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自衛隊情報保全隊
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自衛隊情報保全隊(じえいたいじょうほうほぜんたい、英語:JSDF Intelligence Security Command:JISC)は、市ヶ谷駐屯地に本部を置く陸、海、空自衛隊共同の(防諜)部隊である。
概要
自衛隊法第21条の2「共同の部隊」および自衛隊法施行令第30条の16に設置根拠を有する。防衛省における情報保全能力強化を目的とし、2003年(平成15年)3月に陸上・海上・航空自衛隊に編成された「情報保全隊」を、防衛大臣直轄の部隊に統合再編した。自衛隊指揮通信システム隊(現・自衛隊サイバー防衛隊)に続く第2の常設統合部隊である。
設立経緯
要約
視点
→「情報保全隊 § 設立経緯」も参照
防衛庁における情報保全能力の強化を目的に設立された情報保全隊であったが、わずか1年後の2004年(平成16年)以降各自衛隊においてファイル共有ソフトを介した情報漏洩事案が多発。国内外から防諜体制の不備を指摘されてきた。その後、2006年(平成18年)3月の統合幕僚監部発足(統合運用体制移行)に伴い、庁としての防諜体制を強化するため陸海空の情報保全隊を統合し長官直轄の機関として運用する構想が浮上した。
当時の名称は「情報保全本部」といい、防諜担当の『調査第1部』(統合幕僚長監督下)、基地警備および隊員の適格性(秘密を取扱う隊員としてふさわしい者かどうか)を調査すること(かつては身上調査と呼ばれていた)についての情報収集担当の『調査第2部』(各自衛隊の幕僚長監督下)を設置し、本部隷下に全国5つの「地方方面隊」を設置し、また防衛相の下に防衛事務次官を委員長として各幕僚長等で構成される「防諜委員会」を設置する構想であった。これにより防衛省の情報体系の一元化を行い、この情報保全本部と情報本部の協働により、防衛庁全体の情報収集(諜報)および保全(防諜)能力を強化するという目的があった。
他方、隊員の適格性についての調査を任務とする『調査第2部』の調査対象は、隊員のみならず家族の思想信条等も含まれている。これは防諜活動の一環であるが、一部制服組からの反発の声が根強く、特に外国籍の配偶者に関する隊員の個人情報については各自衛隊とも“把握済み”と主張しており、情報保全本部への情報提供については、どちらかといえば否定的である。
なお、外国籍の配偶者に関する個人情報を情報保全本部が収集することについては、その配偶者が外国の諜報員だという可能性もある事例も想定されるためであり、いわゆるハニートラップ対策としての性格も含まれているとされる(近年、日本の情報コミュニティにおいては、この種の事案に対する対策が強化される方向にある)。直接の要因は海上自衛隊における特別防衛秘密流出事件でアメリカから防諜体制の不備が懸念され、航空自衛隊のF-X選定や、ミサイル防衛の中核を担う海上自衛隊のイージス艦のアップデートに支障が出た事が大きいとされる。
紆余曲折を経て、防衛省は陸海空自衛隊の情報保全隊を防衛大臣直轄の常設統合部隊として新設することを2008年(平成20年)度予算編成で認められたが、当該年度中には実施されなかった。また、名称は情報保全本部から自衛隊情報保全隊(自衛隊指揮通信システム隊と同列の部隊)に改められた。第171回国会閉会の2009年(平成21年)7月21日付で同隊の設置を含む自衛隊法施行令が改正され、8月1日付で統合幕僚長から隊旗授与、編成を完結した。隊司令には将補が、中央および地方部隊の長には1佐が充てられている。なお、派遣隊等内部組織の詳細については公表されていない。また、情報保全本部構想時の「防諜委員会」は同日、統合幕僚監部運用部運用第1課内に「カウンターインテリジェンス室」として設置[1]された。
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部隊編成
自衛隊情報保全隊本部
中央情報保全隊
陸上自衛隊情報保全隊本部付情報保全隊、海上自衛隊情報保全隊本部、航空自衛隊東京地方情報保全隊を統合再編。隊長は1等空佐(固定)。
地方情報保全隊および情報保全派遣隊
本部は陸自各方面総監部所在駐屯地に所在。隊長は1等陸佐(二)。防衛大臣の承認を得て、情報保全派遣隊を部隊等又は施設等機関等の所在地に配置。
部隊名 | 本部所在地 | 担当区域 |
中央情報保全隊 | 市ヶ谷駐屯地 | 市ヶ谷地区 |
北部情報保全隊 | 札幌駐屯地 | 北海道 |
東北情報保全隊 | 仙台駐屯地 | 東北 |
東部情報保全隊 | 朝霞駐屯地 | 関東・甲信越 |
中部情報保全隊 | 伊丹駐屯地 | 東海・北陸・近畿・中国・四国 |
西部情報保全隊 | 健軍駐屯地 | 九州・沖縄 |
主要幹部
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活動監視問題
田母神俊雄や佐藤正久の講演会に現職自衛隊員が参加していたかどうかを調査するため、当該講演会に保全隊員が潜入し監視を行ったことや、「隊友会」など自衛隊OBらが多数出席する新年会(賀詞交換会)において、自由民主党総裁の谷垣禎一が出席時間を遅らせるよう要請された上祝辞を後回しにされるように保全隊が関与したことが判明。これら一連の行為は民主党政権下の2010年(平成22年)11月に発出された事務次官通達以降に行われたため、自由民主党と公明党は、民主党政権による言論統制および思想の自由侵害にあたるとして、防衛大臣・北澤俊美の問責を含め、第177回国会において徹底追及する構えを見せた[4]。
当時の「陸上自衛隊情報保全隊」が様々な市民活動を監視していた問題についても差し止め訴訟に発展している。
→「情報保全隊 § 市民活動監視問題」も参照
脚注
関連項目
外部リンク
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