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各国の最低賃金の一覧
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以下の一覧は、192の国連加盟国と中華民国(台湾)・北キプロス・香港・コソボ・西サハラの計197の国と地域から、一部の国・地域における公定の最低賃金を示す(全ての国・地域については英語版 List of minimum wages by country を参照のこと)。

一部の国々では、実効最低賃金が公定よりも下がりうることから、ある特定の自国がこの規制を施行するにあたり、他の国よりも強権的である場合もある。
一部の国々は複雑な最低賃金システムを用いており、例えばインドには1200種類以上の最低賃金相場がある[1]。
ここでいう最低賃金は、総収入すなわち国毎に異なっている税と社会保障費を控除する前の額を指す。また公休日、病気休暇、年次休暇といった法定の有給休暇も計算に含めない。また一般的に正規雇用のみが対象となることにも留意が必要である。
比較のため、下表の「最低賃金で働いた場合の年収額」の列は、最低賃金で1年間働いたとしたときの収入額(例:最低時給額 × 8時間/日 × 5日/週 × 52週/年)を購買力平価でUSドル(2015年基準)に換算したもの(仮想の単位である国際ドル)を示している。
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各国の最低賃金
要約
視点
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アジア主要都市の最低賃金
要約
視点
※月給は、最低月額はそのまま、日給額からは、日給額×5日×52週÷12で計算した。
※為替レートは1米ドル当たり7.164元、32.52バーツ、16,207.02ルピア、56.443ペソ、26,118.0ドン、3,624.0チャットで計算した[117]。
アジア主要都市と日本の最低賃金比較
- 上記の最低月額(ドル換算)が、41〜382ドルと日本の最低賃金(全国加重平均額)のおおよそ3〜30%である。また、一般工(正規雇用の実務経験3年程度の場合。ただし請負労働者および試用期間中の作業員は除く。そして、横浜の場合は、企業規模100名以上500人未満の基本給[ 時間外手当を除く]で働く技術係員[平均年齢:35.7歳]の月給金額)の賃金(2024年。ただし、上海は2023年時点)は、日本(横浜)は2,099ドルに対して、上海は 832ドル、ジャカルタは475ドル、バンコクは437ドル、ホーチーミンは329ドル、マニラは314ドル、ミャンマー(ヤンゴン)は148ドルであり、日本の賃金に対して、おおよそ7%〜40%である[118][119]。
日本の外国人労働者
新興国と日本の賃金格差を背景に来日している外国人労働者は、介護や建設業といった人手不足の業種を中心として、存在感を高めている。特に、単純労働や肉体労働に従事する外国人留学生や技能実習生は近年大きく増加している。
第一生命経済研究所の星野卓也によれば、日本と新興国との間の最低賃金格差は、新興国の経済成長により、縮小している。そのため今後、日本で働く動機となっている賃金の高さが薄まってしまい、外国人労働者に頼ることは、出来なくなる可能性が出てくると指摘している。
具体的には、日本と中国・ベトナムの最低賃金格差を現した「出稼ぎ魅力度指数」(各国通貨建て日本最低賃金/各国通貨建て各国最低賃金)の2005年・2015年・2021年は、以下のように推移しており、長期的には最低賃金格差が縮小していること、そしてこうした傾向は今後も続いていくことが分かる。
また、中国では、日本に渡航して働くことは、渡航費用や語学などの研修費用の負担を差し引いても、割りに合わなくなりつつある。そのため、企業によっては、中国人から日本人へ雇用を切り替えている企業も出ている[124]。
隣国の韓国や台湾は、日本と同じく少子高齢化やそれに伴う人手不足を理由に、外国人労働者をすでに積極的に受け入れている。そのため、日本との獲得競争が生じてくることが予想される。
韓国の外国人労働者数は96.2万人(2016年時点、韓国統計局)、台湾の外国人労働者数は70.6万人(2018年時点、台湾労働省)。全人口に占める割合は韓国1.9%、台湾2.9%、日本1.2%である。
3国の中で日本は長らくトップに立っていたが、賃金面では2018年に日本と韓国の水準が逆転し、韓国がすでに優位に立っている。
いずれにしろ、「単純・肉体労働の人手不足は外国人に」という発想のみでは、今後は難しくなっていくことが明らかである。人手不足に直面している企業は、いずれ設備投資による省力化、ビジネスモデルの変革、販売価格の引き上げなどによって労働生産性の改善を求められることになる。
海外移転と国内回帰
賃金格差によって人件費を圧縮し、生産コストを抑えることが出来るため、1980年代後半から日本からの海外移転が始まり、1990年代半ばから加速した。しかし、海外移転の影響により、空洞化が起こる。その為か、製造業の就業人数が減少し、特に繊維産業は、2010年の就業者数が90年対比で4分の1まで低下している。[125]
但し、日本では2014-2015年度以降、製造業の国内回帰が大手メーカーを中心に一定程度、進展している。背景には、主に6つある[126][127]。
- 新興国での最低賃金向上による賃金増加と労働争議増加による生産コストの上昇
- 製造業DX[* 1](スマートファクトリー等)の推進と日本国内での地産地消による物流費縮減による国内のコスト競争力向上
- 3Dプリンターや産業用ロボット導入による省労働力化[128][129]
- 米中貿易摩擦に対する経済リスクの軽減
- 2012年半ば以降進展した円安[130]
- 新興国による品質管理、知的財産権侵害や技術流出のリスク
また、国内の顧客の要求に素早くフレキシブルに対応するために、より顧客と距離の近い国内生産にシフトする事例も見られる。[126]
だが一方、雇用面では、製造業DX推進や産業用ロボット導入による省労働力化により、国内回帰による増加は、限定的である。
中国から東南アジアへの産業移転の背景
前述の国内回帰だけでなく、中国から東南アジアへ移転する動きも下記を背景にある。
- チャイナリスクの回避
- 2010年代頃より、国内回帰ではなく中国からASEAN諸国のベトナム・ミャンマーに移す企業が現れている。
- 1例として、日本における衣類の輸入相手国比率が、中国からは2008年の84.8%をピークにして2017年には63.1%にまで大きく低下した。代わってベトナム、インドネシア、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュの5ヵ国(特にベトナム)が上昇している。 これは中国に集中した供給体制を分散してリスク低減を目的としているが、2007年を境に中国とこれら5ヵ国との最低賃金水準が乖離し始めており、賃金格差が生産シフトを促した要因であるとみることができる。[131]
- 賃金の上昇による中国国内の産業移転
- 21世紀に入ってから、世界最大の靴製造地域、珠江デルタの製造コストは急速に上昇し、外資系靴製造企業は次々とベトナム、インド等の東南アジアの国々へと移転している。背景には、靴製造業は加工型の労働力集約型産業であることと中国の経済発展による物価・経済的レベルの向上にある。後者の要因により、農民工の賃金が上昇し、企業側にとって人件費コストが増加していき(2003年から2013年までに中国製靴業の工員の給料は3.5倍に伸びている。)、そのコストに耐え切れずに移転したのである。
- また、本来であれば、最低賃金引き上げは多くの労働者が低賃金で働く靴製造業労働者にとって、賃金向上の役割を果たすはずであったが、結果的に市場経済下で賃金上昇を決める市場メカニズムの作用が、政府による法定最低賃金引き上げの作用を超えた結果となっている。[132][133]
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各国の経緯
要約
視点
東アジア
日本
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高い方の最低賃金額が適用される。
- 時給額は、2001年以前の額は、日給額を8で割った値である。
- 格差率は、47都道府県の中で最も高い時給額を100とした場合、最も低い時給額がどの位になるのかを表した時給の比率である。
- 消費者物価指数換算は、その年の最低賃金額を2020年の物価指数を基準に換算した場合の最低賃金額である。
- 計算は、その年の最低賃金額×(2020年の消費者物価指数÷その年の消費者物価指数)=その年の消費者物価指数によって換算された最低賃金額
- 男性高校新卒者初任給換算は、その年の最低賃金額を2020年の男性高校新卒者初任給を基準に換算した場合の最低賃金額である。但し、2019年までは通勤手当を除いた額に対して、2020年以降の賃金構造基本統計調査は通勤手当を含めた額であるため[143]、「地方公務員給与の実態」[144][145][146][147][148]により算出した通勤手当額[* 3]を引いた額を初任給額としたため、2019年以前と2020年以降の初任給額を比較する際、注意が必要である。
- 計算は、その年の最低賃金額×(2020年の男性高校新卒者初任給÷その年の男性高校新卒者初任給)=その年の男性高校新卒者初任給によって換算された最低賃金額
- 民間主要企業賃上げ率で改定された場合の時給額は、1975年の全国加重最低賃金額が、民間主要企業賃上げ率で改定された場合を想定した最低賃金額(1円未満は四捨五入)である。
- 民間主要企業賃上げ率で改定した場合との格差率は、民間主要企業賃上げ率で改定された場合の時給額を100とした場合、最低賃金額(全国加重平均額)がどの位になるのかを表した時給の比率である。
- 最低賃金時間額は表の発効年月日以降の1時間当たりの最低賃金額である。
- 発効年月日は、都道府県ごとに新たに最低賃金額が適用される年月日である。
- 都道府県別の生活賃金額は、日本労働組合総連合会が算出した2024年6月~同年7月に埼玉県さいたま市に居住している単身者(非自動車保有者)が最低限生活するのに必要な生活費を1カ月当たりの労働時間を165時間とした場合の1時間当たりの時給額である。また、生活費を住居費以外と住居費に分解し、前者は「2023年小売物価統計調査(構造編)」(総務省統計局)の「家賃を除く総合」指数を用いて、後者は「2023年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)の「1か月当たり家賃・間代」(0円を含まない)と「1か月当たり共益費・管理費」(0円を含まない)を足した額(1,000円未満は四捨五入)を用いて都道府県ごとに換算して、合計した額の最低生活費を165で割った金額である。
韓国
但し、同居する親族のみを使用する事業及び家事使用人、精神又は身体の障害により労働能力が著しく低い者、その他最賃適用が適当でないと認められる者は適用外である。修習使用期間中又は修習を始めた日から3か月以内は、最賃額の90%適用の減額措置あり(1年未満の契約労働者除く)。[25]
- ※1988年と1989年は、10人以上の事業所で働く製造業の常用雇用労働者のみ対象。また、1988年の最低賃金額は、低賃金業種(1グループ)と高賃金業種(2グループ)と分かれていた[151]。
- ※1990年〜1998年の間は、全業種の10人以上の事業所で働く労働者、1999年・2000年は5人以上の事業所で働く労働者、2001年以降は全労働者が対象となる[151]。
- ※韓国大統領は、適用開始時点で大統領に就いていた人物。但し、黄教安については、2017年1月1日時点で国務総理(日本の首相に当たる。)であったが、朴槿恵元韓国大統領弾劾訴追により2016年12月9日から2017年5月10日の間は、大統領代行を兼務している。
また、2024年に大韓民国非常戒厳令を宣言したことを理由に行われた尹錫悦韓国大統領弾劾訴追により2024年12月14日に可決され、可決後に議決書が大統領府に届けられて大統領の職務一時停止、当時国務総理であった韓悳洙が大統領代行を行った。しかし、同月27日に尹錫悦大統領の弾劾を審判する韓国憲法裁判所の裁判官の任命を拒否する意向を表明したため弾劾訴追され、2025年3月24日に韓国憲法裁判所より大韓民国非常戒厳令発令を積極的に幇助した証拠が見当たらないとして棄却され、大統領代行に復帰するまでの間に経済副首相である崔相穆が大統領代行と国務総理代行を行なったため、崔相穆としている[152][153][154][155][156][157]。
台湾
- 注1:適用開始年月日は、月の記載がないのは1月より、日は1日である。
- 注2:引き上げ率は、1997年までは月給、2007年以降は時給を基準としている。
- 注3:日給換算は、月給から30で割った額である。
- 注4:時給換算は、1997年までは日給から1日の労働時間を8時間として割った数である。2007年以降は、1か月あたりの労働時間で割った数(下表)を時給額としている。
2015年と2016年の最低月給額は変わらないが、時給換算する際の1か月あたりの労働時間が異なるため、2016年は最低時給額が2015年に比べて5.0%引き上げられている。
中国
- (注1)中国では、地域(省・自治区・直轄市及び深圳市)ごとに最低賃金額が定められている。
- そして、同じ地域内でも、各地の経済発展状況に応じて最大4区分されている[187]。
- (注2)広東省深圳市の最低賃金は2,520元。
- (注3)最低賃金に含まれるもので、社会保険料は、養老保険・医療保険・失業保険の3つの社会保険の合算した保険料のことである。
- (注4)最低賃金に含まれるもので、△は、全日制就業者(1日当たりの勤務時間は4時間超、かつ1週間の勤務時間が累計24時間超の
- 労働者)の最低賃金に社会保険料と住宅積立金の個人負担部分が含まれている。一方で、非全日制就業者(1日当たりの勤務時間は4時間以内、かつ1週間の勤務時間が累計24時間以内の労働者)については、社会保険料の企業と個人負担分だけが含まれ、
住宅積立金は含まれていない。
- 労働者)の最低賃金に社会保険料と住宅積立金の個人負担部分が含まれている。一方で、非全日制就業者(1日当たりの勤務時間は4時間以内、かつ1週間の勤務時間が累計24時間以内の労働者)については、社会保険料の企業と個人負担分だけが含まれ、
- (注5)最低賃金に含まれるもので、空欄は、社会保険料と住宅積立金の個人負担分が含まれているかどうか法令上明記されていない。
香港
アメリカ合衆国
公正労働基準法の定める連邦最低賃金と、州の最低賃金のうち、高いほうが適用される。チップ制のある職種についての最低時給はここでは省略する。なお、2014年2月にオバマ前大統領により署名された大統領令13658号により、連邦政府と事業者の間で契約した業務に従事する労働者(契約業務に関連する業務に携わる者も含む。)に対する最低賃金が設けられている。その後、2021年4月にバイデン大統領により署名された大統領令14026号により、2022年1月30日以降に連邦政府と事業者間で新たな契約(更新を含む)を締結する場合には、下表の該当年の上段に記載された時給額で支払うこととなった。
年 | ドル/時間 |
---|---|
2015 | 10.10 |
2016 | 10.15 |
2017 | 10.20 |
2018 | 10.35 |
2019 | 10.60 |
2020 | 10.80 |
2021 | 10.95 |
2022 | 15.00 |
11.25 | |
2023 | 16.20 |
12.15 | |
2024 | 17.20 |
12.90 |
※2022年以降の最低時給額は、上段は2022年1月30日以降に連邦政府と事業者間で新たな契約(更新を含む)を締結する場合。下段は、2015年1月1日から2022年1月29日までに連邦政府と契約事業者間で新たな契約(更新を含む)を締結した場合であり、契約が終了(再更新含む)するまで有効である。

- 生活賃金額は、大人1人が年間2,080時間働いた場合の時給額である。
イギリス
- 注
- 2010年10月に、 一般向け額の対象年齢の下限を22歳から21歳に引き下げている。
- 2016年4月に、全国生活賃金導入の際、既存の全国最低賃金制度から、25歳以上層に適用する加算制度を設けた。
- 2021年4月に、既存の全国最低賃金制度から加算する対象年齢を25歳以上から23歳以上へ引き下げている。
- 2024年4月に、既存の全国最低賃金制度から加算する対象年齢を23歳以上から21歳以上へ引き下げている。
- 出所
フランス
- 注
- 上表は、フランス語版Wikipedia「Salaire minimum interprofessionnel de croissance」を転用し、一部変更して載せている。
- 5月革命をきっかけに1970年1月2日にSIMCへ移行されるまでのSMIGの最低時給額は、地域(パリのSMIGは他の地域より1~3割高かった。)及び年齢差により、最低時給額が異なっていた[403]。
上表の最低時給額は、パリ地域で働いている18歳以上の非農業労働者に適用される時給額であり、当時のフランス国内では最も高額な最低時給額である。また、農業労働者は、1968年6月にSIMGへ統一されるまで、SMIGより最低時給額が低いSMAGが適用されている。 - 1960年1月にデノミネーションが実施され、1/100の切り上げが行われたが、1950年以外は実施後の金額となっている。
- 2002年1月1日からユーロの紙幣・硬貨の流通およびフランとの交換が開始され、同年2月17日をもって通貨としてのフランが廃止されたため、2002年7月1日以降の最低賃金額(名目値)の単位はユーロとなっている。
- フランスの政治制度は半大統領制であり、首相が主に内政を担っているため[404]、当時の首相就任者の名前と所属政党を上表に記載している。
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脚注
関連項目
外部リンク
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