marks

この小分類にはチベット文字のうち、その他の記号類が収録されている。

宗教のシンボル(Religious symbols

この小分類には仏教などで用いられる卍記号が4種類収録されている。Unicodeのバージョン5.2で追加された。

これらの卍記号はチベット文字以外の文字体系でも使用される[1]

註釈記号(Annotation marks

この小分類にはチベット文字のうち、註釈を表すために用いられる記号2種類が収録されている。Unicodeのバージョン6.0で追加された。収録されている。

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文字コード

チベット文字(Tibetan)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
 0123456789ABCDEF
U+0F0x
 NB 
U+0F1x
U+0F2x
U+0F3x ༿
U+0F4x
U+0F5x
U+0F6x
U+0F7x ཿ
U+0F8x
U+0F9x
U+0FAx
U+0FBx ྿
U+0FCx
U+0FDx
U+0FEx
U+0FFx
注釈
1.^バージョン15.1時点
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履歴

要約
視点

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

さらに見る バージョン, コードポイント ...
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出典

関連項目

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