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風都探偵

日本の漫画 ウィキペディアから

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風都探偵』(ふうとたんてい[注釈 1])は、原作:石ノ森章太郎、脚本:三条陸、作画:佐藤まさきによる日本漫画作品。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)2017年36・37合併号(2017年8月7日発売)より連載中[1]。単行本はビッグスピリッツコミックスから刊行されており、2023年10月時点の累計部数は250万部を突破している[2]

概要 風都探偵, 漫画 ...

2009年から2010年にかけて放送された特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』の続編であり、脚本や怪人のデザイナーなどに当時のスタッフが続投している[3]。「風都」で活動する私立探偵の左翔太郎と相棒のフィリップが街を守るヒーロー「仮面ライダーW(ダブル)」に変身し、平和を脅かす超人「ドーパント」と戦う姿を描いている。本作では新規読者に向けた設定の質問役として[4]、翔太郎の助手である記憶喪失の女性ときめが登場するほか、『W』では描けなかった大人向けの描写も盛り込まれている。

本作品の連載を記念し、2017年9月20日発売の『TV Bros.』9月23日号(東京ニュース通信社)では三条と佐藤、監修の塚田英明と担当編集者・有井大志の対談記事や、『W』の解説記事がそれぞれ掲載された[5]ほか、同年10月2日発売の『週刊ビッグコミックスピリッツ』44号では『W』で主演した桐山漣菅田将暉がテレビシリーズ当時をイメージした衣装での変身ポーズで表紙に登場し、グラビアや対談記事も掲載された[6]。また、発売当時の放送作品『仮面ライダービルド』までの歴代平成仮面ライダーの紹介記事、三条と塚田の対談記事、吉田戦車二ノ宮知子エッセイ漫画も掲載された[7]

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あらすじ

風都で人間を超人「ドーパント」に変える道具「ガイアメモリ」を製造していた組織「ミュージアム」は、街を守るヒーロー「仮面ライダー」によって壊滅したが、ガイアメモリは未だに出回っていた。仮面ライダーの変身者である、鳴海探偵事務所に勤める私立探偵の左翔太郎と相棒のフィリップは、変わらず探偵および仮面ライダーとして活動していた。

ある日翔太郎は、記憶喪失の女性ときめと出会う。翔太郎たちはドーパント絡みの事件に巻き込まれていたときめを助け、鳴海探偵事務所の探偵助手として雇う。そして彼女と行動をともにする中で、翔太郎たちは風都で暗躍する組織「裏風都」の存在を知る。

制作

上記の『TV Bros.』の対談記事によれば、同作品は仮面ライダージョーカーのVシネマ企画に端を発しており、ウェブコミック配信サイトやわらかスピリッツ』でのコミカライズ企画を経て、『週刊ビッグコミックスピリッツ』での連載につながったという[8]。当初は、『W』の終盤でフィリップが姿を消してから帰還するまでの1年間の話を描く予定だったが、この時期は主人公の翔太郎が精神的に落ちており、そのようなものを毎週読みたくないだろうとの判断や、翔太郎とフィリップの掛け合いで成り立っている面のある『W』を翔太郎単独で描くのは制作側としても厳しいことから、続編を描くこととなった[9]

作品名に「仮面ライダー」が入っていないのは三条の提案による[10]。これは平成仮面ライダーが広く人気を得ていると言っても、成年誌の読者には抵抗があるのではないかと考えられたためで、『W』で塚田が『探偵物語』のようなものを志向していたことから四字熟語のような名称にすることになり、『風都探偵』に決定した[10]。アオリや次号予告などでも第5話まで「仮面ライダー」という単語を使用しないようにした[10]

三条は『W』の作法は固まっているといい、本作も同様の作風で描かれている[10]。それを踏まえて漫画でなければできないことをしようと考えており、クリーチャーデザインの寺田克也から実写ではできないデザインを提供されたことで、その狙いは加速したという[10]。ただし漫画ではWの色が表現できず台詞で説明するしかないため、その点だけは最初から諦めている[10]

『W』では物語の縦軸をフィリップが担当していたが、本作では翔太郎が縦軸になっており、その相棒としてときめが登場することになった[11]。翔太郎とフィリップは「似顔絵になっちゃダメだ」というこだわりから、それぞれ俳優のままではなく独特の容姿となっている[5][8][注釈 2]

第3巻は実写ならオールロケになる状況、酒がテーマ、土曜ワイド劇場を連想させる描写、液体が入ったようなデザインのドーパントといった、大人向けや漫画でしかできない要素が多数あり、三条は関係者たちがやりたいことを始めた時期ではないかと述べている[12]

原作の仮面ライダースカルのエピソードは他作品との共演シーンがある映画で描かれているため、『W』だけのビギンズナイトを作りたいという思いから第6巻のエピソードが作られた[11]。少年時代の翔太郎のエピソードは、2作目の『MOVIE大戦』制作時に持ち上がった、漫画とのタイアップ企画用に制作されたプロットを使用したものである[11]

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評価

このマンガがすごい!2019ではオトコ編第15位にランクインした[3]

全国書店員が選んだおすすめコミック2019では第8位にランクインした[13]

書誌情報

  • 三条陸(脚本)、佐藤まさき(作画) 『風都探偵』 小学館ビッグスピリッツコミックス〉 、既刊18巻(2025年3月28日現在)
    1. 2018年3月30日発売 ISBN 978-4-09-189849-4
    2. 2018年3月30日発売 ISBN 978-4-09-189850-0
    3. 2018年6月29日発売 ISBN 978-4-09-189890-6
    4. 2018年10月30日発売ISBN 978-4-09-860075-5
    5. 2019年2月28日発売 ISBN 978-4-09-860225-4
      • 『ライドウォッチ、ガンバライジングカード付き限定版』 2019年2月28日発売 ISBN 978-4-09-943037-5
    6. 2019年6月28日発売 ISBN 978-4-09-860318-3
    7. 2019年11月29日発売 ISBN 978-4-09-860488-3
    8. 2020年3月30日発売 ISBN 978-4-09-860567-5
    9. 2020年10月30日発売 ISBN 978-4-09-860714-3
    10. 2021年3月30日発売 ISBN 978-4-09-860870-6
    11. 2021年8月30日発売 ISBN 978-4-09-861128-7
    12. 2022年2月28日発売 ISBN 978-4-09-861252-9
    13. 2022年8月29日発売 ISBN 978-4-09-861397-7
    14. 2023年4月28日発売 ISBN 978-4-09-861397-7
    15. 2023年11月30日発売 ISBN 978-4-09-862645-8
    16. 2024年4月30日発売 ISBN 978-4-09-862762-2
    17. 2024年10月30日発売 ISBN 978-4-09-863069-1
    18. 2025年3月28日発売 ISBN 978-4-09-863219-0
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Webアニメ

要約
視点

2021年4月3日、仮面ライダーシリーズ初となるシリーズアニメ化が発表された[14][15]。2022年8月1日から10月17日にかけて毎週月曜0時にU-NEXTで独占配信[16][17]。また、同月8日から10月24日にかけてTOKYO MXで毎週月曜22時より、サンテレビで同日23時30分から11月12日にかけて、BS11で同年10月1日から毎週土曜22時より、東映チャンネルで同年12月より放送された[16][18]

制作(Webアニメ)

エグゼクティブプロデューサーの塚田英明によれば、アニメ化の企画はADKエモーションズの古谷大輔の提案である[19]。時期は単行本第1・2巻が増刷されたころで、そこから約2年後にスタジオKAIで制作したいという話が入って座組が決まっていった[19]

翔太郎、フィリップ、亜樹子、照井役の担当声優はゲーム『KAMEN RIDER memory of heroez』で同役を担当したキャストが起用されている[出典 1]。監督の椛島洋介によれば、ゲームのキャストは気にしなくていいという話だったが、同作での翔太郎とフィリップのキャスティングを見事だと感じたこと、椛島自身2人を演じた細谷佳正内山昂輝が好きな役者であることから、他のキャストも含めゲームから引き続き起用された[21]。さらに、後述する『スカルの肖像』では『KAMEN RIDER memory of heroez』で変身態のテラー・ドーパント、タブー・ドーパント、クレイドール・ドーパントを演じた宝亀克寿佐藤聡美M・A・Oが変身前の園咲琉兵衛、園咲冴子、園咲若菜を演じている。例外として、ミックは原作で変身態のスミロドン・ドーパントを演じた高戸靖広が担当している。

椛島によれば、当初は『W』と同様に1エピソード2話とする予定だった[21]。この構成なら単行本5巻くらいまで収録でき、そのうえで残り2話をオリジナルの展開にするという案があったほか、大事な話だけ3話構成にする案もあった[21]。しかし原作は事件解決後の答え合わせなどを丁寧に描くことで雰囲気を作っていたため、それを考慮して3話構成になった[21]。3話構成だと単行本4巻くらいしか入らなくなり、また縦軸となるときめの成長を追いかけるため5巻まで描きたかったことから第4巻が削られた[21]。ただし第4巻のエピソードがなかったことになったわけではなく、第1話や第4話で第4巻の事件について示唆されている[21]

スタッフ(Webアニメ)

出典[出典 2]
  • 原作 - 石ノ森章太郎
  • 企画 - 吉村文雄、柴田邦彦、古澤圭亮、春山ゆきお、加藤和夫
  • エグゼクティブプロデューサー - 塚田英明
  • プロデューサー - 内藤恵、古谷大輔
  • シリーズ構成 - 樋口達人
  • 脚本監修 - 三条陸
  • キャラクターデザイン・総作画監督 - 蛯名秀和
  • 総作画監督 - 小松原聖
  • 仮面ライダー・ドーパントアニメーター - 椛島洋介、山根理宏
  • メカニックデザイン - 大河広行、有澤寛
  • メインアニメーター - 式地幸喜、冨永一仁、横屋健太
  • 美術監督 - 渡辺幸浩
  • 美術設定 - 青木智由紀、森岡賢一
  • 色彩設計 - 横山さよ子
  • 株式会社unknownCASE
    • CGディレクター - 加島裕幸
    • CGアニメーションディレクター - 崎山敦嗣
  • 株式会社ジェットスタジオ
    • 3Dモデル監修 - 石井貢
  • iPSアニメーションスタジオ株式会社
    • CGプロデューサー - 岩片裕一
    • CGラインプロデューサー - 森野浩典
  • 撮影監督 - 志村豪、竹沢裕一
  • 2Dグラフィックス - 影山慈郎
  • 編集 - 髙橋歩
  • 音響監督 - 明田川仁
  • 音楽 - 中川幸太郎鳴瀬シュウヘイ
  • 音響制作 - マジックカプセル
  • 音楽プロデューサー - 飯田真由(avex trax)
  • アニメーション制作統括 - 金子文雄
  • アニメーションプロデューサー - 増尾将史
  • アニメーション制作 - スタジオKAI
  • 副監督 - 種村綾隆
  • 監督 - 椛島洋介
  • 製作 - 「風都探偵」製作委員会(東映ADKエモーションズバンダイBANDAI SPIRITS東映ビデオ

主題歌(Webアニメ)

「Private Eye」[16]
Big Gadgets ft.上木彩矢 w TAKUYAによるオープニング曲。作詞は藤林聖子、作曲は中川幸太郎。
インストゥルメンタル楽曲。第12話ではオープニングは省略され、挿入歌として使用された。
「罪と罰とアングラ」[16]
松岡充による主題歌。作詞は松岡、作曲は吉川晃司、編曲は菅原弘明、ストリングスアレンジは大島ミチル
エンディングテーマ位置で使用される。
W-G-X 〜W Goes Next〜[23]
上木彩矢 w TAKUYAによる挿入歌。作詞は藤林聖子、作曲は鳴瀬シュウヘイ。
「Let's go ahead」
風祭メグ(Machico)による挿入歌。作詞は藤林聖子、作曲は鳴瀬シュウヘイ。

各話リスト

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短編SDアニメ

アニメ『風都探偵』のエンディング終了後に挿入される短編SDアニメ。

スタッフ(短編SDアニメ)

  • 演出 - 種村綾隆
  • SDキャラクターデザイン - りお
  • 担当制作 - 村松瑠奈

各話リスト(短編SDアニメ)

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放送局

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関連書籍

  • アニメーション製作:「風都探偵」製作委員会 / 原作:石ノ森章太郎 / 原作:三条陸 『アニメ「風都探偵」公式ガイドブック』 小学館〈ビッグコミックス〉、2023年4月28日発売、ISBN 978-4-09-861669-5

評価(Webアニメ)

第45回アニメグランプリでは「グランプリ作品部門」で第26位にランクインした[27]

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劇場アニメ

要約
視点

2024年11月8日からは劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』(ふうとたんてい かめんライダースカルのしょうぞう)が期間限定で公開された[28]。原作漫画第6巻をアニメ化している[29]

入場者プレゼントとして、翔太郎の探偵助手時代を描く漫画「sたちの肖像/探偵の必需品」などを収録した冊子「風都探偵 第6.5集」が配布される[30]

制作(劇場アニメ)

劇場版の企画は三条陸によれば、Webアニメ版が好評だったため次もやりたかったが、スタジオKAIのスケジュールの都合ですぐにはできなかったという[31]。椛島洋介はスタジオKAIの制作部長である古谷大輔と話した際に、シリーズ化は大変なため原作1巻を映画かOVAとして上映したいと希望したといい、そこから劇場アニメ化を前提にシナリオが制作された[31]。企画が立ち上がった当初はWebアニメ版で描かれなかったパズル・ドーパントが登場する第4巻や、仮面ライダーアクセルが活躍する第7巻を原作とする案があったが、劇場に客を呼び込めるもっとも強い要素は仮面ライダースカルの登場であると判断されて第6巻のアニメ化となった[32]

本作ではクライマックスの場面で、仮面ライダーW ファングジョーカーがミュージアムから脱出する際に、原作に登場しなかったオーシャン・ドーパントとの戦いが描かれている[33]。これは中盤でバトルシーンが終了し、終盤は撤退になるため、クライマックスがボリューミーでなければ観客の満足感が低くなるのではないかと考えられたことによる[33]。翔太郎たちが海に出ることから、敵はオーシャンに設定された[33]。オーシャンのデザインは寺田克也が担当[33]。通常寺田へのデザインは、役どころは言わずに名前とイメージだけ指定しているが、オーシャンは役割を説明して発注したため、ラストボスにふさわしいデザインになった[33]。オーシャンの変身者である大嶋凪は、園咲霧彦以前の「冴子の男」という方向性で設定された[33]

オーシャンとの戦いではWebアニメ版の挿入歌である「W-G-X 〜W Goes Next〜」を使用するはずだったが、翔太郎とフィリップの初戦闘であることから急遽『仮面ライダーW』の主題歌である「W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜」に差し替えられた[33]

最後のサプライズとして登場するサイクロンスカルは、当初は原作と同様にシルエットで登場するはずだったが、『W』でスカルをデザインした小林大祐により初映像化となった[33]

主題歌(劇場アニメ)

「似合う男になれ」
鳴海荘吉(実写版で同役を演じた吉川晃司)による劇場版主題歌[34]。作詞は鳴海荘吉・jam、作曲は鳴海荘吉、編曲は菅原弘明。
「Forevermore」
メリッサ(小松未可子)による挿入歌。作詞は瀧尾沙、作曲・編曲は中川幸太郎。
Nobody's Perfect
鳴海荘吉による挿入歌。作詞は松井五郎、作曲は鳴海荘吉、編曲は菅原弘明。
W-B-X 〜W-Boiled Extreme〜
上木彩矢 w TAKUYAによる挿入歌。作詞は藤林聖子、作曲は鳴瀬シュウヘイ、編曲はTAKUYA・鳴瀬シュウヘイ。

評価(劇場アニメ)

Filmarks発表の11月第2週公開映画の初日満足度ランキングで第1位となった[35]。2024年11月8日から10日の全国映画動員ランキングで初登場第5位となった[36]

ライターの桐沢たえは、本作だけでエピソードが完結していることから『W』や『風都探偵』を知らなくても見やすく、むしろ本作から「Wワールド」に入るのもおすすめとしている[29]

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舞台

風都探偵 The STAGE』のタイトルで、2022年12月から2023年1月にかけて東京・大阪で上演[37]

内容は原作通りのエピソードだが、三条陸によるオリジナル脚本になる案もあった[38]。客層は特撮ファンの男性・特撮ファンの女性・2.5次元ファンがそれぞれ3分の1ずつで、三条は「見たことがない客層」と言われたという[38]

キャスト(舞台)

スタッフ(舞台)

  • 原作 - 石ノ森章太郎[37]
  • 脚本監修 - 三条陸[37]
  • 脚本 - 西駿人、毛利亘宏[37]
  • 演出 - 毛利亘宏[37]
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脚注

参考文献

外部リンク

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