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けものみち (松本清張)

松本清張の小説、メディアミックス作品 ウィキペディアから

けものみち (松本清張)
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けものみち』は、松本清張の長編小説。「けものみち」[1]に迷い込み、戦後日本の権力構造を垣間見た者たちの運命の変転を描く、著者の社会派サスペンスの代表的長編。『週刊新潮』(1962年1月8日号 - 1963年12月30日号、連載時の挿絵は生沢朗[2])に連載され、1964年5月、新潮社から単行本として刊行された。後に電子書籍版も発売されている。

概要 けものみち, 著者 ...

1965年東宝映画化、また3度テレビドラマ化されている。

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あらすじ

成沢民子脳軟化症のために動けなくなった夫・成沢寛次を養うため、割烹旅館・芳仙閣で住み込みの女中をしていた。しかし、寛次はそんな民子をいたわるどころか、日々、猜疑心を募らせ、民子が家に戻るたびに、執拗にいたぶるのだった。

ある日、芳仙閣にニュー・ローヤル・ホテルの支配人・小滝章二郎が訪れる。小滝は民子に、今の生活から抜け出し、もっと安楽な生活に導く手助けをするようなことをほのめかす。民子は小滝の誘いに乗ることを決意し、失火に見せかけて夫を焼き殺す。そして、民子は弁護士秦野重武によって、政財界の黒幕・鬼頭洪太の邸宅に連れて行かれる。小滝の誘いとは、鬼頭の愛人になることだったのである。民子は鬼頭の相手を務める一方、小滝とも関係を持ち、鬼頭の後ろ盾を得て、奔放な生活を送るようになる。

そのころ、寛次の焼死事件は、小滝が民子のアリバイを証言したこともあり、警察消防によって失火と断定された。しかし、事件を担当した刑事・久恒義夫は、事件に不審を抱いて独自に捜査を進め、民子が夫を焼き殺したという結論に達する。民子の美貌に魅せられた久恒は、自分が集めた証拠を民子にちらつかせ、民子にたびたび関係を迫る。

しかし、逆に久恒はささいな理由で警察官を免職される。自分を免職にした上司の背後に鬼頭の姿を見た久恒は、自分が調べ上げた鬼頭の闇の部分を手紙にしたため、新聞社に持ち込むが、鬼頭の力を恐れる新聞社は久恒のネタをどこも採用しなかった。改めて鬼頭の実力を知った久恒は、失踪した鬼頭家の女中頭・米子の殺害事件の証拠を集めて鬼頭を追い詰めようとする。

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登場人物

成沢民子(なるさわ たみこ)
旅館「芳仙閣」の女中。31歳。現在の閉鎖的な生活から逃げ出したいと思っている。
小滝章二郎(こたき しょうじろう)
赤坂の「ニュー・ローヤル・ホテル」支配人。
鬼頭洪太(きとう こうた)
政財界に不思議な実力を持っている怪物的老人。麻布の大邸宅に住む。2年前より脳軟化症を患っている。
秦野重武(はたの しげたけ)
ニュー・ローヤル・ホテルにすでに2年逗留し続けている男。
久恒義夫(ひさつね よしお)
警視庁捜査一課の古参刑事。
成沢寛次(なるさわ かんじ)
民子の夫。脳軟化症で寝たきりとなる。
米子(よねこ)
鬼頭邸を取り仕切る女中頭。かつては鬼頭の愛人だった。
黒谷(くろたに)
鬼頭邸をうろつく得体の知れないグループの一人。

エピソード

  • 和田勉によれば、著者が本作を書くきっかけは、仲居からの一通の身の上相談の手紙であったという[3]。本作は(以前に連載された)『わるいやつら』以上の評判を呼び、本作連載時の『週刊新潮』は120万部を発行し、増刷となった[4]
  • 小説中の「ニュー・ローヤル・ホテル」は、赤坂の高台にある3年前に新築されたホテルと描写されているが[5]、モデルをホテルニュージャパンとする推測がなされている[6]
  • 本小説に登場する鬼頭洪太のモデルについて、推理小説評論家の権田萬治は、児玉誉士夫と推測し、加えて、辻トシ子(元・岸内閣副総理秘書官)の証言からトシ子の父である辻嘉六とする説も紹介している[7]。また、当時清張の専属速記者を務めた福岡隆は、秦野重武にはモデルがあるとしている[8]。文芸評論家の細谷正充は、「政財界を裏から操る黒幕」という設定は、大藪春彦森村誠一の小説、のちにはコミックなどのエンターテイメント作品に広く流布されているが、本作は、政財界の設定を使い勝手の良いガジェットとして扱うのではなく、政財界の闇そのものを真正面から取り上げ、徹底的にリアルな掘り下げをした点で、意外なほど少ない、例外的な作品となっていると評している[9]

映画

概要 けものみち, 監督 ...

1965年9月5日東宝製作・配給で公開された。DVD化されている。

キャスト

スタッフ

関連商品

  • けものみち DVD(2009年10月23日、東宝、JAN 4988104052483
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テレビドラマ

要約
視点

1982年版

概要 松本清張シリーズ けものみち, ジャンル ...

松本清張シリーズ・けものみち』のタイトルで、1982年1月9日から1月23日まで毎週土曜日20時 - 21時10分にNHK土曜ドラマ』で放送された。全3回。主演は名取裕子2022年4月9日に一挙再放送された。

視聴率[10]は、第1回18.2%・第2回15.8%・第3回18.7%。平均視聴率は17.6%(関東地区ビデオリサーチ社調べ)。DVD化されている。

概要

第15回テレビ大賞優秀番組賞受賞作品。当時NHKのディレクターであった和田勉が、仕事上のトラブルに陥っていた名取に、民子役として直接出演を依頼し、制作された作品[11]。小滝役には「ザ・商社」の山崎努、久恒役にはお笑いで人気を博していた伊東四朗が起用された。また、鬼頭邸の庭のシーンは(ドラマ制作当時の)清張邸で撮影されている[12]

キャスト

スタッフ

関連商品

さらに見る NHK 土曜ドラマ, 前番組 ...

1991年版

概要 松本清張作家活動40年記念 けものみち, ジャンル ...

松本清張作家活動40年記念・けものみち』のタイトルで、1991年12月24日火曜日21時3分 - 22時52分に日本テレビ2時間ドラマ火曜サスペンス劇場」で放送された。主演は十朱幸代

視聴率は18.1%(関東地区ビデオリサーチ社調べ)。

キャスト

スタッフ

さらに見る 日本テレビ 火曜サスペンス劇場, 前番組 ...

2006年版

概要 松本清張 けものみち, ジャンル ...

松本清張 けものみち』のタイトルで、2006年1月12日から3月9日まで毎週木曜日21時 - 21時54分にテレビ朝日系『木曜ドラマ』で放送された。主演は米倉涼子DVD化されている。

キャスト

成沢家
成沢民子〈30〉
演 - 米倉涼子
料亭旅館「芳仙閣」の仲居。宝石デザイナーを夢見て夫と結婚する。
成沢寛次〈35〉
演 - 田中哲司
民子の夫。脳梗塞で身体が不自由、寝たきりの生活を送る。
杉原七々美〈21〉
演 - 上原美佐
民子の家で家事手伝いのアルバイトをしている女子美大生。
久恒家
久恒春樹〈40〉
演 - 仲村トオル
世田谷東署のノンキャリア刑事。
久恒薫
演 - 網浜直子
久恒の妻。
久恒太郎
演 - 吉川史樹
久恒の息子。
ニュー・ローヤル・ホテル
小滝章二郎〈44〉
演 - 佐藤浩市
「ニュー・ローヤル・ホテル」総支配人。芳泉閣で民子を見初める。
秦野重武〈47〉
演 - 吹越満
弁護士の肩書きを持ち、ニュー・ローヤル・ホテルを常宿としている。
鬼頭の邸宅
鬼頭洪太〈72〉
演 - 平幹二朗
政財界の裏を担うフィクサー。
佐伯米子〈40〉
演 - 若村麻由美
鬼頭家を取り仕切る女性。
黒谷富雄〈31〉
演 - 前川泰之
鬼頭家の使用人兼警備。
芳仙閣
武藤美代子
演 - 星野真里
芳仙閣の仲居。民子に複雑な思いを持つ。
如月初音〈45〉
演 - 東ちづる
芳仙閣の女将。民子に小滝を紹介する。
その他

※ 以下、カッコ内は出演話数

スタッフ

放送日程

さらに見る 各話, 放送日 ...
  • 初回は21時 - 22時9分の15分拡大放送。

関連商品

さらに見る テレビ朝日系 木曜ドラマ, 前番組 ...
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脚注

外部リンク

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