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大都会 PARTIII

日本のテレビドラマ(1978 - 1979) ウィキペディアから

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大都会 PARTIII』(だいとかい パートスリー)は、1978年(昭和53年)10月3日 - 1979年(昭和54年)9月11日まで日本テレビ系列で毎週火曜日21:00 - 21:54に全49話が放送された、石原プロモーション制作の刑事ドラマである。『大都会』シリーズ第3作。

概要 ジャンル, 企画 ...
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概要

前作『大都会 PARTII』終了から半年を経て製作されたシリーズ第3弾。舞台は前作と同じく城西署捜査課[1]であるが、続篇ではなく独立した作品として位置付けられている。黒岩部長刑事を中心とする捜査課チームは新たに「黒岩軍団」という呼称が設定され、タイトルロゴのデザインも前2作で使われた賀茂牛道人による毛筆体からゴシック体に変更されている[2]

作風は前作からのアクション路線を強化する一方、シリーズ第1作『大都会 闘いの日々』の人間ドラマ要素はほぼ廃され、登場する犯人は劇中で黒岩軍団との戦闘の末に死亡するパターンが定番化するなど、バイオレンス色が大幅に強められた。アクションシーンもバズーカ砲をはじめとする火器を用いた大掛かりな爆破や自動小銃によるガンプレイなどスケールアップが図られ、さらに車両協力に日産自動車が参入したことで、主にカースタント用として大量の劇用車が投入・破壊された[3]

全49話の視聴率も平均20%の大台に乗るなど好評のうちに終了し、シリーズのフォーマットは1979年10月にテレビ朝日系でスタートする『西部警察』へと引き継がれた(詳細は後述)。

前作や後継作品となった『西部警察』と異なり、本作ではレギュラー刑事の殉職や交替は行われていない。

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登場人物

城西署捜査課

黒岩 頼介 -くろいわ らいすけ-(演 渡哲也
部長刑事。人物設定は基本的に前作を踏襲しているが、より寡黙かつ非情な性格がクローズアップされ、抵抗する凶悪犯に対しては射殺さえも辞さない。捜査中は常にサングラスを着用。拳銃は主にスナッブノーズタイプのリボルバーを使用しているが、16話より状況に応じてレミントンショットガンも使用。このサングラスにショットガンというスタイルは、後の『西部警察』の大門圭介へとそのまま受け継がれた。
32歳のA+B型。愛称は「クロさん」「デカ長」。現住所は“東京都渋谷区代官山3-7-20フジマンション”。
『大都会』シリーズでは唯一、本作のみ妹が登場しない[4]。前作では「理屈抜きの面白さ」を志向していたが結果的に多少の理屈が残ってしまいドラマのテンポやトーンが乱れた感があったことから、縛りとなる人生背景や家庭像をカットしたことによるもの[5]
牧野 次郎 -まきの じろう-(演 寺尾聰
刑事。メカや重火器に関する知識に長け、狙撃の名手でもある。普段は比較的物静かで、女性に優しくウィットに富んだ理性派。しかし、卑劣な犯罪者に対しては拷問まがいの尋問や暴力的捜査も行うなど激情家の一面も持つ。愛銃はS&W M29(通称44マグナム)。愛称は「ジロー」、虎田、上条からは「ジローさん」。
企画段階での役名は「牧野長太」。1・2話の脚本では「牧野丈」という名前であり、愛称は「ジョー」であった[6]
虎田 功 -とらだ いさお-(演 星正人
刑事。捜査課では最年少の若手刑事。美青年で、強面揃いの軍団では異色の存在である。愛称は「トラ」。前半期はパーマ・サングラスというチンピラ的な風貌であったが、後半期は長髪・パンタロンスーツというファッショナブルなキャラになった。ルックスに似合わぬ武闘派で権威や権力を嫌い、加川には真っ向から反発する事もあったが、後半からは二枚目半的性格が強調される様になる。また、黒岩、丸山以外の先輩刑事には平然とタメ口で話すのが定番だった。女好きであり、美女が容疑者と分かった時は捜査を張り切る描写が見られた(ただし、一度だけ逮捕した女から「坊や」呼ばわりされ、逆上した事がある)。拳銃はコルト M1911ガバメントを使用。「教職を取っておけばよかった」とぼやく描写がある事(第41話)から大卒である模様。
企画段階では「村田功」という役名であり、愛称は「ムラ」だった[6]
丸山 米三 -まるやま よねぞう-(演 高品格
刑事。現場叩き上げの大ベテランで、長年の経験で培われた勘の鋭さは捜査課随一。愛称は「マルさん」。普段は落ち着いた性格だが格闘能力も高く、第24話ではボクサー崩れの凶悪犯(演:ガッツ石松)と互角に渡り合った。一人娘の扶美子(演:工藤美奈子)と二人暮らし。第49話で敵が投げた手榴弾の爆発を受け重傷を負ってしまうが、一命は取り留めた。拳銃はチーフスペシャルを使用[7]
大内 正 -おおうち ただし-(演 小野武彦
刑事。軍団の中では最も刑事らしい佇まいを持つが、黒岩と加川との間でしばしば板挟みにあい苦悩する事も多い。愛称は「坊さん」「坊主」。独身。都内の2階建てボロアパートに一人住まい。4話から頭をスキンヘッドに近い状態にするも、中盤から元に戻している[8]
上条 巌 -かみじょう いわお-(演 峰竜太
刑事。捜査課では虎田に次ぐ年少者。愛称は「サル」。『…PARTII』からの続投組の中ではキャラクター変化が特に顕著であり、前作での2枚目半的な雰囲気は影を潜め、タフな肉体派としてのカラーが強まっている。服装は夏場が黒か濃紺の繋ぎ服、冬場は黒のスラックスに白セーター(黒セーターの時もあり)、黒い革ジャンと年中黒で統一されている。常に筋力トレーニングには余念が無く、蹴り技を駆使する格闘技の心得もあり、柔道有段者でもある。
宮本 兵助 -みやもと ひょうすけ-(演 苅谷俊介
刑事。九州出身で、愛称は「弁慶」。柔道の有段者であり怪力・石頭が自慢。前作同様捜査中「ワシが城西署のベンケイじゃっ!!」と啖呵を切る。その一方水泳と頭脳プレーは苦手。AB型。愛国主義者らしく、署のロッカーには日の丸を掲げている。後述する事故のため、第40話から48話には未登場。
清水 英子 -しみず えいこ-(演 大森不二香
捜査課事務員。愛称は英子ちゃん。憤慨する加川にお茶を渡しながら「課長、怒ると血圧が上がりますよ」と一言添えるシーンが定番。第45話では自ら囮を志願し、捜査に直接協力した。第23話及び第45話の言動から、虎田に気がある節がみられる
加川 乙吉 -かがわ おときち-[9](演 高城淳一
捜査課長。肩書上は捜査課の最高責任者だが、実際は自らの意見を差し置いて黒岩たちが全てを処理してしまっており、その捜査手法に激しい不満と嫉妬心を抱いている。部下のミスには露骨な嫌味や皮肉を吐く毒舌家であり、虎田と宮本からは特に嫌われている。その一方、いざという時は自ら現場に出向いて危険に身を晒すなど、刑事魂はまだ失っていない。黒岩不在時には直接の捜査指揮を執る場合も多い。

渋谷病院

宗方 悟郎 -むなかた ごろう-(演 石原裕次郎
救急指定の渋谷病院外科医師。かつては大学病院でエリートコースを歩んでいた。人望が厚く腕は抜群で、ヤクザや凶悪犯にも分け隔てがない。第40話では、インベーダーゲームをプレイしている場面が見受けられる。40歳。
白井 智子 -しらい ともこ-(演 青木英美
渋谷病院の看護婦。第10話迄と第20話にて出演。
三田 典子 -みた のりこ-(演 舛田紀子
渋谷病院の看護婦。前作と同様「ノンちゃん」や「チビ」と呼ばれている。
佐藤 リエ -さとう りえ-(演 美田麻紗子[10]
渋谷病院の看護婦。

その他

戸倉 綾子-とくら あやこ-(演 金沢碧
東都日報の若手記者。城西署記者クラブに所属していたが、第3話で記者クラブを批判する記事を書いたため除名処分を受けている。スクープを狙い、捜査課としばしば張り合うものの協力的な面を持ち、黒岩が特ダネを流したこともある。第13話までの出演。
新聞記者(演 武藤章生下之坊正道片岡五郎
城西署記者クラブ新聞記者。乱暴な捜査を行う上、マスコミに対して非協力的な黒岩軍団を目の敵にしている。
原田 源二-はらだ げんじ-(演 森正親
刑事たちの溜まり場となっている小料理屋「五万石」の板前。愛称は「源さん」、「源公」。
みっちゃん(演 志麻いづみ
小料理「五万石」店員。
バーの女性歌手(演 牧村三枝子
劇中のバーで『みちづれ』などを歌う女性歌手。役名もセリフもなく、ストーリーと直接関係することはないが、捜査の途中、黒岩が束の間の安息を得る描写などでたびたび登場した。第11話から数話登場。
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各話リスト

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スタッフ

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音楽

『…闘いの日々』『…PARTII』では複数の作編曲家ないしバンドによる競作というスタイルだったが、本作の音楽は挿入歌を除いた全曲を荒川達彦が担当。演奏は高橋達也と東京ユニオンが務め、シリーズ中最も大掛かりな編成で録音された。なお、シリーズ開始当初より『PARTII』のBGMも多数流用されている。

演奏

  • 高橋達也と東京ユニオン
    • サクソフォン:高橋達也(リーダー、テナー、フルート)、井上誠二(テナー、ソプラノ、フルート)、堀恵二(アルト、フルート)、柳沼寛(アルト、フルート)、石兼武美(バリトン)
    • トランペット、フリューゲルホルン:多田善文、安孫子浩、鈴木基治、斉尾知一
    • テナー・トロンボーン:早川隆章、内田清高、藤林潤
    • バス・トロンボーン:簾健一
    • ピアノ:金山正浩
    • ドラム:中村秀樹
    • ベース:石田良典
  • トランペット:中沢健二
  • キーボード:宮浦章景
  • ギター:幾見雅博、三畑貞二
  • パーカッション:鳴島英治

テーマ曲

『大都会PARTIII テーマ』作曲・編曲:荒川達彦
トランペットによるメロディとリズムセクションを個別に録音しており、初回録音時のTV用音源とサントラレコード用音源は、それぞれ別テイクのメロディがミックスされている。その後、第31回以降のオープニングはレコード用音源に差し替えられている。TV用テイクはバップより発売の『伝説のアクションドラマ音楽全集 大都会PARTIIIミュージックファイル』に収録された。

主題歌・挿入歌

主題歌
『日暮れ坂』作詞:水木かおる、作曲:遠藤実、編曲:斉藤恒夫、歌:渡哲也
全話で事件解決直後の黒岩ないし黒岩軍団を描くエンディングのBGMに使われた。
挿入歌
みちづれ』作詞:水木かおる、作曲:遠藤実、編曲:斉藤恒夫、歌:牧村三枝子
元々は渡の持ち歌だったものを当時同じレコード会社(ポリドール)に所属していた牧村がカバーしてミリオンセラーを記録、彼女の代表曲ともなった。
『それから先はあんたしだい』作詞:永山和雄、作曲:馬飼野俊一、編曲:高田弘、歌:牧村三枝子
第11話のみ使用。

「エンディングに主演俳優の歌を使う」「刑事の行きつけの店で若手歌手が歌う」というフォーマットは『西部警察』にも受け継がれる。

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ノベライゼーション

  • 原作 - 大都会脚本グループ
  • 編著 - 新樹瞳志
  • 編・発行元 - 日本テレビ放送網
  • 発売元 - 読売新聞社
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撮影中の事故

第36話「密告屋」の撮影中、宮本刑事役の苅谷俊介が転倒して頭部を強打するという事故が発生した。苅谷は番組でロケ地として使用されていた渋谷病院へ救急搬送されたが、一時は意識不明の危篤状態に陥った。第39話までは撮影済みだった聞き込みなどの一部シーンに出演しているものの、続く第40話からの撮影は苅谷を外した状態で続行された。その間もオープニング映像には登場していたが、クレジットは削除されていた。苅谷は後に回復し、最終話「黒岩軍団抹殺指令」で復帰した[13]

再放送・ソフト化

関東地区での再放送は1979年11月~80年1月に月~金16時(青春アクションシリーズ枠)、再々放送は1981年10月~12月に月~金15時に行われた。現時点での地上波における最後の再放送は、1986年10月27日から1987年10月19日にかけ、毎週月曜25時15分(火曜未明)の「ナイトスクリーン」枠で行われた。

上記の再放送終了以来、地上波、衛星放送でも再放送の機会もなく、ビデオやDVD等のソフト化も一切行われなかったため視聴が困難な状態であったが、2009年より、前2作に続いてCS放送局の日テレプラスで再放送が行われた。チャンネル銀河では、HDリマスター版が2013年4月15日から、BS11では2016年11月30日からそれぞれ再放送された。

DVD-BOXは2012年10月、11月にポニーキャニオンから発売された。BOX1には第1話~第26話。BOX2には第27話~第49話が収録されている。

そのほか、トーラスレコードから発売された『日暮れ坂』のレーザーディスクカラオケなどで、第8話と第13話の本編一部とメイキング映像をBGVとして見ることが出来る。

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『西部警察』への移行

  • 本作の当初の予定終了後に、放送延長もしくは新シリーズ(『新大都会』『大都会IV』『にっぽんFBI』などの仮題)の制作が日本テレビ側から希望されていた[14]。しかし、石原プロがテレビ朝日系で放映された『浮浪雲』を制作したことをきっかけに、テレビ朝日から石原プロに対して破格の条件(広告代理店を介しない、テレビ朝日との直接契約)で『西部警察』の制作を打診されたことで、『大都会』シリーズは終了した。この時は円満な“移籍”であり、日本テレビ側も気持ち良く送り出したという(第1制作部長になった井原高忠からも「ダメだったら半年後でも1年後でもすぐ戻って来い」とも言われたとのこと)[15]。車両スポンサーもそのまま日産自動車が引き継ぎ、『西部警察』からは特殊車両の製作を担当することになる。
  • ちなみに『西部警察』第1話時点で本作からスライドして出演しているのは石原・渡・寺尾・苅谷・武藤の5人であり、後に峰と高城も出演することとなる。このうち、石原は医者から軍団をサポートする捜査課長に、武藤は新聞記者から鑑識課員に役柄が変わる。峰は同じ刑事ながら、本作とは大きく異なる三枚目キャラクターで登場している。これ以外のメンバーでは、星と小野もゲスト出演を果たしている。
  • 日本テレビでは本作終了の翌週から、『…PARTII』で徳吉刑事を演じた松田優作主演による『探偵物語』を放送。この作品では、監督の村川透を筆頭に『大都会』『西部警察』と共通のスタッフが多く起用されている。その第3話では、松田演じる工藤俊作と倍賞美津子演じる女弁護士が乗る車が、大型トラックとヘリコプターに狙われる大掛かりなカーチェイスシーンがあるが、この境遇について工藤が「おいおい、まるで『大都会 PARTIII』じゃねえか!」と突っ込みを入れるセリフがある[16]

その他

  • 企画段階では、牧野役に郷鍈治、虎田役に沖雅也永島敏行の名が上がっていた。そして前作『PARTII』で人気を博した松田優作に本作にもと出演交渉していたが、1978年8月にクランクインする東映映画出演もあり「器用ではないので掛け持ちは出来ない。今年いっぱいは映画に専念したい」との本人の意向により断念した[17]。また、舘ひろしのレギュラー出演が検討されたが、音楽活動に専念するという理由で本人が辞退している(後に『西部警察』に出演し、『…PARTI』の初回から第30話で一旦降板したが、第109話から『…PARTIII』の最終回まで別の役で再出演した)[18]
  • 30数台のパトカーが坂を上り下りし、ヘリコプターが飛ぶという本作のオープニング映像は、現・横浜市青葉区あざみ野の幅の広い道路で撮影された[19]
  • 第19話「警官ギャング」は当初、第17話として1979年1月30日に放送される予定だったが、銀行強盗を扱った内容が同年1月26日大阪で発生した三菱銀行人質事件の影響を受け、「誘拐」と差し替えられた。「警官ギャング」は2週間後の2月13日に放送された。
  • 銀行強盗が立てこもるシーンを撮影するために、調布市内にある石原プロの取引先の銀行にロケ協力を申し込んだが、銀行の上層部はこのストーリーの内容に難色を示して協力を渋った。これを受けて制作の陣頭指揮を執っていた小林正彦は石原プロの預金をすべて引き揚げ、これが支店長の進退問題になるほどの騒ぎに発展した。銀行上層部が丁重に謝罪し、この銀行でのロケが実現したという[20]
  • 動画配信サイト「hulu」では、権利上の理由(詳細は不明)により第27話が配信されていない。
  • 第37話「頭取集団誘拐」のプロットは、後に1996年の映画『あぶない刑事リターンズ』(脚本:柏原寛司、大川俊道 / 監督:村川透)へ流用された[21]
  • 週刊文春』2020年8月27日号にて渡哲也の追悼グラビアが組まれ、そこに本作のスチール写真が掲載されていたが、キャプションの誤り(作品名が「西部警察」、星正人が「松田優作」)を複数の読者から指摘され、翌9月3日号の読者投稿ページにて謝罪文を掲載することとなった。
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脚注

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